洋希「これって...チョコか?」
曜「うん!バレンタインだからね!」
洋希「おお!サンキュー!今日初のバレンタインチョコだ!」
曜「ほんと!?」
洋希「ああ!瑠美を除けばだけど」
曜「へ?」
洋希「いやーあいつのチョコさ、今日朝イチで届いたんだよ。全くびっくりしちまったぜ」
曜「へ、へぇ...」
洋希「さすが幼馴染ってところだよな」
曜(瑠美ちゃん...恐ろしい子!...)
どうも皆さんこんにちわ、リオートです。みなさんはバレンタインにチョコを貰えましたでしょうか?僕は貰いましたよ!...親から...。
...そんな僕の苦い思いはさておき、本編いっちゃいましょう!
今回は知紗姉が珍しく奮闘します!
ルビィが泣き止んだのを境に、俺たちは場所を移して話をすることにした。やってきたのは近くの河川敷。そこで俺たちは、ダイヤさんに東京で起こったことをすべて話した。
ダイヤ「得票...0ですか...」
梨子「はい...」
ダイヤ「やっぱりそういうことになってしまったのですね、今のスクールアイドルの中では...」
大好きな姉の膝枕で気持ちそさそうに寝ているルビィを撫でながら、ダイヤさんはそういった。
今のスクールアイドル...やっぱりそうか...。
ダイヤ「あなたたちは決してダメだったわけではないのです。スクールアイドルとして充分練習を積み、見てくれる人を楽しませるにたりるパフォーマンスもしている。でも...それだけではダメなのです...もう...それだけでは...」
曜「どういうことです?」
ダイヤさんは少なからず俺たちのことを認めてはくれている。でも俺たちには足りないものがある。ダイヤさんはそれがいいたいのだろう。
そして曜の問いかけにダイヤさんが続けた。
ダイヤ「7236、何の数字だかわかりますか?」
唐突に出てきた4桁の数字。俺はそれを聞いてすぐに思い出した。その数字は...。
善子「ヨハネのリト...」
花丸「違うずら」
善子「ツッコミはや!!」
洋希「去年、最終的にラブライブにエントリーしたスクールアイドルの数...ですよね?」
ダイヤ「さすがですわね洋希さん。そう、その数は第1回大会の10倍以上...」
千歌「そんなに...」
あまりの多さに千歌は小さく呟いた。改めて考えると7000ってとんでもない数だよな...。
ダイヤ「スクールアイドルは確かに、以前から人気がありました。しかし、ラブライブの大会の開催によって、それは爆発的なものになった」
洋希「その火付け役が、μ'sとA‐RISE...なんですよね...」
ダイヤ「ええ、その結果、アキバドームで決勝が行われるようになった。そして、レベルの向上を生んだのですわ...」
そう、俺たちはそのレベルの向上についていけなかった。東京は日本の最先端、そしてスクールアイドルが最も活発な場所なのだ。それに比べて俺たちは...。
ダイヤ「洋希さん、あなたは知っていたのではありませんか?今、スクールアイドルをやることがどれだけ厳しいかを。東京にいて、それだけスクールアイドルのことを知っているなら...」
ダイヤさんの言葉に、みんなが反応し、俺の方を向く。みんな、俺の答えを待っているのだ...。
俺はみんなから顔を逸らし、小さな声で呟いた。
洋希「...知ってました」
ダイヤ「だとしたら、あなたの口からしっかり言うべきだったのではありませんか?そのほうが、彼女たちの意識の向上になったと、私は思いますが」
洋希「そう...ですね...」
俺が最初からこいつらにそのことを言えていれば、千歌たちはもっともっと練習にはげんでくれたかもしれない。しかし、俺はそれを怠った。知っていながら、それを伝えなかった。俺の「甘さ」が生んだ失態でもある。
ダイヤ「私達のような地方と、東京ではレベルの差が開くのは当然ですわ、だから...あなたたちが誰にも支持されなかったのも、私達が歌えなかったのも、仕方ないないことなのです...」
千歌「歌えなかった?」
ダイヤさんから出た新事実に、千歌が反応した。おれたちが支持されなかったのはそうだが、ダイヤさんたちが歌えなかったというのは?...
