ラブライブ!サンシャイン!! 〜希望の光〜   作:リオート

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梨子「洋希くん、なにしてるの?」
洋希「パソコンで絵を書いてるんだけど...これが結構難しくて...」
梨子「絵かぁ...」
洋希「あ、そういや梨子って元美術部だよな?」
梨子「そ...そうだけど...」
洋希「だったらなんか書いてくれよ!」
梨子「い、いいけど...何を書けば...?」
洋希「とりあえず...象で!」
梨子「ぞ、象ね...わかったわ...」

〜数分後〜

梨子「できたわ!」
洋希「どれどれ!...これが...」
梨子「象よ」
洋希「梨子さ...」
梨子「象よ」
洋希「桜内さ...」
梨子「象よ」
洋希「...象ですね」





どうも皆さんこんにちは、リオートです。
最近になってPhotoshopというものを使い始めました。簡単に言えば...絵がかけるツールみたいなもんです。
いつかはそれでちゃんとした絵がかけるようになって、この小説の挿絵をつくってみたいですね...。頑張って絵のスキルを上げます!
あと私事ではありますが、前回の投稿でちょうど私が初めて投稿してから1年が経ちました!暇つぶしで始めた小説が、まさかここまで来てしまうとは...。その間にたくさんの方がお気に入りしてくれて、感想くれて、もう感無量でございます。
それでは、本編へどうぞ!

あ!それと大逆転裁判、めちゃめちゃ面白いです!




第59話 海に還るもの

ダイヤ「では!これからラブライブの歴史と、レジェンドスクールアイドルの講義を行いますわ!」

 

千歌の部屋に貼り付けた「ラブライブの歴史!!」と書かれた紙を指示棒で叩きながら、ダイヤさんは言った。

時刻は夜9時。練習は遠におわり、風呂や夕飯も済ませゆっくりできる時間帯のはずが、ダイヤさんの唐突な授業により潰されるはめになってしまった。みたいドラマがあったのになぁ...。

 

果南「いまから...?」

ルビィ「わぁぁ〜!」

 

明らかにめんどくさそうな様子の果南先輩と、それとは反対の反応を示すルビィ。気持ち的には、俺は果南先輩と同じだ。いまから始まる講義のほとんどは俺が知っていることだろう。だったら無理に聞くことはない、トイレに行くといって、下の部屋でドラマを見に行こう...。

そう思った矢先、ダイヤさんが鋭い視線を俺に向けてきた。

 

ダイヤ「洋希さんも復習だと思ってしっかり聞いていてくださいね?トイレに行くと嘘をついて抜け出さないように!」

 

また始まった、ダイヤさんの特殊能力だ。

 

 

解説王「あいつは...ダイヤは...洋希が考えてること(主に悪いこと)を読み取る能力があるんだ!たとえ洋希が口にしないことでも、ダイヤはそれを直接脳に取り込んで心を読んじまうんだ!つまり洋希は、ダイヤの前で悪いことを考えることすらゆるされない!」

ダイヤ「あなた!これから私の講義が始まりますの!静かにしていてくださいませんか!」

解説王「しゃぁねぇな...スピードワゴンはクールに去るぜ...」

 

どこぞのお節介焼きが、ダイヤさんの能力を説明してくれたところで、俺は渋々、先ほどいた場所に腰を下ろす。

 

ダイヤ「だいたいあなた方は、スクールアイドルでありながら、ラブライブのなんたるかを知らなすぎですわ!」

 

言われてみればそうかもしれない。Aqoursの中だと俺とダイヤさん、あとルビィあたりぐらいがスクールアイドルについてもっとも詳しく知ってるだろう。ほかはそもそもスクールアイドルについてほとんど知らないで入ったヤツらばっかだし。にしても千歌は知らなすぎだ。

 

ダイヤ「ではまずA‐RISEの誕生から...ん?」

 

説明を始めよしたダイヤさんが口を止めた。その理由は俺の隣に座る鞠莉さんだ。体育座りで目もパッチリしっかり聞いているように見えるが、何故かイビキが聞こえる。

 

ダイヤ「鞠莉さん、聞こえてますか?」

 

鞠莉さんの目の前でダイヤさんが軽く手を降るが、ピクリとも動かない。寝てるのだろうか...、いやなら目が開いてるわけもないし...まて、なんか鞠莉さんの目、やけにでかくないか?

