JKが紡ぐ、青春協奏曲   作:Cr.M=かにかま

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メインに一人、JCがいた!


2.ある大学生の日常

 

青葉に連行されて来た場所は商店街にある山吹ベーカリー。

 

–––うん知ってた。

 

こいつがこの店の常連であること、ポイントカードがキャパオーバーして既に8枚目に突入してること、そして今日は土曜日で限定モノが発売されるってこともな!

 

「.....で、なんで俺も一緒に来る必要があったんだよ。てか、何あの行列?」

「えー、いっつーさん前に『その限定パンっての興味あるな、次買いに行く時俺も誘ってくれよ(キリッ!)』って言ってたじゃ〜ん」

「キリッ!はしてねぇ、何いらんこと付け足しちゃってんの!?」

 

たしかに言った気がするけど、言った気はするけどよく覚えてるなコイツ。

 

「で、あの列はパンを買い求める猛者達の列、私たちも行くんですよ〜」

「え、あの中に?コミケ並じゃない?あれ」

「–––さっさと行くよ、モカちゃん隊長についてきて」

「お、おう」

 

出会って一年ちょっと、青葉のことを素直に頼もしいと初めて思った瞬間だった。

 

 

 

「ふぃ〜、大漁大漁!」

「.....ついでに色んなもの買いやがって、店員さんドン引きだったじゃねぇか」

「違いますよ〜、さーやのあれは営業スマイルってやつだよ」

「どっちにしろ本心隠してるぞ、それ」

 

全く、目的のパンのついでにチョココロネ買うだけ買いやがって。

なんか後ろの方で「え、さーやちゃん!チョココロネもう売り切れなの!?」って騒いでる客がいるぞ、お前買い占めたんじゃないだろな!?

あと、俺の好みのクロワッサンを目の前で食うんじゃねぇ、腹減る!

 

「いっつーさんもいる?クロワッサン」

「もらう」

 

あ、やっぱり美味い。

俺も限定パン以外にいくつかクロワッサンを買ったが、青葉ほどじゃない。

ていうかメニュー全部二つずつ買うってどうなのよ、全部ポイントカード払いってどうなのよ、その栄養どこにいってるんだよ、ホントに。

 

「あ、蘭だ」

「も、モカ!?」

 

ん、青葉の知り合いか?

着物を着て黒い短髪少女だ、左側前髪に赤いメッシュを入れてる。

近頃のガキは、まぁ、俺も髪を部分的に色抜いてるから人のことを言えた柄ではない。

 

「あ、いや、その、これは!」

「あの蘭ちゃんが立派になって〜、およよ〜」

「これは、その、華道の集まりがこれからあるから!」

「写真撮っていい〜?」

「茶化さないで!てか、やめて!」

「顔真っ赤だよ?もしかしてモカちゃんといっつーさんが間接キスしたとこでも見られちゃったのかな?」

「え?」

「え?」

 

あれ、俺はいつコイツと間接キスなんてしたんだ?

 

「え、違うの?」

「違うし!ドサクサに紛れて撮るな!」

 

ギャーギャー騒ぐ(一方的に赤メッシュガールがだけど)二人をどうするべきかと、とりあえず無理に介入せずに眺めておくのが正解かな。

さっき買ったクロワッサンでも食べておこ。

 

 

 

二日後、今日も元気に頑張るぞい!

そういうわけで夕勤だよ!やったね、お給料が入るよ!

さて、今日は結構スタッフも多いから割と暇なので今井と一緒にレジに立ってる。

 

「五葉さんってさ、大学行かなくていいの?」

「知ってるか今井。日本の大学なんざ入ったら勉強なんて必要最低限でいいんだ、ましてや講義なんてサボるもんだ」

「へぇ〜、自由なんですね」

「まぁな」

 

海輝のアホはどうか知らんが、俺は普通に現役で合格して留年もせずに進学したからな。

それに経済学部だからな、ホントにやることがない。部活とかサークルにも入ってるわけじゃないし、家にいてやることと言えば家事とかネトゲーくらいだ。

 

「でも、それは高校まで頑張ってたからできることだ。今からサボってたら痛い目見るぞ」

「あ、あはは、なんか五葉さんに説教されてもあんまし実感わかないや」

「おい、それはどういう意味だ?」

「–––あ、いらっしゃいませー!」

 

問答しようとしたら客が来た、チキショウ。

ていうか、あいつ立ち読み勢かよ!あと一分経っても出て行かなかったらさり気なく帰らせて、ありがとうございましたー!もう来店なさらなくて結構でーす!って言ってやる!!

