聖羅「正直このまま、好印象をもたれないのはさすがに厳しいものがありますね」
洋希「すいません、それは俺にいわないで主に言ってください」
理亞「メタイですね姉様」
聖羅「メタイわね理亞」
洋希「最初に言い出しのはあなたたちでしょ!?出番とかどうのこうのって...」
理亞「責任転嫁してきましたよ姉様」
聖羅「よくないわね理亞」
洋希「この姉妹めんどくせぇぇ!!」
どうも皆さんこんにちは。リオートです。函館のユニットライブはどうでしたか?
僕は残念ながら行けてないです。生ダンスなう見たかったです...。
1度でいいからライブチケット当たらないかなぁ...。
そんな届かなそうな願いはさておいて、
本編どうぞ!
μ'sを元にして計画した練習を終えて、千歌の家の前で体についた砂を落とすために、水で体を流している。そして流し終わったら旅館の風呂に直行できるので、その点に関しては千歌の家の合宿はベストなのではと思った。
洗い流すといってもシャワールームがある訳ではなく、ドラム缶ほどの大きさのバケツに入った水をただひたすらにかぶるだけ。
俺は小さいバケツですくった水をルビィに浴びせる。ルビィはすぐさま水気を帯びた体を左右に素早く振る。
ルビィ「うう...冷たい...」
洋希「ちゃんと砂落とさないと中入れないからな、もう少しの辛抱だ」
ダイヤ「まったく!お湯はないのですの?」
ダイヤさんが文句をいうのも無理はない。いくら夏とはいえ、日が暮れて気温もそれなりに下がってきたこの時間に、こんな冷えた水をあびたらお湯が恋しくなる。ダイヤさんのセリフをそのまま美渡さんにいったら、「じゃあ海で流してくれば?」と言われそうだ。用意してくれただけありがたいと思っておこう...。
ルビィ「それにしても、μ'sってすごい特訓してたんだね!」
善子「リトルデーモンね」
花丸「違うずら」
ルビィの言葉に真っ先に反応したのは、水の中から出てきた善子だった。顔にはシュノーケルを装備している。昼間はほとんど泳がなかったくせに、なぜここに来て本格的に潜ったのか、理解に苦しむ。
洋希「とりあえずお前はそこからでろ」
善子「ちょっと!無理やりとらないでよ!痛いでしょ!」
潜ってばっかの善子からシュノーケルを没収する。
たしかに多少強引にとったことには謝罪の念は込めておくがもともとはそんな所に潜るお前が悪いんだぞ?
洋希「ちゃんと洗い流さなかったらお前だけ中入れないからな?」
善子「わかったわよ...でもシュノーケルは返してよね?まさかそのまま使ったりは...」
洋希「するわけないだろ、どんな想像してんだよ」
花丸「まさか洋希先輩、それが狙いで...」
洋希「勝手に変態扱いするな!」
花丸に疑いの目をかけられて、より一層自分の立場がやばいところにあるのではと思ってしまう。
そんな時、入口から美渡さんが姿を表した。
美渡「あんたたち!ほかのお客さんもいるから、絶対うるさくしたらダメだからね!」
千歌「わかってる〜!」
美渡「いったからね!!」
忠告をした美渡さんはこいつら約束守らなそうという表情を浮かべながら中に戻っていった。
美渡さんが去ってすぐ、グゥーと大きな音が聞こえた。みんなの視線が集まった先は、お腹をさする鞠莉さんだった。
鞠莉「I’m hungry、ご飯まだ?」
千歌「それが...」
洋希「まさか...なにもないとか言わないよな?」
千歌「その逆なんだよね...」
洋希「逆?」
言葉の意味を答えを言う前に、まずは風呂に入って今日の疲れを癒すことにした。もちろん俺は男湯で1人、当たり前だよなぁ?
