(セッ、セツコ・・・!?)
扉を開けた先にいたのは懐かしくも以前共に戦い、そしてユニウスセブンのブレイク・ザ・ワールドにより離ればなれとなった女性セツコがいた。
「初めましてZEUTH所属のセツコ・オハラといいます。」
緊張しているのか声が強張っておりながらも、俺に対してセツコは敬礼してくれた。
当然ながら中身が橘隆司なので仮面を脱げばセツコは俺のことにたぶん気がついてくれるだろう。
しかし、あれからたいぶ経っているため俺の事を覚えているのか内心不安しかなかった。
だが、いまの俺はジョーカー。
デビルガンダムにもしもの事があったときのための保険なのだ。
仮面を脱いで「久しぶり」と声を掛けたいところだが俺は自分自身の名乗り出したいという気持ちに対してブレーキをかけて止める。
「初めまして、自分はジョーカーといいます。」
「やあ、君がジョーカーかい?」
俺がセツコと自己紹介をしたとき横から声をかけられて振り向くとそこにはザフトの赤服を着ている男、ハイネ・ヴェステンフルスがいた。
「始めましてザフト軍所属ハイネ・ヴェステンフルスです。」
「ええ、こちらこそ始めましてジョーカーです。」
ハイネが手を差し出してきたので握手をしようと促してきたことに気付き自分もハイネの差し出してきた手を握り互いに握手を交わした。
そして握手をしている最中にほんの一瞬、どこか彼の視線には俺に対して僅ながらに鋭い視線を感じたのだが、すぐにそのような視線を感じなくなっていた。
「グラディス艦長とクワトロ大尉からしばらく君と共に行動しろと指示されて来たんだ。」
(なるほど、たぶん監視なんだろうな。
まあ、怪しいのは仕方がないからね。)
グラディス艦長とクワトロ大尉は俺が怪しい奴かまたはスパイだと思って二人を俺の監視に付けたんだろう。
「まあ、正直に言えば君の監視みたいなものだ。」
「えっ?」
監視だろうと思っていた時に、それをハイネ自身の口から聞いたとき俺は素で驚き、思わず驚きの声を口に出してしまった。
なにせ監視役が監視していると暴露したら驚くのも無理はないのだから。
「ハッ、ハイネさん!?」
「大丈夫だよセツコ。
それにやってきて突然一緒に行動しようだなんてもう監視していますといっているようなもんだろ。
それなら最初っから言ったほうがいいじゃないか。」
だが、ハイネは隠すこともしないのか監視していることを暴露してしまい隣にいたセツコはハイネの突然のことに困惑していた。
「で、ですが・・・。」
「それになんとなく喋っても大丈夫だろうしね。」
「その根拠は?」
「勘かな。」
ハイネは俺のことを信用してくれているのか、勘だけで俺に任務のことを喋ってくれた。
普通に見ればおかしいかも知れないがしかたがないとはいえ変装して怪しまれている俺からすれば嬉しいことだった。
ビィー!ビィー!
しかし、俺達の会話は中断され、通路一帯に警報のサイレンが鳴り響く。
『コンディションレッド発令。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて発進準備せよ。』
「どうやら出撃のようだね。」
「俺も行こう。」
「助かる。」
俺たち三人は部屋を後にして格納庫へと走っていった。
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~ガリア大陸西部~
「メイリン敵の状況は?」
「前方から艦の反応が2。
連邦軍の輸送機とファントムペインも確認。」
「待ち伏せ?」
(まさかこちらの動きを向こうに知られていた?)
「とにかく相手はこちらを逃がすつもりはないみたわね。
各員戦闘準備。MS戦闘用意!」
ZEUTH部隊はファントムペインの部隊をレーダーで捕捉したため戦闘準備を整える。
「ファントムペインと目される部隊、まもなく接触します。」
メイリンの言葉通りに目の前から連邦の艦であるガルダ級が現れた。
「モビルスーツ発進!
