洋希「1人で100kmぐらい走るんだろ?」
千歌「うう、私だったら途中で出しちゃいそう...」
洋希「100kmは...俺も正直きついかなぁ...」
千歌「果南ちゃんならノンストップで走り切っちゃいそう」
洋希「ありえる、「日課で走ってるので余裕でした!」って笑顔で言いそう」
千歌「うわ、すごい想像できる!」
洋希「だろ?」
果南「私ってそんなに走れると思われてるの?」
ダイヤ「来年立候補してみては?」
果南「そんなことで目立ちたくはないなぁ...」
どうもみなさんこんにちは、リオートです。
24時間テレビですか...。まったく見てないです。正直みやぞんさんのマラソンだけでいいかなとは思ってます。なんかそれ以外を純水な気持ちで見られない自分がいるので...。
それでは、本編へどうぞ!
千歌「あーあ!せめて歌うだけでも一緒に出来たらなぁ〜」
廊下の手すりに頬杖をつきながらムスッとした顔をする。
洋希「仕方ないだろ、そういうルールなんだから」
千歌「むぅ〜」
今日の夕方頃、練習終わりにむつ達から言われた「一緒にスクールアイドルをやってみたい」という願い。なんでも廃校を阻止しようとする千歌たちの活動をみて、自分たちにもなにかできるんじゃないかと思ったらしい。しかも彼女たちだけに限らず、浦の星の生徒たちの中にも3人と同じ考えを持っている人たちがいるということも聞かされた。その時、千歌は涙ぐみながらも満面の笑みを浮かべていた。自分たちのしてることが、彼女たちをつき動かした。それがわかっただけでも、千歌にとっては大きな力になっただろう。
だからこそ、あの場で事実を突きつけることに、躊躇いがあった。しかし俺も1度やった過ちを繰り返すつもりはない。厳しいかもしれないし、空気の読めないやつと言われても構わない。ただむつ達をぬか喜びさせるのだけはごめんだ、そう思った俺はキッパリと答えた。
「大会の規約で、事前に登録したメンバーしかステージに立てない。あと、ステージの周りに立つことも禁止されてる」
俺はこれほどルールを憎んだことはない。彼女たちが勇気をだして踏み出した1歩を、規約という壁で塞いだのだから。
許すまじ!ラブライブ運営!...とまではいかないけどな。
自分たちはステージに上がれない、そう分かった時、むつ達のそれまでの真剣な眼差しは、悲しみの眼に変わった。だから俺は言った、「千歌たちには最高のライブをさせる、そのかわりむつ達は最高の応援をしてくれ!」と。その想いに、むつ達はうなづいてくれた。
やっぱり浦の星は、なくなっちゃいけねぇ学校だ。あの温かさ、優しさの溢れた学校が、統廃合なんてことは絶対させない。
梨子「それより、洋希くんはどうしてその格好でそこにいるの?」
洋希「ん?これか?」
隣の家から、梨子がベランダ越しに尋ねてきた。
多分梨子が疑問に思ってる原因は、俺が制服ではなく、青色の無地のTシャツに、ハーフパンツ姿の寝巻き姿であるからだろう。
千歌「今日はね!ひろくんうちに泊まるんだ!」
梨子「お、お泊まり!?」
洋希「泊まりって言っても、まだ歌詞の詰め切れてない部分があるから少し遅くまでやるだけだ」
梨子「で、でも一緒の部屋に寝るんだよね...?」
洋希「心配すんな、こんなやつ襲う気にもならんわ」
千歌「どういうこと!!それ!」
千歌が怒り気味になるが、俺はそれを特に気にすることなかった。
まあ傍からみたら高校生の男女2人が同じ部屋で寝るってことになるけど、別に千歌にいやらしいことをするつもりはないし、やったら大問題になってここに居られないのはわかってるし、自分から墓穴を掘るようなことをするつもりはないです。
洋希「とにかく、仕上げるまでは寝させないからな?」
千歌「えぇ〜!あ、でも私最近、肌のケアしてるから、早く寝ないと...」
洋希「はいはい、お肌のスキンケアは大人になってからにやろうな?」
千歌「なにそれ!私が子供みたいじゃん!」
洋希「お前みたいな大人がいてたまるか」
千歌「ひろくんだって子供じゃん!」
洋希「はてさてどのあたりが?」
千歌「女の子にチヤホヤされてニヤニヤしてるとことか!!」
洋希「それは日本男児なら仕方の無いことなのだ!!子供とは関係ない!」
そうだ、ここには可愛い子から美人な方まで、嫌という程そろい踏みしているのだ。健気な子供たちからはヒロ兄!と呼ばれ、他校の生徒にはファンも居るようだし、そんな中で喜びを心のうちに秘めておくのは不可能に近い。だからニヤニヤしてしまうのは、仕方ねぇんだ!!
梨子「ふふっ」
俺達のやり取りと見ていた梨子が微笑みをこぼした。
梨子「やっぱり、2人は見てて飽きないなぁ〜」
完全に笑いものにされることに少々不満をもつ。こいつとコンビを組んでるならまだしも、そういうわけじゃないからなぁ...。あ、でも千歌がボケて(天然)、俺が突っ込んでるから実質漫才みたいなもんなのかな?
