インフィニット・ストラトス 〜マネージャーですが何か?〜 作:通りすがる傭兵
......本来ならもっと見直しすべきなんでしょうが、投稿します。
どうしてそうなったかと申しますと、全部シンフォギアのせいです、アクシズのせいなんです、4期のせいなんです。
シンフォギアは良いぞ!(布教
あ、拙い戦闘描写ですが、大目に見てください。
「まさか、ラウラと組んでるとはな」
「成り行きといいますかなんというか」
相対する男子2人。
試合前のわずかな時間、ISの機能を使って周りには聞こえない雑談をする位には時間はある。
「僕の事も忘れてもらっちゃ困るなあ」
一夏の後ろから顔を出したのは、量産機ラファールのカスタムモデルを纏ったシャルル。
いつもニコニコと笑っている彼だが、今日は何やら一味違う様だ。
「織斑、一夏......!」
そう忌々しげに一夏を睨みつけるラウラは、ドイツの試作ISを纏い、肩部のレールガンを光らせる。
この場に立つのは専用機3、訓練機1。
唯一専用機を持たない成政。
性能も、格好良さも劣る訳で。
(すっごく居た堪れない......)
試合会場に立つのも久しぶりなのも相まって、複雑で気まずい気持ちになっている成政なのだが、
「試合だったら手段は選ばない、全力で逝かせてもらおうか!」
「なんか字が違う気がするが、いいぜ、来いよ!」
互いに武器を実体化し、開戦の合図を今か今かと待ちわびる。
『おい、石狩。口を閉じろ』
『突然何さ、一体どういう......』
試合開始のカウントが進む中、相手には聞こえない個別通信で対戦相手を話す石狩に嫌気がさしたか、そう声をかけてきたラウラ。その発言の意図を読めず、成政が質問を返したところで、
『試合、開始っ!』
「嘘おおおおおおおお?!」
「はあっ?!」
「ちょ、えっ!」
「くたばれ、1人目ェェェェ!」
(ああ、舌噛むなってそういう事ですか)
ワイヤーブレードを巻き付けられ、一夏の方へ思い切りぶん投げられながら、成政は発言の意図を身を以て理解した。
が、理解はしても体は追いつかない。
ドミノよろしく成政はまず一夏の白式にぶつかり、続いてシャルルのラファールの方へ弾き飛ばされる。
「めーがーまーわーるー!」
「あわわ!ストップストップ!」
女子らしくワタワタするシャルルなど目に入るはずもなく、打鉄が強化した視界のせいでさらに目を回す成政。
「ぎゃふっ!」
最後にはアリーナの壁に無様にぶつかり、ひゅるひゅると落ちていった。
「えっと、大丈夫?」
犬神家のように逆さまのまま動かない成政を心配して、シャルルが声をかける。もちろん試合中なので相手への警戒は欠かさず、アサルトライフルを構えたままだ。
「心臓に悪いわこんなもん!酔うわ!」
一生に一度あるかないかの体験をしたせいで乱暴な口調になっているが、ISの面目躍如とでも言うように成政自体は心臓に悪い思いをした事以外は何の問題もない。
ただ、シールドエネルギーは3割ほど犠牲となった。
「だ、大丈夫みt」
「隙ありぃ!」
クラスメイトが無事なことに対して胸をなでおろすシャルルだが、今は試合中、遠慮などないのだ、と言うわけで成政はライフルをぶっ放した。卑怯というなかれ、
「試合中に油断する方がわりぃんだ!」
「やってくれたなー!」
ライフル弾が直撃し、シャルルも気持ちを切り替え、アサルトライフルの引き金を引く。
一夏 vs ラウラ
シャルル vs 成政
開戦の火蓋が、切って落とされた。
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「まずは、相手を分断しよう。いくら格下とは言え、油断は禁物だ。それに白式の零落白夜はラッキーヒットでも負ける。細心の注意を払うように」
「ふん。その程度分かっている。貴様は分かっている事をネチネチと説明する役立たずの上官か何かか?」
試合1週間前、戦略を立てる、とミーティングを立ち上げた成政だが、ラウラはてんで取り合おうともしなかった。
「軍属のネットワークを舐めてもらっては困る。織斑一夏がどのような生活を送り、どれ位の身体能力を持つか、其れくらい把握済みだ。
貴様は其れがわからんらしいな、失望したぞ」
「じゃあ、一夏の剣の特徴は?」
「なに?」
「よく使う構えは?初手でよく振る太刀筋は?得意な防御は?苦手な構えは?弱点は?そもそも一夏はどんな剣を使う?」
成政はマネージャー、不要と切り捨てられればそれまでだが、勝てる試合をそんなちっぽけなプライドで棄てるのは彼は気に入らない。
「そもそも白式はマトモなスペックデータも出ちゃいない。それにあいつも100%白式の力を引き出しているとは言えない。
それを踏まえて、白式の最高速は幾つだ?その程度もわからずして、試合に勝てると思ってんのかど三流が!」
成政は敗北が嫌いだ。
マネージャーとして、選手の努力する姿を見ている以上、それを踏みにじられる敗北が大嫌いだ。
しかし、相手選手とて同じく努力はしている。勝者がいるならば、敗者も存在するのも事実、どうあれ、勝つのならば相手の努力を踏みにじる必要がある。
ならば、それに見合う試合をするべきだ。
相手をねじ伏せてまで勝つ理由、それを見つけなければならない。
それすら持たないようならば、勝ったとしても相手に失礼ではないだろうか。
「相手をねじ伏せたいならばそれ相応の努力をしろ。
相手を叩きのめしたいなら相手以上の実力を持て。
相手に勝つならば、勝者足りうる覚悟を見せろ。
強いからって胡座かいてんじゃねえぞ!」
長ゼリフを大声で張り上げ、肩で息をする成政。
それに圧倒されていたラウラが、長い沈黙の後、口を開く。
「......Es ist nicht alles Geld,was glänzt.