それに気づいた瞬間、鞠莉さんの目がペリペリとめくれ始めた。奇怪とも言える出来事に、ダイヤさんは大声を上げながらふんぞり返った。

 

ルビィ「お、お姉ちゃん!?」

洋希「大丈夫ですか!?」

 

慌てて駆け寄りダイヤさんを軽く持ち上げた。どうやら気絶しているだけのようだ。これで打ちどころ悪かったなんていったら笑い事じゃ済まされない。

ちなみに鞠莉さんの目がめくれたのは、よくある目に貼りつけるシールを装備していたからだ。

まあこれでひとまず長くなると思われた講義をせずに済んだ。よし、こんどこそドラマを見に...

 

千歌「きょ、今日はもう遅いから早くねよ!」

 

早口になりながら、千歌は妙な提案をしてきた。いつもなら「もっと話しようよ!」なんて寝るまでの時間を引き伸ばすくせに。

 

洋希「どうした千歌、まだそんな時間じゃ...」

 

慌てる千歌をなだめようとした時、不意にどこかから視線を感じた。それは隣の...美渡さんの部屋からだった。2つの部屋を隔てる襖の間から、ピンク色の瞳がギラりと輝いていた。千歌を睨めつけていたであろう瞳が、今度は俺の方に向いた。旅館娘としての義務、それを守ろうとする意思を、その目から感じ取った。静かにしろ、騒ぐな、と...。

 

洋希「そ、そうだな!明日も練習あるし、きょ...今日は寝よう!」

千歌「だよね!睡眠は重要だもんね!」

洋希「その通りだ!」

曜「でもいつも2人はそんな早く寝てないような...」

 

曜が口を開くと、千歌はすかさず駆け寄った。

 

千歌「今日のところは早く静かにしないと!旅館の神様に尻子玉ぬかれるよぉ!」

曜「よ、よーそろー...」

 

覇気のないヨーソローで曜が納得すると、覗いていた眼が暗闇に消え、静かに襖が閉じた。旅館の神様の怒りがなんとか静まったようだ。

その後全員、それぞれの部屋に戻り、眠りに着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日は、とても奇妙な夢を見ていたと思う。千歌が突然海に飛び込んだり、梨子がしいたけにのって内浦を駆け回っていたり、曜が船長になって船を動かしていたり、花丸と善子が漫才コンビを結成していたり、果南先輩と鞠莉さんが結婚したり、そのなかでもよく頭に残っていたのが、ダイヤさんとルビィが組の頭はっていて、バイクを乗り回す夢だった。普段の2人からは想像も出来ない...ギリギリダイヤさんはいけるかもしれない光景だった。そんな夢の数々を旅している時だった。

 

???「...ろ...ん...」

 

耳に微かに声が届いた。それは夢の中ではないのはすぐにわかった。現実世界に脳が戻ってきた俺は、そのまま耳だけを機能させた。

 

千歌「ひろくん...」

 

俺を呼んでいたのは、隣で寝ていたはずの千歌だった。俺は寝ている間に、千歌の方に体が傾いていたので、少々重い瞼を開けると目の前にいつものお下げを取り外した千歌がいた。いつもと違う風貌だったが、目覚めの俺は、特になんの感情も抱かなかった。

 

千歌「ごめん...起こしちゃって...」

洋希「どうした?...トイレにでもついて行って欲しいのか?」

千歌「違うよ!私そんな子供じゃないよ!」

 

小さい声で、千歌は俺の咄嗟に思いついたいじりを否定した。

 

千歌「あのね...梨子ちゃんの事だけど...」

洋希「梨子のこと?」

千歌「うん、やっぱりちゃんと聞いておきたい、梨子ちゃんの気持ち...」

洋希「気持ちって...コンクールのことか?」

千歌「そう。あと梨子ちゃんが作った曲のことも」

 

千歌が言っているのはこの前梨子の部屋に置いてあった楽譜のこと。梨子がコンクール用に作ったであろう曲。

 

洋希「じゃあいまから梨子を叩き起こすのか?」

千歌「叩きはしないけど...まあ起きてもらうことには変わりないかな...」

洋希「わかった、起こす」

 

