ラブライブ!サンシャイン!! 〜希望の光〜   作:リオート

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花丸「洋希先輩、ぶいあーるってなんずら?」
洋希「virtualrealityの略称だな。VRってのは、よくあるVRゴーグルみたいのを付けて、音や映像で、いかにも自分がそこにいるかの様な体験ができるんだ。まあ流石にかの有名なVRMMOみたいに五感全部をゲームの世界に持ってくことはできないけどな」
花丸「あれは嫌ずら、死んじゃうずら」
洋希「あくまで架空の話だから...。そうだ、花丸はVR空間が実装されたら何がしたい?俺は空を飛んでみたいな!」
花丸「まるは...本が読みたいずら!」
洋希「...それ...VRじゃなくてもできるよな...?」




どうも皆さんこんにちは、最近GGOにダイブしたリオートです。時間を割いて、フェイタルバレットやっておりますが、楽しいですね!なにより、サポートAIが可愛くて仕方が無いです。
現実でSAOみたいのできるのはあと何年ぐらい先でしょうかね...。

それでは、本編へリンクスタート!


第55話 スクールアイドルとの出会い

[勝ち取りたい!ものもない!無力なままでは...]

 

設定したアラーム音が部屋の中で響き、叩き起された俺はすぐさまスマホの画面をスライドして音楽を止める。只今の時刻は3時30分、高校生が起きるにはあまりにも早い起床だ。こんな時間に起きた理由はダイヤさんのありえないぐらい早い集合時間に間に合うため。せっかくの夏休みがこんな形で始まるとは思いもしなかったと、ぼーっとする頭で考えた。

まだぼんやりとする中、部屋のカーテンをいっぱいに開ける。しかしながら陽の光が入ることはなく、目の前にあるのは薄暗い景色と、海が静かに波打っているだけだった。

なんとなく予想出来ていた光景を見たあと、すぐさま着替えを始めるが、取り出したのは練習着ではなく、水着だ。解散後の連絡で、全員水着で集合となっていたので、事前に買っておいた青色の海パンを身につけ、汚れてもいいパーカーを1枚羽織り外に出た。

太陽が登っておらず、暗く沈んだ道を少し歩いて海の家の前にやってきた。しかしそこに人影はひとつも見当たらなかった。時刻は既に4時になりかけているが、誰一人来る様子もない。ダイヤさんなら「スクールアイドルなら30分前行動はあたりまえですわ!!」とかいって1番のりで到着してると思っていたが、言い出しっぺすらいないとはどういうこった。

呆れた俺は砂浜にどっぷり腰を下ろして、青になっていない海を見渡す。暇だから海を入れてなにか俳句でも作ろうかな、なんて俺には似合わないことをしようとした時、ザッザッと砂浜を歩く音が聞こえた。やっとダイヤさんが来たかと振り向いたが、そこにいたのは黄色のデニムシャツを羽織り、恐らく緑の水着を下に来ているであろう、我がスクールアイドルの文学少女代表、国木田花丸選手が入場してきた。近づいてきた花丸は、ここにいたのが俺だと気づくと、意外そうな顔で声をかけてきた。

 

花丸「洋希先輩...ずら?」

洋希「ああ、おはよう花丸」

 

平然と挨拶をすると、「あ、おはようございます」と丁寧に返してきた。善子と違い、ちゃんと俺を先輩としてみてくれているあたり、ほんとに育ちがいいと感じる。しかもあの訳の分からない集合時間にもきっちりきてるし。

心の中で感心する俺の隣に、花丸はよいしょっとといって座り込んだ。距離はさして離れていない。むしろ近い。花丸の小柄な身体がすぐそばにある。

 

花丸「びっくりしたずら。まさか洋希先輩が1番のりなんて」

洋希「俺もまさか花丸が来るとは思わなかったよ」

花丸「まるはお寺の子だから、早起きは読書の次に得意ずら」

 

