モンスター達の人理修復   作:蹴翠 雛兎

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さてと、皆待たせたな。
第二話、どうぞ!


第二話/ノワール

––––暗い。

 

––––途轍もなく暗い。

 

––––そして、ひとり。

 

––––ひとりぼっちだった。

 

––––生まれた時から、体が小さく、その上、その時は病弱気味だった私にとって、悲しい事に、それが全てだった。

 

––––でも、ある日、私がとあるモンスターとの戦闘で怪我をした時だった。

 

––––私の目の前にあの二人が現れたのは。

 

––––私に対して、あの二人は––––––––––––。

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

「––––––––んっ・・・んん・・・・」

 

あれ?ここは一体・・・・?

確か、私はあの二人と一緒にいたはずなんだけど・・・。

 

「一体、どうなっているの・・・って、あれ?」

 

今、私、人間の女性の声で・・・しかも、人間の言葉で喋った・・・?

それに気のせいかな?私の目線がいつもより低く感じるのだけれど・・・?

一体、どういうこと?まさかとは思うけど・・・。

 

私、人間になっていたり・・・・する?

 

ははは、まさかそんなことあるわけ––––––––。

 

 

 

あった・・・・。

 

この部屋にあった大きな鏡を見たら、人間の女性の姿––––白く簡素な服を着た、黒い髪に、紅く深い眼がついたどこか素っ気ない顔の美少女だった。

にしても・・・やっぱり、人間になっても・・・・。

 

「・・・・・低、身、長、なのね・・・」

 

そう呟き、落ち込む私。

 

わかっていた。そんな気がしていたから。

でも、これは・・・うん・・・・・落ち込むわ・・・・・。

 

––––生まれた時から、近視であるとはいえ、通常の個体とは違い、目が見え、そして、その代償なのか、通常個体より小さかった私。それは、成長しても同じことで、最大まで大きくなっても全長は約1329.2センチメートルと、通常個体と比べると一回り小さかった。

正直、転生したりなんやらしたら、どうか通常より身長の大きい人(?)になりたいと思っていたけれど・・・。

 

と、そんなことを考えていた時だった。

 

「––––あ、目覚めましたか?」

 

突然、そんな声が聞こえ、私はすぐさま、後ろへジャンプし、警戒する。

それと同時に、翼脚が突如として現れたが、今は無視をすることにする。

今はそんなことよりも、だ。

 

「貴方は誰?」

「あ、え、私ですか?私はマシュ––––」

「敵?味方?どっちなの?敵だったら、私の目の前から去りなさい、さもないと殺すわよ?」

 

この女性が敵か味方かを判断しないといけない。

さらに言えば、何故、私の姿が人間になっているかも聞き出されれば、尚よしである。

 

「あ、ああ安心してください!み、味方です!」

「じゃあ、証拠は?何か、味方って証明できるものは?」

「え?えぇ〜と––––」

「別になんでもいいわよ?焼いた肉でもいいし、そこに隠れてこちらを見てる人をボコって連れてきてもいいし、身分を証明できるものでもいいわ」

「ちょっと待ってください!!最後の身分の証明はいいとしても、なんで、焼いた肉を持ってくることで、味方という証明になるんですかっ!?しかも、所長は心配してこちらを見てきてるのに、何故!?」

「えっ?なんとなく殴りたいなと思ったから。あと、お肉関しては、お腹減って食べてかったから」

「そんな理由でですか!?」

「えっ、なんとなくという理由で、マシュに私を殴らせようとしたわけ!?え、そんな理由で!?」

 

何故だろう。

この人達、弄りがいがある気がする。

そう思ったのは、私だけだろうか?

まぁ、それは置いといて。

 

「それで、話を戻すけど、味方って、証明できるものはあるの?」

「えっ!あっ、えっと––––」

「はぁ・・・これでいいかしら?」

 

白銀色の髪の女性の人がそう言うと、ポケットから銀色の懐中時計を出し、私に渡してくる。

 

「これは・・・?」

「無くなった父の形見。命より大切なものよ・・・」

「えっ!?しょ、所長!そんな物を渡してもいいんですか!?」

「ええ。どうせ、このままだったら、平行線のままじゃない。それなら、いっそのことね・・・。まぁ、これで信じてくれない「わかったわ。貴女達を信じてあげる」・・・えっ?今、なんて言ったの?」

「だから、信じるっていったのよ」

 

––––嘘ついているように見えなかったしね。

そんなことを思いながら、私は翼脚をできるだけ小さくたたみ、所長と呼ばれた白銀色の髪の女性の元へ行く。

 

「えっ、ちょっと、待ってくれるかしら!?えっ、えぇ!?ここは普通、疑うところじゃないの!?」

「たしかにそうですよね・・・でも、なんで・・・?」

「ふふ、生憎、私は人のことを信じやすいのよ。それに、嘘をついていない事も分かっていたしね」

 

––––実は、この部屋には狂竜化鱗粉(ウイルス)に似た極々微量の、生物の体内に入ると微熱を発する特殊な鱗粉を撒いてあり、それを使って嘘をついているかどうかを調べたのだ。

 

人より信じやすく、それ故に、騙されやすいことも自覚してるゆえの行動だった。

 

「––––それで、貴女達の名前は?」

「えっと・・・マシュ・・・マシュ・キリエライトです」

「オルガマリー・アニムスフィアよ。貴女の名前は・・・?」

「私?私はノワール。ノワール・ゴア・マガラよ」

 

––––そして、今、ここに、黒蝕竜姫が人理修復の旅に参加することが決定した––––––––。




次回、ノワールのステータスが!
お楽しみに!

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