インフィニット・ストラトス 〜マネージャーですが何か?〜   作:通りすがる傭兵

7 / 51
これでもう書きだめは打ち止めです、なので更新遅くなりますよ。


さて、ジャーマネのクラス代表決定戦です。
いまいちパッとしないですけど、どうぞ。


第5話

 

 

 

 

 

 

「体力もつけた、技術も鍛えた。戦略も、申し訳程度には立てた。短かったが、自信を持ってトレーニングできたと胸を張って言える。

 

  後は、お前が頑張るだけだ、一夏」

 

「おう、任せろ!」

 

 

  アリーナ内のピットで言葉を交わす2人。気力は十分、目は鋭く、体は闘いを求めて震えている。であれば、後は戦うのみ。

 

 最後に無言で、拳をぶつけ合う。

 

 言葉は 、不要だ。

 

 

「...いや普通逆だろう」

 

 

 冷静な千冬が思わず突っ込んでいるのは、初戦は、成政vsセシリアだからだ。

 

 決して一夏が出るわけではない。

 

 なんかそんな雰囲気だが、あくまで戦うのは成政の方である。

 

 

「こうでもしないと緊張するんだよ!いつも試合前にこんなことして落ち着かせるから、応用で自分も落ち着かないかなって」

 

「で、成果は」

 

「むしろ緊張して来た」

 

「なんかすまん」

 

「ききき気にするな、あわて、あわわわわ」

 

「腹をくくれ成政」

 

 

 ありがたい出席簿アタックを貰い、正気に戻ったところで、彼は目の前の鉄の塊を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

  負傷により、長い間選手として試合に臨むことは無かった。

 

 それを可能にしたのが、IS。

 

  成政の負傷を無理矢理に帳消しにし、選手として再び蘇らせた。とはいえここ1週間は訓練もろくにしていないので、素人そのものの動きになる。

 

 

(頼むぞ、打鉄)

 

 

 誰にも言うでも無く、ハンガーに固定された訓練機である打鉄に手を添え、念じる。

成政は千冬に無理を通してもらい使うISを自身が初めて起動したものにしてもらっている。特に理由はないが、初めて触るものよりは扱いやすいだろうと考えてのことだった。彼にとってはありがたいことに、このISは成政の専用機扱いとなることが決定した。

 

 前回の焼き直しのように、手のひら全体を押し付ける。 その装甲は、心なしか、ほんのり暖かい気がした。

 

  手の先にあるISに意識を集中させる。

 

 意識さえ見せてくれれば、ISはそれを汲んでくれる、と座学で山田先生は言った。

 

 教科書通りの堅い話の中に、詩的な表現を混ぜ込んでくるものだから、その時は少し可笑しかったが、あながち間違いでもないらしい。

 

 光に包まれ、すぐ後には、武者らしい走行を纏った成政の姿がそこにあった。

 

 

「神上から借りた装備はすでにダウンロード済みだ、確認しろ」

 

「...確認しました。大丈夫です」

 

「そうか。一夏、そろそろお前の専用機が来る、着替えてこい」

 

「頑張れ、成政!」

「ああ、任せろ」

 

 

  そう言ってハンガーを出て行く一夏。

 

 2人だけになり、静かになるハンガー内。

 

 

「どこまでやれるか見ものだな、精々足掻けよ?」

 

 

 何を思っているのか彼にはわからないが、思わせぶりに笑いながらそう話しかける織斑先生。

 

 

「選手を最高に仕立てるのはマネージャーの仕事ですよ?仕事はきっちりこなしますって」

 

「そうか、行ってこい」

 

 

  小さな声援を言葉に受けて、彼は進む。

 

 カタパルトに足をかけ、姿勢を低くする。

 

 カウントが終わり、圧縮空気の音と同時に、成政の身体は空へ放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

「遅い、ですわね。レディを待たせるのは恥ではなくって?」

 

「それについては謝るよ」

 

