インフィニット・ストラトス 〜マネージャーですが何か?〜   作:通りすがる傭兵

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どうも、初投稿のスピノキングと申します。
もともとは読専だったのですが、とあるネタまみれのssを読んでからは創作意欲が止まらず、むしゃくしゃして書きました。
そのとあるssの作者に許可も一応もらったので、主人公をサブキャラとして出そうと思っています。そういう人が嫌いな人は、ごめんなさい。


なんだか箒アンチが多い気がしてるのでヒロインにしてみました。
剣道少女かわいいですし…いじめてやらないでください。
それでは、どうぞ。


2017/7/12 ちょっと改稿しました。これから夏休みなのでしばらくこちらの作業も行っていきます。


第1話

「ふんふんふーん、ふふーふーん」

 

 新学期も始まり、騒がしい教室の中。

 特に誰とも話すこともなく、机に向かい本を読んでいる、黒髪長髪に眼鏡といかにも文学少女といったいでたちの地味な女性。顔は黒い長髪に隠れて見えないが、不自然に少し大柄で、ガッチリとした体。集中しているのか、副担任の仕切りの元自己紹介が始まってものんきに読書を続けていた。そして、

 

「織斑一夏です。えっと……以上です!」

 

 名前だけというあんまりな自己紹介にズダダン、とクラス中がずっこけようとも、我関せずとその姿勢を貫いていた。

 それはこのクラスの担任が出てこようが、前でドタバタが繰り広げられようが、教室の窓際最後尾というサボりには最適な席にいる彼女は、自分の世界に入り込み何も気にしない。

 しかし、

 

「そしてそこのもう一人の男子」

「あだあっ?!」

 

 突然飛来した板状の何かが頭に直撃し、女子とも思えないような声で椅子ごとひっくり返った事で中断された。

 

「今すぐに女装を解いて自己紹介をするか、グラウンドを50周するか選べ」

「自己紹介をさせていただきます、はい!」

 

 若干食い気味に担任の脅迫もとい注意に答える。

 そして、被っていたウィッグをとる。

 そこに現れたのは茶色の短髪で、

 

「えー、申し遅れましたが、二人目の男子操縦者、」

 

 男らしい低い声に、中性的な顔立ち、青い眼をした、

「石狩 成政、16歳です。よろしくお願いします」

 

 深々と頭を下げて挨拶をしたそいつは、

「という訳だ、話題の2人目の男子だ。仲良くしてやれ」

 

 どこからどう見ても男だった。

 

(どうしてしてこうなったのだ…)

 

 自業自得なのだが、入学早々大恥をかくことになった成政は、SHR終了からずっと頭を抱えていた。

 少し顔を上げると、視界に映るのは、女、女、女……と女だらけ。

 女子校に紛れ込んでいるのではないだろうか、と思うほど清々しいくらい女だらけのここは、『IS学園』。次世代のIS操縦者を育てることを目的とした学校だ。

 ISというのは正式名称「インフィニティッド ストラトス」で、突如現れ、他の兵器を駆逐した超高性能ロボットである。ただし、女性しか乗れないという欠陥兵器にもかかわらず、その高性能により世界中に広まった。

 そのせいで世の男は肩身の狭い思いをしているのだが、ところが先日女子しか動かせないはずのそれを動かした男子がいた。

 成政自身は詳しくは知らないのだが、うっかり動かした男が先ほど織斑一夏とかいう自己紹介でバカをやらかしていた男なのだが、彼のせいで全国の男性にIS適性検査が行われ、成政までもISを動かせるという事実が発覚、平穏な生活はどこへやら、とここにしょっぴかれる羽目になった。

 それにもう一つ、

 

「どうしてもう一回高校1年生をやり直す羽目になったんだっ」

 

 この男、つい一ヶ月前まで高校一年生、今は高校2年の筈、だったのだが。

 ISの技術がどうの、男子は纏めるべきなど理由をつけられ、もう一度1年生をやり直す事になっていた。

 それよりももっと問題なのが、現在進行形で女装しているがために味わう事になった知りたくなかった女子の悩み諸々だ。

 形だけでも女子なら恥ずかしくない、とウィッグをまた被っているおかげで、他クラスの野次馬の目はもう一人の男子、一夏の方に向いているが、女装の事実が広まるのも時間の問題だろう。それと、