風呂から上がって再び俺達が集まったのは海の家だった。
洋希「で?逆ってのはどういうことだ?」
千歌「見ての通りだよ、この食材たち」
千歌が指で示した場所には、昼に鞠莉さんが作ったシャイ煮とその食材たち、そして善子の堕天使の涙がこれみよがしに積み重なっている。
洋希「もしかして...その昼の残りを、俺たちで全部消費しろと?...」
千歌「そういうこと...」
鞠、善「申し訳ないです(デース)!」
善子と鞠莉さんは指先だけを机につけてる頭を下げるという変わった謝罪をした。この様子だと、ヨキソバは完売したのかな。
洋希「まあ2人がせっかく作ったんだし、俺たちで食べて見ようぜ」
梨子「そうだね」
ルビィ「どんな味なんですかね?」
果南「気になるね」
花丸「まるも食べてみたいずら!」
みんな(不安そうなダイヤさんを除く)の食べてみたいという想いに、先ほどまで落ち込んでいた鞠莉さんと善子が反応し、「いいですわ!!」と声を上げた。
鞠莉さんは鍋に入ったシャイ煮を、火にかけてグツグツと煮込み始め、善子は既に完成して冷めてしまった涙を電子レンジで温め直す。そうして出来た品を机に並べた。
鞠、善「さあ!召し上がれ!」
シャイ煮、堕天使の涙を見つめながら、みんなでいただきますと言うが、そのセリフには、やばそうという気持ちが込められているのがよくわかった。
まず手をつけたのはシャイ煮、見た目も普通で、あのジャイ○ンシチュー見たいのじゃなくてホッとしてる。問題は味だ。そう思いながら、全員で一斉にシャイ煮を口に運ぶ。1口目の感想は...。
千歌「美味しい!!」
洋希「う...美味い...」
1つ1つの食材の味がしっかり出ていて、互いにそれを打ち消すことなく、凝縮されている。なぜこれが売れなかったのだろうか?
梨子「これ...中身はなんですか?」
鞠莉「ふっふっふ...よくぞ聞いてくれました!シャイ煮はわたーし世界から集めたスペーシャルな食材で作った、究極の料理デース!」
自分の食材たちを掲げながら、鼻を鳴らす鞠莉さん。いつの間にそんなもの揃えてたんだよ...。
ダイヤ「それで、1杯いくらですの...?」
鞠莉「さあ?10万円ぐらい?」
あまりのぶっ飛んだ価格に、俺たちは口に含んだシャイ煮を少しばかり吐き出してしまった。売れなかった理由...これだったのか...。
千歌「高すぎるよ!」
鞠莉「そうかしら?」
洋希「一般人からしたら高いんです!」
果南「これだから金持ちは...」
まあまあといいながら鞠莉さんは俺と果南先輩の間にするすると入ってきた。そして俺に体を近づけながら聞いてきた。
鞠莉「まあそんなことより洋希、お味はいかがだったかしら?」
洋希「えっ...まあ、美味しかったですよ?」
鞠莉「そういってくれて嬉しいわぁ!」
そういって鞠莉さんは俺の腕に無理やり引っ付いてくる。だから当たってるんだってば...。
洋希「鞠莉さんでせめて食事中は...」
鞠莉「外k...」
洋希「ここは日本です!!」
鞠莉「だんだん反応が早くなってるわね!」
洋希「余計なお世話です!」
もうこれ鞠莉さんテンプレにどれだけ早く反応できるか選手権みたいになってるんでけど...。賞金とか出たりしませんかね?
