不死鳥の四男坊(仮)   作:kaikai9032

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出会い

翌日、レインが学校に行くといつも通り、追いかけ回されているイッセーがいた。

 

「うぉっ⁈レイン!頼む!助けてくれ‼︎」

 

「レ、レインくん⁈」

 

「……あのっ、先輩……」

 

「なっ、なにかな⁈」

 

「あの、イッセー先輩を許してあげてくれませんか?」

 

「でっ、でも……」

 

「お願いします」

 

そう言ってレインは頭を下げた。

 

「わっ、わかったから頭をあげてレインくん⁈」

 

「ありがとうございます」

 

「う、うん、じゃあまたね」///

 

「はい、失礼します」

 

「すげぇ、あの村山がデレデレしてた」

 

そう言いながらイッセーは冷や汗をかいていた

 

「先輩、女性には礼儀を持って接しなければいけませんよ?」

 

「でもよー、性欲が抑えられねーんだ」

 

そう満面の笑みで言った

 

「……………変態」

 

「へへへ、変態で悪かったな」

 

「全くです」

 

そう言いながらも、レインはイッセーを避けようとはしなかった

 

「そーいえばよー、俺彼女できたんだぜ!」

 

「…………先輩」

 

「ん?」

 

「今ならまだ間に合うかもしれません、一緒に病院にいって診てもらいましょう」

 

「そんなにおかしいか⁉︎なら証拠を見せてやる、ほら天野夕麻ちゃんだ!」

 

「……………どうして」

 

「ん?どうして付き合えたかって?それはな〜」

 

「どうして………こんな性欲しか取り柄のない先輩を好きになる物好きがいたなんて………ありえません」

 

「おい⁉︎そっちかよ⁉︎」

 

(それに、この人は堕天使だ、なんの目的があって先輩に近づいたんだろう?)

 

「レイン?」

 

「っ⁉︎なんでもないです」

 

「そうか?そうだ!お前に相談したいことがあるんだ!」

 

「なんですか?」

 

「実はな〜、土曜日にデートすることになったんだ、そこでアドバイスをもらいたいんだ」

 

「それはいいですけど、何か忘れてませんか?」

 

「忘れる?一体何を…………土曜日?…………待てよ確か…………あ⁉︎」

 

「はぁ、思い出してくれましたか?」

 

「やべぇ⁉︎そうだ、土曜日はお前と食事する約束してた⁉︎」

 

思い出したイッセーは大慌てでレインに謝罪した

 

「反省してくれてるならいいです、それは日曜日にしましょう?その時に土曜日の感想を聞かせてください」

 

「………本当にごめんな?」

 

「いいですよ、いつも奢って貰ってますから」

 

「本当にありがとう、俺は本当にいい後輩をもったぜ!」

 

「やめてください、気持ち悪いです」

 

そういうレインはしかし、スイーツを食べているときのような顔をしていた

 

「本当は嬉しいくせに」

 

イッセーはその顔を見て、ついニヤついてしまった

 

「………うるさいです」

 

「ははは!っと、時間がやばいな、悪い放課後大丈夫か?」

 

「はい大丈夫です」

 

「なら放課後いつものファミレスで待ち合わせな!」

 

「はい、ではまた後で」

 

「おう!また後でな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます、レーくん」

 

レインが教室に入ると、隣の席の小猫が挨拶をしてきた

 

「おはようございます、塔城さん」

 

「兵藤先輩となにを話していたんですか?」

 

教室の窓から先程の様子を見ていた小猫は、会話の内容が気になりレインへとそう質問した。

それに対してレインも、別に隠すほどのことでもないと判断し正直にこう答えた

 

「先輩に彼女ができたらしいので、お祝いしてました」

 

「あの先輩に彼女ができたんですか?」

 

そう言って小猫は少し目を見開いて驚きの表情を見せた。

その反応だけでイッセーが周りからどう見られているか改めて理解したレインは、その評価を少しでも和らげようと「あれさえなければ、先輩はとてもいい人ですよ?」と言った。

 

それに対して小猫は「そうなんですか?」と少し信じがたいと思いながら聞き返した

 

「そうです、先輩は本当はとても優しい人なんです、ただ感情に正直すぎるだけで悪い人ではないんです」

 

レインはいつもの無表情ではなく、少し、ほんの少しだけ頬を緩め楽しそうにそう言った。

 

