√シルバー【完結】   作:ノイラーテム

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激論と激闘と【後編】

●臨時編成

 駆け付けて来たという触れ込みの軍関係者は、真田中尉と元から近くで待機していた藤林少尉だった。

 共に技術士官としての趣が強く、技術部隊ゆえに戦力が足りないから学生達の申し出を受け入れるというスタンスを糊塗するものだ。

 

「一時的に皆さんを受け入れさせていただきますが、秩序の問題から全ての命令系統と責任はまず軍、次に魔法師団体が負います」

「異論あろうはずもありません。我々は学生ですので」

 十文字会頭が厳めしい顔で頷いているが、とても学生とは思えない。

 戦力に数える様に交渉に参加して、責任免除の代わりに命令に従うという形を取ったのだから普通の学生というには程遠いが、動いて良い範囲としてはやはり学生と言う限界があるのだろう。

 

「志願された方の中で詳しくない方にざっくばらんに説明しますと、漫画の様な独自行動権無し命令拒否するならお帰りいただく、その代わりに全ての責任は軍が持つということです」

 さすがに此処で馬鹿なことを言い出して、追い出されるような奴は志願して居ない。

 というよりは風紀や有志を中心とした、先ほど侵入したテロリストへの対策へ当たった者達だけしか話をしていないのだから当然とも言える。

 

「今回の出動範囲は第一高校近くの工場偵察、テロリストの排除ですが無理を行う必要はありません。警察の魔法師隊も駆け付けて居ますので、存在して居た場合は報告のみや追い出すだけでも構いません」

 志願したのだから今更怯える者はいないが、説明されて安堵の声が聞こえた。偵察の結果を伝えるだけ・見つかったと知らせて、拠点から追い出すだけで構わないだけなら危険は少ないからだ。

 

「工場へは正面搬出口と側面資材搬入口の二隊に分けて圧迫していただきます。裏口は追い出す為に空けておいてください」

「もちろん、こちらで裏口に監視要員を付けておりますので皆さんが逃げていく者達を心配する必要はありません。何か質問は?」

「ありません」

 実際には質問があるのかもしれないが、十文字会頭が無いと言った後で口に出す者も居ない。

 体育会系も文科系も軍より会頭の圧力に呑まれたかのようだった。

 頼もしさという意味では、存在だけで全ての問題を払しょくしてしまいそうな雰囲気がそこに在る。

 

 二両の車に別れ十文字会頭や桐原先輩たちの三年組が正面、俺たち残りの者が側面担当になった。

「幹比古が居てくれるのはありがたいが、美月と一緒に残らなくて良かったのか?」

「止めてよね、今更置いてくるとか。それに偵察って言う意味なら精霊は役に立つよ」

 実際の話、SBによる詳細の把握はとても役に立った。

 時間が掛ると言うのがネックだが、そんなものは意味を為さないくらいに価値がある。

 探査魔法で撫でる程度の調査をするのと、詳しい内容を肉眼に準ずる形でジックリ調べるのでは雲泥の差があるからだ。

 加えて相手の探知に引っ掛かり難く、見つかっても生命の危険が低いというのでは使うなと言う方が嘘である。

 

(九校戦に使えるな。だが校内予選でメイン競技のモノリス・コードやサブ競技のスティープル・チェースがあるとは限らん。刻印を使用した呪符の準備を急ぐか)

 二科生を活躍させるという難問に対して、ほぼ一科生の幹比古は反則級の腕前ではある。

 しかしぶっつけ本番で戦わされたら、試合巧者の選手には負ける可能性が高いだろう。

 その前に、速度差を埋める為の刻印呪符を作っておく必要があった。

 

 しかしソレは先の事だ。

 今は確実にブランシュと無頭竜を潰すべく手を打っておかねばなるまい。逃がすだけで良いと言うのは俺にとっては建前なのだから。

 現に見知った反応が二つ、工場手前の小さな林の辺りに潜んでいるのが俺の眼には見えている。

 暫くして裏口を中心として気配が撹拌されていくのは、黒羽家のチームが待機したからだろう。

 

「確認する。少し前に調べてもらった化生体だが、精霊にも組み合わせられるのか?」

「可能というかソレを目的にした術式もあるくらいだけど、どうしたの?」

 戸惑う幹比古には悪いが時間が無い、俺は眼で見たことを伝えるべく運転席に連絡を取った。

「先ほどの別れ道で探知しました。正面口方向に伏兵です、おそらくは…」

「もう遅いみたい。今日は最初から姿を現してるみたいよ」

 伝え終わるよりも先にエリカが空を指差した。

 そこには狗の首が飛翔し、あちらへ向かう車両に襲いかかっている。

 反撃の魔法が二・三発飛んでいるが、さして効果が無い様だった。

 

