インフィニット・ストラトス 〜マネージャーですが何か?〜   作:通りすがる傭兵

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ああああああ戦闘してない!!!!むずかしいいよおおおおおおお!

最近スランプ?気味ですかねー。文章がスラスラ浮かばない。
しばらく忙しくなるので、よろしく。


第21話

 

 

一際大きな衝撃音が響き渡るのと前後して、弾丸の嵐が収まる。それを察して、成政とティナの2人は盾の陰から顔を出した。

 

「終わった、のかな?」

「そう......みたいね」

 

打鉄のハイパーセンサーであたりを探れば、壁あたりで伏せるラウラと、まだ煙をあげるパイルバンカーのついた腕を突き上げて勝利の雄叫びをあげる強羅がいる。

「おっしゃああああああああ!」

「アニメみたい」

「本人曰く将来の夢はヒーローらしいわよ。ISを使えばリアリティのある合体ロボになれるから、ですって」

「色々と斜め上な発想だ事で......」

 

マヒロはそれを本気で考えている上、蔵王工業もノリノリなので、実現する時間はそう遠くない。

 

そうほのぼのと会話を交わす2人だが、まだ試合中である。

 

「ボーデヴィッヒさんも駄目みたいなわけみたいだし、降伏していい?」

「そんなルールないわよ、最後まで頑張りなさい」

 

さりげなく成政にアサルトライフルを突きつけていたティナに対して、成政は近接ブレードを実体化させる。

 

「じゃあ、悪あがきでもしましょ」

「力を、寄越せぇぇぇぇぇぇええええ!!!」

「わひゃい!?」

 

最後のあがきにせめて一太刀と声を出して気合を入れ直そうとしたところで、ラウラの大声に驚いて情けない声を上げて飛び上がる成政。

 

声の主に一言文句でも言ってやろうとラウラの方を振り向くと、

 

『のわあああああああああああああ!』

 

何かが超高速で成政のすぐ横をかすめ、遅れてついてきた衝撃波で砂埃が舞う。

 

それを切り払って現れたのは、

 

「......ねえ、ISって変形するの?」

「うそ、まさか......」

 

 

第1回世界大会王者、かの有名な織斑千冬の愛機であり、世界最強と謳われたIS、

 

暮桜が、そこにあった。

 

 

 

 

 

 

「なーんか闇落ちしたみたい」

「ありえない......」

 

打鉄から当時のデータを呼び出し、比べる。

現役時代、綺麗な桜色だった暮桜だが、今成政達と相対しているものは違い、黒みを帯び、人が乗る部分がなにか液体のような物質で覆われている。

それに対して成政が気の抜けた感想を漏らして居ると、隣にいるティナの様子がおかしい。

 

「ん、どうかしたの?」

「ありえない、こんなの、馬鹿げてる......!

 

あのIS擬き、シールドが存在してない!」

「そうなん......えっ?!」

 

ISにとってシールドエネルギーとは生命線そのもの。中のパイロットをあらゆる傷と衝撃から守るために存在して居るそれは、存在してしかるべき物なのだ。

もしそれがない状態で高速機動などをすれば、パイロットの内臓破裂、全身に大きなダメージ、下手をすれば死に至るのだ。

 

「そんな、どうかして」

 

言葉を最後まで告げる事なく、ティナが成政の視界から消失し、黒い影が隣に立っていた。

 

ISのハイパーセンサーをもってしても影しか捉えられない神速の踏み込み、その居合技術。

世界最強は、伊達ではなかった。

 

とっさに後ろに下がって距離を取り、消えたティナの行方を探す成政。幸いにして彼女はすぐに見つかったが、壁に力なくもたれかかる彼女は遠目からしてもうごけるようには見えなかった。

 

 

 

この場に存在するISは4機。

1機は成政自身が使用している。

もう1機はティナと一緒に吹き飛んだ。

先程の謎の物体がマヒロだとするならば、

 

「ボーデヴィッヒさん......」

 

消去法でそうなる。

『あーあー、てすてす、聞こえてるぅ?』

 