レインのそんな顔を初めて見た小猫は、少し意外に思いながらもレインにこんな顔をさせる兵藤一誠は本当にそのとおりの人物なのだろうと思い、「レーくんがそういうならそうなんですね」とレインに返した

 

「どんな基準なんですか?それは」

 

小猫がそんなふうに思っているとはわからないレインはそう聞き返し、また顔で判断したと言うのは少し恥ずかしく感じた小猫も「なんとなく、そう思っただけです」と返した

 

「そう…ですか?」

 

と少し引っかかりを覚えるレインに

 

「はい、そうです。それよりも今日は新しく発売されたお菓子を持ってきました、レーくんも良ければ一緒にどうですか?」

 

と、露骨に話題を逸らす小猫であった

 

「いいんですか?」

 

それに対して逸らされていると判ってはいるが、別に気にするほどのことでもないと判断し話題に乗ることにした。【………別に新作のお菓子に釣られたわけではありません】とレインは内情で述べた(大嘘)

 

「はい、一人で食べるより誰かと食べた方が美味しいですから」

 

と、そう言いながらもレインは意外にちょろいんだなと感じた小猫であった

 

そして何か良からぬ気配を察知したレインであったが、あえてスルーし「……ありがたくいただかせてもらいます」と言い手を付け始めた

 

それに対して小猫も「どうぞ召し上がれ?」と返した

 

「なぜ疑問系なんですか?」

 

「私が作ったわけじゃないですから」

 

「なるほど、理解しました」

 

「そういえばレーくんはなんで敬語なんですか?」

 

ふと疑問に思った小猫はレインにそう質問した。

実際に二人が出会って二週間はたち、二人はお菓子好きと言うこともあり周りよりも長い時間話してきた

 

その質問に対しレインは「塔城さんも敬語じゃないですか」と返した

 

「あって一ヶ月もたってないのに、タメ口は相手に失礼ですから」

 

そう小猫が自分が敬語である理由を述べるとレインも、「なら僕も同じ理由にしておきます」と答えた

 

「なんですかそれ?」

 

「いつか教えます」

 

「………ならいいです」

 

小猫は少し不満に思いながらも、自身も本当の理由を言っていないのと、先程自分も答えなかったこともありそう返すことしかできなかった

 

「もうすぐ授業が始まるので、後でお菓子をいただきます」

 

「はい、じゃあ昼休み、一緒にご飯食べませんか?」

 

「わかりました」

 

 

 

このときの小猫は、いつもだったら他人が敬語で話しかけてきてもなんとも思わなかったのに、なぜ自分がレインに対して不満を感じたのか、その理由どころか考えさえまだ浮かんでは来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後、ファミレスにてイッセーを待っていると、「レイ〜ン、きたぞー」と言いながら走り寄ってきた

 

「先輩、遅かったですね?」

 

「あぁ、帰りに夕麻ちゃんにあってな、デートが日曜になったんだ」

 

「なるほど、なら土曜日は下見をしましょう」

 

「下見?」

 

「はい、今日を合わせて3日あります、なので回るコースを決めながら実際に回っておけば、道に迷ったり、失敗することはなくなると思います」

 

「なるほどな!ありがとなレイン?」

 

どこか申し訳なさそうにしながらそう言った

 

そんな顔を見たレインは、「これも先輩の人生のためです、もしかしたらもう2度と先輩を好きになる人が現れないかもしれませんから」と返した

 

「おい⁉︎」

 

「冗談です」

 

「冗談に聞こえねぇよ⁉︎」

 

「大丈夫です、このデートを成功させればいいだけの話です」

 

「おう!絶対に成功させてみせるぜ‼︎」

 

「なら早めにコースを決めておきましょう」

 

「おう!頼むぜレイン」

 

「任せてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてデート当日、レインは離れたところでイッセーを見ていた

 

そして

 

「ごめん、待たせちゃったかな?」

 

「いや、今来たとこだよ」

 

などなどの定番のセリフを交わす二人は、前日に決めていたコースを回って、デートは大成功に終わった

 

ちなみにレインは途中から離れ、一人街を歩いていた

 

「先輩が上手くいってよかった」

 

「今からなにしようかな…………?」

 

レインが考え事をしていると、誰かとぶつかってしまった

 

「いたっ!」

 