各員に戦闘体制と伝えて!」
「了解!」
「艦長!連邦軍とは別に新たな部隊の接近を確認!
オーブ軍です!」
「オーブ軍?どうしてこんなところに!?」
「艦長!オーブ軍が照準をこちらに向けています!
オーブ軍は地球連邦を援護する模様です!」
「どうやら連邦とオーブ軍は同盟を結んだようだわね。
それなら援護するなら当然といえば当然ね。
けれど問題はこの挟撃にどう対応するかだわ!」
「艦長ちょっと待って下さい・・・。これは!?」
「どうしたのメイリン?」
「オーブ軍とはさらに別のルートからこちらの地域に接近する新たな艦の反応確認!
識別信号は連邦軍でもオーブ軍でもありません!」
「ってことは味方か!?」
レイダーでの反応をキャッチしたメイリンは通信で部隊全員に伝えた。
連邦軍とオーブ軍に囲まれて苦しい状況の中で援軍が来たのかと甲児は歓喜する。
「いや、待てあれは!」
視認で切る距離まで近づいてきて海中から勢いよく浮上して現れたのは連邦でもオーブでも、ましてやザフトにも所属していない艦。
アークエンジェルだった。
「あれはアークエンジェル!」
海中から現れたアークエンジェルにアスランは驚き、そして海中から出てきたアークエンジェルのハッチが開き、そこからはフリーダム、ムラサメ、ストライクルージュが出てきた。
『・・・私はオーブ軍連合首長国代表ガガリ・ユラ・アスハ!』
「発信源はアークエンジェルの機体からオープンチャンネルで発信しています!」
『オーブ軍、直ちに戦闘を停止せよ!軍を退け!』
この地域にいるすべての部隊に対してなのかオーブの代表カガリはオープンチャンネルで呼びかける。
しかし、オーブ軍はそれに応じないかのようにカガリの乗るストライクルージュに銃口を向ける。
「こ、これは一体どういった状況でしょうか?」
突然現れたアークエンジェルから現れたオーブ代表カガリからの停戦を促す通信とそれに従わないオーブ軍というあまりに突然なことにアーサーは困惑する。
「わからないわ。でもこの状況最大限に利用させてもらうわ。タンホイザー起動!本艦が突破口を開く。」
「了解。タンホイザー起動急げ!」
アーサーはタリアからタンホイザー起動の指示を受けて、各員にタンホイザー起動の指示を与える。
そしてミネルバの艦首からタンホイザーの砲口が出て、前方にいる連邦軍へと向けられた。
「!」
しかし、それを良しとしないのかフリーダムはミネルバへと向かって急接近してビームライフルをタンホイザーに向けて放つ。
そして、ビームはタンホイザーを貫き、直後タンホイザーが爆発を起こす。
「艦首部分に直撃!タンホイザー、使用不能です!」
「何ですって!?」
フリーダム・・・。
やはり原作どおりか。
「セツコ、ハイネ。
俺はアークエンジェルの足止めをしてきます。」
「なら俺達も行かないとな。一応監視しろって命令されているからね。」
「私も行きます。皆を守るために。」
俺たち三人はZEUTHを守る為に機体をフリーダムとアークエンジェルに向けて迎え撃つ準備を整える。
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「やめろキラ!お前、何をしているのかわかっているのか!?」
「アスラン・・・。」
「そこまでだ、アスラン・ザラ。」
「あなたはジョーカー・・・。」
デビルガンダムを先頭にセツコとハイネの2人をつれてアスランの乗るセイバーの前へとでてきた。
「だが、あのまま放っておいては!」
「いまは退くんだ。」
「なにを・・・。」
「あれが君と深い関係なのは分かるだがいま迷っていたら足元を掬われるぞ。」
「だが・・・。」
「あのアークエンジェルとフリーダムは俺が相手する。オーブとファントムペインは任せます。」
俺はアスランの言葉を聞かずに、デビルガンダムを動かして、フリーダムと対峙する。
彼には申し訳ないが、今ここでキラ・ヤマトと喧嘩していても戦況は覆らない。