鞠莉「じゃあ今度は2人っきりのときにマリィのとっておきの料理を振舞ってあげるわね!」
洋希「た...楽しみにしておきますね...」
鞠莉「そしてそのまま一夜を過ごして...」
果南「はいはい、その辺にしておきなよ鞠莉。洋希が困ってるよ」
この状況を見かねた果南先輩が、鞠莉さんを引っ張って俺から引き剥がした。
鞠莉「あら果南、私と洋希がイチャイチャしてるのがそんなに羨ましかったの?」
果南「別に...私は洋希が困ってそうだから...」
鞠莉「果南だって洋希と一夜を過ごしたいとか考えてるくせに...」
果南「なっ...///考えてないから!!///」
まさか自分がからかわれる対象になるとは思っていなかった果南先輩は、鞠莉さんの言葉に顔を赤らめた。トマトのようになった果南先輩を見ていると、それに気づいて睨みをきかせてきた。
果南「洋希!!わたしはそんなこと考えてないからね!!絶対だよ!!ていうかそんなに見ないで!!///」
洋希「あ...すいません...」
あんまりにも必死に否定してきたので、思わず謝ってしまった。仕方ないので途中のシャイ煮を食べてしまおうと皿を持った時だった。ふと視界に入ったルビィが、堕天使の涙を口に運んでいるのが見えた。
洋希「ちょ!ルビィそれは...」
俺は忠告しようとしたが時すでに遅し、堕天使の涙がルビィの口の中へと入っていった。ルビィは最初、ほへ?という顔をしていたが、みるみるうちにその顔が赤くなっていって...
ルビィ「ピギャアアアアアアアア!!!」
やはりルビィもこの辛さに耐えきれず、外に飛び出してもがき苦しみ始めた。はあ...また新たな犠牲者を出してしまったか...。
ダイヤ「ちょっと!なにをいれたのですの!!」
善子「タコの代わりに大量のタバスコをいれたのよ。これぞ堕天使の涙!」
善子のとんでもない返答に、顔をしかめるダイヤさん。まあ普通わかるわけないよねぇ...。
善子「辛いのはともかく、味はおいしいわよ?ダイヤも食べてみたらどう?」
ダイヤ「遠慮しておきますわ...」
善子とダイヤさんが話してる少し遠くで、千歌と曜と梨子が固まってなにか話してるのが見えた。歌詞の話しでもしてるのかなと思い、一旦箸を置いて千歌たちの所へと向かった。
梨子「そういえば歌詞は?」
千歌「うーんなかなかね...」
予想通り歌詞についての話しだった。ここの所、千歌の歌詞作りが滞っているのは知っていたが、まだそれが続いていたとは...。
曜「難産みたいだね、作曲は?」
梨子「いろいろ考えてるけど...やっぱり歌詞のイメージもあるから...」
洋希「なら、千歌がとっとと歌詞を完成させないとな」
横から割り込むような形で、千歌に投げかけた。それに対して千歌はむぅと頬を膨らませた。
千歌「わかってるよぉ...これでも結構頑張ってるんだよ?」
洋希「なら後で歌詞ノート見せてくれよ、少しぐらいはかけてるんじゃないか?」
千歌「そ、それは...ちゃんとできたらみせるよ!」
梨子「まさか...落書きとかしてないよね...?」
千歌「ま、まっさかあ!!」
梨子の追撃に焦り始めた千歌。あの反応からして落書きしてるのは確実だな。
千歌「と、とにかく歌詞はなんとかするから、できたら梨子ちゃんも作曲お願いね?」
梨子「はいはい、わかりました」
梨子は千歌の願いを軽く了承した。
その後、食事に戻った俺たちはシャイ煮をなんとか完食(堕天使の涙はほぼ善子が消費)し、曜がシメのヨキソバを作り始めた。まだ食べるの?
