異世界に転生したけど俺が強すぎて話にならない   作:しらす丸

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皆さんどうもしらす丸です。
しばらく更新出来なくてすいませんでした!。アイデアが迷走入りしまして、少し時間がかかってしまいました。
シリアス書くのは大変ということをこの話を書いて実感しました。


~28話~ 大切な人は変えられない後悔の中に

青年...神路麗飛は今、野原に座っている。何故此処に来たのかも分からない。後ろを見ると子供が2人、その2人の親らしき男女が2人。どうやら家族でここでピクニックをしているようだ。子供はとても幼いが、少女は少年に「お兄ちゃん」と話している。どうやら兄妹のようだ。

その楽しそうにお弁当を食べる一家には麗飛には見覚えがあった。そう、この一家は麗飛の家族である。その一家の中の少年はまだ幼いが誰かと似た顔立ちをしている。

 

「俺か...過去の俺なのか...」

 

麗飛は静かに呟く。この幼い少年は過去の神路麗飛である。

すると、お父さんのような人が幼い麗飛に尋ねた。

 

「なぁ麗飛。大きくなったら何になりたい?」

「ぼくはね、せかいをまもるヒーローになるの!。そしておとうさんとおかあさんとゆみと世界の人達をまもるの!」

 

幼い麗飛は父親に元気よく答える。母親らしき人は麗飛ではなく、麗飛とよりも幼い少女に尋ねた。

 

「ねぇ、雪美(ゆみ)は何になりたい?」

 

雪美とは麗飛の妹だ。両親と同じときに亡くなった。生前は麗飛にとても懐いていたと言う。

 

「わたしはね、とてもかっこいいおむこさんとけっこんするの、けっこんするまではおにいちゃんにまもってもらうの」

「あらあら、素敵な出会いがあるといいわね。麗飛、しっかり雪美を守りなさい」

「うん!、ぼくぜったいにまもるから!」

 

母親は優しく笑う。父親も笑い、麗飛、雪美、と釣られて笑いだす。その笑い声は家族全員を暖かく包んでいた。

 

「....」

 

青年の麗飛は俯き何も喋らない。

 

すると、野原全体がいきなり燃え始め、火は4人を包んだ。4人の内3人は、蝋のように溶け始めた。だが、全く溶けない人影があった。それは幼い麗飛だった。幼い麗飛は無表情で立ち尽くしている。青年の麗飛はそれを見て涙を流し、ギリリと歯を食いしばり、焼け野原のなか、幼い麗飛に向かって飛びつく。そして上から首を縛り泣き叫ぶ。

 

「なんでお前は死なないっ!!。お前以外の皆が死んで、何故お前が生きるっ!?。1番近くて掛け替えのない存在を守れなくて何がヒーローだっ!!!。なんでお前は死なないんだよ...」

 

青年の麗飛は幼い自分に怒りをぶつけ続けた。そして、もっと首の締め具合を強くし更に叫ぶ。

 

「お前なんか死んじまえ!!!!。お前に生きる価値なんか1ミリもないんだよっ!!」

 

炎の中、彼は泣き叫びながら幼い自分の首を締め続けた。

 

 

麗飛 said

 

「.....」

 

俺はゆっくり目を開けた。此処は何処だっけ?。確かここは...ここは異世界だ。俺のいた世界ではない。

あの夢を見たのは何度目なんだろう。何度も自分に暴言を吐き、何度も首を締め続けた。それでも俺は死なない。

 

「あの夢が...現実になればいいのに...。そしたら俺は...「レイト様!!」うお!」

 

びっくりした!。本気でびっくりした!。これは酷い!。

 

「どしたの?、スー?」

「どうしたも何もないです!。怪我はありませんか!」

 

スーが涙を流し、ながら俺の不調を聞いてくる。

 

「特にないけど...少し話を聞いてくれるかな?」

「?。何の事ですか?」

 

けど少し話を聞いて欲しい。そうすれば少し楽になる気がするんだ。

 

「スーお前にはとても掛け替えのない身近な人っている?」

「1番身近な人ですか?」

「あぁ」

「私は...います///。掛け替えのない存在の人が///」

 

スーは顔を赤くして話す。何故に顔を赤くする?。

 

「俺はその人が家族だったんだ」

「家族ですか?」

 

俺の家族は父と母と妹と俺の4人家族だ。両親はとても優しく、ときには厳しかった。妹は俺に凄く懐いていて、とても可愛い妹だったんだ。

俺は小さい頃から人を守る職業に入りたかった。その職業で皆を守り、絶対に家族を守る。そう決めていた。両親も喜んで「頑張りなさい」と言われ、妹からは「しっかり守ってね」と言われた。絶対に守る筈だったんだ。

事件は俺が中学生のときに起こった。

久しぶりの家族旅行の帰りだった。トンネル内で車線を間違えた車両と正面衝突を起こした。被害は両方の車が全壊、相手運転者死亡、更にこっちも4人中3人が死亡。そうだ。俺だけが生き残った。

 

「.....」

「俺はあのあと後悔した。向こうから車が来るのがチラッと俺だけ見えていたんだ。俺は家族との話に夢中になってて話せなかった。何度も何度も自分を恨んだ。何故あの時に危ないと言えなかったのか、家族を殺したのは自分なんじゃないかって、何故俺だけが生き残ったのか。ずっと恨んだんだ」

「レイト様...」

「けど俺は決心をした。俺は大切な人を絶対に守る。俺の目の前で絶対に死なせない。そう決めた」

 

俺は静かになったスーに言った。

 

「大切な人を本当に大切な人だと思えるのは、失ってからでしか良く分かれない。けど、大切な人って気付くのは自分次第だと思う」

「レイト様...私は守ります。これまでの大切な人とこれから出会う大切な人も皆守れるようになります!」

「ふっ...その気だ。さて、ギルドに行こうか」

「はい!」

 

俺とスーはギルドの方へ向かった。

居なくなったベッドには明るく、暖かい陽の光が射し込んでいた。




皆さんには大切な人がいるでしょうか?。変えられない後悔はあるでしょうか?。
そんな事を考えながら読んでくれたら嬉しいです。

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