だから、オーブとファントムペインを片付けてくれれば、止めはしないが。
それに俺がアークエンジェルの足止めをしていればシンとステラ、カミーユとフォウを引き合わせやすくなる。
だからこうするのが一番だ。
「そこをどいてください!ボクは止めなくちゃならないんだ!」
デビルガンダムがフリーダムの前に立ちふさがるがキラは
「武器を失くせば戦争は終わる。確かにそれはいい考えだ。
だが、それは結局は君の自己満足じゃないか?」
「けど・・・。」
戦争をやめさせたいのはわかる。
しかし、正直にいってキラたちのやっている行為はただの荒らしだ。
戦場のど真ん中で武器を失くしたら返り討ちにあい抵抗も出来なくなるし、海や地面に落ちて救助が車で待たないといけない状況にも陥る。
「く、退かないならボクだって!」
キラはフリーダムを動かしてデビルガンダムに向かって攻撃を仕掛けてくる。
「やっぱり来るか。
戦えるかもしれないけどデビルガンダムには相手が悪い。
フリーダムにはこの機体が相手してもらおうか。」
フリーダムはビーム攻撃による中・遠距離攻撃を得意としている上に機動性も高い機能を持っている。
対してデビルガンダムはDG細胞を使った物量戦で主に後方から援護をする機体。
その為、動き回るフリーダムがデビルガンダムの懐に入ってしまうとこちらが攻撃する前にフリーダムのビームサーベルで切りつけられるだろう。
なので倒すことはできないだろうが足止めをしてくれるフリーダム対策のためのこの機体を用意しておいた。
そして、デビルガンダムのコンソールパネルを使って呼ぼうとするが・・・。
「その勝負待てぇい!!」
東方不敗の乗るクーロンガンダムがフリーダムガンダムとデビルガンダムの間に降り立つ。
「ジョーカー殿。この者は儂が相手しましょう。」
突然の東方不敗の登場に俺は呆気に取られてしまう。
完全に予想外な援軍だった。
別に東方不敗にフリーダムを相手してもらおうとは思っておらず、DG細胞で作った別の機体を呼ぼうと考えていた。
だが東方不敗になにか考えがあるのだろうと思い、それに東方不敗がフリーダムに負けることはないだろうと判断して任せることにする。
「わかりました。ではよろしくお願いします。」
俺はその場を東方不敗に任せてファントムペインとオーブ軍をZEUTHに押さえてもらうことにしよう。
「さてと、予定と違うがこっちと戦うとするか。」
「まいったな俺はこのデカブツが相手かよ。」
俺が向けた先にいたのは『砂漠の虎』ことアンドリュー・バルトフェルドだった。
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「さて、儂が相手をするとしよう羽根つきのガンダムよ。」
デビルガンダムから入れ替わり東方不敗の乗るクーロンガンダムがフリーダムと対峙する。
「僕は行かなくちゃならないんだ!」
フリーダムは翼に装備されているバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲を東方不敗のクーロンガンダムに向けて撃つ。
しかし、東方不敗は避けることもせず手に持っている布状のクーロンクロスを使いビームを弾き返す。
「ビッ、ビームが!?」
「ふん、その程度の攻撃でこの東方不敗を倒せると思ったか 。」
ビームを弾き返して東方不敗の乗るクーロンガンダムはフリーダムへとクーロンクロスを伸ばして攻撃し始める。
キラは迫ってくるクーロンクロスを避けて反撃でビームライフルを撃つが東方不敗は物怖じもせず弾き返す。
「どうして僕の邪魔を!」
「お主の行動のはあまり褒められたものではないな。
まるで赤子の我が儘を見ているようじゃからな。
戦いでただ武器を奪っておいて相手を無惨に相手を惨めな思いをさせるそんな戦いに何の意味がある!」
「でも、それでも僕は!」
「ええい、このわからずやがぁ!!