曜「千歌ちゃん!ソースきれちゃった!」
千歌「わかった!うちからとってくるね!」
そういって戻ろうとする千歌の肩を俺は掴んで止めた。
洋希「俺がとってくるよ、志満さんにいえばわかるよな?」
千歌「うん!志満姉にいえばもってきてくれると思うよ」
洋希「おっけ、じゃあいってくるわ」
少し早足で千歌の家に向かう。途中にしいたけがいたがどうやら眠っているようだったのでスルーした。旅館の扉を開けると、そこは梨子のお母さんと、志満さん、そして何故か知紗姉が集まっていた。俺が入ってきたのに気づくと、梨子のお母さんが立ち上がった。
梨子「そういうことだから...なにかあったら教えて下さいね」
志満「はい...」
そのまま梨子のお母さんは扉の方へ歩いてきて、俺に軽くお辞儀をしてきた。俺も遅れてお辞儀をし返した。
洋希「なんかあったんですか?」
志満さんにある程度近づきながら尋ねた。志満さんが答えるよりも先に、小難しい顔をしながら知紗姉が答えた。
知紗「梨子ちゃんね、東京のピアノコンクールの案内が来たらしいんだけど、出るとも出ないとも言ってないらしくてさ、ひろはなにか聞いてない?」
洋希「いや、なんにも...むしろ俺も初めて知ったぐらいだよ」
そっか...といって知紗姉は腕を組み始めた。
梨子はもともとピアノをやっていて、それ見込んで俺や千歌がスクールアイドルに誘ったんだけど...まさかそんな招集がかかっていたなんて...。最近梨子が悩んでる様子を見せてたのはこのことだったのかな。
志満「そういうことだから、よければ洋希くんに聞いてもらいたいんだけど」
洋希「俺ですか?」
志満「うん、私たちが聞くよりは、洋希くんが聞いた方がいいんじゃないかなって」
洋希「うーん...できたら聞いてみますね、梨子がここまで隠すってことは、梨子なりになにか考えがあるんだろうし...」
知紗「おっ、さすがマネージャー、メンバーのことはよくわかってるねぇ」
洋希「茶化さないで知紗姉」
横槍を入れてきた知紗姉に少しキツめに言い正す。すると知紗姉は「はい...」といってしょんぼりし始めた。
志満「そういえば、洋希くんはなにか用があってきたんじゃ...」
洋希「ああそうだった!志満さん、ソース貰えますか?」
志満「ソースね、ちょっとまってて」
志満さんはソースを取りにキッチンの方へ向かった。俺はその間に、ここについて1番最初に抱いた疑問を我が姉にぶつけた。
洋希「で、なんで知紗姉がここにいるわけ?」
知紗「いや〜ひろが女の子たちとキャッキャウフフなお泊まり会をするって聞いたからさ、お姉ちゃん気になっちゃって...」
洋希「ひとつ言っておくけど、お泊まり会じゃなくて合宿な。それにキャッキャウフフはないからね」
知紗「またまた〜そんなこといっちゃって〜、ホントは女の子たちと泊まれるのが嬉しいんじゃ...」
洋希「もうオムライス作ってやんないからね」
知紗「大変失礼いたしました合宿頑張ってください」
急に丁寧な口調になった知紗姉に少しばかり気持ち悪さを感じつつ、はいはいといって受け流した。どんだけオムライス食いたいんですかね...。
志満「ふふ、二人とも仲がいいわね〜」
思ったより早くソースをもって志満さんが現れた。
洋希「勘違いしないでください、俺が適当に対処してるだけなんで」
知紗「あら〜?そんなこと言っていいのかなぁ?この前家で涙ながしてたのは誰だっけなぁ〜」
洋希「失礼しました姉さま、今後ともよろしくお願いします」
知紗「うむ!よきにはからえ!」
ドーンと胸を張る知紗姉。腹が立つったらありゃしないよ。
志満「ほんとに仲がいいわねぇ〜、あ、これソースね」
洋希「ありがとうございます」
俺は志満さんからソースを受け取って、千歌たちの所へと戻った。
晩飯を終えてやっと寝る時間となった。千歌のはからいもあって、なんとか2部屋で寝ることができるようになった。よし、これなら俺は1部屋借りて...と思っていたのだが。
