ラブライブ!サンシャイン!! 〜希望の光〜   作:リオート

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洋希「いや〜今年のポケモン映画も最高だったなぁ〜」
梨子「洋希くん、映画見にくんだね」
洋希「ほんとに自分の好きなやつの映画とかしか見ないけどな、梨子は?」
梨子「私は映画よりコンサートとかの方が多いかな」
洋希「さすがピアニストってところだな!」
梨子「今度東京のほうのコンサートと行くんだけど、洋希くんもどう?チケット2枚あるんだけど...」
洋希「まじ?なら行ってみようかな」
梨子「ほんとに!?じゃあ予定の話しよっか!」
洋希「おうよ!」

千歌、曜(梨子氏...うまく誘いおったな...)


どうもみなさん( ゚▽゚)/コンニチハ。マサラタウンのリオートです。嘘です♪
今年のポケモン映画も泣けるシーンが多くて良かったです!まだ見てない方はぜひ劇場へ!
あと初めて生のコンサートを見に行ったのですが、やはりテレビで見るのとは迫力が違いますね!コンサートの経験がない方はぜひそちらも行ってみてはいかがでしょうか。

それでは、本編スタート!!


第8章 サンシャイン!!
第71話 悪魔的優しさ


μ'sは、なにもない道を、自分たちので作り上げ、そこを思いっきり走り抜け、輝いた。その先になにがあるか、なにを手にするかなんて考えていなかっただろう。ただひたすらに、走った。

だから俺たちも決めた。μ'sを追いかけるのではなく、自分たちの道を走って、自分たちの輝きを掴む。

新たな決意を胸に抱いた俺たちは、今日も強い日差しが照りつける中、練習に勤しんでいる。

 

 

洋希「ワン!ツー!スリー!フォー!ワン!ツー!スリー!フォー!」

 

手拍子を鳴らし、声でリズムをとる。それに合わせ、千歌たちが踊るが、まだまだ動きにムラがあるのが見ていてよく分かる。

 

洋希「ルビィ、今のところの移動はもう少し早くな」

ルビィ「は、はい!」

洋希「善子は...」

善子「ヨハネ!」

洋希「...はいはい、さらに気持ちに急ぎでな」

ヨハネ「承知!空間移動使います!」

洋希「普通にやってくれ...」

 

こうして俺がちょいちょい修正箇所を提示する。全員で踊ると自分以外になかなか目が向けられないから、こういう時にマネージャーである俺がみることで、千歌たちは自分の踊りに集中できるようになる。

全員が最後の決めポーズをしたところで、俺も手拍子を止める。

 

洋希「よし、じゃあ休憩にするか、お疲れさん」

 

そう言うと、余裕そうな曜と果南先輩をのぞくメンバーが、一斉に床に座り込む。気温といい、練習量といい、みんな気が滅入ってしまっているのだろう。

俺は日陰に置いておいたクーラーボックスから、水を人数分取り出した。

 

花丸「暑すぎずらぁ〜」

ルビィ「今日も真夏日だよぉ...」

洋希「ほいよ、お二人さん」

 

抱えたペットボトルの2本を2人に差し出す。ぐでーっとなっていたルビィと花丸の視線が、用意した水に向けられる。

 

洋希「水分補給はかかすなよ?倒れたら元を子もないからな」

ルビィ「ありがとう!...」

花丸「ずら!」

 

疲れ切っている2人は、なんとか体を起こして水を受け取る。

 

花丸「ずらっ!冷たいずら!」

ルビィ「ピギャア!」

洋希「あっはは!そりゃそうだろ、ちゃーんと冷やしてたんだからな」

 

冷たさに驚きながらも、キンキンに冷えたペットボトルを開け、グイッと飲む。中に入った水が、みるみる減っていく。

 

果南「洋希〜私たちにも頂戴よ〜!」

洋希「あ、そうだった...はい、どうぞ」

 

果南先輩には、本人と鞠莉、ダイヤさんの分を渡し、近くにいた梨子には千歌と曜の分を渡した。そして、残りの1本を、鉄板のようになってるであろう床に寝そべる堕天使のおでこにひっつけた。

 

善子「冷たっ!」

 