成る程、私は貴様の価値を正確に測りかねていたらしい。
貴様は私の道具足り得る存在となった。であれば使い手として、死ぬ程こき使ってやろう」
「......あー、もっとわかりやすく」
「お前に価値があるということだ。それくらい理解しろ馬鹿者め!」
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「ぜああああああ!」
「なんのっ!」
プラズマ手刀が唸りを上げ、白式に切り込む。一夏がそれを持ち前の反射神経でもって受け止めるが、そこが弱点となる。
「そこ!」
「くそっ、まだまだ!」
もう片方の手で腕を斬りつけ、後ろに下がりながら肩のレールガンを撃つ。
一夏の剣のベースは、幼い頃に学んだ篠ノ之流と、剣道で培った剣術。
あくまで剣道を行う相手同士での戦いが想定されており、こう言った変則手への対応についてはまだまだ遅い。
(成る程、聞いていた通りだ)
一夏は一旦下がったラウラを追撃しようと白式のブースターを吹かすが、
「どうした?足元の注意が疎かになっているぞ?」
「なっ、ワイヤーブレード?!」
剣道ではありえない上下からの攻撃。
飛んできたワイヤーブレードが雪片に絡みつき、白式の動きを封じる。
その隙を見逃すラウラではない。
ワイヤーを手繰り寄せるのと同時に、ブーストを駆って白式にタックルをかますが、
「こっちだって、努力してるんだよ!」
「何!」
一夏は唯一の武装である雪片を手放し、自由になる。そのままラウラのタックルを半身になる事でかわし、ガラ空きの胴体を蹴り飛ばす。
「ただやられるだけの俺じゃないぞ、ラウラ!」
「面白い、そうでなくてはな!」
一夏が落ちてきた雪片を掴んで正眼に構え、吹き飛ばされたラウラはすぐさま態勢を立て直し、軍隊格闘術らしい、無骨な構えを取る。
『一夏、もう少ししたらそっちに行けるよ!』
『ああ、頼むぜシャル』
自身の視界の隅、地表近くで戦うオレンジのラファールを一瞥した後、一夏は雪片を握る手に力を込める。
「さあ、かかってきやがれ!」
「あー、もうどうにもならん。やっぱ向いてないわー」
ガンガンとシールド表面で弾丸を弾く音を聞きながら、成政は諦め半分でそう呟いていた。
セシリア戦で使用した蔵王製の大型シールド、その弱点はとにかく重くて取り回しが悪いので、地面に立てるくらいしなければ有効活用できない。
機動戦を仕掛けながらシールドを立てることには成功したものの、代償としてSEを半分も献上していたのでは割に合わない。
盾の裏に引きこもって時間を稼ぐのはいいが、ちょっかいを出さなければ無視されてシャルルが一夏の援護に行きかねない。
時々顔を出して射撃を行う隙にちまちまとSEを削られているのが今の現状だ。
ライフルに1発1発丁寧に弾を込めながら現実逃避をするが、その弾丸も残りわずかとなってしまった。
ボルトを引いて薬莢を排出、戻して射撃体制を整える。
「かといってどうにもなるわけでないし、なぁ」
ハイパーセンサーでだんだんシャルルが距離を詰めてきているのを感じながら、溜息をつく。
接近戦で勝負を決める腹なのだろう、シャルルの行動をそう読んだ成政は、ライフルの先にナイフほどの大きさのブレードを取り付ける。
「さて、どれだけ削れることやら」
成政はそう呟きながら、シールドの陰から飛び出した。
「そこだっ!」
「ただでやられるわけにもいかないんでね」
アサルトライフルの弾丸が成政のすぐ後ろを掠める、それには目もくれず、別のシールドを目指すような進路を取る。
これで、シャルルの思考を近接戦闘から外す。
小型ブレードを左手に展開し、思い切り振りかぶって投げつける。
それを余裕を持ってシャルルがかわすうちに成政は距離を詰める。
が、相手は歴戦の代表候補生、それくらい想定済みと言わんばかりに弾丸のシャワーを浴びせにかかる。手に持っていたライフルを盾がわりにダメージを抑えようとするが、焼け石に水、ライフルは使い物にならなくなるようなダメージを受け、成政の打鉄も失速する。
「これで、終わりだよっ!」
その隙を狙ってシャルルはナイフ「ブレッド・スライサー」を展開し、成政に躍りかかる。
誰もがシャルルの勝ちを確信しただろう。
それはシャルルとて例外ではない。
「だらっしゃああああああ!」
最後の抵抗、と成政が使い物にならなくなったライフルを投げつけるが、無理な姿勢で投げた所為かあらぬ方向へ飛んでいく。