ならばこちらもやらせてもらうとしよう。
はあぁぁぁぁぁ!」
東方不敗は構えの状態をとると右手が輝き、まばゆい光が放つ。
「くらえ、クーロンフィンガァァァァァ!」
クーロンガンダムはフリーダムに向けて輝く右手を突き出しそのまま一直線に飛ぶ。
「なっ!?」
しかし、キラの反射神経の高さにより東方不敗のクーロンフィンガーの攻撃を紙一重でかわすことができた。
「ほう、かわしたか。」
「先生!」
再びフリーダムに向き直したときセツコの乗るバルゴラが東方不敗の元へと降り立つ。
「セツコか。」
「私もお手伝いします!」
「もちろんこの僕も手伝うとしよう。」
「助太刀不要!・・・と言いたい所じゃが奴は儂一人では手に余る。
それにお主と共に戦うというのも悪くない。
では共に行くぞセツコ!ハイネよ!」
「はい!」
「了解!」
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そして一方、ファントムペインでは数は有利だが戦況はこう着状態だった。
「まったくZEUTHめ。
こうまで戦闘が長続きしているとあまりこちらも宜しくないんだよね。」
数はこちらが上なのだが機体性能や戦闘技術は向こうが上だ。
徐々にこちらが押しているがこちら側にもやられている機体も
最悪、痛みわけになる可能性もある。
『大佐!ネオ・ロアノーク大佐!』
「なんだ、いまは戦闘中だぞ!」
『はっ!しかし、司令部からの直接回線です。』
「司令部からの直接通信だと?」
「はっ!通信を司令部へと繋ぎます。」
通信士が映っていた画面から上官の司令部の顔が映りネオは機内の中にいる為狭いが軽く画面に向かって敬礼をする。
「少将、直接の通信のようですが何かありましたか?」
『ネオ・ロアノーク大佐。今回のZEUTHへの攻撃は中止して直ちに撤退せよ。』
「なっ!?
撤退とはどういうことですか!?
ZEUTHが墜ちるのはもう目前ですのになぜ!」
『異論は認めん。
それと、ZEUTHと共にいる6本足のガンダムに対しての攻撃は一切認めぬ。
これは連邦軍上層部による判断だ。』
連邦軍、ファントムペイン、オーブ軍、そして味方ではないがアークエンジェルがZEUTHを囲んでおり、
ZEUTHを墜ちるのはもう時間の問題ではないといったところまで来たのに撤退の命令が出された。
しかも、上官個人ではなく上層部による判断となれば覆すことはほぼ不可能といったところだ。
逆らえれば連邦軍に帰ることは出来なくなる。
「・・・・・・了解。」
そして、通信は切られて狭いコックピットで虚しくも焦燥感だけが残る結果となってしまった。
しかし、ここでじっとしていても何もないのでネオは通信を開いて部隊に対して撤退することを伝えた。
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「おい、連邦軍とオーブ軍のやつらが撤退していくぞ!」
甲児が連邦軍が背を向けて逃げていく様を喜びながら見送っていた。
そしてオーブ軍も同盟である連邦が逃げていくので戦況が不利と判断したのかオーブ軍も撤退を始めた。
一方でアークエンジェルも連邦とオーブ軍の撤退を目の当たりしていくのを見て、これ以上子の戦場にとどまる理由もないのでアークエンジェルの艦長マリュー・ラミアス撤退しようと判断する。
「勝負はついたわ。本艦は後退!キラ君達にも指示を!」
ファントムペインとの戦闘は終わったので俺がアークエンジェルの足止めをする必要はなくなった。
「退け。これ以上の戦闘は無意味だ。」
「今回ばかりはそちらの提案に乗らせてもらうよ。」
バルドフェルドは見逃されているのを分かってか、背を向けてアークエンジェルへと帰還する。
そしてフリーダムは東方不敗たちの隙を見てアークエンジェルへと帰還していった。
「おっと、逃がさないよ。」
そんな中、ハイネのグフイグナイテッドがフリーダムを追う。
「待て!深追いするな!」
「大丈夫だよ、相手は手傷を負っているから。」
「あのモビルスーツ早い!?」
「ザクとは違うんだよ、ザクとは!」
ハイネはグフイグナイテッドのスラスターを噴かしてアークエンジェルに接近して、腕に装備されているドラウプニル4連装ビームガンでビームマシンガンをアークエンジェルに浴びせる。
「次は仕留める!」
再びハイネはドラウプニル4連装ビームガンをアークエンジェルに向けるとグフイグナイテッドへと接近する機体フリーダムがやってきた。
「フリーダムか!