千歌「みんな、準備はいい?いくよ!」
千歌の掛け声に合わせて、みんながジャンケンポン!と声をだした。何故ジャンケンをしてるかって?それは俺の監視役を決めるためだ。だからなんにもしないってのに...。
どうやら一発で決まったらしく、俺は結果を尋ねた。勝ったのは梨子と曜だった。
曜「やったね梨子ちゃん!」
梨子「うん!やったよ曜ちゃん!」
両手を合わせて喜ぶ二人。そんなに監視役がいいのかと疑問を持つぐらいだ。そんな二人とは打って変わって、負けた組はどんよりとした空気が漂っていた。
千歌「うう...悔しい...」
ルビィ「うゆ...」
花丸「愛がたりなかったずら...」
善子「堕天使の力をもっても及ばす...くっ...」
ダイヤ「ま、まあ私は別に何とも思いませんわ...何とも...」
鞠莉「残念ねぇ〜ヒロキと一夜を過ごせると思ったのに」
果南「鞠莉、そのセリフ結構際どいよ?」
なぜそこまで落ち込む必要があるのだろうか。むしろ監視役から逃れられたのだから喜ぶべきなのでは?うーん...わからんなこの子達は。
曜「ちょっと洋希!なんでそんな端に布団しくの!」
洋希「ん?なにか問題でも!」
曜たちから離れて遠くに布団をひこうとする俺の行動に納得がいかない曜が、声を高くして言ってきた。
曜「そんな端だと監視の意味無いでしょ!だから洋希はこっち」
洋希「お、おい!」
曜は無理やり俺から布団を奪い、部屋の真ん中セッティングした。そして両サイドに曜と梨子がすぐさま布団をひいた。わずか数秒の出来事だった。
曜「これでよし♪じゃあ今日は私たちが1晩監視するので、よろしく!」
梨子「よろしくね!」
洋希「は、はぁい...」
渋々了承しながら、布団の中に潜り込んだ。それに続いて曜たちも布団の中に入った。このあと左右から話かけられるのだろうと思っていたが、練習の疲れもあってか、二人ともすぐに眠りについてしまった。よかったと思い俺も寝ようとした。しかし眠れない、俺だって疲れているはずなのに、どうもスリープ状態に移行できない。それもそのはず、なんせ女の子2人が俺の隣で寝ているんだ、いくら知り合いとはいえ落ち着いていられない。なるべく2人の顔を見ないようにしようと天井を見上げるが、時より気になってちらっと顔を見てしまう。曜はいつもの元気いっぱいの感じが寝顔にも現れていて、梨子は落ち着いた表情を浮かべて寝ている。
どうしよう...どう寝ればいい...と考えてる時、ふとあることを思い出した。梨子のピアノのコンクールについてだ。俺は枕の上あたりに置いたスマホを手にして、[東京 ピアノコンクール]と検索をかけた。それらしいサイトがあったので、そこを開いた。最初に出てきたトップはスルーして、まず確認したのはスケジュール。数秒の読み込みののち、コンクールの日程が映し出された。
洋希「この日って...」
日にちをみて思わず声をもらしてしまった。幸いそこまで大きくなかったので曜たちが起きることはなかった。俺がここまで驚いたのは理由がある。ピアノのコンクールの日程が、ラブライブ予備予選と同じ日なのだ。恐らく梨子が悩んだわけはこれだろう。ピアノとスクールアイドル、どっちをとるかで迷っているから、出るか出ないかの答えがだせないのかもしれない。
洋希「梨子...」
隣で眠る梨子がそんな選択肢を迫られてことに気づけなかったことに、マネージャーとして不甲斐ないと感じた。マネージャーならメンバー1人1人にしっかり目をむけてやらなきないけない。俺もマネージャーとしてまだまだだなぁと改めて力の無さを実感した。
ならば、梨子の考えをいま聞くしかない。梨子はあま自分から聞こうとはしないから、こっちから相談に乗ってあげればいいのではと考えた。
寝ているところ申し訳ないが、俺は小さく梨子の名前を呼んだ。するとぱちぱちさせながら目を開き、俺と目が合った。すると梨子は顔を赤らめて、あわあわし始めた。