顔からこれでもかと言うほどの汗をながしている。それもそのはず。こんな気温が天元突破してる中で、黒いローブを身にまとったら熱いに決まってる。それなのに、善子はそれを一向に脱ごうとはしない。

 

洋希「黒い服はこの時期やめたほうがいいって言ったろ?」

善子「黒は堕天使のアイデンティティみたいなものよ...黒がなくては...生きていけない...」

洋希「そのアイデンティティを守るために死にかけてるのはどこのどいつだ?」

 

そう善子になげかけるものの、善子はキリッとした顔を見せる。どうしてもこのローブを脱ぎたくないみたいだ。自分の好きなことを貫けとはいったけどなぁ

 

洋希「まあお前がそうしたいならいいけど、無理だけはすんなよ?」

ヨハネ「気遣いありがとう、リトルデーモン。でも心配はいらないわ、このヨハネに灼熱の太陽など無意味...」

洋希「あ、飲み終わったペットボトルはそこのクーラーボックスに入れといてくれ」

ルビィ「わかりました!」

善子「聞きなさいよ!!」

 

空のペットボトルを持ってルビィがオロオロしていたので、置き場所を指さした。その間に善子がなにか言っていたみたいだけど全く聞いてなかった。

 

洋希「なんかいったか?」

善子「もういいわよ...」

 

改めて聞いてみたがもう答える気力はないみたいだ。逆に千歌は、水分補給と休憩で気力が戻ってきた様子だ、

 

千歌「よーし!そろそろ再開しよっか!」

ダイヤ「ぶっぶー!」

千歌「何!?」

 

1人つっき抜けて練習を始めようとする千歌にダイヤさんが詰め寄る。

 

ダイヤ「オーバーワークは禁物ですわ!」

鞠莉「By果南!みんなのことも考えてね!」

千歌「そっか、これからが1番暑い時間だもんね」

洋希「地区予選が近づいて焦る気持ちもわかるけど、休むことだって、練習のひとつに越したことはないぜ」

 

ココ最近の千歌たちの頑張りは、近くで見てる俺がよく知っている。地区予選に向けて、毎日練習を欠かさない姿に関心している。練習詰めになっているからこそ、休憩をとるのも大事だのだ。

 

洋希「というわけで、1時涼しい場所に...」

果南「でもその前に、みんな100円だして!」

 

果南先輩の言葉に反応し、先程までくたばっていた善子がムクっと起き上がりだした。100円ってことは...またあれをやるのか...。

 

ヨハネ「やってきたのですね、本日のアルティメットラグナロク、くっく...未来が!時が!見える!」

 

相変わらず意味不明な言葉を並べる善子をスルーして果南先輩が合図をする。

 

果南「じゃあいくよ!」

花丸「ジャーンケーン!...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

善子「なんでいつも負けるのかしら...」

 

お気に入りのチョキを見ながら、私は自分に問いかけた。このジャンケンが始まってから数日、ずっと負け続けている。いったい何がいけないのか...はっ!もしやヨハネの思考を読み取られているんじゃ!...

 

洋希「そりゃあお前、いつもそのチョキを初手でだしてるからだろ。たまにはパーとか出して一人勝ちしろよ」

 

ヨハネの問いに、洋希が答える形となった。言われてみれば、確かに私は最初にチョキを出すことが多い。いやむしろチョキしか出していなかった気もする。

ピンポイントな答えを言われてしまったので、なんとか言葉を繋ぎ合わせ言い返す。

 

ヨハネ「それはできないわ。これは堕天使に代々受け継がれている伝統の...」

洋希「なら、買い出しいかされても文句いうなよ」

善子「ぐっ!...」

 

ツンとした様子で洋希はいとも容易く反撃してきた。アイデンティティとるか買い出しなしをとるか、私にとって究極の選択とも言える。それはそうと、リトルデーモンも今日チョキをだして負けていた。というか、このあいだからリトルデーモンもなぜかチョキを出し続けて負けている。

 

善子「そういうリトルデーモンだって、いつも私と同じで最初にチョキだして負けてるじゃない」

洋希「お、よく気づいたな」

 

 

ヨハネの行動パターンを読めているなら、なぜわざと負けるようなことをするのか。私は頭にうかんだ予想を口に出した。

 

ヨハネ「もしや、やっとリトルデーモンとしての自覚が芽生えてきたのかしら?」

 

スクールアイドルに入る時に、主従関係を築いたはずなのだが、どちらかというと私の方が下の方になっている気が最近していたのだ。それがここで逆転したのでは?