「幹比古、簡単な対処法をメールで転送してくれ。俺はその間に以前に起きたことを説明する」

「了解。説明と同時に術を使えないのがもどかしいな」

「んー。こういうやりとりを見ると、魔法師は古式を捨てるのが早過ぎたって気がするぜ」

 なんとも呑気なレオの言葉だが、案外それは真実を示している様な気がする。

 これだけ絶対的な奇襲性・偵察性は他には代えがたい。捨てたというよりは組織編成の過程で向こうが現代魔法に距離を取ったと思われた。

 

「有効な手段がこちらにあるなら援護に行くか?」

「いや、そうもいくまい。別口がこちらに迫っているからな」

 当然と言えば当然なのだが、リンにはSBの目を誤魔化す護符の類を外させている。

 幹比古が遅延魔法を使い続けるようなものなので負担になるだけという理屈だが、実際には相手に探知させてこちらに来させる為だ。

 失点続きの無頭竜としては、ここで迎撃のついでに始末しておきたいと思わせておいた。

 

 そしてその図式は上手く当たり、正面口へ遠距離型の朱《チュー》が牽制へ。

 (ウォン)が林を通ってこちらへ向かっているということだろう。

 

●ソーサリー・ブースター

「しかし、気に成るのは奴が言っていた対抗手段だな。レオの奥義は硬化魔法と言うより不壊魔法と言った感じだったが」

「使うと凄く腹減るから使いたくねーんだけど、必殺の奥義っていうほどのもんじゃねーがな」

 どちらかと言えばコストの良い魔法である硬化魔法が、急激にカロリーを消費するなら不便ではあろう。

 だがそう言うのを状況に合わせて上手く使う事で、奥義と呼べるような使い道は出来ると言うことだ。

 

 そして必殺では無いにしろ、無敵の防御に対し何を用意したかが気になった。

(奴には実戦経験があるとして俺ならどう対処する? 俺なら消耗戦に持ち込むか最初から勝負なんて…)

 その時、俺の眼に映ったのは幻覚魔法・加重魔法・障壁系の魔法が幾つか。

 詳細までは判らないが車両に対して使う罠はそう多くない。地雷でないのであれば…アレに移動中の車両がぶつかればただでは済むまい。

 

「レオ、合図したら前にインストールした車両ごと覆う硬化魔法を掛けろ。即席バリケードが来る」

「へっ? 練習なんぞしてねえぞ。そりゃ入れっぱにしてるが」

「お兄様、衝撃吸収の方はこちらで。決して衝撃を残しません」

 車を潰してまで練習する様な必要性はなかったので仕方無いが、今に成って見れば覆う訓練だけでもさせておけば良かった。

 そうしておけば最低限、外からのダメージに耐えることが出来るのだから。もはや遅きに失した判断であるが嘆くだけでは意味が無い。

 

「今だ! 他の者は衝撃に備えろ!」

「ぶっつけ本番かよ、ヨルムガント!」

 レオの硬化魔法が車両を覆ったところで、突如現れた紐にぶつかった。

 紐にぶつかったと言うには強烈な衝撃が襲うはずであったが、深雪が衝撃を緩和する事で大事を避けることに成功した。

 

 だが以前の(ウォン)とは違う力強い魔法力に、俺は少なからず衝撃を覚える。

(これが奴の言って居た、殺しきれる装備の威力か? だがどうやって魔法力の強化を…)

 前に合った時は精巧さと隠蔽を重視して居ただけなのか?

 それとも専用のCADを使っていたのだろうか…。その問いを考えるよりも先に次の魔法が確認でき始めた。

 

 仕方無く呼び出していた通信を利用し、念の為に確認を取る。

「問題が無ければこちらに来た足止め要員の迎撃に向かいます」

「お願いしますね。繰り返しますが無理は構いませんので」

 今回の工場制圧は出来るだけ記録には残さないように成るはずだった。

 あくまで軍・警察を中心とした臨時編成の治安行動の一環とされるはずだが、それでも悪意を持って調査されたら完全に無かったことに居するのは難しい。

 可能な限り早く終わらせて、居ないことに気が付いた他の生徒の記憶に残る前に片付けたい所だ。

 

 その為の建前をもどかしく思いながら、停止した車両から出るべく扉を開けた。

 前と同じ四人で出ることにして、森崎たち…特に時間の掛る幹比古を伏兵に置いておく。

 

「随分と手荒い歓迎だなダグラス・(ウォン)。無頭竜はそんなに暇なのか?」

 あえて無頭竜の事を口にして視線を奴が隠れている方向に移すと、面白がっている風を装って(ウォン)が出て来た。

「おやおや。私の正体がバレていたとはね。君の調査力に驚くべきか、それともお嬢様に聞いたのかね?」

 前回と同じスーツ姿に大きめの鞄を持っている。

 だが前と違うのは、さっさと上着を脱ぎ捨ててシャツと奇妙な板の付いたサスペンド・バンド姿に成ったことだ。

 装甲板というには薄いようだが…。

 