 

 成政がアリーナの空へ飛び立ち、規定とされている位置に着くと、もうすでに先客がいた。

 

 当たり前だが、対戦相手のセシリアだ。

 

  慣れない飛行に戸惑い、時間のかかった彼と違い、直ぐにここに来たのだろう。

 

  青い専用機が目に眩しい。灰色で無骨な打鉄とは大違いで、美しいデザインだ、と成政は思った。

 

 

「では、最後に...」

 

「あ、ちょっと待ってくれるかな」

 

「...なんですの?」

 

 

 何かを話そうとしたセシリアを制すと、反対のピットにいるであろう山田先生に通信を入れた。

 

「山田先生、スタート前に2分だけ、時間を貰えませんか?」

 

「別にいいですけど、どうしました?」

 

「子供みたいにはしゃぎたいだけですよ」

 

「セシリアさんがいいなら...」

 

「構いませんわ。這い蹲るまでの時間が長引いただけです」

 

 

  それを聞き、酷いいいようだな、と感想を漏らすが、当然のように答えは帰ってこない。

 

 

「じゃ、失礼して、と」

 

 

 

 慣れない手つきでISを操作し、アリーナの地面に降り立つ。

 

 そして彼は歩いた。何のことはない、生徒であれば誰だって出来ることだ。

 

 上空から見下ろすセシリアは、特に何も感じなかったが、彼にとっては違う。

 

 彼の歩みはいつしか早歩きになり、遂には走り出していた。

 

 その彼はと言うと、笑っていた。

 

「はは、ははは、あははははははははっ!すげえ、すげえよ!まじですげえ、ははっ!」

 

 

  ぐるぐると回ったり、飛び跳ねたり、足をわざと縺れさせて転んだりと、まるで子供みたいのように、アリーナを跳ね回った。

 

「ISなんて意外といいものじゃんか、また走れるとは思ってなかった、ははっ」

 

 

 

  彼がマネージャーをやめたのは、足の怪我だった。

 

 小学生も終わろうとしていた時、彼は交通事故にあった。何のことはない、不注意で飛び出し、跳ね飛ばされただけの、新聞の角に描かれる程度の事故だった。

 

 そして、成政はその日を境に走れなくなった。

 

 足首に負荷がかかり、激しい運動ができない。そう言われたことを、彼は今でも覚えている。

 

  もう走ることも、体育でみんなと楽しく授業を受けるのも、好きだった剣道をすることも、できなくなった。そう知った時、表面上は明るく振舞い、割り切ったようなそぶりを見せていたが、陰では彼は嘆き悲しんでいた。もう、あんなことは出来ないと。

 

 しかし、ISを付ける、と制約付きのものの、自由に跳ね回ることのできる翼を手に入れた彼は、

 

「やっベー超楽しい、にゃははははは!」

 

  まるで新しいおもちゃを与えられた子供の様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変お見苦しいところをお見せしました」

 

「ふん」

 

  結局、申請していた2分ではなく、たっぷり10分ほど自由を楽しんだ成政。

 

  待たされたセシリアの心中は言わずもがなであろう。

 

「最後に、一つだけ貴方にチャンスをあげますわ」

 

「チャンス、とは?」

 

「今までの非礼を詫び、わたくしに頭を下げる事ですわ。ちょうど日本には土下座という文化があるようですし、見て見たいですわね」

 

「お断り、かな。僕は貴方に謝る気はないし、むしろそっちに謝ってほしいね」

 

「そうですか、では」

 

  試合開始のブザーが、鳴り響く。

 

「お別れですわね。踊りなさい、わたくしとブルーティアーズの奏でるワルツで!」

 

 セシリアのレーザーライフルの一閃で、火蓋は切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...卑怯そのもの、だな。日本男子たるもの正々堂々、と言いたいが、成政さんにそれは通じないな」

 

「よく考えたもんですよ。1試合の試合動画だけであんなに弱点を突いた対策を考えるなんて」

 