そのまま抵抗もなく、シャルルのナイフを受け成政のSEはゼロになった。
「よし、これで一夏の援護に......」
『石狩成政、打鉄、シールドエネルギーゼロ。
織斑一夏、白式、シールドエネルギーゼロ』
「え......」
響いたアナウンスは、成政と一夏の脱落を知らせるものだった。
「ジャックポッド、ってねー」
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そのままつつがなく試合は進行し、地力で勝るラウラがシャルルを沈めて幕引きとなった。
実弾兵器をメインで使うシャルルに、ラウラの専用機、シュバルツェア・レーゲンの第3世代兵器、『AIC』が相性が良かった、というのもあるだろう。
「ちなみにAICっていうのは、略さずにいうとすっごくめんどくさいから、簡単にいうと『一定の空間を固定する』事が出来る、兵器だってさ。
でもレーザーとかエネルギー兵器は駄目みたい、あととても集中しないといけないから周りの事が見えなくなるらしいよ」
「お前は何をしているのだ」
「いや、別に、時々こう噛み砕いて自分に説明するといい感じにわかりやすくてさ」
一夏達を下し、次戦に駒を進めた成政とラウラ。次戦までは時間があるため、何故か貸切状態の控え室で反省会と相成っていた。
「いや、実力不足を実感したね。3割も削れないなんてさー」
たはは、と頭をかきながら恥ずかしげに笑う成政。その能天気な様子の彼に苛立ちを感じてか、ラウラは拳を机に叩きつける。
「貴様、何故邪魔をした!」
「はい、何でしょうか」
「とぼけるな、あの戦いの最後、ちょっかいを出してきたのはお前だろう!」
何故成政と同じタイミングで一夏のSEが0になったのか。
それは至極簡単な事、
「ああ、ライフル投げつけた事?」
「そうだ、あのような手助けなど不要だ、自分の実力だけで、織斑一夏を叩きのめす事が出来ていたはずなのに!余計なことを」
その発言と同時、ラウラの脳裏には先ほどの光景が映る。
格闘とも言えない素人丸出しの足技にペースを乱され、姿勢を崩した所で、白式が雪片を大上段に振り上げる。
防ぐことなど、出来なかったはずだった。
しかし、横合いから飛んできた影が今まさに振り下ろされようとしていた雪片の軌道を逸らす。
窮地から脱したラウラは、レーザーブレードで白式の零落白夜で磨り減った残り少ないSEを削り取り、0にした。
「あれは、あの旧式ライフルは貴様のものだ!見間違える訳があるはずがない!」
「あれ、蔵王の人に頼んで作ってもらったんだよー、いくら頑丈でも修理出さないとだから次は使えないね」
「そうではない!何故貴様が邪魔をしたのか聞いているのだ!」
「負けそうだったからだけど」
詰め寄るラウラに、成政はそう告げる。
「だって、勝ちたかったんじゃないの?」
「違う、そうではない、そうではないのだ!私は、自分の実力で織斑一夏を、叩きのめし、不相応な夢だと分からせたかっただけなのだ!」
「......やる気なくなるね、そんな事言われると」
成政はすぐそばまで詰め寄っていたラウラを手で突き放すと、杖を持ってさっさと控え室を出てしまった。
「試合に勝ちたくないなら、僕ももう付き合いきれないなぁ。やる気出してくれないかなー。
ああ、そうそう。今回のタッグマッチ、リーグトーナメント方式なんだけど。
決勝リーグは総当たり戦、で結果が出るんだけどさ。『敗者復活枠』があるんだってさ。
一夏が勝ち上がってるといいねー」
「私に勝てるものはいるかあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!ぶるああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
「篠ノ之さん落ち着いてくださいまし!」
その後行われていた第3試合、自分の存在を誇示するかのように大声を張り上げながら斬りかかるポニーテールの少女がいた。
なお、試合にはちゃんと勝っていた。
作者&マヒロ
「「原作と違う、何でぇ?!」」
VTシステム、出番なくなるの巻。
いやだって、アニメとか二次創作みてる限りアレ、シャルの助太刀ない限り勝ってますやん。
マヒロ「やべ、口が滑った」
作者 「......」
マヒロ「ま、また次回!」