俺は180度体の向きをかえ、反対側の梨子に顔を向けた。相変わらず気持ち良さそうに寝る梨子に、申し訳ないと心の中で謝罪しつつ、ほっぺたをつんつんしながら呼びかけた。ちなみに言い忘れていたが、今回の監視役は千歌と、残念ながら2回目の梨子だ。しかし梨子が監視役に決まった時は、悔しそう...というより喜んでいたようにもみえた。なにがそんなに嬉しいのだろうか...。皆目検討もつかない。

 

洋希「梨子さ〜ん、ちょっといいですかぁ〜」

 

数回つつくと、梨子は目を覚まし、体をムクっと起きあげた。

 

梨子「なぁに?また話?」

 

ふあぁ...と欠伸をしながら、起こした理由を尋ねてきた。2回目だけにあって、少しばかり罪悪感が湧いてきた。

 

千歌「ごめんね梨子ちゃん、起こしてって頼んだの私なんだ」

梨子「千歌ちゃんが?」

千歌「うん、ついてきて欲しいところがあるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子「どうして...ここなの?」

千歌に連れられてやってきたのは、とっくのとうに営業時間は終了した海の家だ。来た理由が分からない俺と梨子は、ただ立ち尽くすだけだった。

 

千歌「とりあえず、中に入ろっか」

 

そういって千歌は、扉を開いて部屋の中の電気を付けた。お客さんも誰もいない静かな空間になっているだけだ。

 

梨子「それで...私はなにをすれば...」

千歌「あれ」

 

千歌の指さす先にあったのはピアノ。梨子の部屋や学校にあるやつには及ばない大きさのピアノだった。

 

梨子「あれで...演奏しろってこと?」

千歌「そう、この曲をね...」

 

そういって千歌はどこからともなく、重なった紙を取り出した。梨子はそれを受け取り確認すると、目を見開いた。

 

梨子「どうして...これを...」

 

気になってスっと覗くと、タイトルがみえた。「海に還るもの」...まてよ...。

 

洋希「千歌、これって...」

千歌「梨子ちゃんの部屋に置いてあったやつだよ。私、どうしてもこの曲が聞きたいんだ、梨子ちゃんのピアノで...」

 

盗人行為についてはさておき、千歌はこの曲を聞くためだけに梨子をこの場によんだみたいだ。

 

千歌「梨子ちゃんが自分で考えて、悩んで、一生懸命気持ち込めて作った曲でしょ?だから...聞いてみたいんだ!」

梨子「でも...」

千歌「お願い、少しだけでいいから...」

梨子「...」

 

千歌の頼みに、答えが詰まる梨子。自信がないのか、はたまたそれ以外か...。

 

洋希「梨子、俺も聞いてみたい。梨子が1人で作った曲」

梨子「洋希くん...」

洋希「ダメ...かな?」

 

ダメ押しに俺も頼んでみたが、それで梨子が了承してくれるだろうか...。

梨子は少し考え込んだのち、口を開いた。

 

梨子「あんまりいい曲じゃないけど...それでいいら...」

 

そういって梨子は椅子に座り、蓋をあけ、鍵盤に触れようとした。一瞬、その手がピクっとなって止まったのがみえた。

まだ、ピアノに対して何かしらの抵抗があるのだろうか。

ふぅと息を吐き、再び鍵盤に手をつけた。梨子の...真夜中のコンサートが始まった。

 

 

梨子の指の1つ1つが、鍵盤に重なり、音を奏でる。穏やかな音色が、部屋の中に広がる。なんと美しいのだろう。目を閉じると、目の前に青く澄んだ海が見えてくる。波打つ音。遠くで飛ぶカモメの姿までもが、イメージとして浮かび上がってくる。梨子の気持ち、この内浦での経験、体験を表している。そんな風に俺は捉えた。

 

 

梨子「どう...かな...?」

 

演奏を終えた梨子が、膝に手をついて聞いてきた。すっかり聞き入ってしまった俺たちは、遅れてその言葉に反応した。

 

千歌「いい曲だね...」

洋希「ああ、最高だよ...」

 

もっと言うべき言葉は沢山あるが、今は感動に満ち溢れているせいか、その一言しかでてこなかった。

 

梨子「ありがとう...」

千歌「ねぇ、梨子ちゃん」

 

お礼をいう梨子に、千歌が話しかけた。

 

