不死鳥の四男坊(仮)   作:kaikai9032

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原作開始

あれから9年、今年15歳になるレインは父にあるお願いをしていた。

 

 

「お父様、お話があります」

 

「ふむ、どうしたんだレイン?」

 

「はい、実は学校に通ってみたいのです」

 

「うん?どうしてだ?」

 

「はい、一つは兄様の婚約者であられる、リアス様の通う学校がどのようなものか、気になったからでございます」

 

「うん、一つということはまだあるんだろう?」

 

「はい、もう一つは、今僕は独学で勉強していますが、学校に行けば、僕とは違う思想を持つ人がたくさんいます、なので僕では気がつかないこともわかるようになると思うんです」

 

「そうか……よし学校に通えるようにサーゼクス様に掛けあおう」

 

「よろしいのですか?」

 

「大丈夫さ、普段我儘どころか、不満の一つも言わないお前が珍しく頼むんだ、親として叶えてやりたいと思うのが普通だろう?」

 

「………ありがとうございます……」

 

「ハハハッ、構わないよ、それに、たまにでいい、今日のようにお前はもっと人に甘えていいんだよ、お前は一人で考えすぎだ」

 

そう言ってアトラスは笑った

 

「……はい、ありがとうございますお父様」

 

こうしてレインは駒王学園へと通うことが決まった。

 

 

 

原作開始まで、あと1年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、入学式、長い校長の話しが終わり、決められた教室に移動し、今は自己紹介の時間だ、そしてレインの番が回ってきた。

 

 

「レイン・フェネルです、これから3年間よろしくお願いします」

 

 

そう言って、頭を下げたレインにクラスの大半が固まった。

なぜ固まったかというと、その容姿が要因だった。

男だと言われればそう見えてくるが、知らなければ女にしか見えないその顔に、今にも折れてしまいそうな体つき、そして高校生にしては少し高めの女声。

これだけの要素が揃っていて、男だと言われて固まらない方が無理な話だった。

 

ここでレインの家名が変わっている理由を説明しよう。

理由は単純だ、リアス・グレモリーに気づかれないようにするためだ。

もしバレれば、ライザーを嫌う向こうに言いがかりをつけられてしまうかもしれない、それほどまでに、向こうは婚約に否定的なのだ。

だからレインは兄に迷惑をかけないようにと、家名を偽っているのだ。

 

そんなレインは固まる周りを放置し、席へと戻った。

そして次に自己紹介した人にレインは見覚えがあった。

 

 

「塔城小猫です、よろしくお願いします」

 

 

(塔城小猫、確かリアス様のルークだったかな?)

 

 

そして小猫の席はレインの隣だった。

 

 

「よろしくお願いします、塔城さん」

 

「……はい、えっと……」

 

「呼び方はなんでもいいですよ?」

 

「はい、よろしくお願いします、レーくん」

 

「はい、よろしくお願いします塔城さん」

 

 

 

原作開始まであと二週間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オッス!俺は兵藤一誠!みんなからはイッセーって呼ばれてる。

そんな俺はこの学校で知らないやつはいないというほどの有名人だ!

 

 

 

悪い意味でな(泣)

俺は、元浜、松田とともに変態三人組と呼ばれ、学校中から嫌われている。

そんな俺は今とあるやつとファミレスにきている。

そのある奴とは、学校で二大王子様と呼ばれる奴だ。

 

一人は木場祐斗といい、顔、性格、成績、運動神経と、全てにおいて完璧な奴。

そして、学校中の男どもの敵だ(怒)

 

そして今俺が一緒にいる奴、それがレイン・フェネルだ。

なぜ俺が、こいつと一緒にいるかというと、1週間ほど前になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間前、俺が走って帰っていると、曲がり角から出てきたレインとぶつかってしまったのだ。

最初は何このラブコメ展開、と思ったが、大丈夫か?と聞こうとした時、こんな声が聞こえた。「アイス」と。

ふと思い、足元を見ると、そこには三段アイスが落ちていた。

まずいと思い、俺はすぐに謝った、そしてアイスを奢るといったのだが、レインは

 

「大丈夫です、また買い直しますので、それでは」

 