「どちらでもないさ。だがまさか一人ではあるまい? ジェイムズ・(チュー)はあちらで足止めにあっているようだが」

 俺は視線を奴の背後にある林に移した後、正面口で起きている戦闘に話を移す。

 あちらでは躁弾射撃を留める為だろうか砂鉄の壁が展開しており、こちらと同様にバックアップが一人(ウォン)に付いている。

 

 能力に優れた戦闘員が四名も居るならば、常識的には遅延戦闘よりも片方の突入を確実に打ち破りそこから脱出すべきなのだが…。

 相当の自信があるのか、それとも遅らせている間に裏口から逃げれば済むと思っているほど、無頭竜の新ボスは頭が悪いのか保身重視なのかもしれない。

 

「そうか、(チュー)の名前からという訳だね。そこまで知っているということは、君も表社会だけの繋がりだけではないようだ」

 (ウォン)は舌打ちを交えながらも、笑顔豊かなビジネスマンと言った風を崩さない。

 そして鞄から円筒状のナニカを取り出すと、サスベンダーの板にソレを取りつけ背中側に回して行った。

 その間も終始笑顔のままで、援護は隠れているもう一人だけだと言うのに余裕の表情だ。

 

「なんでもう一人は出て来ないのかな?」

「信じがたいが一人で相手するつもりなんだろう。万が一の保険に足止め役として残してるのさ」

 確かにこちらは戦術級魔法師はおらず、一科生も森崎しかいない。

 だがそれは結果論であり、最低でも一科生数名を覚悟すべきなのだ。

 ということは、(ウォン)自身が戦術級魔法師級の実力があるとしなければ勘定に合わない。

 

「その奇妙な物体が自信の源か? とうていレリックには見えんが」

「そうとも。まさか子供相手に『ブースター』を使う羽目に成るとは思わなかったよ」

 (ウォン)が使ったのは相も変わらず、風と幻影の術式。

 だが規模と力強さが段違いで別人かと思うくらいだ。悠長に集中して居るなら術式解体で吹き飛ばすところだが、素早く使用できる範囲で何度も実行して居るので介入し難い。

 会話で様子を窺いながら速攻で仕立てる組み立ては。この男のモノであり余人の関与できるタイミングとも思えなかった。

 

(いや、それとも後ろのバックアップが遅延術式を事前に使っておいて合わせたのか? そう考えれば辻褄が合うが…)

 本人の能力をスムーズに使う為のツールがCADであり、大幅に強化するものではない。

 薬物を使用するなり何らかの反則を使用したとしか思えないが、後少しで正解に辿りつけそうな時に衝撃が俺を襲った。

 

「だが、このM・エクスパンダの実戦データの記録でも取らんことには”徒督”の元には戻れん。ミスター・シルバーはともかく他の者には覚悟してもらおう」

「その”徒督”とやらがスポンサーか? 無能な上司に巻き込まれて右往左往するのは気の毒な事だな」

 ドラマじゃあるまいし(ウォン)がうっかりスポンサーの情報を漏らす筈は無い。

 黒幕が居ると臭わせて、自分の勢力を強大に見せつつ、場合によってはそちらへ調査の追及をさせて自身は暫く潜伏する気なのだろう。

 俺としても使い走りよりは、大本を断ちたいと思う訳だから間違った方法ではない。

 

 にこやかな笑みをニヤリとした厭らしいものに替え、(ウォン)は小出しにしてきた魔法を大掛りなモノに変更する。

 

「さてね。もし私を捕まえられたら考えてみよう。出来たら、の話だがね!」

「やらせると思うか? 同じ手口ならば規模を替えた所で…」

 同じことをやって来るとは露ほどにも思わないが、ここは奴の思惑に乗ったフリをしておく。

 俺達が引っ掛ったとしても、幹比古が居る分だけこちらが有利だ。

 

「罠を用意してるみたいだし、こないだの魔法は隠しといた方がいいかもね」

「使わなきゃ死ぬ時は仕方ねーが、まあ使い難い魔法だし俺はどっちでも構わねえよ」

(記録しているというのがやり難いな。実戦テストなら当然とはいえ、『分解』を使う訳にはいかん)

 奴としても商品の情報を漏らしたのは意味があるはずだ。

 エリカが釘を刺したように、俺達の切り札を使い難くさせたのもあるだろう。

 レオはまるで気にして居ない様だったが、アレがローゼン・マギクラフトの秘匿技術ならば後で厄介なことになりかねない。

 

 だがそんな悠長なことは言っても居られない。

 奴が煙草を咥えた瞬間にグラム・デモリッションで幻覚を初動で打ち崩すと、何故かもうもうと煙で覆われたのだ。

 