  所変わって織斑先生のいない反対側のハンガー。

 

 一方的な試合展開を見ながら、2人はそう評した。

 

  開幕速攻で、ISを自重で地面に落とし、そのままがむしゃらにスラスターを吹かす。

 

 壁に当たったところで、蔵王の特注品の、ISをすっぽりと覆うほどの大楯(とは名ばかりの馬鹿でかい板)を6枚も展開し、打鉄備え付けシールドも活用して、擬似的なトーチカを作った。

 

  弾速はあるが火力に劣るレーザーライフルでは盾は貫通できない。

 

 

(そんな手を取ってくるなんて、初心者とは思えませんね)

 

 

 他の専用機や、ラファールならば、大楯を貫通できる火力や、弱点を突くような装備があるだろう。しかし、ブルーティアーズにそれはない。思わず歯噛みするほどの、完璧な対策だった。

 

 ビットでも火力が足りない以上、隠し玉の腰のミサイルビットを使うべきなのだろうが、セシリアのプライドが許さなかった。

 

  男程度にそれを切りたくない、そのプライドが、試合時間を引き延ばしていく。

 

 それこそが、成政の狙いだとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

(試合開始から20分弱、そろそろフィッティングとやらも終わってるだろ)

 

 成政は、勝ちを投げている。

 

 そもそも参加するつもりなどなく、マネージャーに徹するつもりだったのだ。

 

 それは、こうなった今でも変わりはない。

 

 試合に負けて、勝負に勝つ。

 

 一夏のための布石を、置く。

 

 故に、攻撃を投げ捨て、防御に特化させた装備をマヒロに頼んだのだ。

 

「でも、このままじゃ終われないよなぁ」

 

 しかし、成政も男の子。選手として動けるようになった今、

 

「勝負、するか」

 

  マネージャーに徹する必要はないのだ。

 

(せっかく動けるんだし、楽しまなきゃね)

 

  今一度、選手として、戦う。

 

 大楯を全て収納し、手に初期装備、小太刀の「葵」を展開する。

 

  持っている武器は、それだけだ。

 

「おや、諦めたんですの?」

 

「いいや」

 

 刀を掲げ、切っ先を突きつける。

 

「たまには選手に戻ってみたくなる時もあるんだよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ無理いいいいいい!」

 

「大口叩いた割には、大したことないんですのねっ!」

 

  レーザーの雨が降り注ぐ中、無様にも成政は走って逃げていた。

 

 ISは飛べるにも関わらずにそれをしないのは、彼が単純に忘れているだけだ。

 

「無理無理死ぬ死ぬやばいってあー!」

 

 調子に乗って後先考えず大見得切った結果がこれだ。元より勝算があった訳でもなく、そもそも時間制限一杯試合を引き延ばして一夏に繋げるつもりだったので、作戦もクソもない。

 

  成政が一夏に提案した作戦を使えばいいのだが、あれは初見でこそ輝くもの、こちらが使うわけには、と頭の隅に押し込めていた。

 

  そもそも近接寄りの打鉄と遠距離型のティアーズの相性は最悪に近い。打鉄のパイロットが織斑先生のようなトップクラスの選手でもない限り、100回やって1回勝てるかどうか、位になる。

 

 つまり、成政は何もなければ無様に敗北する。

 

 

 

「やっぱり、男は無様ですわね」

 

 落胆を隠せないセシリア。

 

 事故で両親が死に、貴族であった2人の遺産をそっくりそのまま受け継いだセシリア。

 

 財産を狙う魑魅魍魎たちを退け、代表候補生にまで上り詰めたその努力は並ではない。

 

 それ故に、彼女の理想は、高かった。

 

 だからこそ、無意識に漏らしてしまったのだ。ISを動かせると聞いて期待した自分が馬鹿だった、所詮男などそんなものだったんですわね、と。

 