とりあえず冷静に、と成政が自身に言い聞かせていると、マヒロが通信を繋げて声をかけてきた。

 

「聞こえてる。大丈夫?」

『イヤー、手酷く食らっちゃってね。SEはあるけど動けないよ、手を貸せそうにないね。

ところで目の前のアレ、どう思う?』

「どうもこうも......何とも、としか」

『アレは「VTシステム」、織斑千冬の動きを再現しようとプログラミングされたナニカ。実際は脳にも肉体にも高い負荷がかかるし、長時間使えば廃人待った無しのシロモノ。かといって千冬の動きを完全に再現できるわけでもなかった失敗作、かな』

「それ、危なくない?」

『勿論違法だよ。ドイツは無茶するねー』

「......」

 

一介の学生とは関係のない言葉がぽんぽんと出てきて成政の頭はもう一杯一杯だった。

だからと言って帰ってふて寝する事は許されない、まだ試合中なのだ。

しかし、このような事件がある以上続行はもうできないだろう。現に無線の奥では先生方が応対に追われているし、アリーナのシールドにも色がつき、外から中が見えないような設定になっている。

成政は、深く、深くため息をついた。

とりあえずいつも通りにいこう。

 

「反則する人は僕は嫌いです」

『あ、おい!』

 

成政はそう呟くと、ISを解除してしまう。

すたっ、とでこぼこした地面に降り立つと、散歩でもするかのように歩き始めた。

マヒロの声も意に解することもなく、いつも通りに杖をついて歩く先は、

 

「ルールの範囲内であれば勝つためなら何でもしてください、ただし、ルールの範囲内でだけ」

 

暮桜擬きの正面、約5メートル。

そこはもう暮桜のキルゾーン、刀を一振りすれば、成政の首と胴体は永遠にお別れすることになるだろう。

そんな死の恐怖に怯える事もなく、成政は苛立ちを隠すこともなくそれを睨みつけ、言葉を投げつける。

 

「正々堂々、なんて無茶なこたあいいやせん。じゃがな、スポーツっちゅうのはあくまで競技、人を殺してまでやるような事ではありゃあせんのじゃ。

 

 

仕置じゃ、ラウラ・ボーデヴィッヒ。その根性叩きなおしたる。

軍人なんじゃろお主、じゃったら、もっとしゃきっとせんかい」

 

4メートル、3メートル、2メートル。

一歩ずつ前進し、ついに1メートルという超至近距離まで詰め寄る成政。暮桜もどきはピクリとも動いていない。

「降りんかいボーデヴィッヒ。その捻くれた精神粉微塵にしちゃる。

尊敬しとる織斑先生の機体に成りすまして強くなっとるつもりか?

つまらんやっちゃな、実につまらん」

 

『ちょちょ、そこまでやる?』

 

腹に据えかねたのか暮桜もどきをバンバンと叩く成政。2人は知らない事だが、VTシステムが認識しているのはISの反応だけであり、生身の人間に刃が振り下ろされないのが幸いした。

しかし生身でISに立ち向かうなど馬鹿もいいところ。だが、ISの絶対性を認識していない成政にとっては普通の行為、ただただ反則をかましたペアに文句をつけに行っているだけなのだ。

 

「降りろ」

 

暮桜は動かない。その必要がないからだ。

 

「降りろよ」

 

矮小な人間の言葉など、取るに足りない。

暮桜はそう判断し、対戦相手にのみ注意を向けたままだ。

 

「降りろっつってんだクソボケがぁ!」

 

成政は拳を握り締めると、姿勢を下げて力を溜め、飛び上がって暮桜もどきの顔面をアッパーカットで殴り飛ばした。

『嘘おおおおおおおおお!?』

「さっさと降りんかいこのクソアマがああああああああ!」

 

 

 

 

 

それとほぼ同時刻。

 

