題名は未定   作:俺だよ俺

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01話 prologue

トランスバール暦412年6月

 

惑星トランスバール軌道上、人工天体白き月の周辺に展開するエンジェル隊とそれを包囲する形で展開する黒き月と正統トランスバール皇国軍。

 

白き月を攻め落とせずにいた正統トランスバール皇国軍の背後にはついにトランスバール皇国軍が現れ挟み撃ちをする形で戦闘が再開されていた。

 

トランスバール皇国軍暫定最高司令官シグルド・ジーダマイア大将他多くの上級将校を失い、ローム星系での戦いで壊滅していたトランスバール皇国軍は臨時皇帝シヴァ・トランスバールの勅命を受けたルフト・ヴァイツェン准将が立て直したトランスバール皇国軍によって挟撃する形になっていた。

 

そして、エルシオールのクロノ・ブレイク・キャノン発射により正統トランスバール皇国軍の御旗であるエオニア・トランスバールは自分の旗艦ごと消滅した。

 

以降の正統トランスバール皇国軍の残存艦隊は大きく分けて2通りの動きをしていた。エオニア直轄艦の残存や黒き月の直轄制御下にあるAI搭載の無人艦は戦闘を継続。エオニア・トランスバールに与していた士官や貴族達の乗る従来艦を黒く染めていただけの艦は自分達の配下艦有人無人問わず戦線より離脱を開始していた。

 

『正統トランスバールはもう終わりだ!!』

『逃げろ!!逃げろ!!』

『逃げろって!!何処へだ!?』

 

数少ない、正統トランスバール皇国軍の無人AIではない士官達が動揺している。

旗頭であるエオニア・トランスバールを失い、軍の支柱であるシェリー・ブリストルを失い、精鋭部隊であるヘル・ハウンズを失い、黒き月が指揮所の命令を受け付けず沈黙している。

正統トランスバール皇国軍の崩壊の始まりであった。

そして、黒き月の中央指揮所に配置されていた正統トランスバール皇国軍の上位将校である私ルル・ガーデンもその混乱の波に飲み込まれそうになっていた。

 

「・・・・・・・・」

「准将!!ガーデン准将!!エオニア陛下並びに上位将校の方々が戦死した今、現状での最高指揮官は准将、貴女です!!御命令を!!」

副官であるシュール・リー少佐が焦りを隠さずに指示を求めてきているけど、私にだってどうすればいいかは解らない。

「そ、そんなこといわれても・・・そ、そうね。とりあえず連絡が取れる艦にはこの戦域から離脱するように指示を出しましょう。それと・・・」

 

彼女がそう指示を出している最中に黒き月全体が大きく揺れだす。

「な、なに!?なんなの!?どうなってるの!?」

「おい!状況を報告しろ!!」

 

ルルとシュールの二人の言葉に管制官達が答えるがそれは悲鳴に近いものであった。

「た、大変です!!黒き月の形状が変化し白き月へと接近を開始!!また、黒き月のインターフェイスが我々の把握するノア殿ではなく別の男性インターフェイスに変わっており我々の呼びかけに一切応じません!!」

「うわぁああ!?黒き月内部の形状変化を確認!!こっちの事なんてお構いなしだ!!こちらの人員を巻き込んで形状変化をしています!!」

「第三発着口形状変化にて潰れています!!第三発着口管制室寄りの通信途絶!!」

 

二人は顔を見合わせると大声で叫ぶ。

 

「「要塞を放棄して脱出よ(だ)!!」」

 

 

 

 

 

 

 

トランスバール皇国軍と無人艦が激戦を繰り広げ轟沈する艦艇、黒き月の外壁が開き白き月を飲み込もうとしてそれに巻き込まれて爆散する艦艇、正統トランスバール皇国軍の多くの有人艦が離脱して行く。

 

「カスタード爆散!!ゼライス大破!!救難信号です!!」

「無視しろ!!何としても離脱するんだ!!」

 

正統トランスバール皇国軍所属ザーフ級戦艦カルメルの艦長サンゲリア少佐は後悔していた。黒き月などと言う得体のしれないものをあてにしてトランスバール皇国に反旗を翻したのが間違えだったのだと、元々最初の反乱でただ偶然に正統トランスバール皇国のエオニアの側近中の側近であったシェリー・ブリストルの下にいて周りの殆どがエオニア派で決起に巻き込まれただけだったのだ。

 

「前方にトランスバール皇国軍です!!」

 

そのシェリー・ブリストルが死んでエオニアも死んだ時点で正統トランスバール、いや賊軍に付き合う必要はなかったのだ。自分の直属の上官になっていた不平貴族の士官のせいで降伏するタイミングを失ってしまっただけだ。その目の上の瘤だった貴族士官も先ほど戦艦カスタードと共に宇宙の塵となった。

 

「前方の皇国軍艦隊に降伏すると伝えてくれ・・・」

 

サンゲリアは艦長席に沈み込むように腰を下ろし部下たちに告げる。

 

「了解しました。前方の皇国軍艦に降伏するt」

 

サンゲリアの指示を受け降伏する旨を前方の皇国軍艦に伝えようとしたがそれはかなわなかった。なぜなら、形状変化によって剥がれた黒き月の外壁が彼らの乗るカルメルに直撃したのだから・・・

 

 

 

 

 

 

 

ルル達は形状が変化していく黒き月の中を進み何とか潰れていない発着口にたどり着いていた。

 

発着口では自分達と同じ結論に至った別の指揮所に配置されていたであろう別の士官達が脱出の指揮を執っていた。

ルルはその中で中心的に動いている女性士官に声を掛ける。

「私は中央指揮所のルル・ガーデン准将よ。あなたは?それと現状の報告をお願いできるかしら?」

「はい、私は第二近衛集団のバファリン・エクステリア中佐です。現在はエオニア陛下の遺命に従い要人の脱出の指揮を執っている所です。」

「わかったわ。とりあえずここの指揮は私が執ります。中佐、暫定旗艦に案内して頂戴。」

「っは」

 

ルル達はバファリンの案内でザーフ級の改良艦の艦橋に案内された。

艦長の座るシートの他に要人用のシートが3つそのうちの一つに3・4歳の少女と言うより幼女がちょこんと座っていた。

 

「この子は?」

「御存じないのですか?私から問答無用で指揮権を奪ったのでてっきりご存知なものかと?」

 

ルルの問いにバファリンは意外そうな顔をして応じ、それに答えた。

 

「この方は、エオニア陛下とブリストル閣下の間に生まれた御子。正統トランスバール皇国軍現状唯一の後継者ヴィシュヌ・トランスバール陛下に在らせられます。」

 

「えっ」

 

 

 

 




今も読んでたりするんですが火葬戦記の影響でモブの話を入れたりしてチョイチョイ脱線します。

オリキャラは酒とかお菓子から取ってたりしてWikipediaの一覧なんかを見てたのを思い出します。今でもWikipedia普通に読んで時間潰したりしてます。あれ読み物としてもそれなりに面白かったりするんですよね。

これを晒したきっかけは中古屋でGAⅡの未プレイだった永劫回帰の刻を購入してプレイ中で、たまたまこれを見つけたからなんですよね。

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