梨子「ひ...洋希くん!?///ど、どうしたの?///」
赤面しながら尋ねてきた梨子が可愛いなぁという感情は抑えつつ、起こした理由を話した。
洋希「梨子、話があるんだ。ついてきてくれ」
2人でやってきたのは千歌の家の前の砂浜、俺と梨子が初めてあった場所でもある。
梨子「それで...話って何?」
洋希「単刀直入に聞くけど、梨子、なにか俺に隠し事してない?」
俺の言葉にハッとした梨子は、思いつめた表情へと変わった。やっぱり...悩んでるんだな。
梨子「バレちゃってたか...」
俺の言葉の意味を理解した梨子は、逆に清々しい顔へとかわった。
洋希「どうするんだ梨子は?」
とにかく出るか出ないか、それを聞きたくて答えを催促さてしまう。決まってないなら相談に乗るし、決めてるなら...なにをすればいいんだろ。
梨子「安心して、ちゃんとラブライブには出るから」
ラブライブに出る、つまりそれはピアノのコンクールに出ないということになる。コンクールは捨て、スクールアイドルとしてラブライブで踊る決心をしたのだ。
洋希「いいのか?」
梨子「最初はすごく迷ったよ?チャンスがあるならもう1度って気持ちもあったし...。でも合宿が始まって、みんなと一緒に過ごして...ここに越してきてから、この学校や、みんなや、スクールアイドルが自分の中でどんどん大きくなって、みんなとのAqoursの活動が楽しくて...洋希くんとの出会いも...。それで自分に聞いたの、どっちが大切なのか...、すぐ答えはでた。今の私の居場所は、ここなんだって...」
洋希「...そうか」
迷いのない、一心な梨子の言葉に、俺はなにも言えなかった。言葉がみつからなかった。
手を後ろにした梨子は、話を続けた。
梨子「今のわたしの目標は、いままでで1番の曲を作って、予選を突破すること。それだけ」
梨子は言葉の最後に笑顔を向けてきた。もう大丈夫と言わんばかりのその顔に、納得するしかなかった。
洋希「わかった、梨子がそこまでいうなら...」
梨子「だから早く歌詞をください」
洋希「今言うかそれ!?てかそれは千歌に言えよ!」
梨子「そうだったね、うふふ」
やられたと思い、頭を掻く。梨子も最近この手の手法を覚えてしまい、こっちとしては厄介だ。
梨子「さ、風邪ひくとしょうがないから、帰ろ?」
洋希「だな」
そういって梨子は旅館へと足を進める。その後ろに姿をみて思った。
これでいいのだろうか?梨子は本当にピアノを手放してしまうのだろうか?せっかくピアノを引けるようになったのに、もてる自分の才能を発揮できずに終わっていいだろうか?
梨子の迷いを打ち消そうとした行動が、逆に俺の中で迷いを生み出してしまった。無論それは1晩では解決できず、俺は次の朝を迎えてしまった。
曜「はぁ...♡洋希と一夜を過ごしてしまった...」
花丸「曜ちゃん!なにか変なことはされなかったずら?」
曜「随分食い気味に聞いてくるねえ...実は特になにもされなかったんだよね...」
花丸「なん...だと...」
曜「あ!でも夜中なんかゴソゴソしてる気がしたなぁ」
花丸「もしかしたらそれは...曜ちゃんの寝顔をスマホに収めてるかもしれないずら」
曜「洋希が私の寝顔を...やっぱり洋希は私のことが...」
洋希「勝手に盗撮したことにするな」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
久々に8000字越した気がします。実は途中の風呂のシーンで、善子ちゃんが間違って男湯に入ってきて洋希とばったりというシーンを書こうとしましたが、主の技量(妄想)が足りず、お蔵入りになりました。そういう破廉恥シーンは今後に期待してください。(主が成長すればの話)
長くなりましたが、次回もお楽しみに!ヾ(・ω・`)