 

「スカートってこんなに寒いのか……ヘックシュン!」

 

 春だからといっていたかをくくっていたが、スカートが膝丈とはいえとにかく寒い。

 男子のズボンがいかに暖かいか、そして女子がファッションのために色々投げ捨てている事とかを実感していた時、

「久しぶりですね、先輩」

「どちら様、ってモッピーちゃん?」

「私の名前は箒だ!その呼び方はやめろ」

 

 成政に声をかけてきたのは、つり目にポニーテール、そして出るところはでた少女。

 名を、篠ノ之 箒という。

 

「モッピーちゃんがどうしてここに?」

「私の姉の所為だ」

「…ごめんよくわかんない」

 彼女のフルネームは篠ノ之 箒。珍しい苗字ではあるが、彼女は有名人ではない。彼女の姉、ISの基礎理論を作った篠ノ之 束が問題なのだ。

 その姉は現在行方を眩まし、日本政府が彼女の家族が人質とならないように、と家族バラバラになっていた。

 高校を機に、安全なここに入ってきた、と箒はそう告げた。

 

「ところで、中体連はどうだった?」

「団体はベスト8止まりだったが、個人では」

「個人では?」

「驚くなよ……優勝だ!」

「おめでとうモッピー!」

「ちょっ、抱きつくな!」

 

 嬉しさのあまり抱きついてしまう成政だが、剣道を嗜む箒に呆気なく剥がされてしまう。インドア派の成政の力はそう強くないのだ。

 

「もうちょい嬉しさを分かち合わせてくれてもよかったのに」

「時と場所をわきまえろ!」

「そうだった、失礼」

「それに、だ。先輩は男子という自覚があるのか?今日の服装といい、振る舞いといい、まるで女だ」

「いや、女子高みたいだし、形から入ろうかなって」

 

 成政の筋が通っていてどこかおかしい言葉に、思わず顔をしかめた。

 

「確認だが、今日で何徹目なのだ?」

「んー、今日で三徹目かな?」

「…ああ、成る程」

 

 成政の一言で大体察した箒は、無理矢理にでも話題を変える事にした。

 

「そ、そういえば、成政さんはどうしてこの教室に?ここは高校一年生の…」

「むしろこっちが聞きたいよ…」

 

 俯いて沈んだ声でそう漏らす成政。また地雷を踏んでしまった事に気付いて慌てて箒は空気を変えようと明るい声で話しかけた。

 

「先輩、部活はどうするのだ?」

「成政でいいよ、同級生な訳だし…ははっ」

「そんなことできるわけがないだろう!」

 

 思わず机を叩く箒、驚く周囲と成政を気にすることもなく、言葉を続ける。

 

「成政さんは、私をずっと支えてきてくれたのだ、そんな人を、蔑ろにできるわけがないだろう!これからも成政さんは、私のパートナーなのだからな!」

「も、モッピーちゃん…」

「これが、私の思いだ」

「それなんて告白?」

「えっ?」

 

 成政の言葉をきっかけに、周りでぽつぽつと拍手の音が、そしてその音は、クラス中を、そして外の野次馬にも広まっていく。

 

「おめでとう箒ちゃん、これからも頑張ってね」

「女子高のここでこれが見られるなんて…ぐすっ」

「良かったな、箒」

「いいですね、これぞ青春です…私、泣きそうで…ぐしゅっ…」

「あ、ああああ」

 

 周囲では二人の新たな門出を祝うようなムードに、中には色々な意味で涙ぐんでいる人も。その中には、副担任の山田真耶先生も混ざっていた。

 一拍おいて盛大な勘違いに気がついた箒は、顔を真っ赤にして、

「ち、違うのだ!これには深いわけが!成政さんも説明してやって…」

 