ダイヤさんの話によると、
時を遡ること2年前、浦の星には既に統廃合の噂があった。それを知ったダイヤさんと果南先輩は、スクールアイドルでそれを阻止しようと考えた。そしてダイヤさんたちは、昔から仲良しの鞠莉さんをメンバーに誘うことにしたらしい。鞠莉さんは最初、その誘いを断っていたが、果南先輩のしつこい勧誘のもと、入部にこじつけたのだ。
なんだからうちのみかん頭によく似てるな。さすが幼馴染、略してさすおな。
ダイヤさんたちも俺たちと同じように作詞や作曲に悩まされたようだが、何とかそれらの課題もクリアしていき、スクールアイドルとして成長していった。そして...俺たちと同じ時期に、東京への招待がやって来た。ダイヤさんはその知らせにとても喜んだらしい。初めての大舞台でライブができることを...。しかし、歌えなかった。他のグループのパフォーマンスの凄さと、巨大な会場の空気に圧倒され、なにも...歌えなかった。その後、鞠莉さんが留学したため、グループは解散。ダイヤさんたちは、スクールアイドルの道を...諦めたのだった。
洋希「それが...ダイヤさんたちの過去...なんですね...」
ダイヤ「ええ...」
やっぱりダイヤさんはスクールアイドルをやっていたんだ。だからあんなにもスクールアイドルに詳しかったのか。
その時俺は思い出した。ダイヤさんが、前に俺に言ったある一言を...。
洋希「あなたたちには...私達と同じ思いをしてほしくない...そういうことだったんですね...」
ダイヤ「ええ...いつかこうなると思っていたから...あなたたちのスクールアイドル部申請を拒んでいたのですわ...」
ダイヤさんは、スクールアイドルが嫌いだとかではなかった。純粋に、俺たちがスクールアイドルをやることで、自分たちと同じ目に合う、そんなことにはなって欲しくないと、それだけだったのかもしれない。でも俺たちはそれに気付かず、スクールアイドルを始めて、東京へ行ってしまった。ダイヤさんにとって、どれだけ心苦しいことだっただろう。ましてや妹までもが、その道に進んでしまったのだから...。
ダイヤ「それでは、私たちはこの辺で...」
そういってダイヤさんはルビィを起こし、立ち上がって自分たちの家へ帰っていった。
残された俺たちは、ダイヤさんに言われたことで頭が一杯になり、ほとんど会話せずにそれぞれの帰路へと向かった。
《鞠莉視点》
夜風が少し騒がしい中、私は部屋のベランダで暗闇に沈んだ街を見下ろしている。そろそろ千歌っちたちが東京から帰ってくる頃でしょうね。どんな面持ちで帰ってくるか気になるけど、私がいっても冷やかしに来たとおもわれちゃうかもしれないからいくのはよしましょ。まあ私が迎えに行かなくても、ダイヤが行くだろうからNo problemね。
そんなことを考えていると、私の家の船着場から、一筋の光が見えた。あれはまさか...。私は急いでそこへ向かった。
ようやく到着すると、そこいたのは案の定、果南だった。昔は果南たちがこうやって私に合図をくれて、それで遊びに行くことが多かった。なのであの光が果南だって言うのはすぐにわかった。
鞠莉「久しぶりね、こうやって呼び出されるのは」
果南「ダイヤから聞いた、千歌たちのこと...」
鞠莉「そう...」
どうやら思い出話をしに来たわけじゃなさそうね。まあ、何となく予想はしてたけど。
果南「どうするつもり?」
海を見つめていた果南が私の方を振り向いた。その目には、昔の優しさはなかった。ただ、いまの現状に腹を立てているように見えた。
鞠莉「どうするって?」
果南「千歌たちに、このままスクールアイドルを続けさせるの?」
鞠莉「ええ...私は彼女たちがやめると言わない限りは、応援するつもりよ?」
果南「無理だよ...こんな田舎で...外の人に見てもらうとか、学校を救うだとか、ラブライブで優勝するだとか...絶対無理だよ」
果南の言っていることは間違ってはいない。ここでスクールアイドルとして輝くのは簡単じゃない。だからといって無理に彼女たちを止めるのはできない。
鞠莉「私はそうは思わないわ、だってあの子には私たちになかったものがあるもの」
果南「私たちに、なかったもの?」
鞠莉「...彼の存在よ」
果南「彼って...洋希のこと?」
鞠莉「そうよ、彼がいることでAqoursは伸びるはず、スクールアイドルの知識を兼ね備えている彼がいればね」
果南「どうしてそんなに洋希を評価してるの?」
鞠莉「彼には、誰かのために動ける力がある。それは果南だってわかってるでしょ?」
果南「そうかもしれないけど...」
果南は少し俯いてだまりこんでしまった。果南もヒロキのことを評価してる証拠ね。全く、罪深い男ね、ヒロキは。
鞠莉「そんな彼がいるAqoursなら、大丈夫なはずよ」
果南「でも、さっきダイヤから連絡があった。Aqoursは得票数0で最下位だって...」
ほんとに私たちと同じかんじね。でも、私たちの場合ライブすら出来なかったけど、彼女たちはライブをやり切ったのね。そこは私たちと違うところね。
果南「洋希や千歌たちがどんな練習をしてたかは知らないけど、あの子達のことだからたくさん努力したと思う。それでもその結果だった。だから...」
鞠莉「諦めろっていうの?」
果南「私は...そうするべきだと思う」
果南はなにがなんでも千歌っちたちがスクールアイドルを続けることは反対なのね。果南なりに心配してるんでしょうね。
果南は私の横を通り過ぎる時に呟いた。
果南「誰かが傷つく前に...」
今、ヒロキたちは傷ついているかもしれない。悲惨な結果を前に。でも、彼等ならやってれると信じてる。そして...