 

.....やったら店長に怒られた、チキショー。

 

 

 

二時間後、さっきのこともあり、元々人数が揃ってたこともあり俺と今井は早上がりになった。

時間はまだ八時、いつもよりちょっと早いくらいだ。帰ってログインして徹夜するか。

ん、あの人影は.....

 

「あれ、まりな?」

「君禎?バイトは?」

「今終わった、そっちも帰り?」

「うん!」

 

まりなも丁度帰りなのか、珍しく帰りが被ったな、あの立ち読み客に感謝するのは癪だけど、感謝しよう。癪だけどな。

 

「あ、リサちゃんもいる!もしかしてバイト一緒なの?」

「あれ、まりなさんと五葉さんって知り合いだったんですか?」

「うん、俺の彼女」

「.....えぇ!?」

 

そんなに驚くなよ!傷つくぞ!

 

「えっと、私、お邪魔だったりします?」

「妙な気遣いしてんじゃねぇよ」

 

 

 

今井を送り、近くの公園でまりなと久々に他愛のない話をして過ごした。

俺としてはあの二人が知り合いってことに驚いたよ、だって接点ないし。

 

なんでも今井はRoseliaっていうガールズバンドのベースをしてるらしい。それでライブハウスにもちょくちょく顔を出してるとか。

まぁ、合点はいったが、あの今井がバンドしてるなんて知らなかったな。お互いプライベートのことはあんま話さないし、話すこともないし。

 

さて、とりあえず今日もやるか。

PCを立ち上げて、書きだめしておいたレポートはとりあえず放置してブシロードの提供してるネトゲーのアイコンをクリックする。

さて、と、今夜もイベント走るとしますか。

えっと、あいつらはもう、ログインしてる。さすが、ガチゲーマーだ。

とりあえず挨拶しておこう。

 

−−–

 

クローバー【おっす】

 

➕大魔王ツバサ➕【あ、クローバーさんどうもでーす!(≧∇≦)】

 

プラチナ【こんばんは、今日は早いですね】

 

➕大魔王ツバサ➕【ま、私よりは遅いけどね!】

 

クローバー【バイトが早く終わったからな。さて、どれ行く?】

 

➕大魔王ツバサ➕【もち、限定武器の素材回収でしょ!(^o^)/プラチナもいればらくしょーらくしょー!】

 

クローバー【了解】

 

プラチナ【じゃあ、装備整えてきます】

 

ヒナ【あ、もう揃ってた感じ?】

 

クローバー【突然来るなよ!怖いわ!】

 

ヒナ【えー、でもラグってしょうがなくない?】

 

クローバー【こっちから見たら急に何もないところから来たようにしか見えないんだよ...】

 

➕大魔王ツバサ➕【すっげー!今のどうやったの!!?】

 

ヒナ【ひみつー!】

 

クローバー【.....やろうとしてできることじゃないでしょ】

 

プラチナ【お待たせしましたー、ってヒナさんこんばんは】

 

ヒナ【プラチナさん、やっほー!】

 

クローバー【じゃあ、全員揃ったことだし行きますか!】

 

➕大魔王ツバサ➕【おー!(≧∇≦)】

 

ヒナ【はーい!】

 

プラチナ【頑張りましょう】

 

−−−

 

.....結局、俺は日を跨いで五時になるまであの三人と一緒に素材回収クエストを周回してた。

そしめ、目に隈を作った状態でバイトへ向かった、ガチ廃人って怖い。




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