そういった。

だけど、それじゃあ俺の気がすまなかった。

なぜなら、レインの無表情な顔に、悲しそうな目が見えたからだ。

俺はレインを呼び止め、弁償するといった。

だが、レインはそれを頑なに拒んだ。

なので俺は強行手段に出ることにした。

レインの手を引き、無理やりファミレスに連れ込んだ。

普段の俺なら、たとえ相手がどんなに可愛かろうが、男とわかっている以上、頑なに拒む相手に奢るなんてことはしなかった。

だけど、あの時俺は見ちまったんだ、レインの目を。

その目は、誰にも迷惑をかけない、掛けちゃいけない。

そんな目だった。

その時俺は、なんでそんな目をするんだ、迷惑をかけてもいいのに。

そんな思いもあって、俺はそれが聞きたくなった。

だから俺はレインをファミレスへとつれこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

そして現在に至る。

うん、自分で思い出してて、思った。

側から見て、美少女のこいつを、無理やりファミレスに連れ込む俺って、もしかしてやばい奴に見えてる?(大汗)

 

あれから1週間、なぜ俺がまたレインとファミレスにきているのかというと、実は俺がレインを誘ったんだ。

なんで誘ったんだって?

それはこいつの表情にあるんだ。

普段無表情のこいつが、甘いものを食べてる時だけは綻ぶんだ。

その顔に俺は何故か癒されてしまった。

い、いやっ、男だとわかっているし、俺は普通に女の子が好きだからな⁈

でも、まぁ、こいつが女の子だったら絶対に惚れてたと思う。

それほどまでにこいつは可愛いんだ。

 

 

「先輩?どうしたんですか?」

 

「いやっ、なんでもねぇよ、それより美味いか?」

 

レインが食べているのはこの店で一番高い、いちごパフェだ。

高いといっても千円もしないのだが。

 

「はい、美味しいです」

 

相変わらず、抑揚のない声、だが、その顔は僅かに微笑んでいた。

この顔だ、この顔に俺の心が癒されるんだ。

 

「でも、本当にいいんですか?」

 

レインは、そうやって心配そうに聞いてくる。

普通の奴、特に男なら、奢ると言われれば遠慮などせずに食いたいだけ食うもんなんだけど、こいつはちがう。

最初に今日は俺が奢るといった時の、第一声が「大丈夫です、お金はありますから、自分で払います」だった。

それを聞いて俺は、今日突然呼び出したんだから、俺が払うよといった。

このセリフは、普通彼女にいうものではないのだろうか?

でも、俺は後悔していない、それにレインはもっと人に甘えてもいいと思うんだ。

だから俺は、

 

「大丈夫だぜ?なんなら、もっと頼んでもいいぞ?」

 

そう、笑いながら言った。

一瞬、目を輝かせるレインだったが、すぐに戻し、申し訳なさそうにいった。

 

「ありがとうございます、でも流石に悪いので、これだけ奢って貰えるだけで、十分です」

 

「そうか、あっ、そうだレイン?」

 

「なんですか?先輩?」

 

「次の土曜日って暇か?」

 

「はい、特に用事はないですけど?」

 

「ならさ、また今日みたいに食べに行かないか?」

 

「いいですけど、その時は僕が払います、先輩にばかり払ってもらうのは、申し訳無いので」

 

「はははっ、そうか、でも流石に全額はダメだ、そこは割り勘にしようぜ?」

 

「でも……」

 

「おいおい、俺は後輩に奢らせるほど、酷い先輩じゃないからな、ここは俺の先輩としての顔を立ててくれ、な?」

 

「………わかりました」

 

たっぷりと間を空け、如何にも納得していませんという目で見てくる後輩を、ついイッセーは笑ってしまった。

 

「なんで笑うんですか」

 

「いやっ、悪い、お前が不満そうにしてるのが面白くてな」

 

そういうとレインはまた不機嫌そうにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから1時間、レインと別れたイッセーは、突然声を掛けられた。

 

「あっ、あのっ⁈」

 

「ん?」

 

「兵藤一誠さんですよね⁈」

 

「えっ、あぁそうだけど?」

 

「よかったー!あのっ、実は伝えたいことがあって」

 

「えっ、あっ、うん」

 

「一目惚れしました、私と付き合ってください‼︎

 

「えっ⁈」

 

突然のことにイッセーは思考することができなかった。

 

「……あのっ、嫌でしたか?」

 

「いやっ、ちがうよ、めちゃくちゃ嬉しい!それに俺からもお願いしたいぐらいだよ!」

 

「それじゃあ‼︎」

 

「あぁ‼︎よろしくお願いします!」

 

「よかったー‼︎断られたらどうしようかと思ってたの!」

 

「断るわけないだろ?こんな可愛い子から告白されたのに」

 

「そんな!可愛いなんて(//∇//)」

 

 

こうして、ここに一組のカップルが誕生した。

そして、その後二人は連絡先を交換して別れた。

その時、イッセーは気づかなかった。

彼女が浮かべていたものが、恋する乙女の笑みではなく、

醜い、嗤い顔だったことに。




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