と自慢げに話す花丸。今言った通り花丸の家は寺であり、そのせいもあってか電化製品があまりなく、パソコンを見た時、好奇心旺盛な反応をしていた。あれ以来、花丸には「パソコンを使いたいずら!」と頼まれるようになった。

なるほどね、と簡素な反応をすると花丸はそれにしても、といっても話を切り出した。

 

花丸「まるたち以外は誰も来そうにないずらね」

洋希「かもな、まあなんとなく予想はしてたかな」

花丸「まるもなんとなく...」

 

お互いに意見が一致した俺たちは、はははと乾いた笑いを出した。なんのために早起きをしたのだろうと、いささか疑問を持つぐらいだ。

 

洋希「せっかく来たのにな、真面目に早起きしたのは無駄だったかな?」

花丸「洋希先輩はそう思うずら?」

 

先ほどと違い、俺の発言にあまり同意の色をしめなさい花丸は、首を傾げて聞いてきた。少なからず花丸はこの早い目覚めを悪いとは思ってないみたいだ。なら、なにか気の利いたことでも言う方がいいかな...。

 

洋希「ん〜...でもまあ朝早くから花丸に会えたってことに関しては、早起きしたかいがあったって思えるかな?」

花丸「ふ〜ん...」

 

俺のセリフに特に嬉しがる様子もなく、むしろ軽蔑するような目でじっと見てきた。

 

洋希「えっと...俺間違ったこといってないよな...」

花丸「とりあえず曜ちゃんに一発しごかれた方がいいずら」

洋希「ま、まじすか?...」

 

曜に説教されるということはつまりは俺が女子に対して軽はずみな発言をしたということになる。先ほどのセリフは、胡散臭いナンパやろうと同じだと思われたということなのだろう。

 

花丸「曜ちゃんに報告しとくずら」

洋希「いや、それはちょっと...」

花丸「いやずらか?」

洋希「できればしてほしくないですねぇ...」

 

別に曜に言うだけなら、構わないけど、あいつには「洋希のエキサイティング集」というノートがあるため、そこに永久保存されることが考えられるので、それは避けたい。

「なら...」といって花丸は俺の足を指差し、伸ばすように促してきた。言う通りにあぐらをかいていた姿勢をくずし足を伸ばすと、花丸は体を横にして、頭を俺のももあたりにのせてきた。

 

洋希「えっと...これは...」

花丸「あと2時間ぐらいみんな来ないんだろうなぁって考えたら眠くなってきちゃったから...こうさせてほしいずら」

 

どうやら、機密条件はこの膝枕のようだ。

 

洋希「花丸って、誰かの膝枕で寝るの好きなのか?」

花丸「どうしてそう思うずら?」

洋希「いや、なんか前にもこんなことあった気がするなぁって思ったから...」

 

直接疑問をぶつけると、花丸は「気のせいずら」といって軽く流した。実際のところ、膝枕ってどのくらい気持ちいのだろうか。体験したいとは思うがやってくれる相手がいないのが残念なところである。まず女子(Aqoursメンバー)に頼んだらまずセクハラと勘違いされて終了するのがオチだ。まあ...彼女ができたらしてもらおうかな......いつ出来るか分からんがな!!

 

花丸「あ、あともう一個注文するずら」

洋希「ん?なんだ?」

花丸「なんか面白い話してほしいずら」

洋希「面白い話?」

 

話の振られ方として、多分1番難しい部類にはいる注文だろう。面白い話、といっても俺が面白くても花丸にとってはおもしくないなんてことも有り得る。じゃあなにを話そうかってなったときに、これといったものが思いつかない。

 

花丸「なんでもいいずら。美味しい食べ物の話とか、最近読んだ本の話とかでも」

洋希「そういわれてもなぁ...」

 

悩みに悩んで、思いつきそうにないから子守り歌でも歌うわ、とふざけたことを言おうとした時、とっさに話が閃いた。花丸がどう思うかは定かではないが、とにかく聞いてもらおう。

 