「どけ、箒」

「いいや、ここは通せない。理由を説明してもらおう、何を怒っているのだ」

「どけよ」

「落ち着け一夏、何があった」

ピットで押し問答をする一夏と箒。

2人ともISを展開し、今にも刀を抜きかねない緊迫した雰囲気だ。

先程ラウラのレーゲンが変形し暮桜もどきになった時、それを観客席で見ていた一夏は弾かれるようにピットに向かった。

 

そこにちょうど居合わせていたのが箒たちだった。

何事かはわからないが今にもアリーナに飛び込みそうな一夏の様子を見て箒が慌てて止めに入ったのだ。

 

「いいからどけって!あんな物俺は認めねえ」

「だから説明しろと言っている!」

 

試合前に瞑想をして精神統一をしていた箒は試合の様子を見ていないのだ。

それを知っている一夏が説明すればいいのだが、頭に血が上っていてそれどころではなかった。

 

「あんな物、千冬姉のまがい物なんて俺は認めねえ!」

「だから一体何がどうしたと言うのだ、説明してくれ一夏」

 

今にも箒を切り捨ててまでアリーナに飛び込もうとする剣呑な雰囲気の一夏。

助け舟を出したのは、一夏を追いかけてきたシャルルだった。

 

「あの、箒さん、実は......」

 

 

 

「何だと......」

 

説明を終えた直後 、思わず箒はそういった。

予想外のことが起こりすぎて何が何だかさっぱりなのだ。

それに、成政は知らない事だが、箒は自分が優勝したら一夏に付き合ってもらうと言う約束を取り付けてある、その為に努力してきたのだが、その様子ではトーナメントも中止な事くらい分かる。

 

「あいつ、許さねえ......」

「落ち着いて下さい、今は焦ってもどうにもなりませんわ」

 

元華族の家系だと言う四楓院さんが一夏を上手い事抑えている間、箒はこれからどうすべきかを考える。

 

(そのような事、前例はない。もし仮にボーデヴィッヒの身にそのようなことがあった場合、自身だけではなく出場している選手にも被害が及ぶのではないか?

 

 

もし、先輩が怪我でもすれば.......)

 

最悪の展開が箒の脳内をよぎる。

「いや、しかし......」

 

そんなことあるはずがない、そう言い聞かせて不安を押し込めようとした。

 

『あーあー、もしもーし。こちら神上、応答せよー』

 

その時、ISから聞き慣れた声が届く。アリーナの中にいるはずのマヒロだ。

いつも通り砕けすぎて締まらない声だが、そこに織り込まれているいつもはない真剣さを読み取れないほど箒は馬鹿ではない。

箒が半ば怒鳴るように答える。

 

「っ、マヒロか!どうしたんだ?」

『いやー、なり君がとんでもない無茶やらかしてるから止めて欲しくて』

「先輩がどうかしたのか!」

『生身でISに殴りかか、ちょっとそれはっ!』

 

言葉の途中で慌てて無線を切ってしまったマヒロ。

事態を重く見た箒はすぐさま行動に移った。

 

「一夏、ここをこじ開ける、手伝え!」

「任せろ箒!」

 

2人はピットに降りているシャッターに取り付くと、下の部分に手を掛けて持ち上げにかかる。

だが、それはISのパワーアシストをもってしても簡単なことではない、が。

 

「手伝うよ一夏!」

「級友を守るのも義務ですから」

 

IS4機にかかれば、出来ないことなど殆どない。

かくしてピットのシャッターは白旗を上げ、4人はアリーナに飛び込んだ。

 

そこで、箒の目に映ったのは、

 

 

 

「嘘、だろう......」

 

 

血を流して倒れる、成政の姿だった。

 

 

 

「先ぱぁぁぁぁあああああああい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やっベー、原作知識そろそろ役に立たなくなるかもしれないぱたーん?

これからどうしたもんかねー』

 




もうやめて成政くん!
打鉄のシールドエネルギーが無くなったら、闇のバトルで魂が繋がっている成政くんも死んじゃう!
お願い成政くん、この攻撃を耐えれば、攻撃のチャンスが回ってくるから!

次回「成政、死す」
ISバトル、スタンバイ!


嘘じゃないかもしれません。

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