 その発言を、彼、いや打鉄は聞き逃さなかったのだろう。

 

「無理無理む、ん、なんだこれ?」

 

 成政の視界の端に、音声ファイルを再生しますか?と書かれたテロップが浮かんだ。

 

  戦闘中に、と不思議に思いながらも、再生ボタンを押す。

 

 数秒もかからずにそれは流された。

 

 口から漏れた、何気ない一言。

 

 無様な逃げを選び続けた彼の足を止めた。

 

 お前は何故、剣道を始めたんだ。

 

 お前は何故、剣道を辞めなかったのか。

 

 お前は、勝負で無様に逃げ回るために、ここに立ったのか。

 

 そう、自問する。答えは、もう分かっていた。

 

 磨り減り、すっからかんになったシールドエネルギー、近接ブレード一本のみの装備、使えない大楯、あまり良くない駆動力、優れた防御力。

 

  まだ手札は残っている。

 

 カードゲームで同じデッキを使っても、コピーしただけの人とと製作者の腕が異なるように、配られた手札を上手くは使えない。

 

  上手く使えないならば、下手なりでいい。

 

 そう、彼は割り切った。

 

 下手だからと謙遜して、プレイをやめるな。

 

 別に、下手だあろうと構わない。

 

 下手であれ、上手であれ、

 

「勝ちたい...、いや、勝つんだよ!」

 

 勝利への熱意は、誰だって同じなのだから。

 

 

 

 それに、彼は、負けられない理由を持っていたのだから。

 

 忘れていた、自分でも押し込めようとしていた、ある思いを。

 

 

 

 大楯を数m手前の地点に突き刺し、高速移動していた自分の身体を無理矢理にでも止める。

 

 弾かれ、無様にも地面に這いつくばる。

 

 残り少ないシールドがさらに減る。

 

  奇行に走った成政を見て、セシリアは攻撃の手を止めた。それこそが、最大の失策だった。

 

 彼は雄叫びをあげると、剣を片手に持ち、後ろに大きく振りかぶる。

 

「自爆特攻ですか?その程度、読めましてよ」

 

 自身を守るコースにビットを配置し、ライフルの照準を合わせる。

 

 スコープを覗き込んだ時、偶然にも、セシリアは彼の顔を捉えた。

 

 まるで、楽しくて、楽しくて仕方がないと、笑う顔を。

 

(な、何故笑ってますの?!)

 

 勝ち筋は潰した、あとは引き金を引くか、ビットに号令を出すだけで勝負は終わる、なのに。

 

「何故、勝ちを諦めないんですの?」

 

 成政は、その質問に答えた。

 

 

 

「そりゃあ、惚れた女の子の前でかっこ悪いとこ見せたくないからな。それに、勝ったほうがおもしろいじゃん!」

 

 

 

 そう叫んで、成政は驚くような行動に出た。

 

「ちぇいさー!」

 

 持っていた近接刀「葵」をセシリア目掛けて全力でぶん投げたのだ。

 

「なっ...しまっ!」

 

 予想外の行動に、反応がワンテンポ遅れる。

 

 セシリアの視線が、成政から逸れる。

 

「ぶっ飛ばせ、打鉄ェ!」

 

  その瞬間に、打鉄は大空を駆けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  決戦日の昼休み、箒は保健室を訪れていた。

 

 見舞相手は、成政。

 

 どうして彼がそこにいるかというと、

 

「スラスターを全開にしてセシリアに突撃したものの、逸れてアリーナの壁に激突、その衝撃で気絶したのだ」

 

「あんなに啖呵切っといて恥ずかし...」

 

「布団を被るのは認めるが、見舞客に失礼だとは思わんのか?」

 

「恥ずかしいものは恥ずかしいし...」

 

 無様な負けを知り、布団をかぶってふて寝をはじめる成政。溜息をつきながら 、その隣で食堂のおばちゃんから差し入れられたリンゴを剥いている箒。

 