洋希「じゃあさ、俺がスクールアイドルにハマったきっかけとかどう?」

花丸「あ、それは気になるずら。ぜひ聞きたいずら!」

 

花丸が思ったより興味を示してくれてるようなので、この話をすることにした。コホンとかるく咳をして、俺は語り始めた。

 

洋希「俺がスクールアイドルに興味を持ち始めたのは...たしか中学の1年...いや2年だったかな。部活とかに入ってなくて、ほんとにやることがなくってさ、帰ってきてもパソコンいじるかゲームするかで、なんかこうどハマりするようなことがなくて、正直つまらなかったんだよね」

花丸「意外ずら...洋希先輩のことだから、運動系の部活でもやってたかと思ってたずら...」

 

多分そう思うのは、俺の果南先輩にも勝るとも劣らない体力を毎日目の当たりにしているからだろう。あれは単に俺が日課の走りで手に入れたものだ。

 

洋希「あの頃の俺って、ほんとに『普通』だったんだよね。勉強も運動も平均的で、これといった才能もなかった。なにをやるにしても、「俺には才能がないならやっても意味ないな」なんて考えてた」

花丸「そんなことを...」

洋希「それでたまたま、秋葉原へゲームを買いにいったときに、μ'sが路上ライブをやってて、まあついでだから見てみようかなって、最初は軽い気持ちだったんだ。たしかあの時は、メイド服きてライブやってたな。だからあんまり期待はしてなかった。自分とそんな年が変わらない高校生がやるものなんてたいしたことないだろって...そう思ってた...」

 

今でも鮮明に覚えている。あの時あのライブで受けた衝撃、初めて聞いたμ'sの歌声、周りの人の歓声、俺の胸の高鳴り、あのライブ一つで俺の心が嫌という程に揺さぶられたものだ。

 

洋希「これが高校生...自分とわずかに年が変わらない人が、ここまでできるんだなって...めちゃくちゃ感動した。それで俺、直接聞いたんだ、μ'sのある人に」

花丸「誰ずら?もしかして凛さんとか!?」

洋希「残念ながらハズレ、答えは南ことりさん。その時のライブのセンターをつとめてたんだ」

 

あの日センターになっていたことりさんを、リーダーかと思ってた俺は、ライブの終わりに彼女に尋ねた。「あなたの歌声、とても素敵でした!昔から歌をやっていたんですか?」と。それに対してことりさんはこう答えてくれた。

 

ことり「ありがとう!でも、私がスクールアイドルを始めたのは最近だよ?」

 

それに対して俺は、「じゃあ元からそういう才能があったんですね!」なんて失礼極まりない発言をしたが、ことりさんは特に嫌な顔せずに言葉を続けてくれた。

 

ことり「う〜ん、才能があったわけじゃないと思うなぁ〜。だって私も、ほかのスクールアイドルに比べたらまだまだだし...」

 

困りながらも言葉をひねり出してくれることりさんは、さらに言葉を繋げた。

 

ことり「だからね、私たち、い〜っぱい練習してるんだ!ほかのスクールアイドルに負けないくらい!才能がないとか、自分に向いてないって考えるよりも、まずは努力してみることが大切だと思うよ!」

 

「努力」そんな単純で、誰もが知ってる言葉に、オレはハッとした。俺はそれまで、才能がなきゃやっても無駄だとあきらめて、努力することを放棄していた。でも、この人は違った。たとえ才能がなくても、やりたいと思ったことに全力になって努力して、今こうして色んな人たちを感動させている。

 

ことり「君は今、夢中になれてることとかある?」

 

その質問に俺は、首を横に振り、「ありません」と答えた。また困らせてしまうだろうと思ったが、予想に反して、ことりさんは笑みを浮かべた。

 

ことり「ならこれから見つければいいよ!自分が夢中になれること、自分に1番ぴったりなこと、色んなことに挑戦すれば、きっと見つかるよ!」

 