千歌「ピアノのコンクール...出てほしい」

梨子「!...」

 

千歌の唐突な申し出に、梨子は再度驚き目を見開いた。

千歌が何故呼び出してまであの曲を聞いたのか。それはあの曲に秘められた梨子の「本当の気持ち」を確かめるためだった。

 

千歌「こんなこというの変だよね...スクールアイドルに誘ったのは私たちなのに...。梨子ちゃんが、私たちのことを思ってくれたのはわかる...でもね!」

梨子「私と一緒にいるのが...いや?」

千歌「違うよ!一緒がいいに決まってる!」

 

梨子の問をすぐに否定したが、そこで言葉が止まってしまった。なので今度は俺が考えを述べようと思い、千歌の隣に立つ。

 

洋希「梨子、そもそもお前って、なんで内浦に来たんだっけ?」

梨子「それは...」

 

梨子がここに来た理由。それはピアノが引けなくなった梨子のため、環境を変えればまたピアノができるようになるのではと両親が考えたかららしい。(梨子ママ情報)

 

洋希「それ聞いて思ったんだ。梨子がスクールアイドルを通じて、音楽に、ピアノともう一度向き合えるようになって欲しいって」

梨子「...」

 

梨子の顔が曇る。心が揺らいでいる、それはもう痛いほどわかる。頭の中がグチャグチャになって、整理が間に合っていないようにも見て取れる。

 

千歌「梨子ちゃん」

 

 

先ほどまで口を開かなかった千歌が、ようやく話し出した。

 

千歌「梨子ちゃんが、この町や学校や、みんなが大切なのはわかるよ。私も同じだもん!でもね...梨子ちゃんにとってピアノは、同じぐらい大切なものだったんじゃないの?その気持ちに...答えを出してあげて?」

 

千歌の言葉に、梨子がハッと息を呑む。

 

千歌「私待ってるから!どこにも行かないって、ここでみんなと待ってるって約束するから...だから!...」

 

千歌の言葉を遮るように、梨子は俺と千歌の首に腕を回して、ギュッと抱き寄せてきた。

 

梨子「ほんと...変な人達...」

 

震えるような声で、梨子が呟いた。普通に捉えればただの悪口にしか聞こえないが、しかし本当の意味は...俺たちみたいな変な人だからこそ、こんな結論に至れた、という意味だろう。自分たちからスクールアイドルに誘った梨子を、ピアノのコンクールへと送り出すという。

抱擁を解除した梨子の手を、俺と千歌でそっと握りしめる。

 

洋希「梨子、俺はお前のピアノが大好きだ。さっき聞いた曲も、今まで作曲してきたAqoursの曲も。だから...その才能を...捨てないで...発揮してくれ。お前が取り戻した、お前だけのピアノを...」

千歌「私も、梨子ちゃんのピアノ、大好きだよ」

 

俺たちの言葉に、さらに続けて涙を流す梨子。嗚咽を交えながらも、最後に梨子は言葉を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子「大好きだよ...千歌ちゃん、洋希くん...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昇った太陽が作り出した朝焼けが、洋希たちを照らし、次のステージへの火蓋を切った。しかし1度は別れてしまう道、異なる目標へと向かってしまう。だが彼らは決して立ち止まらない。その先で、互いに目標を達成し、再び巡り会うことを信じているから...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




洋希「そういやさ、梨子がいなかったら、Aqoursって8人になるよな」
千歌「はっ!忘れてた...」
洋希「おいリーダー、しっかりしてくれよ」
千歌「むぅ〜!ひろくんだってわすれてたでしょ!」
洋希「発言は控えさせていただく」
千歌「こんなところで黙秘権使うな!」
洋希「黙秘権なんて言葉知ってるのか!?」
千歌「それぐらいは知ってるよ!」
洋希「いつのまに賢くなったんだ...」
千歌「まっ、私はどんどん賢くなっていくからね!」
洋希「8人でどうすりゃいいかなぁ...」
千歌「さらっと無視しないでほしいなぁ...」
梨子「ふふっ」
梨子(やっぱり...変な人達♪)



読んでいただきありがとうございます。今回で本編10話が終了となります。最後のほう少し駆け足になってしまったかと思います。次は11話、曜ちゃん視点が多くなるかもしれませんがご了承ください!

それでは、また次回!ヾ(・ω・`)

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