 

洋希「まあ、半分正解で、半分はずれってところかな」

善子「え?どういうこと?」

洋希「ま、それはいづれ分かるとして...お、今日も、来てるな」

 

正解とはずれの内容を聞く前に、私たちは目的地...終焉の地へと降臨した。といっても、ただのコンビニに過ぎないのだ。そう、あのジャンケンは、コンビニでアイスを買い出す人を決めるためのものなのだ。ただ、外の灼熱に比べて、中はエデン、楽園といっても過言ではない。

リトルデーモンと私が中に入ると、フリースペースの方から子供の弾んだ声が聞こえた。

 

???「あ!ヒロ兄だ!」

???「あくまのおねぇちゃんもいる!」

 

座っていた椅子から飛び降りると、真っ先に私たちの方へ女の子2人が駆け寄り、遅れて1人がやってきた。

 

洋希「よ!元気してるか?」

かのん「うん!今日もかのんたちに会いに来てくれたの?」

 

最初にリトルデーモンに問いかけた女の子。ルビィとにたツインテールしているのが、かのんちゃん。その隣に立っている青みがかったロングヘアーの女の子は、みうちゃん。そして2人の後ろでモジモジしている女の子、頭に大きなリボンをつけているのが、ハルちゃん。みんな地元の子達だ。

 

洋希「残念、半分正解で、半分はずれだ」

「えー!どういうこと!」

洋希「さあ、どういうことでしょうね?」

 

そう言いながら、洋希は私の方に顔を向けてきた。なぜここで私?と最初は気が付かなかった。けどそのあとすぐにわかった。洋希がわざと負けた理由。半分はわたしのため、そしてもう半分はこの子達に会うため。だから洋希は私にもこの子たちにも「半分正解、半分はずれ」といったんだ。といっても「そういうことだぜ」みたいな顔されても別にスッキリはしないんだけどね...。

 

かのん「ねえねえヒロ兄!今日はなんのアイス買ってくれるの?」

みう「私あのチョコのやつがいい!」

ハル「ダメだよ二人とも、いつも買ってもらってちゃ...」

 

洋希にアイスをねだる2人を、ハルちゃんが止めようとする。なぜここまで洋希が慕われてるか。それは最初にリトルデーモンと買い出しに来た時、コンビニのフリースペースでぐでーとしてるこの子たちを見かけた洋希が、なんの言われもなくアイスをあげたことが始まりだ。それから買い出しに来る度に、この子達にアイスをせがまれるようになったが、洋希は嫌な顔ひとつせず、いつも奢っている。なぜ他人にそこまですることができるのか、初めてあってからずっと疑問に思ってることだ。

ちなみに私があくまのおねえちゃんと言われる理由は、洋希との関係を聞かれた時に、リトルデーモンと言ったのだが、どうやらそれをわたしのことだと勘違いしたらしく、こうしてあくまのおねえちゃんと言われているのだ。「私は堕天使よ!」といいたいが、洋希に止められる気がするので黙っている。

 

洋希「いいよいいよ、お兄ちゃん太っ腹だから、今日は好きなアイスでいいぞ」

 

洋希がいっちょ前なことを言うと、かのんちゃんとみうちゃんは「やったー!」と言いながらアイスの棚の方へ一直線に向かっていった。けどもう1人は心配そうな顔を洋希の方へ向けた。

 

ハル「ほんとに...いいんですか?」

洋希「いいのいいの、暑いのに頑張って外出てるんだから、ハルちゃんも好きなのとってきていいよ」

 

洋希は膝を曲げ、ハルちゃんに目線を合わせて、頭を撫でた。そうすると先程までしていた心配そうな表情が消え、笑みがこぼれていた。

 

ハル「...ありがとうございます!」

 

お礼をいうと、2人を追うようにアイスの方へ行った。洋希はというと、満足気な顔をして、これがいいあれがいいと選ぶかのんちゃんたちを見つめていた。その間に私はさっきうかんだ疑問を直接尋ねた。