鞠莉「私は諦めない!!!」
さりゆく果南の後ろ姿に向かって私は叫んだ。
鞠莉「取り戻すの!!あの時を!!果南とダイヤと失ったあの時を!!私にとって宝物だったあの時を...」
私は気持ちを抑えられず、涙を流していた。自分に対して無情になった親友のこと。いまの私にあの頃を取り戻す術がないこと。そのことが悔しくて...悲しくて...。
鞠莉「お願い...ヒロキたち...諦めないで...」
泣きながら私は願った。彼等ならが諦めずに立ち上がり、再びスクールアイドルとして輝くのを。そして私の宝物を取り戻す「希望」になってくれることを...。
《洋希視点》
美渡さんに送ってもらった俺は、お礼をいって家に帰ってきた。今はとにかく自分のベットに潜り込みたい。その一心だった。扉をあけると玄関は暗かったが、リビングの方にはあかりがついていた。大方、知紗姉がお笑い番組でも見ているのだろうと思い、そのまま二階へ上がろうとした。すると中からエプロン姿の知紗姉が現れた。
知紗「あ!おかえりひろ!いま丁度夕飯できたから食べない?」
知紗姉が夕飯づくり。いつもなら予想だにしないとこにおどろくところだろう。恐らく知紗姉もそれをねらっているはずたが、生憎そんな気分にはならずにいた。
洋希「...いいや、今日はもう寝るよ、ちょっと疲れちゃったから...」
知紗「あ、そう...」
知紗姉には悪いけど、ほんとに飯を食う気にすはなれない。ごめんね、知紗姉。明日ちゃんと食べるから...。
そういって俺は自分の部屋に入るとベットに寝転がり、何も無い天井を見つめた。
洋希「俺は...いったいどうしたらいいんだろう...」
《知紗視点》
ひろが部屋にいったあと、美渡から電話があった。洋希のやつ相当疲れて果ててるからすぐに寝かせてやれと。何があったのと聞くと、Aqoursがイベントで最悪の結果になってしまったらしい。それで洋希のやつが変に落ちこんでるから、何とかしてやれ、っていわれちゃった。なんとかしろって言ってもねぇ...。しょうがない!ここはお姉ちゃんらしくいきますか!!