「うお!? 目の前が見えねえ!」

「くっ。…まさか何も無い光景で煙幕を隠していたとはな。姑息な真似を」

「年の功と言ってくれたまえ。まずは今のうちに前衛の二人組みを何とかするとしようか」

 一足先に光学系の幻覚でナニカを隠していたところまでは気が付いていたが、今から煙幕を張ろうとする所へもう一枚の煙幕を隠しているとは思わなかった。

 二枚壁の煙幕を使って、攻防一体の陣を敷こうとしていたのに違いあるまい。

 

(俺が術式解体を使うことを見越しているとは…。手の内が知られていることがこれほどやり難いとはな。四葉の隠蔽体質にも意味があったと言うことか)

 FLTに載せている情報に記載して居るとは言え、こうも見事に出し抜かれるとむしろ心地良さを覚える。

 全体としては有利な状況に在り、今のうちに経験を積めば九校戦などで活かすこともできるだろう。

「お兄さま、わたくしがまとめて吹き流しましょうか?」

「構わない。それよりも深雪は後方への領域防御を頼む。このくらいは俺でもできるさ」

 二丁の特化型CADのうち片方には、前の戦いの経験から気流を操作する収束系を入れておいたので簡単にだが吹き払って行く。

 (ウォン)が煙幕を垂れ流しているのが風上の為、完全には無理だがこれで戦うには問題無い筈だ。

 

 もちろん、俺が吹き払うことなど前提の上だろう。

 新たな魔法が既に発動しており、それはエリカとレオに絡みついていた。

 

「申し訳ねえが動けねぇ。ちょいとなんとかしてれ」

「判った。だが硬化魔法を掛ける準備はしておけ」

 そういって余裕のあるレオよりも先にエリカの周囲へグラム・デモリッションを撃ち放つ。

 だが細い幻覚の糸が煙のラインを伝わり、まるで阿弥陀籤のように複雑な絡み方で、数本解き放っても別の数本へ拘束の比重が移されていった。

 そして俺が次の糸を消し飛ばす頃には、別の糸が絡みついて雁字搦めにしていく。

 

 何も無い空間でそれをやるには具体的なイメージが必要だが、煙というマーカーがあればそう難しくは無いのかもしれない。

 

「ちょっとー。逆に動けなくなったんですけど」

「悪いな。化生体にするとコントロールが上手くなると言うのは本当の様だ」

 俺が術式解体を連射することを踏まえて、糸はペースを替えながら四方八方から延びて行く。

 エリカは直ぐに動けると思って大人しくしていたようだが、それが幸いして網の中に飛び込んで居ないと言うだけに過ぎない。

 

「ふむ、流石に口が滑ったか。そこまで調べられているとはな。うっかり私が丸裸にされるまえに、女の子の方を丸裸にするとしよう」

「このエロジジイ! 前もそんな事言って無かったっけ! あとでぶん殴ってやるっ」

(どっちみち殴る事実に変わりは無いとは思うが…。しかし面倒だな。奴の手の内を一手めくるごとに俺の方が丸裸にされそうだ)

 術式解体を単発の連射から、バーストモードに変更して面制圧を開始した。

 すると幻覚の中からピアノ線が数本見つかり、いつの間に張り巡らせたのか驚くほどだ。

(なるほど、エリカはこれを察知して動かなかったのか。迂闊に動かなかったんじゃなくて動けなかった訳か)

 仮にさっきの障壁を使った即席バリケードも、このピアノ線に沿って使ったものと仮定するとバイクでやってきた場合は首が飛ぶ可能性だってあるだろう。

 もちろん魔法で無理やり結んだ物だけに、それほどの切れ味はない可能性もある。

 しかし自己加速で走り回ればそれだけで切り刻まれかねない。エリカは無駄に飛ばすタイプではないのが幸いした。

 

 とはいえ余裕ぶるのもこのくらいか。

「ではまずは一人目だ。もう一人にはそのまま動けないままでいてもらおう」

 本格的に対処しなければならなくなって来たのは確かだ、なにせ今度は特大のギロチンを用意して来たのだから。

 (ウォン)が空中で煙草を一回転させると、エリカの周囲に円形の刃が作り出された。

 

 それがピアノ線を強化したものか、それとも加重系統を使ったものかは知らないが、喰らえば命の危険があるのは間違いあるまい。

 逃げられない状況でこれを食らえば即死だが…。

 

「シュヴァルツ・シルト、アイン! エリカを護れ!」

「おっと、そうはいかん。その魔法は以前に見せてもらったからな」

 レオが上着に硬化魔法を掛けてエリカのガードに入るが、(ウォン)は強引にレオを持ちあげて位置をずらしてしまった。

 以前に見せたパターンと固定位置が違うのに見抜く辺りは、コピーして売り捌く時の為に研究でもしていたのだろう。

 

