そして、前話でノワールのステータスを言うと言ったな。
あれは嘘だ。(話の都合上でこうなりました)
では、第3話/黒蝕の竜姫《前》、どうぞ!
「––––というわけなのよ」
「なるほどねぇ・・・」
私は今、二人––––マシュ・キリエライトさんとオルガマリー・アニムスフィアさんに連れられながら、この場所––––カルデアのこととか、自分がなぜ、先程の医務室?にいたかを聞いていた。
––––本当に、どうしてこうなったのだろうか・・・?
そんなことを考える私。
聞けば、英霊と呼ばれる存在を呼ぶ為に、召喚したら、いきなり、黒い竜が出てきて、かと、思えば、風に飛ばされる砂のように消え去り、中から、私が出てきたと言うではないか。
しかし、そうなると、おかしな点がいくつもある。
今、大きく取り上げるとして、三つ。
一つ、私は、元は、人でも、神でも、ましてや、人の姿をしていた訳でもない、正真正銘の竜なのだ。なのに、私は人間になっている。
二つ、通常、英霊と呼ばれる存在が呼ばれる召喚に私が召喚されている。
三つ、二人は私の竜の時の種族の名前である黒蝕竜『ゴア・マガラ』や、あの世界で最も有名である二匹、雌火竜『リオレイア』や火竜『リオレウス』などといったモンスターの名前を知らない。
一つ目に関しては、二人に聞いても原因不明だし、私もわからない為、保留。
二つ目、まあ、これに関しては、少しだけ思い当たる節が二つある。
三つ目、これが問題である。
もう一度言うが、
それは、おかしい。
なぜなら、あの二匹は、知らない人が逆に少ないと言われるほど、有名なのだ。
なのに、この二人は、知らない。
––––どういうことかしら?
そんな思いが膨れ上がる。
しかし、同時に、答えも自分の中で出ていた。
それは––––
私は、私のいる世界とは違う別の世界に召喚されたのではないか?
––––という答えである。
そうなると、二人がモンスター達を知らないことに辻褄があう。
––––冗談がきついわね・・・。
私は前を歩く二人に、バレない程度に苦笑し、自分の出した答えに呆れ、納得する。
確かに、私はたまに、こことは違う世界があるなら、行ってみたいなぁ・・・とは思っていた。
しかし、それは、あくまで、願わないことを知ってのことである。
だが、今回、それが実現されてしまった。
––––なんというか・・・嬉しいとでも言えばいいのか・・・皮肉とでも言えばいいのか・・・・・。
そんな、なんとも、なんとも言えないような、複雑な感情になる。
正直、気心知れた、あの私の姉貴分でもある
しかし、残念な事に、私はその二人 二匹ではないし、その二匹の性格に似てもいないのだ。
それは無理な話という事だろう。
私は私。
それはおそらくこれから変わる事のない話だ。
・・・なんというか、悲しい話でもあるけど。
––––そう言えば、さっきから、このカルデアの施設を二人に紹介されながら、連れられていたけど・・・。
「・・・ねぇ、オルガマリーさん、マシュさん。私、先程からなんも聞かずについてきたけど、今、何処に向かっているの?」
「・・・あれ?ノワール、私、言ってなかったっけ?」
「言ってませんね・・・」
「えっ・・・マシュ、嘘よね・・・?」
「所長、本当です」
マシュさんと私にそう言われ、しまったというような顔をするオルガマリーさん。
・・・うん、どうやら、弄りがいがある気がしたのは、気のせいじゃなかったらしい。
「・・・えっと・・・・とりあえず・・・なんというか・・・ごめんなさい」
「えーと・・・大丈夫ですよ・・・?」
「なんで、ノワール、敬語+疑問形になってるの・・・!?」
「キノセイデスヨー」
「ノワールさん、まったく説得力がないです・・・」
「と、そうこうしているうちに、と––––」
そう言って、オルガマリーさんがとある扉の前に立つ。
「ロマ二、いる?あの子を連れてきたわよ」
「––––うん、わかったよ。入って」
「わかった。んじゃ、失礼するわ」
「失礼します」
「失礼されますよ」
「ノワールさん・・・貴女は、失礼する側でしょ・・・?」
ナンカ、オルガマリーサンガ、白イ目デ私ノ方ヲ見テイルケド、気ノセイダヨネ。
そんなことを思いながら、私は部屋の中に入る。
「それで・・・後ろにいるのが・・・」
「えぇ、先程、黒い竜から出てきた子よ」
「そうか、さっきは人が竜の中から出てきたってことで、あまりにも慌ててたから、顔を見ることを忘れていたけど、君がね・・・。初めまして、ボクはここ、カルデアの医療部門のトップ、ロマ二・アーキマン。何故か、みんなからDr.ロマンと略されていてね。君も遠慮なくロマンと呼んでくれても いいとも。そして、僕の隣にいる二人が・・・」
「私はダウィンチちゃんだ。よろしくな」
「初めまして、藤丸立夏です。よろしく」
「・・・そう。私の名前はノワール。ノワール・ゴア・マガラよ」
「んっ・・・・?(・・・ゴア・マガラ?)」
「どうしたんだい、立夏君?」
「いや、ちょっと、さっきの名前が引っかかったので・・・まぁ、気にしないでください」
「君がそう言うならわかった・・・それで、僕の後ろに・・・って、あれ?君の妹さんは?」
「先程、『トイレと運動しに行ってくる〜!』とかふざけたことを言って、どっかに行きました・・・」
「相変わらず、立花先輩は・・・フリーダムですね・・・」
・・・・気のせいかな?
私、空気になりかけてるような・・・?
「・・・ちょっと、あの
「行ってらっしゃい・・・程々にね・・・?」
「それで、ノワールさん。君にちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・」
「何ですか・・・?」
「君、ここに来るまでの記憶はある?」
「・・・えっと・・・暗闇の中で何かに呼ばれるような声がしたのは、うっすら覚えているのだけれど・・・そこからは・・・」
「やっぱり・・・」
「何が、やっぱり、なの?」
「実は––––」
Dr.から放たれた言葉は、私たちを驚かすものだった。
次は今度こそ、ノワールのステータスが!
では、お楽しみに!
(それにしても、評価or感想が欲しいなぁ・・・)