ロクでなし講師と魔眼保持者   作:斎藤

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一巻
日常1


「遅刻したら面倒くさいことになる!」

 

少年、ラヴァル=ピエルは建物の上を走っている。時間は授業の始まる2分前、後少しで遅刻をしてしまう。遅刻をすればうるさい銀髪に怒られること間違いなし。それは面倒くさいため、瞬間移動してるかのように建物から建物へと乗り移る。忍者顔負けである。

 

授業開始まで残り1分。魔術学院が見えることによりさらに足を早める。学院に入ったところで残り20秒もない。だが、彼は自信に満ち溢れた顔をしている。なぜならーーー

 

パリィィィンンン!!!

 

窓から教室に入るからだった。ガラスが砕け散ることで教室内にいた者は全員驚いた顔でラヴァルを捉える。

 

「セーフ」

 

チャイムとともに言った言葉に周囲はざわつく。そんな中1人近づいて来る。

 

「アウトよ!HRに間に合うようにきなさいって言ったでしょ!あなたには学院の生徒という自覚はないの!」

 

「銀髪は朝からうるさいな。寝坊したから仕方ないでしょ」

 

近づいてきた銀髪の少女に嫌そうな顔をして答える。

 

「私にはシスティーナ=フィーベルという名前があるのよ!いい加減に覚えなさい!」

 

「フィーベルね、フィーベル。……ところで銀髪、教師はいないの?」

 

「だから名前で呼びなさい!ラヴァルと同じ遅刻よ!」

 

「その新任教師とは気が合いそうだ。教師がきたら起こしてくれ」

 

そう言ってラヴァルは空いている後ろの方の席に座り、机の上に教科書を置き、その上に頭を置いて寝た。

 

 

 

 

 

 

 

ざわざわと、教室内が騒がしくなったと共にラヴァルは起きた。教卓方向を向けば男性が立っているのを確認してもう一度眠ろうとする。

 

「えー、グレン=レーダスです。本日から約一ヶ月間、生徒諸君の勉学の手助けをさせていただくつもりです。これから一生懸命頑張っていきま…」

 

「挨拶はいいから、早く授業始めてくれませんか?」

 

「それもそうだな」

 

そこから見るに耐えない時間が始まる。書く内容は教科書のまま。書く文字は汚い。説明は適当。素人以下の授業だった。ここを読めと指名されることもないため、ラヴァルはもう一度寝てしまった。

 

次に目を覚ましたのは昼時だった。2限目の錬金術を完全にサボってしまった。遅刻、サボりの常習犯であるため起こされなかった。そのことに何を思うことなく昨日買っていた弁当を広げて食べる。食べていればクラスメイトが徐々に帰ってきた。

 

「お、ラヴァルが起きてるじゃん」

 

教室に入るとともに珍しいものを見たような顔でカッシュが言う。

 

「俺だって起きてる時間くらいあるよ。それより今2限目終わった感じ?」

 

「おう。だから飯誘いにきたんだよ」

 

「そうなんだ。まあこんな弁当じゃ腹は満たされないから俺も行くよ」

 

弁当を平らげて席を立つ。起きてばかりで少しフラつきながらカッシュ達の元へ歩いて行き、共に食堂へと行った。

 

 

食堂にて、グレンとシスティーナの小さな争いがあったがそれ以外に何事もなく午後の授業が始まり、自習と黒板に書かれるだけで1日が終わった。

 

 

 

グレンが就任して数日。堪忍袋の尾が切れたシスティーナがグレンに対して手袋を投げた。つまり、決闘を申し込んだ。ちなみに男子生徒には手袋などないため、化石のような決闘の申し込みなどできない。

そのような出来事が起きている時に限って起きているのがラヴァルだ。しかし、興味を示していなかった。

 

「ラヴァル君はどちらが勝つと思う?」

 

校庭で相対する2人を見ながらルミア=ティンジェルがラヴァルに問う。聞かれてからグレン、システィーナの2人をじっと見つめる。

 

「魔法の制限が設けられるなら銀髪。なんでもありならグレン先生」

 

「グレン先生は名前覚えているのにシスティは覚えてないんだ…どうして制限あったら先生が負けるの?」

 

「んー、なんとなく」

 

「そ、そうなんだ」

 

ラヴァルの適当さにルミアは顔をひきつらせる。実際はグレンの体格、立ち方から何かしらの格闘術を修めていると判断し、経験の差も出るだろうと考えて予想を立てたが外れたら恥ずかしいため言えなかった。

 

「ま、どちらが勝とうと意味なんてないと思うけどね」

 

あの不真面目なロクでなし教師が決闘で勝とうが負けようが改めるとは思えない。むしろ改られたら寝にくくなるためラヴァルにとっては困ってしまう。

できることならグレンに勝ってもらい、負けたとしても今のスタンスを崩さないで欲しいと思いながら決闘の成り行きを見る。

決闘のルールはショックボルトのみとなった。こうなってしまえばただの早口言葉対決であり、魔術勝負とは思えない。

 

「システィ大丈夫かな?」

 

ルミアは心配そうにシスティーナを見るが、隣にいるラヴァルはグレンの方を心配そうに見ている。

 

「銀髪なら勝つでしょ。むしろグレン先生がどんな負け方をするつもりなのか気になるかな」

 

「どうしてシスティが勝つと言い切れるのかな?」

 

「ま、銀髪は主席だしね。ショックボルトのみでなら経験の差は少ししか出ない。必要なのは早口詠唱だけ。銀髪が早口が得意なのはいつも遅刻とかで怒られてるから俺にもわかる。だから銀髪の勝ち」

 

ラヴァルの言葉にルミアは驚いたような顔をする。それを見て少し恥ずかしくなったのか頭を搔く。

 

「ラヴァル君って意外と人を見てるんだ」

 

「そりゃ人を見て寝ることができるか判断しないといけないからね」

 

ラヴァルもルミアも、一触即発なグレンとシスティーナの空気を感じとる。そして、圧倒的な差のある決闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




初めての投稿ではありませんが初めまして。文の雑さからこいつあの作品の作者だろと予想するのも楽しいかもしれません。
一巻は導入で、あまり思い入れがないためサラッと流します。主人公は伝勇伝のライナ・リュートにしようとしましたがどんなだっけ?となってしまい、ただの面倒くさがりなオリ主にしました。魔術は伝勇伝の魔法を使います。忘却欠片や、忘却神器は出さないです。他の魔眼も出さないです。

2巻からは淡々とした作文みたいな文ではなく一人称視点で書いたりする予定です。

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