「ここまでだな。…エリカ、物心ドウジ斬りの要領で振るってみろ。サイオンを多めに発散して刃を創るつもりでな」

「アレを? ああ、そういうことね」

 以前に勧めたSB対処用の魔法をアレンジして使うように指示すると、エリカは納得入ったところで警棒を振るった。

 最初は手首だけの動きであったり、サイオンの収束が上手く行かずに散漫であったが慣れてくれば問題無い。

 鋭い殺気が練り上げられると、魔法で作りあげた糸もピアノ線も断ち切られて行く。

 

「んー助かったのは良いけど、なんで?」

「幹比古が何度か言ってたろう。化生体は術の完成度を大幅に助ける役目があるとな。その連携を崩してしまえば逃げ出すのはそう難しい事じゃない」

 警棒状のグラム・デモリッションが、化生体を打ち砕いたことで魔法の明確なイメージが出来なくなったのだ。

 もちろんぶっつけ本番で上手く行く筈は無いが、俺がバーストタイプで散々にふき飛ばした後である。

 (ウォン)が俺との綱引きから、攻撃用の魔法に力の配分を移したこともあって、エリカの脱出を防げなかったのだ。

 

「これでハッキリしたな。何故か魔法の強度と持続性が大幅に向上しているが、操る精度はお前の実力を上回るものじゃない」

 なんらかの反則で(ウォン)は疲れ知らずの力を手に入れている。

 だから全力で振るいながらも延々と魔法を実行出来るのだ。しかし出力が上がっているだけで実力的にはそう替わっている訳では無いのだ。

 

「くっ…。だが封じられたのは駆け引きだけだ、普通の撃ち合いではまだ負けては居らんぞ!」

 今度は煙草を横薙ぎに振るってシンプルな煙の槍を創り出して来た。

 そのワンテンポを置く分だけ精度は確かな物だし、元から精緻なコントロールを誇る奴なら上手いモノだと感心するくらいだ。

 

「まあそれは確かにそうだな。しかし、お前は忘れていることが一つある。撃ち合いならば俺でも出来る。そして…」

 グラム・デモリッションで撃ち落とし、次々に繰り出して来る槍をバーストモードで撃ち落として行く。

 そして視線を深雪に移し、軽く頷くのを見てから指示を出す事にした。

「撃ち合いなどしなくても範囲ごと吹き飛ばせばいい。深雪、奴の後ろの辺りからバックアップもろともニブルヘイムで凍結するつもりでいくんだ」

「はい、お兄様」

 ギョっとした顔で(ウォン)が動き出すのが判る。

 目に見えた奴の姿は前方数mに移しだした幻影であり、本体はその後ろに反応があった。

 流石に知らない相手であったり、魔法を使うタイミングを肉弾戦と組み合わされたらそうもいかないが、悠長にしゃべっているのだから丸判りだ。

 

●カウンターアタック

(ウォン)お前はやはりマフィアだよ。大した幻覚だったが俺の師匠には及ばん」

「今果心と比べたら可哀想だと思うけど…。あ、別に可哀想でも何でも無かったわ」

 師匠なら俺の判断力を奪うように、あるいは気配を掴ませないようにやっただろう。

 頻繁に位置を替え、時には大胆に目の前に立ち体術と組み合わせて襲いかかって来た筈だ。

 優位に立って居るからと過信するのはナンセンスという他ない。

 

 とはいえ奴がまだ健在なのは確かだ、あわやの所で逃げ出して別の場所に潜んで居るはずだ。

 ここで視線を車両の方に戻し、魔法の遅延魔法の反応を確認してから声を掛ける。

 

「幹比古、後は任せていいか?」

「構わないよ。防壁も張ったし、そいつのやり口はジックリと見せてもらったからね」

 幹比古は数枚の札を手に現れた。

 

 そしておもむろに一枚を取りあげて天へ掲げ、二枚目を大地に投げる。

 遅延発動によりタイムラグを伴って次々に行使されて行った。

 

「『天つ風、雲の通ひ路、吹き閉じよ』…煙に匂いを付けてるのは相対位置を把握する為だよね? 自分でも危険な物もあるし」

 最初に力強い風が短く全体を揺らし、次第に緩いが継続して一定方向に煙も香りも吹き流して行く。

 短歌の上の句を詠んで居るのは、化生体の代わりなのだろうか?