その時の笑顔、そして言葉は、俺の脳裏にしっかりと刻まれた。才能という言葉に縛られていた心が解き放たれ、自由を手に入れたように感じた。μ'sとの出会い、そしてことりさんのファンとなったのが、俺がスクールアイドルにどっぷりハマったきっかけだ。

 

 

 

洋希「...あれから俺、色んなことに挑戦した。勉強とか、スポーツとか、自分に合うことを必死に探した。夢中になれることを見つけるために」

花丸「...」

洋希「それで見つけたんだ、俺が1番向いてること。だれかの「希望」になることだって」

 

前にも梨子にスクールアイドルを説明するときにも話したと、つい数が月まえのことを懐かしく思った。花丸は黙り込んだまま、話を聞き続けている。相当俺の話にのめり込んだのかなと、思い話を続けた。

 

洋希「努力することは大切だって、あたりまえみたいな事だけど、俺はそれをちゃんとAqoursのみんなに伝えたい。努力すればどんなに高い壁も乗り越え...」

 

話の途中だったが、そうせざるを得ないことに気がついてしまった。てっきり無言で話を一心にきいてくれていると思ったが、当の本人は、スゥスゥと寝息を立てている。つまり俺の話を使って、sleepingをしたのだ。

 

洋希「どっから寝始めたんだよ...」

 

体を前にも倒して、のぞき込むようにして花丸の顔を見た。一定のリズムを刻みながら、スゥーフゥーと小さく呼吸をし、気持ちよさそうに寝ている。まあこんな朝早くに起きたから、眠いのも仕方ないか。

そう思いながら、俺の足に乗っかっている花丸の頭を優しく撫でる。すらっとした小麦色の髪の毛は、撫でているこちらも、気持ちがいいと思うぐらいだ。

 

洋希「ことりさん、俺は今、夢中になれることを見つけました。あなたと同じスクールアイドルをする子達のマネージャーをすることです」

 

まだ紫がかっている空に向けて、届くわけもない声を呟いた。

あの日から、俺がマネージャーになることは運命づけられていたのかもしれない。なににも無気力な俺に、新しい道へ導く「希望」に、ことりさんはなってくれたのかもしれない。

 

洋希「だから俺、あいつらが輝けるように、マネージャーとして、もっと努力します。そして、あなたたちのように、いつかラブライブ優勝を、果たして見せます!...」

 

撫でていた手を顔の当たり高さまで掲げ、伸ばしてぎゅっと拳を握る。

スクールアイドルが繋いでくれたAqoursとの出会い、そして俺に「希望」を与えてくれたことりさんの言葉、それらを改めて大切にしようと、心に誓って、俺もしばしの眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

このあと、遅れてやってきた千歌たちに、この光景を見られ、果てしない尋問をされることになるとは、夢の世界へと旅立った俺は考えもしなかった。

 

 

 

 

 

 




善子「あんたは朝からなにしてんのよ!!」
花丸「善子ちゃん、早起きは三文の徳って知ってる?」
善子「知ってるわよ!」
ルビィ「花丸ちゃんって、そんなに積極的だったっけ?...」
花丸「まるはただ、眠かったから枕が欲しかっただけずら」
善子「ふん!なんだかんだいいながら、ずら丸も洋希のこと...」
花丸「善子ちゃん、それ以上いったら、まる、感情が制御できずに善子ちゃんを襲うかもしれないずら...」
善子「わ、わかったわよ...いわないからその手にある本をしまいなさいよ...」
ルビィ「花丸ちゃん必死だねぇ...」
花丸「乙女の恋心は大切ずら♪」
善子(この前私のことは口走ったくせに...)



今回は、μ'sのことりちゃんを、本編に出しましたが、最初は穂乃果ちゃんにしようかなと考えてました。でも個人的にことりちゃんが好きなので、ことりちゃんに出演してもらいました。この話で洋希がμ'sを好きになった理由、スクールアイドルに興味を持ったきっかけを知ってもらえればと思います。次回には合宿に入りますので...。


次回もお楽しみに!ヾ(・ω・`)

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