機動戦士Dガンダム~悪魔の兵器の物語~   作:クニクニ

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第17話 ずれた世界

~主人公視点~

 

連合軍の基地からダイザーチームと共に駿河湾に向かって出撃した。

出撃する前、ついでに連合軍の基地から少し道具を借りていった。

それからダイザーチームのスペイザーであっという間に駿河湾に到着した後、全員が戦闘態勢を取る。

 

 

すでにサンボエースがガイゾックとの戦闘を始めており、まだザンボエースに大きな損傷はないようだ。

デュークが勝平くんのザンボエースに通信を飛ばす。

 

「赤いロボット、応答願う!こちらはグレンダイザーのデューク・フリード。」

 

「うるせえよ!俺とザンボエースに手伝いなんていらねえぜ!」

 

原作どおりかなり強気な少年だな~。

まあ、それが勝平くんのいいところ何だけどね。

 

「デューク・フリード、挨拶は後だ。今はとにかくエイリアンを片付けるだけだ。」

 

デンゼル大尉はバルゴラを戦闘態勢に移行して、いつでも戦闘できるようにしている。

 

「了解です!勝平君町を救うためにも僕達も力を貸すぞ!」

 

「へっ、そっちがそうしたいってんなら、勝手にしな!」

 

「よし!各機ザンボエースを援護し、速やかに敵機を迎撃するんだ!」

 

デンゼル大尉の号令でダイザーチームやセツコは敵に向って攻撃を始める中、デンゼル大尉はこちらに来て通信を送ってきた。

 

「隆司くん聞こえるか?」

 

「デンゼル大尉?どうかしましたか?」

 

「君はあのザンボエースを援護してきてくれないだろうか?」

 

「僕がですか?」

 

「そうだ、我々は何とかなるが。あのザンボエースを一人ではいささか不安があってな。」

 

「わかりました。それじゃあ、自分はザンボエースと共に行動します。」

 

「では頼んだ。」

 

デンゼル大尉は通信を切りセツコやダイザーチームの元へと戻っていった。

そして俺はデンゼル大尉の言う通りにザンボエースに乗っている勝平くんの傍へと向った。

 

「勝平くん。」

 

「なんだ?兄ちゃんも宇宙人の仲間か?」

 

「まあ、ある意味宇宙人かもな。」

 

「?、まあいいけど、なんか用?」

 

「君の機体「こいつはサンボエースだ!」・・・サンボエースはまだ動けるか?」

 

「サンボエースがこんなことでやられるはずねーよ。まだまだ動けるよ。」

 

「よし、それじゃあ俺はこのゲシュペンストで援護するからザンボエースは敵をどんどん倒してくれ。」

 

「よっしゃ、それなら俺の得意分野だ!覚悟しろガイゾックめ!」

 

勝平はザンボエースを敵に向かって走らせる。

 

・・・子供だな。

だけど、あんな子供が原作では悲惨な人生が待っているなんて誰も思わないだろうな。

だから少しでもそんな悲惨がないように俺が頑張らないとな。

他の機体はチームで行動しているがザンボエースは孤立しているから俺が援護して助けてあげないとな。

 

さて、のんびりとしないで勝平くんの援護に回らないとな。

 

そして俺はザンボエースの後を追い、ともにガイゾックを倒していく。

ガイゾックの戦力は今のところ大したことなく各機が確実に倒していく。

それから特に何もなくドミラを全機体を倒していった。

 

それから程なくして連合軍が到着する。

 

「ようやく軍が着てくれました。」

 

「動くな!」

 

「えっ?」

 

連合のモビルスーツ全機がこちらに銃口を向けて、その行為にセツコは驚きを隠せない。

 

「脱走したお前たちを連行する。武装を解除し、機体から降りろ!」

 

ああ、やっぱりね。

こっちは原作を知っているから連合がこちらを取り押さえに来ることはわかっていた。

 

「ちょっと待てよ脱走って何だよ!」

 

「そうよ、あたし達は月影長官の頼みで出撃したのよ。」

 

連合の軍人に脱走といわれ甲児くんとマリアさんは連合の軍人に文句を言う。

 

「彼女の言う通りだ。事情を説明してもらいたい。」

 

デンゼル大尉の言葉を聞かずに、連合のモビルスーツはこちらへビームライフルで撃ってきた。

 

「警告は一度だけだ、こちらの勧告にしたがえ。無論そちらの所属不明機も同様だ。」

 

「それって俺のことかよ!」

 

連合軍の一方的な会話に勝平は驚きを隠せない。

 

連合は俺たちけではなく勝平くんのザンボエースも捕獲するつもりだな。

だがこんなときの為に用意したものが役に立つな。

 