前の大戦の英雄の力見させてもらおうか!」
ハイネはグフイグナイテッド二装備されているスレイヤーウィップをフリーダムに向けて伸ばす。
「くっ、」
フリーダムは加速しながらもスレイヤーウィップを避けて、ハイネのグフイグナイテッドを通り過ぎる。
「この期に及んで見逃すか!」
「!」
ハイネがフリーダムの背後を狙おうとしたときフリーダムは直ぐ様振り向いてハイネのグフイグナイテッドに向かってビームライフルを撃ちの片足を貫く。
「しまった!?」
足を撃たれたせいかグフイグナイテッドの機体のバランスを崩してしまった。
そしてハイネのグフイグナイテッドの動きが止まってしまったその直後ハイネの直上に複数の輝きが放ちハイネのグフイグナイテッドに向かって光の筋が飲み込もうとする。
「まずい!」
このままだとハイネは原作どおりに撃墜されてしまうので俺は咄嗟にデビルガンダムを動かし、
ハイネのグフイグナイテッドはデビルガンダムに抱え攻撃から守るかのように丸め込みその上をガンダムヘッドで包みこんだ。
幸いにもデビルガンダムの機体は大きい為かハイネのグフイグナイテッドを包み込むことが出来て攻撃から守ることが出来た。
しかし、攻撃はかわりにデビルガンダムが代わり受け止め、デビルガンダムの無防備な背中と脚部は被弾する。
「ぐうっ!!」
「ジョーカー殿!」
「ジョーカー、大丈夫か!」
「ああ。こっちは大丈夫だ。
だが機体の背面と脚部の一部が損傷してしまった。
動くのに少しばかり時間がかかる。」
背中と脚部の一部にはビームが貫通したダメージがあり、今もDG細胞で再生しているが動くとなると再生できるまで待機しないといけない。
それにアークエンジェルとバルドフェルドのムラサメ、フリーダムはいつの間にかいなくなっており恐らくこの区域から脱出したのだろう。
「さっきの攻撃はどこから?」
「奴らが、上から来るぞ!」
「奴ら?」
ハイネが上空に眼を向けるとそこには複数の機体がこちらに降下していた。
そして複数の機体は地面へと降り立った。
そしてギンガナム隊の先頭にいる1機が前に出てくる。
恐らくあれがギンガナム隊の一人スエッソンだろう。
そしてスエッソンの機体が銃口をZEUTHへと向け、後続の部隊も同じく銃口を向けて攻撃を始めた。
「そんな、ムーンレイスは私達の味方じゃなかったんですか!?」
味方であるムーンレイスがこちらに攻撃してくることにアーサーは戸惑いを隠せなかった。
「メイリン、ムーンレイスの部隊との連絡は?」
「駄目です艦長!あのムーンレイスの部隊こちらの通信に応じません!」
「どうやら向こうは敵のようね。
仕方がないわ、各員に迎撃の指示を!」
タリアは目の前にいるムーンレイスを敵とみなして攻撃するように指示する。
そんな中一つの通信がセツコに繋がる。
「こんなときに通信?」
『やあ、久しぶりだねセツコ・オハラ。』
「アサキム・ドーウィン!」
『元気そうで何よりだ。
デンゼル・ハマーとトビー・ワトソンのことはもう忘れたのか?』
セツコのトラウマを抉るかのようにアサキムは口元をにやりとさせて笑っていた。
「ああ・・・!?」
「どうしたセツコ!?」
セツコの様子がおかしいことに気がついたハイネは心配してセツコの元へと駆けつける。
「く、来る!」
セツコはコックピットの中で震えとおり何かに怯えていた。
そしてセツコの言っていたとおりにムーンレイスとは別に以前シベリアにいた複数のカラスの機体と1機のピンクの機体がいた。