そんなこといったら本職の人に怒られそう。
梨子「2人ってほんとに仲がいいよね!まるで幼馴染みたい!」
洋希「こいつと幼馴染か...」
千歌「なに?また馬鹿にするの?」
もし俺が、小さい頃から知沙姉の家に住んでいたら、間違いなく千歌とは友達になっていただろう。毎日遅くまで遊んで、一緒に怒られたり、暇さえあればどっちかの家に遊びにいくなんてこともありえる。多分その頻度が多いのは千歌だろう。今みたいに強引に連れてかれていたかもしれない。ある意味、面白い日々が過ごせてたかもしれないな。
洋希「いや、もしもそうだったら、毎日退屈しなかっただろうな」
千歌「えっ?」
洋希「色んな意味でな!」
千歌「それ馬鹿にしてるでしょ!!」
結局馬鹿にされてると気がついた千歌は、頬を膨らませる。
ほんとにこいつをいじり倒すのが日課みたいになってるように思うのは俺だけだろうか?
千歌と話している中で、ふと梨子のほうを見ると、何やら怯えた表情で、こちらを見ていた。
梨子「千歌ちゃん、洋希くん、うう後ろ!お、おば、おば...お化け!!」
震える声で言い放ったセリフ。お化け?まさか俺らの後ろに堂々とお化けがいるってのか?梨子、脅かすのが下手すぎるぜ。
内心呆れながらも、千歌とほぼ同時に振り返ると、そこには女の子が1人立っていた。思わず俺も千歌も「うわぁ!!」と声を上げた。しかしさらに驚いたのは次の千歌の言葉だ。
千歌「お母さん!!」
洋希、梨子「お母さん!?」
よく見ると、お化けというにはあまりにもハッキリしすぎている。オレンジ色の短めの髪、穏やかな表情、それにアホ毛。千歌に類似する部分が多い。違う点は背の高さで、千歌よりも小さい。
千歌母「そーでーす!私が高海千歌の母です!あなたが梨子ちゃんね!」
ニコッと微笑む姿も、どことなく千歌に似ている。俺の予想としては、千歌と美渡さんは外見はお母さん似、性格はお父さんのを引き継いでるのだろうか。もしかしたら千歌のお母さんも昔は千歌みたいだったのかもしれない。だけど見れば見るほど、千歌とその母の区別がつきづらくなる。妹って言われても俺は信じていただろう。
梨子「は、初めましてこんばんわ...」
千歌母「初めてまして!こんばんわ!美人だねぇ〜」
梨子「え?い、いや〜それほどでも...あるかな?」
唐突に褒められた梨子は、顔を逸らす。
あいつ、自分が美人だってこと否定しなかったな。まったく、もう少し謙遜の心を持つべきだぜ?
千歌母「それと、あなたが洋希くん?」
洋希「は、はい!初めまして!赤羽洋希です!」
梨子のこと気を取られていて、反応が遅れた。
千歌母「やっぱり!かっこいいわねぇ〜」
洋希「いや〜それほどでも...あるかな?」
千歌「梨子ちゃんと同じこといってるよ?」
千歌の言葉に、俺はハッ!とした。なんだろう、この人に言われると謙遜の心より、湧き上がる嬉しさが勝ってしまう。多分梨子も同じなはず。
千歌母「いいわね〜千歌!美人のお友達はいるし!こんなにかっこいい彼氏さんもいるし!」
千歌「えっ!」
褒められて少し浮いた気持ちになってきたが、俺は千歌のお母さんが放った言葉を聞き逃さなかった。
洋希「...すいません、いまなんて言いました?」
千歌母「ん?美人のお友達って...」
洋希「その後です!」
千歌母「こんなにかっこいい彼氏さんもいるし...ってところ?」
洋希「それはいったいどこ情報ですか?」
千歌母「志満と美渡が、「千歌に彼氏ができたよ〜!」って言ってたから...もしかしたらと思ったんだけど...」
その時、俺はどこからか視線を感じた。見渡すと障子の隙間から覗く目があった。あれは2人に違いない。俺の視線に気がつくと、障子がゆっくり閉じられた。なので俺は少し怒りをこめて音量高く言い放った。
洋希「志満さん、美渡さん、あとで話があるんで、下で待っててくださいね!」
するとドタドタドタと階段をかけおりる音が響いた。美渡さんは平常運行になのはわかるけど、まさか志満さんまでそんなことをいうとは。やっぱり姉妹だからなのかな?
障子の方から目を離し、千歌のお母さんへ顔を向け直す。
洋希「すいませんけど、俺は別に千歌の彼氏じゃないんすよ」
千歌母「あら!そうだったの!ごめんなさいね、勝手にはしゃいじゃって」
むしろ実の母親に、そういった期待を持たせてしまったことに如何せん申し訳なく思う。まあ、あらぬことをいったあの二人が悪いんだけどね。
千歌「それより、どうしてここにいるの!東京にいたんじゃないの!」
普段の千歌とは違って、キツめの口調なのが気になる。もしかして仲悪いのか?