「俺たち長官にハメられたわけ?」

 

「あのときの様子と長官という人間を見る限りそれはないと思うが。」

 

「こっちの世界も俺たちの世界も人間の質はそう変わらんようだ。」

 

「どうやら基地指令は俺たちに一時的に低姿勢に出ただけのようだな。」

「で、その後は脱走扱いにして全員を拘束か。」

 

「なんだよ、お前ら!俺や宇宙人の兄ちゃんも必死で戦ったのによ!」

 

勝平くんが連合軍に攻撃しようとするので俺はすぐさまザンボエースの攻撃を止める。

 

「やめるんだ勝平くん。」

 

「何で止めるんだよ!」

 

「いま攻撃したら俺たちの方が悪い奴等になるぞ。」

 

連合に攻撃すればたちまち俺たちの立場が悪い方に向くため攻撃することはできない。

だがこのままでは連合に言いように利用されるのがオチだ。

 

そんな中、駿河湾の海上から突然水柱が発生してそこにはビアル1世がいた。

 

「勝平、皆さん!このビアル1世に乗るんだ!」

 

「じいちゃん!」

 

「勝平くんの身内か!よし、各機体はビアル1世に乗り込むんだ!」

 

デンゼル大尉の号令で全機体がビアル1世へと向かう。

 

「貴様ら逃げる気か!」

 

「それじゃあこれもついでに食らっときな!」

 

俺は手に持っている起爆スイッチを押して、連合軍のモビルスーツの近くに設置しておいた煙幕を起動させた。

 

「な、何だこれは!?煙幕か!」

 

連合軍は見事混乱し始めて、身動きが取れない状態だった。

 

「隆司さん、あれは一体?」

 

「ちょっと、軍基地から少し借りた。」

 

「か、借りた・・・。」

 

セツコは隆司の行動に僅かながら頬が引き攣っていた。

 

正直これを使わなくても原作では逃げ切れたがなぜか不安だったので基地に置いてあった煙幕を一つ借りて(返せるかわからないが)DG細胞で同じものを増殖し事前に連合が来る港に用意しておいた。

 

 

そして俺たちはビアル1世に乗り、駿河湾から離れていった。

 

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~???~

 

 

「くそっ、逃げられたか。」

 

駿河湾沿岸から数キロはなれた山の中に1機のモビルスーツが待機していた。

 

「隊長、無理です。この煙幕で狙いが定められません。」

 

山の中には遠くから狙いを定めて攻撃をする予定だったが、突然煙幕が発生した為追撃は不可能だった。

 

「仕方がない撤退するぞ。」

 

「「了解」」

 

「しかし、ようやくザムザザーの運用テストと同時に戦闘配備されたのに逃げられましたか。」

 

「文句を言うな。こうして無傷でいられたのだからむしろいい方ではないか。」

 

「それはそうですが・・・。」

 

「それに俺は戦わなくてよかったと思うぞ。」

 

「なぜですか?」

 

「あの煙幕。ただ設置したみたいではないようだからな。」

 

「煙幕が・・・ですか?」

 

「あの煙幕よく見てみろ。風で今は海が完全に見えない状態だ。」

 

「ということは!」

 

「ああ、あの煙幕を設置したものはこの撤退を計画して設置されている。しかも風の計算をいれてな。」

 

「・・・。」

 

連合の兵士の一人はただ黙っているだけだった。

風の吹くことを計算した上の計画。

風がいつ、どの方向に吹くかわからない自然現象。

それを予測するだなんてそんなこと不可能に近いことだと。

 

「だから、この戦いは参加しなくてよかったんだよ。もし、戦っていたら損傷どころかロストしていた可能性があったぞ。」

 

「ま、まあ、それはそうですけど。でもこのザムザザーはいずれ連合で量産されば、あいつらじゃなくてもコーディネーターの野郎どもはケチョンケチョンにしてやりますよ。」

 

「ははは、そうなるといいな。」

 

「しかし、腑に落ないですね。」

 

「何がだ?」

 

「今までテスト運用だけしか動かせなかったのに今日、突然出撃命令が出されましたからね。」

 

「さあな、上が何を考えているのか俺たちには知ったこっちゃねぇよ。」

 

「まあそれもそうですね。」

 

そしてザムザザーは基地に戻り、再びテスト運用ばかりの日々に戻るのだった。

 

しかし、この数日後ザムザザーが正式に採用され量産が決定することをまだ知らない。

 

わずかに正史とずれた世界。

その綻びは少しずつ崩れ始めているのであった。




ちなみに、作者はザムザザーよりゲルズゲーが好きです。
アニメで始めて見てからSEEDのゲームでよく使っていました。

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