 そして三枚目と四枚目を同時に放り投げ、次の魔法を行使する。

「『唐紅にくくるとは』『紅葉の錦、神のまにまに』…面倒だから色を付けさせてもらったよ、これで間違えることは無い」

 今度の魔法は深紅のフラッシュが焚かれたかと思うと、僅かな明滅で陰影をハッキリと地面に投射した。

 何も無い所へ紐が映るのはピアノ線だろうし、赤い男はもちろん(ウォン)に違いあるまい。

 

「納得いかない…今度はミキが全部もってった」

「お前はなんとか斬りを試したじゃねーか。俺なんか良いところ無しだぜ」

「僕は幹比古だっていってるだろ。…二人とも仲が良いね」

 エリカとレオがギャーギャー言い始めるのを幹比古は眩しそうに笑っていた。

 おそらく今の魔法は会心の出来であり、強敵相手に自分が思い通りの魔法が振るえた事に満足して居るのだろう。

 

(このまま成功裏に終らせてやりたい所だがな…。そうもいかんか)

 上から目線で導けるほど、俺にも余裕がある訳ではない。

 こちらを窺う森崎を目線で制した後、油断なく(ウォン)が居る位置と後方の林に二丁のCADを突きつけておく。

(何せ逃げるだけなら普通の爆弾一つで十分だからな。加えてバックアップがまだ生きている。例の強化人間だろうし厄介だ)

 深雪の魔法から逃れるのは咄嗟の判断だったはずだが、それでもまだ生命反応を残していた。

 消えゆく命と比べて魔法力は急上昇していく。

 

「チッ。諦めの悪い男だな、ダグラス・(ウォン)

「死ななければ次があるということさ。ジェネレーターのリミッターを解除した。お前達を倒すのは無理だろうが足止めくらいは期待できる」

 ジェネレーターというのは強化人間のことだろう。

 (ウォン)は赤い間抜けな恰好のまま走り出し、代わりにバックアップが無茶苦茶に魔法を使用しながら飛び出してくる。

「許容範囲を越えて魔法を使ってくるぞ。絶対に捕まるなよ!」

「そういうことは早く言ってくれ!」

 俺は連発して来る魔法を何とか防ぎ止めつつ、視線を(ウォン)の方に向けるが奴を倒すだけの余裕が無かった。

 せめて誰も見て居なければ『分解』で始末するのだが、色が付いてしまったこともありそう言う訳にも行かない。

 

 コミュニティを広げれば出来る事も増えるが、思い切りよく非常手段をとれないのはもどかしくもある。

 

「逃がしたのは残念だが、なんとか無事に切り抜けたな」

「正面口の方も終った見たいだね。歩調を合わせて工場の中に向かうとしようか」

 (ウォン)が逃げ出したことで(チュー)の方も逃げることにしたようだ。

 十文字会頭の防御魔法との相性を考えればもっと前に決着が付いており、逃げた責任を押しつけるためだけに様子を窺っていた可能性すらあった。

 いずれにせよ向こうが動いた以上は、こちらも移動するべきだろう。

 

●白竜の墜ちる日

 

 工場に向かうにつれ、想定していた敵の作戦や人物像とかけ離れて来る。

 指導者である司・一が踏み留まって指揮を行いつつ、徐々に後退して居るのだ。

 加えて気配を撹拌していた亜矢子の魔法が徐々に遠ざかることを考えれば、見えて来るモノもある。

 

「リン、後退してるあのグループの中に無頭竜のボス候補は居ますか?」

「当たり前の様にロバート叔父は居ないけど…。嫌な予感がするわよね」

 対立候補に良い印象は無いようだが、俺と予想は一致しているようだ。

 既に遅延戦闘をさせている状況で、今更のようにリーダーである司・一が陣頭指揮に立つ必要が無い。

「察するにあれは影武者でしょうね。思ったよりも奮闘して居るし、洗脳魔法で自分がリーダーだと思いこませているのかな」

「どうする? あたしたちで追いかけちゃうのも悪くないけど」

 エリカが言うように追撃したい所ではあるが、そうもいかない事情がある。

 建前として以上に軍の指揮下にあり、後に人権団体が文句を言ってきても誤魔化せるように矢表には立たない様に配慮されているのだ。ここで勝手に追撃を掛ける訳には行くまい。

 

「敵は偽者のようだと『目撃者』が言っております。こちらで追撃を掛けますか?」

「……。そうしたいは山々ですが、生憎と先に戦線を押し上げておかねば苦労するのは正面組ですからね。もう少し待って居てください」

 軍が知らない情報を持っているとは言え、戦術には素人の俺達が気が付くくらいである。

 藤林少尉も同様に思っていたようだが、影武者一行が奮戦して居る以上はそうもいかないようだ。

 少しだけ残念そうな顔を浮かべて目線で『分解は使うな』と訴えて来るので、頷いてこちらもできるだけ悔しそうな顔を浮かべておく。

 

「しっかし、向こうはなんであんなに苦労して居るんだ? 一科生があんなに居るってのによ」

「おそらくキャスト・ジャミングを交代で掛けてるんだろうな。…高価な物だしそれができるとなると、ブランシュ日本支部のバックはかなり絞られてくる」

 とはいえそんな事が判ってもあまり意味が無い。

 ジリジリと時間を消費しているが、計画的に逃走して居るからか亜矢子達からも連絡が無い。このまま逃げられる可能性も出て来た。

 