覚悟を決めた私はひろの部屋の前までやって来た。実はというとひろが来てからはこの部屋には1度も入ったことが無い。なんせ掃除も洗濯もほとんどひろが自分でやるから私が入る隙がないのだ。たまには入ってエロ本の1つや2つ見つけたいところだ。
そんなことはさておき、私は緊張しながらも扉をノックした。寝ていれば何もせずにお笑い番組の続きがみれるが、そんなことはなく、中からひろの声が聞こえた。小さくだが、「知紗姉?」と聞いてきた。「そうだよ、入ってもいい?」と私が聞くと、あっさりと「いいよ」と答えた。なんだ、落ちこんでないんじゃない。落ちこんでたら私なんか入れてくれないだろうし。私はゆっくりとドアを開けて中に入った。中はいたって普通だった。机があってタンスがあって、ベットがあるぐらい。そしてそのベットには我が弟ひろがボーッと天井を眺めていた。
これは...かなり落ち込んでるやつだわ。
私は静かにひろのベットに座り込んだ。
知紗「ひろ、さっき美渡から電話あってさ。結果...あんまりよくなかったんだよね...」
洋希「...」
私の言葉に特に反応は示さなかった。ということは、やっぱりそうなのか...。久々のひろとの会話で、次に何を言おうか考えていた時、今度はひろが口を開いた。
洋希「ねぇ知紗姉」
知紗「ん?」
洋希「俺...このままマネージャーを続けてもいいのかな...」
いつものひろからは想像もつかないぐらい、ひどく沈んだ声で聞いてきた。私はその問の意味がわからなかったので、聞きかえした。
知紗「何かあったの?」
洋希「俺、東京である人に言われたんだ。あなたの甘さがAqoursにとって迷惑になってる。そんなあなたはマネージャーをやめるべきだって...」
ひろがAqoursの迷惑?いったいだれがそんなこと言ったのだろう。私はひろの言葉を聞いた時、誰かも分からない人に腹を立てた。私のいない所で、私の弟をそんな風に言うなんて...。
知紗「だから続けてもいいのかなって聞いてきたのね」
洋希「うん...」
知紗「...ひろは続けたいと思ってるの?」
まずはそこから。ひろ自身に続ける意思があるのか、それともないのか。ないならやめればの一言ですむ。しかしひろのことだ、こんな状態ではいるがやめるという選択肢は取らないだろう。そう思うのは、ちゃんとした理由が私の中にあるからだ。
洋希「俺は...続けたい...」
私の思った通り、ひろは続けたいと思っているようだ。なら私がこれ以上口をだすことも...
洋希「でも...続けちゃいけないんじゃないかって思ってる...」
そういうとひろは左腕で自分の目元を隠した。昔から、ひろが目元を隠すのは、泣き顔を見せないようにする行為だというのは、姉の私がよくしっている。
洋希「俺がいることでAqoursがダメになっちゃうならやめるべきなんだと思う。でも俺は続けたいって思ってる。あいつらと一緒にいたいって...」
だんだん涙声になっていくひろの目から、少しづつ涙がこぼれてきた。何年ぶりだろうか、こんな弱気になって涙を流すひろを見るのは。成長して、大人びたヒロからはもう見ることはないだろと思っていた姿に、私は見てて胸が苦しかった。それをみて思った。ひろもまだ、子供なんだと...。別にバカにしている訳では無い。まだちゃんと自分の気持ちをさらけ出すことが出来るんだという安心でもあるのだ。
洋希「わかんねぇんだ...いま、続けたい気持ちと、続けちゃいけない気持ちがどっちもあって...わかんねぇんだよ...」
話すにつれてひろの声はさらに弱々しくなっていく。今、ひろは自分の中での葛藤に結論が出せなくなってしまっているのだ。だったら私が導いてあげよう...その答えに...。
知紗「ねぇひろ、ひろがマネージャーをするきっかけってなんなの?」
そう、私はまだそれを知らなかった。ひろがスクールアイドルが好きなのは知っている。しかしそれだけでスクールアイドルのマネージャーをするだろうか?それが恐らく、ひろを悩みの森から脱出させれるはずだ。
洋希「千歌に誘われて...それで...」
ひろは未だ抑えらずに涙を流している。そんなひろを思わず抱きしめたくなる気持ちを抑え、ひろの言葉を待った。
洋希「俺、その時決めたんだ、こいつの夢を手伝うって、こいつの...希望になるって...」
希望...ひろからよく聞く言葉だ。誰かの助けに...「希望」になりたいと...昔よくいっていたのを思い出した。
知紗「じゃあ、続けるしかないんじゃない?だってまだ、千歌ちゃんの希望になれてないもん」
そういうとひろはハッと我にかえったような顔をした。
洋希「そう...だね...なんで忘れてたんだろう...」
ここまでひろが忘れいたということは、それほど東京での出来事が大きく影響しているのだろう。まったく、どこの誰だか知らないけど、ひろのことをあんまり責めないで欲しいもんだねぇ...。
洋希「俺は続けたい、いや、続けなきゃいけないんだ。千歌たちの希望になるために。それだけじゃない、浦の星の...学校の希望にもなるために...」
ひろは目を赤くしながらそういった。赤いものの、涙はもう流れていなかった。それはひろの中で、答えが出た証拠だろう。
知紗「やっといつものヒロらしくなったわね」
洋希「ごめん知紗姉、変に心配かけて」
知紗「それはいいわ、でもひろ...」
私は洋希の手を両手でギュッと握りしめた。
知紗「またこうやって悩んだ時は私に相談して、1人で抱え込まないで。私はあなたの「姉」なんだから」
洋希「うん、わかったよ知紗姉...」
微笑みながらひろは私の言葉を受けいれてくれた。
知紗「じゃあ、私はこの辺で...」
洋希「待って知紗姉」
立ち上がって部屋を出ようとする私をひろが呼び止めた。まだ何かあるのかね?