 

善子「ねぇ、何であの子達にあんなに優しくするの?」

洋希「と言いますと?」

善子「だって、言っちゃえば赤の他人じゃない。なのにどうしてあそこまでするの?」

 

私が躊躇なく聞くと、洋希は無言で立ちあがった。そして考える時間もなく、すぐに答えをだしてきた。

 

洋希「...特に理由なんてねぇよ」

善子「は?ない?」

洋希「ただ、俺のしたことで誰かが笑顔になってくれればいいなって、それだけ」

善子「誰かを...笑顔に...」

 

いったいどんな生き方をしてきたら、こんな考えが浮かぶのだろうか。人はだれしもなにかをしたらなにかを返して貰う、見返りを求めるのが当たり前だと思っていた。しかし私の前にいるこの男は、全くかどうかは分からないけど、そういうことは考えてないんだと思う。純粋に誰かを助かけること、誰かを喜ばせることがしたいだけなんだ。そんな考え、私にはない。ヨハネだったら、コンビニでだらけてる子供をみても、そっとアイスを差し出すことなんでできない。洋希の優しさは、もはや悪魔的といってもいいぐらいだ。Aqoursにいてもそうだ。洋希の周りは、いつも笑顔で溢れている。

私は改めて、リトルデーモン...赤羽洋希という男のすごさに気付かされた。

 

かのん「ヒロ兄!わたしこれがいい!」

みう「私はこれ!」

 

選び終わった2人が洋希にアイス見せる。どちらも少々値段の張るものだが、洋希は「いいよ」といって2人が取ってきたアイスを受け取った。

 

ハル「あの...私はこれがいいんですけど...」

 

2人の後ろからハルちゃんがアイスを出してきた。あの子のことだから1番安いアイスでも選んできたかなと思ったのだが、その逆だった。

 

洋希「は、ハーベンダッツ...」

 

予想に反し、コンビニでは高い部類に入るハーベンダッツを選出してきた。たしかになんでもいいといったがこれは...。学生が買うには厳しいものはずだが、洋希は笑顔を引き攣らせながらも、「わかった、いいよ」といってその子のアイスも受け取った。

 

洋希「さ、さぁ俺らも早く頼まれたアイス買わないとな、帰ってから千歌たちが文句言い始めるぞ」

 

ハーベンダッツのせいか、少し声が震え気味に聞こえてくる。多分リトルデーモンもあの選択は予想できなかったのでしょうね。

子供たちのも合わせ、カゴに入れたアイスをレジに持っていった。そして今日の金額は...。

 

店員「1908円になります」

洋希「おい、絶対あいつらの中で100円以上のアイス頼んだやついるだろ...」

 

財布からお金を取り出しながら洋希が呟いた。もはやこれが恒例となってしまっているぐらいだ。その度に洋希が不足分を補っているのだ。少しはリトルデーモンのことを考えて欲しいものね...。

会計が終わると、袋の中から子供の達のぶんのアイスをは渡した。「ありがとう!」とお礼を言われた洋希は、さも嬉しそうな顔をしていた。

店を出たあとも、洋希の満足そうな表情は消えることはなかった。

 

 




鞠莉「洋希、レシートが落ちてるわよ」
洋希「あっ、ありがとうございま...」
鞠莉「ん?ハーベンダッツ?だれかそんなの頼んだからしら?」
洋希「あ、えっとそれは...」
千歌「なに!?ひろくんだけハーベンダッツ食べたの!?」
洋希「いや俺じゃなくてだな...」
善子「地元の子供達に買ってあげてたのよ」
洋希「善子おま!...」
曜「地元の...」
梨子「子供たち...」
洋希「い、いろいろあってだな!その...」
千歌「ひろくん!」
洋希「な、なんだよ...」
千歌「今度私にもハーベンダッツ買ってね!!」
洋希「...はぁ、わかったよ...」
善子(優しさって、時に自分を犠牲にしてしまうのね...勉強になるわ...)


今回は本編進めつつのちょび善子回な感じにしました。あと今回出てきた女の子たちの設定は勝手に決めました。一応アニメにもその子達は出ています。(13話の善子がコンビニでアイスを買ってるシーン)


次回もお楽しみに!ヾ(・ω・`)

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