「一体あれはどこの部隊だ?」
「あれはアサキムが派遣した部隊です。」
「なんだって!?」
「ハイネ!セツコを連れてミネルバに戻れ!」
「しかし。君はどうする!」
デビルガンダムは未だ修復しておりあと少しで動けるが今はまだ動かすことはできなかった。
「俺のことはいい2人だけでも先にもどれ!」
「ダメです!!」
俺は2人が先に逃げるようにといったときセツコは大きな声でそれを気絶する。
モニターからバルゴラのコックピットを見るとセツコの表情は先程より青ざめていた。
「もうこれ以上誰も・・・誰も失いたくはない・・・。」
セツコはまるで何かに取りつかれたように暗い表情でひとり言をもらしていた。
(トビー中尉とデンゼル大尉の死がトラウマになっているのか。)
この状態だと離れるとセツコに悪影響を及ぼすと判断したが、さすがに今のデビルガンダムでは二人を守ることは出来ない。
だがどうすれば。
「安心せよセツコ。
ジョーカー殿には儂が付いていよう。」
東方不敗がここに残り俺を守ってくれることを伝えるとセツコの表情は少しばかり和らいでいった。
「さあ、早く行くんだ。」
ハイネは理解してくれたのかセツコの機体を担ぎ上げミネルバへと向かった。
「おっと、行かせないわよ。」
帰還しようとしているハイネたちをピンクの機体にのっている人物ツィーネ・エスピオとコルニクス達が立ち塞がる。
「セツコ!くそっ、機体が動かない!東方不敗援護するんだ!」
「承知!」
東方不敗がセツコの援護に向かうが数多くのコルニクスが東方不敗の邪魔をする。
東方不敗ならあの程度問題ないだろうが、
その間にもツィーネがセツコの元へと近寄ろうとしているのをハイネが食い止めているがフリーダムにやられた損傷があるためそちらも時間の問題だった。
そして俺は先程のギンガナム艦隊の攻撃で機体が損傷してしまい動くことが出来ない。
「このままじゃ!」
このままでは結局俺は何も出来ないままで終わる。
いままではデビルガンダムの力を使えば、後悔するかもしれない。
それがいままで俺は目立つ行為を避けてきた、だけど行動を起こさなければ何も出来ない。
だから俺はデビルガンダムを使ってある機体を呼ぶ。
本当だったらまだ先にしようと思っていたが・・・。
ここで使わざるを得ない!
「来い!ヴァルシオン!」
俺の声の叫びに答えるかのようにデビルガンダムが起動しDG細胞で作った自分の僕を呼び寄せる。
そして空からヴァルシオンが降ってきて、地面を抉りつつも着地してきた。
さらに周りからデスアーミーとガンダムヘッドが地面から湧きだしてツィーネやギンガナム隊を囲むのであった。
「いけ、DG軍団!敵を殲滅しろ!」
デビルガンダムのパイロットであるジョーカーからの初のDG軍団への攻撃命令がいま下された。
はい、というわけでハイネさん生存です。
元々ハイネさんを生存させるのはこの小説書くときから決めていました。
スパロボKとLでは生存できるのになぜZでは生存条件がないんだ(怒)。
あと、ヴァルシオンとフリーダムを戦わせてみようと思いましたけど東方不敗との戦いを書いていた方が面白かったので没にしました。
ちなみに作者はキラのことは好きですよ。
それと話は変わりますが、
この小説を投稿してあっという間ですが1年が経ちました。
そしてつい先日にはUAが15万も突破するという状態にまでなりました。
駄文ばかりのこの作品ですが皆さんにここまで見てもらえて本当にありがとございます。
これからもよろしくお願いいたします。