ラブライブ!サンシャイン!! 〜希望の光〜   作:リオート

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善子「夏休みが...終わってしまった...」
洋希「ほんと、楽しいことってあっという間だよな」
善子「その気持ち分かるわ洋希」
洋希「夏休みを楽しむのはいいけど、課題忘れたりするんだよなぁ」
善子「ぎくっ!」
洋希「まああんなの夏休み1日目に終わらせればなんともないけどな!」
善子「そ、そうね...」
洋希「それより善子、その教科書とノートもってなにすんだ?」
善子「えっと...夏休みの課題を...」
洋希「終わってなかったのかよ!!」





どうもみなさんお久しぶりです。リオートです。
2週間期間が空いて待ちくたびれた人がいるかもしれません(思い込み)
これこらまた週一投稿していくつもりなのでぜひ楽しんで読んでいただければと。

それでは、本編どうぞ!


第74話 成長

歌詞作りに勤しんでいた俺達は、数時間の時を経て、ようやく納得のいくものができた。最初は腑抜けていた千歌も、俺の脅しでやる気をだしてくれた。ちなみに脅しの内容は「今日中に歌詞できなかったら、梨子やダイヤさんにこっぴどく叱ってもらうぞ?」というものだ。それを聞いて千歌は黙々と作業をしてくれた。

なんだ、やればできるじゃないか千歌。

 

千歌「ふぇ〜疲れた〜」

洋希「お疲れさん、今日はしっかりやっててよかったぞ」

 

俺が褒めると、千歌は伏せていた顔を上げ、誇らしい表情を浮かべた。

あ、こいつまた調子に乗るな。

 

千歌「ふっふっふ、私も本気を出せばこのくらい...」

洋希「じゃ、これからは俺の手助けなくてもできるな!」

千歌「ええ!!」

洋希「冗談だよ」

 

調子のいいことを言う千歌を、いつものようにからかう。

 

千歌「あっ!そうだひろくん!」

洋希「なんだ?」

 

なにか思いついた千歌は、自分の頭を俺の方への向けた。

ん?その行為は何を示してるんだ?

とりあえず当てずっぽうで予想を出した。

 

洋希「なんだ?アホ毛がもう少しで抜けそうなのか?」

千歌「そういうことじゃないよ!頭を撫でてって意味だよ!」

洋希「撫でる?」

 

予想が当たらなかったのは残念だが、それ以上に何故このタイミングで頭を撫でてもらおうと思ったのか。

あれですか、頑張ったご褒美にナデナデしてくださいってか?子供かっ!

 

洋希「子供じゃねぇんだから...」

千歌「私が寝てる時は勝手に撫でたくせに...」

 

珍しく俺に睨みをきかせながら、千歌が知るはずのない事実を口にした。こいつ...まさかさっきの志満さんたちとの会話聞いてたな!まあでも事実は事実。もしここで撫でるのを拒否ればたちまちこれをAqoursに言いふらされるだろう。そしたら集中砲火を食らうに違いない。特に主火力はヨーソローとずらだ。

 

洋希「わかったよ、ほら」

 

千歌の頭に手をおき、優しく撫でる。千歌は目を瞑りながら柔らかい表情を浮かべている。随分堪能してるよつだ。それにしてもどうしてこう女の子の頭は撫でやすいのか。別に男の子の頭をしっかり撫でなことはないが、女の子の頭を撫でていると、逆にこっちが撫でさせて貰っているような気分になる。多分この考えに至ったおれは変態と言われても仕方ないのかもしれない...認めねぇけどな!!

 

洋希「これで満足か?」

千歌「うん!これで明日の練習も頑張れるよ!」

洋希「そりゃよかった、じゃあ明日千歌だけ特別ハードメニューに...」

千歌「しなくていいよ!」

洋希「あ、そう?」

 

相変わらず千歌はいい反応をしてくれる。からかいがいがあるもんだ。もし千歌と隣の席になったら俺をからかい上手の赤羽くんとでも呼んでもらいたいところだ。

にしても少ししゃべりすぎたな...喉がカラカラだ。歌詞作りの最中はほとんど飲み物飲まなかったしなぁ...。

 

洋希「喉乾いたな...下から飲みもんとってくるわ。千歌はそこらに散らばった紙を片付けといて」

千歌「は〜い」

 