「...なんでナイフじゃなくて刀で剥いてんの?」

 

「違う、短刀だ」

 

 物騒な事に、刃渡り20センチ弱の刀で器用にリンゴを剥いているのを除けば、さぞかし微笑ましい光景だっただろう。

 

 成政の質問に箒は手を止めると、それを鞘に収め、慈しむように抱きしめた。

 

「昔、父に貰ったものなんだ。今では家族は離れてしまっているし、何か、思い出のものをいつも持ち歩きたくてな」

 

 ちゃんと許可は取ってあるし、無闇やたらには持ち歩いていないさ、と付け加える箒。

 

 暫く場が静かになる。

 

「切ったものはそこに置いてある。食べるなら早くしろ」

 

 沈黙に耐えきれず、そっぽを向いてしまう箒。

 

 その意図を知ってか知らずか、無言でしゃくしゃくとリンゴを齧る成政。

 

「で、結局クラス代表はどうなったの?」

 

  その質問に。少しだけ不機嫌な表情になる箒。

 

「...結論から言うと、一夏がクラス代表だ」

 

「試合内容は?」

 

「イマイチどころか凡ミスで敗北だった」

 

「鍛え直し、だな」

 

「成政さんならそういうと思ったぞ、っと、時間だな」

 

  今日1日は休めと千冬さんも言っていた、無理をするなよ、と言い残して、保健室を去る。

 

「...剣道だけじゃ、やっぱり限界かぁ」

 

 射撃のイロハ誰かに教えてもらえないかなぁ、と言葉とは裏腹に、楽しそうだった。

 

 

 

 

「最後の言葉はだれに向けたものだったのだろうか……」

 

 

 

 

 

 

「「「織斑くんクラス代表おめでとー!」」」

 

「なんでだあああ?!」

 

  放課後、一夏がクラス代表決定パーティーで女子に揉みくちゃにされている頃、

 

「こんなに来なくてもいいのに...」

 

「剣道部マネージャーつもりなんだろう?1日でも早く来てもらわんと困るからな」

 

  保健室でのんびりしていた。

 

 箒がパーティー会場から持って来た料理を摘みながら、いろいろなことを話した。

 

 剣道の事、クラス代表決定戦の事、これからの事。

 

  一夏がセシリアのビットのもう一つの弱点、必ず死角を狙ってくる事に土壇場で気が付いた話をした時は、成政が思わずなんたるチート!と叫んで悔しがったり、一夏とセシリアがクラスみんなの前で仲直りしたと聞けば、それは良かったと胸をなでおろしていたり。

 

  取り留めのないことばかりであったが、2人はいろいろな話で盛り上がった。

 

 そんな黄金のような時間は、あっという間に過ぎて行く。

 

「そろそろ部活にも行かねばならない、それではな、成政さん。お大事に」

 

「そっか、モッピーちゃんも剣道頑張ってね」

 

「ああ、今年も全国に行ってやろうではないか」

 

「頼もしくて何よりだよ」

 

  姿が見えなくなるまで手を振って見送る、と言うベタなことをした後、成政はなんと無く寂しくなった。

 

 この言い知れないような気持ち。

 

 胸に穴が空いたような、なんとも言えない感情。

 

 それに思い当たりそうなものを探して...

 

「...やめだやめ、あいつには好きな人がいるんだし」

 

  顔を真っ赤にして否定する。

 

 あいつは幼馴染に恋をしていて、あいつと自分は選手とマネージャーで。

 

 そう自分に言い聞かせて、布団をかぶった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  マネージャーは、試合には出ない。

 

 会場に来る事はあっても、傍観者だ。

 

 手伝いをするとしても、応援をしたり、せいぜいドリンクを出したりする程度だ。

 

 絶対に、勝負の土俵には上がらない、否、上がれない。

 

 しかし、世の中には、マネージャーから選手になる変わり種も、存在するということを忘れてはならないだろう。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。