 わたわたと手を振り、誤解を解く助けをと後ろを振り向けば、そこにあるのはからの椅子のみ。

 そして机の上におかれたメモ用紙の隅に一言、

 

『後よろしく』

「んがあああああああああああ!」

 

 乙女が出すようには思えない怒りの叫びを教室の用具入れの中で隠れて聞いていた成政であった。

 

 先程残りの休み時間と少しの授業時間、そして箒の脳細胞の一部を生贄として、なんとか誤解は解けた。その間、問題の片割れはずっとロッカーに引きこもっていたのだが。

 その中でついでのように着替えていたので、今はちゃんとズボンを履いている。

 

「あんなに綺麗に爆弾を落とすとは思ってなかったなあ……」

 

 山田先生の授業を聴きながら、先ほどの箒の醜態のことを考えていた成政。

 成政の前の席にいる問題の彼女はというと、それを忘れる為なのか、真面目にノートを取っている。

 

「まあ、いっか」

 

 他ごとを考えるのも失礼だろうし、と授業に戻る事にした。

 

「えっと、ここの注釈は大切なのでよく読んでおいてくださいね」

 

 副担任の山田先生は、童顔で身長も低く、ぱっと見中学生にしか見えない。が、ある部分を見ればちゃんと大人とわかる。

 肝心の授業は、丁寧で分かりやすく、板書の字も綺麗で、とりやすい。先程から質問にも丁寧に答え、優しい人だな、と成政は思っていた。

 

『ここはこうがっとして、ぐわーってやればできます』

『ぜんぜんわかりません先生!日本語でお願いします!』

『だーれーがタイガーじゃ!』

『そんなこと言っていません』

 

 

「ここまでで解らないところはありますか?」

「はい!」

「織斑くん、どこが解らないですか?」

「ほとんどぜんぶ分かりません!」

 

 一夏がそう言った瞬間、教室が凍りついた。

 

「えっ、他に解らない人はいますか?」

 

 山田先生がそう言うが、成政としてはしっかりとはいかないが、一通りは目を通して、要点に書き込みくらいはしている。

 だが、見ず知らずとはいえもう一人の男子を見捨てるのも、と思ったので、助け舟を出すことにした。

 

「山田先生。さっきのページの、上から3行目辺りに書いてあることが分かりません」

「は、はい!そこはですね…」

 

 それとなくはフォローして、気まずい空気を回避する。その後千冬担任が挙動不審な一夏に質問をすれば、

 

「織斑、参考書はどうした?」

「電話帳と間違えて捨てました!」

「阿保か」

 

 と寸劇と一緒に振り下ろされた出席簿を見て大爆笑していた成政に出席簿その2が飛んできた事件もありつつ、2時間目もつつがなく終わった。

 その休み時間、

 

「ほうほう、やっぱりアレがモッピーちゃんの初恋相手、とな…」

 

 連れ立って教室を出て行った箒と一夏をニヤニヤしながら見送る成政。

 前に部活の合宿で恋バナとかで盛り上がっていた時にうっかり箒が漏らした、

 

「私には初恋の幼馴染がいてな」

 

 という台詞と、先ほどの会話から聞こえた、久しぶりだとかいうキーワード。

 そして人付き合いがあまりよろしくない箒の交友関係では男子で気軽に話せる奴はいない、という消去法で成政は、一夏がそれだと推理していた。

 人の恋路を応援しようとか、ちょっかいを出そうとかとは思っていないが、成政にとって箒は元とはいえ大切なチームメイト、そして何より大切な後輩だ。もしあれがろくでなしのクソ野郎であった場合、彼は殴りに行くつもりだったのだが、見る限りそういう奴でもないらしい。

 

(まあ、裏方らしく頑張りましょうかね)

 

 もしデートとか出かけるのであれば、男子目線からでもアドバイスしてやろうか、と余計なことを考えていた時、

 

「ちょっとよろしくて?」

 

 金髪に縦ロールという特徴的な髪形の女子が、成政にそう声をかけた。

 




改稿していて思いましたが、二か月程度では文章力はさっぱり上がりませんて。
とりあえず完結目指してがんばります!

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