洋希「俺ってさ...甘いのかな?」
知紗「甘い?」
甘いって...お菓子とかそっちじゃないよね?爪が甘いとかそういうのだよね?まさかここでふざけるわけないし...。
洋希「ほら、俺さっきいったじゃん。俺の甘さが迷惑だって。それって...どういうことなのかなって...」
あ、やっぱりそういう甘いね、うんうん。お姉ちゃん分かってたよ。へ?それでひろの甘さはなんだって?うーんとね...。
知紗「多分...優しすぎるんじゃない?」
洋希「優し...すぎる?」
知紗「ひろが優しすぎるから、千歌ちゃん達がそれに甘えちゃってるんじゃないかって」
洋希「じゃあ...どうすれば...」
知紗「それは簡単よ、飴と鞭よ」
洋希「飴と...鞭?」
知紗「そう、厳しくするときは厳しくする、優しくするときは優しくする。それがちゃんとできれば、ひろはちゃんとできると思うよ?」
実際ひろの優しさに甘えてるのは私もなんだけね...。だってひろ、注意するくせに結局自分でやっちゃうから、私がやんなくてもひろがやってくれるなぁってどこか頼ってるところがあるんだよね...。
洋希「そっか...ありがとう知紗姉」
知紗「どういたしまして!」
そういって弟の笑顔を確認し、部屋を出た。扉の前で私は一呼吸ついた。
久々に、姉らしいことが出来たかな?いつもはだらしないとこばっか見せちゃってるけど、私はあなたの姉よ?ひろ。そこはしっかり覚えといてね☆
そんなことを思いながら部屋に戻ろうとした時、私は思い出した。ひろがやめるという選択肢をしないという考えにいたった経緯を...
〜回想〜
洋希「ただいまぁ...」
くたびれた様子でひろが帰ってきた。最近になって帰りが遅いのとこの疲れてた姿、そんなにスクールアイドルというのは大変なのか?
知紗「ひろ、最近帰り遅いけど...なんかあったの?」
洋希「んとね、今日は梨子の作曲を手伝って...昨日は曜の衣装作り手伝ってて...」
知紗「た、大変なんだね...」
ひろの多忙さに、私は苦笑いしかできなかった。私の弟が、かなり使い回しされているのね...。
知紗「嫌なら断ってもいいんじゃない?それでなんか言うような子達じゃないだろうし...」
洋希「まあ、そうなんだけどさ。いつも一通りやること終えて帰る時にさ、笑顔でありがとうっていわれるのが、なんか、嬉しくてさ。だからまた頼まれたときに、嫌とは言えなくなっちゃうんだよね、へへっ」
そう嬉しそうに答えた。そっか、大変さの中でひろは誰かから頼られる喜び、感謝される嬉しさを知ったんだ。だから毎日、あの子たちのために頑張れるんだね...。
〜〜
知紗「そんなひろがやめるなんて選択肢、するわけないもんね...」
ひろはAqoursと過ごす中で、確実に成長してる。マネージャーとして、男として、そして人間として。ひろ自身は気づいてないかもしれないが、より一層、誰かのために何かできる人になっていってる。誰かの...「希望」に...。
知紗「ひろ...頑張ってね...」
悩める弟の相談に乗り、改めて彼の成長を感じた知紗は、お笑い番組には手をつけず、そのままベットに潜り、眠りについたそうだ...。
後日...
美渡「で、あの後洋希とは話したの?」
知紗「ええ、もう相当落ち込んでてね、大変だったわよ...」
美渡「そっか、てか今の高校生って、悩みの深さが違うよな〜」
知紗「そうだね〜、私たちの頃はあんな悩みもってなかったもんね〜」
美渡「な、でもそれ以上に楽しそうだよな〜今の高校生って」
知紗「だよね〜帰り際にアイス買って帰ったりしてるし〜」
美渡「私たちのころはそんなのほぼ禁止だったからな〜」
美渡、知紗「はぁ〜...」
美渡、知紗「いまのJKになってみたいな〜」
志満(ふふっ、まだまだ二人も子供ね)
次回もお楽しみに!!ヾ(・ω・`)