あと片付けは千歌に頼み、俺は1階に降りて、いつも志満さんがいる台所へやってきた。志満さんの姿はなかったが、俺は躊躇いなく冷蔵庫を開けた。普通なら人の家の冷蔵庫を勝手に開けるのはご法度だが、俺は志満さん公認で開けてもよくなっている。それほど千歌の家に足を踏み入れているという訳だ。まあお隣さんだしな。

 

洋希「たしかここに...」

 

冷蔵庫の扉の裏側のお茶のポットに手を伸ばした。その瞬間、目の前が真っ暗になり、視界が遮られてしまった。

 

???「だ〜れだ?」

 

突然のことに慌てふためく俺の耳に、声が届いた。し、志満さんか?にしても声が違う。美渡さんはこんなことしないだろし...千歌はまだ上にいるし...まてよ、今の声どっかで...。

記憶の奥からこの声に当てはまる人物を探った。そして

たどり着いた答えをいった。

 

洋希「千歌の、お母さん...?」

千歌母「当ったり!すごいねよく分かったね!」

洋希「まあ、さっき聞いたばっかなんで...」

千歌母「あ、そうだね」

 

といっても最初は全く分かりませんでしたけどね。

 

千歌母「でも、勝手に人の家の冷蔵庫はあけちゃダメだよ?」

洋希「ああ、すいません。いつも志満さんに勝手に開けてもいいよって言われてたんで...」

千歌母「あら、そうだったの。ごめんなさいね」

洋希「いえ、俺もなんかすいません」

 

そうだ、千歌のお母さんは俺がこの家にくる頻度を知らなかったんだ。だから俺が非常識に冷蔵庫を開けたと思ったのか。だとしても目を隠す必要はなかった気がするが...。意外とイタズラっこなのかもしれないなこの人。

そう思い、少し警戒しながらポットとコップ2つを手に取り、千歌の所へ戻ろうとした。

 

千歌母「ねぇ、赤羽くん」

洋希「なんですか?」

千歌母「少しだけお話しない?」

 

千歌のお母さんは唐突に俺に会話を持ちかけてきた。千歌を待たせてる、と言おうと思ったがまだ片付けが終わってないだろうし、千歌のお母さんからはなにか面白いことが聞けるかもしれないという俺のカンを信じて、俺はそれを了承した。

 

台所の前の座敷に置かれた机を挟んで、互いに向き合う形で話を始めた。

 

千歌母「早速だけど...千歌ちゃんのことをどう思ってるか、教えてくれない?」

洋希「ではこちらも早速ですか黙秘権を使用してもよろしいですか?」

千歌母「いいけど、それを行使したら、今ここで私が赤羽くんにあんなことやそんなことをされたってことにしても...」

洋希「わ、分かりました、答えます」

 

何故だろう、この人の娘に対して俺は結構強く出ているのにこの人自身には勝てる気がしない。これか人生経験の差なのかと改めて気付かされた。

いや、こんな所で気づくな俺。

 

洋希「そうですね、一言でいうなら...アホですね」

千歌母「あら、実の母親の前でよくいったわね。まあ千歌ちゃんはちょっとアホっぽいけどね」

 

ちょっと失言したかと思ったがやはり親公認であったか。正直千歌の悪いところならいくらでも言える。が、それをベラベラいってもなんにもらないのは分かってる。だから今日は、あえて千歌のいい所を言わせていただこう。

 

洋希「でも、俺は千歌に対して、ある1点だけ尊敬出来るところがあります」

千歌母「へぇ、どんなところ?」

洋希「右も左も分からないようなところを、真っ直ぐに進んでいくところです」

千歌母「ん...ん?」

 

俺の言葉の意味をイマイチ理解出来ていないお母さんに対して、俺は付け加えるように話を続けた。

 

洋希「千歌と一緒にスクールアイドルを始めた時、千歌はスクールアイドルに関しての知識をほとんど持ち合わせてなかったんです。それでも千歌は、自分の「スクールアイドルをやりたい!」っていう信念を貫いて、スクールアイドルを始めたんです。そういうチャレンジ精神は、俺も見習いたくなります」

 

あいつの恐れずに前に進もうとする精神。それは俺が1番見習わなければならないとこらだ。前にあった海開きの時、俺はPVの協力を促そうと前に立ったが、人の多さに圧巻され、喉の奥で言葉に詰まった。しかし千歌が背中を押してくれたおかげで、俺は言いたいことをハッキリ言えた。千歌があの時、恐れずに俺の隣に立ってくれたから、俺はその先に進めた。