「そうだ、ミキの精霊でおどかしてもらえば? 注意が分散すればやり易いかも」

「いや、それなら先行して追いかけてもらった方が確実だろう。悔しいがこっちに向かっている警察に任せることもできる」

 エリカの言うことももっともなのだが、そうもいかない事情がある。

 SBの奇襲力はまだまだ一科生に隠しておきたいし、影武者を倒しても意味が無いのだ。

 

「僕は幹比古だって言ってるだろう。…この場合は達也の方が正解だと思う偽者は何処まで行っても偽者だからね」

「ブー。どっちだっていいじゃない。ああやだやだ、可愛い幼馴染の提案を無視するなんて、そっちのケがあるんじゃない?」

「どっちのケだ。…まあ冗談は置いておくとして、逃走方向だけでも頼む。潜伏している場所が判れば言うことは無いがな」

 情報があれば警察よりも先に黒羽家の追撃部隊が補足できるだろう。

 そのことは告げずに、敵をSBによる奇襲を使わずに倒す方法を考え始めた。

 エリカが言う、注意力を割くこと自体は正解の筈だが…。

 

「折衷案ですね。出来るだけ遠距離で通じるエリア魔法を使って側面から牽制しましょう。もちろん事前にタイミングと範囲を説明しておく必要がありますが」

「それしかなさそうですね。司波くんはグラム・デモリッションを放つ場所を探しておいてください、ソレだけはバッティングすると困りますから」

 藤林少尉と俺は結託し、SBで仕入れた情報を追撃隊に送る算段を決めた。

 警察に悪気がある訳ではないが、少しでも汚職や脅しに屈する可能性を考えれば身内で固めてしまった方が早いだろう。

 もっともエリカが手配して千葉道場の関係者だけを送ってくれているなら、そんな心配は必要ないのだろうが。

 

「エリカとレオはこっちから踏み込める場所を探してくれ。俺と深雪は交差射撃可能な場所を探す。タイミング的には俺が吹き払った後に前後から仕掛ける形に成るな」

「おっけ。こっちは純粋に抜刀隊で良いのね。ならレオ、あんたの上着で足場を作ってよ」

「足蹴にされるのは気に食わねえが、仕方ねえな」

 俺は手早く作戦を組み立てると、幹比古がメモし始めた情報を眺めつつ、眼を使って正面組と足止めしてる連中の相対位置を確認。

 そして適当な襲撃位置を決めるだけ決めておき、情報を素早く亜矢子達に送った。

 

 その間に深雪は抱きつくような格好で自分の姿を使って俺の手元を隠してくれている。

(やはり細かい分担は気心が知れている方がやり易いな。妙に嬉しそうなのはきっと気のせいだろう)

 そうこうするうちに簡単な通信が返ってくる。

『最追撃を掛けますわ。今度はあんな単純な光学魔法に引かかったりはしません』

 どうやら亜矢子達は捕捉に成功しかけていたものの、洗脳魔法をアレンジした魔法で出し抜かれていたらしい。

(光学魔法と言うと光振動で簡単な催眠を掛ける『イビルアイ』当たりか。あれは効果こそ低いが速攻性があるからな…)

 『イビルアイ』はいわゆるサブリミナルを利用・重篤にした魔法で、洗脳としての強度は低いが簡単な指令であれば信じ込ませることが出来る。

 

 薬剤や他の拘束魔法を併用すれば、逆らえないのだと段階的に刷り込むことすら可能。

 どちらかといえば入口に当たる初歩的な魔法であるが、洗脳のプロが使えば恐ろしいほどの強度に達すると知られていた。

 亜矢子達も肉体を支配したから動けないとか言われている間に、車か何かで逃走でもされたのだろう。

 

「準備はいいか? これが最後に成るかもしれんが追撃に加わる可能性もある、気を引き締めて行くぞ」

「「了解!」」

「りょ、了解…。僕は精霊も向かわせておくよ」

 こうして俺達は足止め部隊を蹴散らし、あっけない終り方でブランシュ・無頭竜との戦いを終えた。

 

●アフターフェスティバル

 無事に司・一やロバート・孫を捕まえ、資料を除いて軍に引き渡したが…。

 その辺りの取りモノや、この後に来るリンと森崎の別れ話などは当事者たちに任せておくことにしよう。

 

 唯一つの誤算は、剣道部が洗脳された被害者だったという構図が明らかになったことだ。

「お疲れさん。頑張った割りには報われて無いんだって?」

「桐原先輩が囮に成って対立の構図を使うと言った時に、特にフォローしなかったバチでも当たったんでしょう」

 連中から情報を抜き出し、先んじて学校の被害を抑えたつもりだった。

 しかし加害者であったはずの剣道部が、関係者の中で同情される立場に成ってしまった形になる。

 