「っ⁉︎ごめんなさい、大丈夫ですか?」

 

「痛いっすね!どこ見て歩いてんすか⁉︎」

 

「すいません」

 

「すいませんじゃないっすよ、服に泥がついたじゃないっすか!どうしてくれるんすか⁉︎」

 

普通の人なら、ヤクザのようなことを言い出すゴスロリ少女を軽くあしらうだろうが、あいにく目の前の少年は普通ではなかった

 

「わかりました、服は弁償します、なんなら新しい服も買いましょうか?」

 

「え?」

 

「?どうかしたんですか?」

 

「い、いやっなんでもないっす、早く行くっすよ⁉︎」

 

「はい」

 

この時少女は、さすがに適当に言っただけだろう、値段を見ればさすがに本性を見せると思っていた、だがこの時少女はまだ知らなかった、この少年がとんでもないお人好しだということを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついたっすよ、ここに欲しい服があるっす」

 

「どれですか?」

 

「これとこれっす」

 

そう言って出されたのは黒を基調としたワンピースと靴だった、そしてその値段は合わせて10万、学生が出せる域を超えていた、だが

 

「これでいいんですか?なら会計を済ませてくるので待っていてください」

 

「は?」

 

「では行ってきます」

 

「ちょ、ちょっと待つっす!本当にいいんすか⁉︎」

 

「?これだと言ったのはあなたですよ?」

 

「で、でも⁉︎」

 

「これはお詫びなんですから、遠慮しないでください」

 

「………なんで」

 

「?」

 

「なんでここまでしてくれるんすか」

 

「それはお詫びだから……」

 

「そうじゃないっす‼︎うちが言いたいのは、これがお詫びの域を超えてるってことっす‼︎」

 

「あぁ、やっぱりほかのより高いんですね」

 

「これでわかったすよね⁉︎うちはあんたを嵌めようとしたんすよ⁉︎」

 

「そうですね、それがどうかしましたか?」

 

「はぁ⁉︎なに言ってるんすか!うちはあんたを騙したんすよ⁉︎なにも思わないんすか⁉︎」

 

まるで信じられないものを見たかのように叫ぶ少女に向かいレインは、「?僕は新しい服も買うと言っただけで、上限は言ってませんし、あなたは欲しいものを欲しいと言っただけじゃないですか?なのにあなたに怒ることなんてなにもないですよ、堕天使さん?」と本当に不思議そうにそう言った

 

「っ!しってたんすか……知ってて一緒にいたんすか?」

 

「はい」

 

「バカっすね」

 

「はい」

 

「うちは敵っすよ?」

 

「そうですね」

 

「なのにあんたはうちにお詫びしようとしてたんすか」

 

「してたじゃなくて、今からするんですよ」

 

「なんでっすか」

 

「なんでと言われても、失礼をしたらお詫びするのは常識ですよ?」

 

「なんすかそれ…」

 

そう言って堕天使の少女は力を抜き、諦めたかのように苦笑いをした

 

「だから少し待っていてください、すぐに会計を済ませます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました、これがさっきのものです」

 

堕天使の少女は俯き何も答えない

 

「受け取ってくれないと困ります」

 

「………でも、うちはあんたを……」

 

「………わかりました」

 

「なら…」

 

「これは僕からのプレゼントです」

 

少女は驚き、顔を上げる

 

「………え?」

 

「どうしたんですか?お詫びの品じゃなくて、プレゼントなら問題ないですよね?」

 

「い、いやっそうっすけど」

 

「ならお願いします、受け取ってください」

 

「…………………礼は言わないっすよ?」

 

「はい、お礼なんていりませんから」

 

「…………あんた名前は?」

 

「レインです」

 

「そうっすか………うちはミッテルト、また明日会えるっすか?」

 

そうミッテルトは不安そうに聞いてきた

 

「はい、大丈夫ですよ?」

 

「なら明日、公園に来て欲しいっす」

 

「わかりました、ではまた明日、ミッテルトさん」

 

「…………また明日っす、レイン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃

 

「がはっ!夕麻ちゃん………なんで!」

 

「あはははは!これでアザゼル様のお役にまた立てたわ!」

 

 

世界は原作通りの展開を迎えていた




ミッテルトと小猫の口調がわからない(苦笑)
そしてレインの口調も定まらない(笑)

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