 

千歌母「そっか...昔とは大違いだね」

洋希「昔?」

千歌母「千歌ちゃん昔はね、結構怖がりだったの。自分から何かやりたいって言うことなくてね。だから、私が無理やり習い事とかさせるんだけど、すぐやめちゃつて...」

 

今では想像できない昔の千歌のことを聞いて、俺は俺は驚きを隠せなかった。あんな天真爛漫な千歌が、こわがりで、飽きっぽかったなんて、正直納得できない。そうなると千歌の成長はかなりのものなのだろう。

 

千歌母「私の知らないところで、大きくなってるんだね」

 

俯いたその顔が、すこし微笑んでいるのが見えた。親として、千歌の成長を喜んでいるに違いない。

 

千歌母「ありがとう赤羽くん、お話してくれて」

洋希「いえ、こんな俺でよければ、いつでも話し相手になりますよ」

千歌母「ふふっ、じゃあ今度は仕事の愚痴でも聞いてもらおうかな?」

洋希「せめてもう少しマシなのにしてください...」

 

「冗談よ」と笑いながら言ったが、この人のことだからそのうち本気でやりそうなのが怖い。でも、こんなおおらかな人からどんな愚痴が聞けるかは結構気になる。こういう人に限ってとんでもない愚痴が聞けるような気がする。

 

千歌母「赤羽くん」

洋希「はい?」

千歌母「これからも千歌ちゃんのこと、よろしくね」

洋希「...はい」

 

千歌のお母さんの仕事は詳しくは知らないが、恐らく家をあけることが多いのかもしれない。だから千歌のこともずっと見ていられるわけじゃない。親として、心配な面があるのだろう。だったら、俺があいつをしっかり支えて、千歌のお母さんに安心してもらうのが1番だ。責任重大だぜまったく。

 

千歌母「なんならそのまま付き合って頂いても...」

洋希「それはお断りします」

千歌母「むぅ〜」

 

流れるように出してきたお願いを、キッパリと断っだ俺は、必要なものを手に持ち、千歌の元へ戻った。

ポットの側面からついた水滴が、1滴床に落ち、消えてなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

洋希「じゃ、電気消すぞ?」

千歌「お、お願いします...」

 

千歌がしっかり片付けをしてくれたおかげで、すぐに寝る準備ができた。結構待たせてしまったので、帰ってきたら「遅いよ!」と言われると思っていたのだが、俺が部屋に入ると千歌は凝視していたスマホを慌ててしまい、「お、遅かったね...」と内容は予想通りだったが、口調が予想とは異なっていた。今千歌の様子がおかしいのは、スマホのことなのかもしれない。

 

洋希「どうした千歌?なんか変だぞ?」

千歌「ええっ!そ、そんなことないよ!おやすみ!」

洋希「ああ、おやすみ」

 

ガバッと布団を被り、千歌はそのまま動かなくなった。なにか隠してる、そう本能的には察したものの、今から問いただしたら日の出を迎えそうなので、諦めて俺も床に敷かれた布団に入った。

目を瞑り、今日のことを少し考えた。むつ達のこと、そして昔の千歌のこと。1日でいろいろなことが起こっている気がする。いや、今日に限ったことではない。この内浦に来てから、俺の毎日に前にはなかった「色」が加えられたような感じだ。別に前の学校がつまらなかった訳では無い。友達も気さくで面白いやつが多かったし、瑠美だっていた。でもそれ以上にここの毎日が充実してるように思えるのはAqoursの存在があるからだろう。

Aqoursと出会ったことで俺のなかで目標、果たすべき使命が生まれたからだ。そう、あの頃に感じだ物足りなさは、「誰かと一緒に大きな目標に向けて努力すること」がなかったからかもしれない。だけど今の俺にはそれがある。だから毎日が楽しく感じるんだ。

ただ俺は千歌のお母さんの話を聞いて自分の中であるひとつの疑問が浮かんだ。

 

 

「俺は、成長してるだろうか?」

 

これは身長とかそういう類のものではなく、精神的、内面的なところの話しだ。Aqoursの活動を見ていて千歌たちの成長はよく分かる。だが自分自身の成長がイマイチ感じ取れない。

真っ暗な視界の中で頭を悩ませていると、横向きになった俺の後ろからガサゴソと音が聞こえた。千歌がなにかしてるのか?と思い180度体を回転させた。千歌の顔が、真正面に現れた。

...は?