千歌母「そうだけど、なんか、千歌がスクールアイドルとかやってるから1度見に来てって志満から連絡があって...」
千歌「また余計なことを...」
片頬を膨らませ、不服そうに呟いた。こんなに不機嫌そうな千歌は、初めて見たかもしれない。
千歌「とにかく今、2人と大事な話してるからあっち行ってて!」
千歌母「はいはい、わかったわかった」
自分の母親を邪険に扱う千歌。ほんとに仲悪いのかな?それとも千歌が反抗期なのか?なんにしろ珍しい千歌の1面が見れたな。
千歌母「あ、1個だけいい?」
千歌「なに」
少し歩いていったお母さんが再度話しかけた。なおも千歌はイライラしている。
千歌母「今度は...やめない?」
お母さんの質問に、多少の沈黙が続いた。
千歌「うん、やめないよ」
清々しい顔でキッパリと答えた。このやりとりにどんな意味があるかは、俺と梨子にはわからないが、2人にとっては大事なことなのだろう。だからあえてどういうことかは尋ねない。
梨子「いいお母さんね」
千歌「え、そうかなぁ」
洋希「ああいうのが大人ってもんだぞ千歌」
千歌「まだそれ言う!?」
さっきまでと違い、いつも通りなった千歌をみて、俺は笑った。やっぱりこっちの方が千歌らしいな。
そして俺につられて梨子と千歌も笑いだした。
洋希「ふぅ、じゃあ俺らはそろそろやることやるか」
千歌「ええ!もう少し話しようよ〜」
洋希「帰るぞ?」
千歌「わかったよ!やるよ!」
洋希「てわけで、梨子、また明日な」
千歌「おやすみ梨子ちゃん!」
梨子「おやすみ、千歌ちゃん、洋希くん」
互いに別れの挨拶を交わし、千歌颯爽と部屋に戻って行った。それに続いて俺も部屋に戻ろうとする。
梨子「洋希くん」
梨子に呼び止められ、俺の足が止まる。振り向いて「どうした?」と聞く。
梨子「ありがとね」
洋希「なにが?」
突然の礼に、俺はすぐにその意味を尋ねた。
梨子「大会規約のこと言ってくれて。もし洋希くんが言ってくれなかったら、私...言い出せなかったかもしれないから...」
洋希「んなことねぇよ、俺がいなくたって梨子は...」
ドックン
俺の心臓が、また激しく波打った。自然と俺の手が胸に当てられる。この感じ...なんだか最近多い気がする。本格的に病気なのかな俺。
梨子「洋希くん?」
洋希「...ん?ああ、とにかく梨子は大丈夫だ!もっと自分に自信をもて!」
胸に当てた手をとっぱらい、誤魔化すように言葉を続けた。
梨子「そっか...ありがとう洋希くん」
梨子が安心した笑顔になる。千歌のお母さんが言うように、梨子は美人だ。ただ最近はどうも抜けてる梨子を見すぎているせいかその感覚が薄れていた。けどこうして改めてみると、梨子は魅力的だ。その辺の男子なら5、6人落としても不思議ではない。
洋希「やっぱ、梨子は美人だな」
梨子「えっ...///」
洋希「じゃ、おやすみ」
梨子の顔が赤くなったのを見届けて、その場を後にした。
もし俺があの時、いや、この内浦に来ることなく、千歌たちと出会わず、Aqoursのマネージャーをしていなかったら、今回の1件はどうなっていただろうか。梨子が言い出せず、むつ達が必死に練習したのに、当日になって出られないことが判明する。そうなったら彼女たちたちはどうしただろうか。Aqoursは、どんな道を辿っていただろうか。
ifな話を頭に浮かべながら、俺は障子をゆっくり開けて、千歌の部屋に入った。
洋希「...」
美渡「そのぉ...」
洋希「勝手に彼氏って決めつけないで貰えます?」
美渡「ちちち違う!最初に言ったのは志満姉だから!」
洋希「そうなんですか?」
志満「さ、さあ?どうだったかしらね?美渡が言ってた気がするけど...」
洋希「はぁ、姉妹で罪の擦り付け合いしないでください...」
美渡「でもさ、元を言えば洋希が彼氏みたいなことしかしてないからだよな?」
洋希「へ?」
美渡「うちにくる頻度高いし、千歌が寝落ちしたらお姫様抱っこでベッドまで運んで、頭ナデナデして微笑んでるし」
志満「毎日朝千歌ちゃん起こしに来て一緒に登校してるしね」
洋希「...」
美渡、志満「実のところ、どうなの?」
洋希「そんなこといっても...」
洋希「俺はあいつの彼氏じゃねぇ!!!」
実はもう少しだけ書き足そうと思っていたんですが、それは次回に回すことにしました。
それと次回の投稿に関してですか、もしかしたら投稿できないかもしれません。理由としては夏休みの課題が残っているからです。ですので来週投稿されてなくても失踪したと思わないでください。楽しみにしてくれいる方には申し訳ないです。
それでは、1週間あくかもしれませんが、
次回もお楽しみにヾ(・ω・`)