 剣道部は敵味方に利用された存在であり、敵が居なくなった以上は恨むには値しない。

 後に残るのは味方でありながら徹底して利用しかして居なかった、俺ということになる。

「そういう事にしとけって言ったのはお前さんなんだろ? 壬生の奴が足を向けて寝られないと言ってたぜ」

「寝相の悪さは先輩が何とかしてください。そうする形が一番判り易いというだけですよ、利用したのは本当ですしね」

 別に美談にしたつもりはない。

 二科生の中でもデータを揃えて能力開発の方向が判って来た剣道部を、つまらないことで潰すのが勿体なくなって来ただけの話に過ぎない。

 

 加えて司・甲も被害者だったのが大きく、精神的なケアを含めて責任を取って止めるというのを止めているくらいだ。

 せっかく司・一が能力に合わせて色んな才能を磨いて居たのである、これから一科生との予選になるのに捨てるのは馬鹿のやることだ。

 

「そういう事にしておくさ。それで…俺に何が出来る? お前さんに一杯借りを作っちまったみたいだが」

「借りにした覚えはありませんが…。そうですね、もうそう思っていただけるならば暫く反発しているフリをして居てください」

 桐原先輩は俺の提案に怪訝そうな顔をしてきた。

 当然と言えば当然であるが、こちらにも事情があるのだ。

「一科生と二科生のスポーツ対決という、健全な対立が『選手同士』では始まります。しかし俺の腕や見解がそこまで役に立つか疑う者も出て来るでしょう」

「ミスター・シルバーにそんな事をいう奴は出ねんじゃねーか? いや、その役を俺がやっても良いのか」

 俺は頷いて見せたが、ある種の戦犯扱いである。

 実利的に二科生は敬遠してこないでも、一科生はあからさまに攻撃して来る可能性もありえた。

 

 ならば今のうちから布石を言っておく方が無難だろう。

「判った。『そんなにでかい口を効くなら、実力を見せろ』とでも言うことにするよ」

「そんな感じでお願いします。では今回の件で得られたデータを精査しますので」

 こうして俺は本当の意味でお祭り騒ぎを終えることになった。

 

「お疲れ様です。今夜は何にしますか? 何処かに食べに行っても良いと思いますが」

「せっかく二人きりだしな、夕食は深雪の自信作を頂くことにするよ。友達と一緒に探したケーキショップでもあるならそこで幾つか買って帰ろう」

 ここの所は常に誰かの別宅やホテルに拠点を移す生活を続けており、深雪は嬉しそうに献立の事を話し始めた。

 俺としては何でも良いのだが、せっかく御機嫌なのに水を挿す必要も無い。頷きながら久しぶりの我が家に向かうことにした。

 




と言う訳で、第一部のブランシュ・無頭竜同盟編が終了に成ります。
原作と違って仲間が近くで見てるので、『分解』を使えない分だけ苦戦しております(偵察とか分担では楽になってますが)。

無頭竜を付け足して強くした分、第二部・第三部は原作よりも短めになる予定です。

司・一に協力者が居るので少し策を練っているのと、達也君視点の一人称なので判り難いかもしれませんが…。
流れとしては

1:朱が正面入口足止め、黄が側面資材搬入口の足止め
2:司・一とロバート・孫は逃げ、偽者を洗脳して影武者に仕立てる
3:影武者が足止めしている間に上層部は逃走
4:黒羽家のエージェントが捕捉に掛るが、用意して居た追撃対策を使い切って逃走
5:精霊からの情報を聞いて追撃再開、足止め組も撃破

という形になります。

続く第二部は九校戦予選から始まり、二科生を中心に一科生との戦いになります。
序盤ボスは十文字会頭なので、『どうやっても勝てない策で何とかしよう』という傾向に成るはず。

●魔法関連
『ヨルムガント』
 車の周囲を硬化する魔法の合図です。
『M・エクスパンダ』
 原作のソーサリーブースターと超人ロックのサイ・エクスパンダとウッドノートより。
『ミスト・ケージ』
 化生体で作った網・檻を作りピアノ線込みで、難敵を足止めするものです
『リング』『スピア』
 リングは時間を掛けて切断し、スピアは速攻で貫く物。超人ロックの同名の超能力から。
『ヘビー・スモーカーズ・フォレスト』
 幻覚で煙幕を隠し、さらに幻覚を仕掛けようと見せる物。どちらかといえば時間稼ぎとグラム・デモリション用のトラップ。

●人物
『ロバート・孫』
 リンとは別の無頭竜の首領候補。スポンサーがこちらに着いたので一時的に優位になっていた。
”徒督”ブランシュや無頭竜のスポンサー。他は一切不明?

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