 

洋希「お前...なにやってんだ?」

千歌「ええっと!!せ、説角のお泊まりなんだし!友好を深めると言う意味合いで...」

 

顔を真っ赤にさせながら、早口でしゃべりだした。こいつ、俺が寝てる間に布団に細工を施すつもりだったのか?じゃなきゃわざわざ俺の布団に潜り込んでくる意味もないだろうし。全く、イタズラをするなもっと慎重にやるんだぞ。

 

洋希「トラップ仕掛けようとするのは構わないけど、寝るのだけは遅くなんなよ」

千歌「そ、そういう訳じゃ...」

洋希「じゃあ他に理由があるのか?」

 

わけを尋ねると、千歌の表情が少し沈んだ。なにか深い悩みを持ち合わせているのだろうか?

 

千歌「ひろくんは、どこにも行かないよね?」

洋希「...ん?どういことだ?」

千歌「私この前夢を見たんだ。ひろくんが目の前にいるんだけど、どんどん遠くに行っちゃって、最後には消えちゃったんだ」

 

俺が千歌の夢に出たのか...。なんか人の夢に自分が出てるって言われるともしかしたら自分の負の部分を見られてたりすんじゃないかと思ってしまう。まあ俺には見られたくない負の部分はないけどな。

 

千歌「だから現実でもほんとにそうなるんじゃないかって、ひろくんが私たちを置いて、どっか遠くに行っちゃうんじゃないかって...」

 

千歌の目に雫が溜まっているのが見えた。

なるほど、俺が千歌たちを置いてどっかにか...。

俺は右手を構えて、千歌のおでこに渾身のデコピンを浴びせた。パンッ!と音が響き、少し仰け反った後、顔を戻し涙目になりながら睨みつけてきた。

 

千歌「なにするのぉ〜!」

洋希「やっぱりお前はバカチカだな」

 

目の下を赤くしながら、ふぇ?と腑抜けた声を出した。

 

洋希「俺はどこにも行かない。お前の傍にずっといる。だから変な心配すんな。それより、次のライブに向けて気持ちを入れとけ」

 

千歌の目に溜まった涙を指でそっと拭った。こういうのはイケメンのみに許された行為なのだろうが、俺もやってみたいという衝動に狩られてしまったのだ。曜たちの前では絶対やらんからな。

 

千歌「そうだよね...ひろくんはそんな人じゃないもんね」

 

千歌は安堵の表情を浮べた。

そうだ、お前はこんなことで悩まなくていい。真っ直ぐに進めばいい。なんにも囚われずに、自由に。それが俺が尊敬するお前なんだからな。

 

千歌「おやすみ、ひろくん」

洋希「ああ、おやすみ」

 

千歌は疲れていたのか、すぐに眠り込んだ。

そういや、結局俺の布団で寝やがったなこいつ。どうしよう、俺が千歌のベッドで寝るっていう選択肢もあるけど...。

 

洋希「ま、いっか」

 

なるべく千歌と距離を置いて俺も眠りについた。

 

 

 

 

 

そして次の日、千歌の寝相の悪さが炸裂し、千歌が俺に抱きついた状態で寝ているのを高海家に見つかり、誤解を解くのに相当の時間がかかった。

 

 




洋希と千歌母が会談中のこと...



千歌「あれ?曜ちゃんからメールだ」
曜『千歌ちゃん、洋希との夜は楽しんでるでありますか?』
千歌『どっちかっていうと昼の練習よりきついかも...』
曜『あらら、でも本番はこれからだよ!』
千歌『本番?』
曜『せっかく洋希と二人きりなんだし、一緒の布団で寝てみてはいかがかと!』
千歌『さ、さすがにそれは...なんかわたしだけ抜け駆けしてるみたいじゃ...』
曜『大丈夫!今度洋希をうちに泊めるとき、私もやるつもりだから!!』
千歌「...へ?」


今回は久々のオリジナル回をやらせてもらいました。個人的に洋希と千歌母の繋がりは必須かと思いまして。
千歌に関しては...うん、はよ付き合えよ状態ですね。無理やり洋希を鈍感にしてる感が否めない...。



次回もお楽しみにヾ(・ω・`)

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