ラブライブ!サンシャイン!! 〜希望の光〜   作:リオート

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ルビィちゃんのためにイベント周回するので、いつものショートストーリーはお休みします。(ネタが思いつかなかったなんていえない...)




第31話 舞い降りし黒き翼

ヨハネ「感じます。精霊結界の損壊により、魔力構造が変化していくのか...世界の趨勢が天界議決により決していくのか...」

 

一本のロウソクにが明かりを放つ部屋の中、少女は一人、カメラに向かって中二病的セリフを吐いている。

 

ヨハネ「彼の約束の地に降臨した堕天使ヨハネの魔眼がそのすべてを見通すのです!」

 

堕天使ヨハネ、またの名を津島善子。彼女はたびたび動画サイトの生放送を行っている。

ファンもそこそこいるようで、ひとたび放送すれば結構な人数が視聴してくれるが...

 

ヨハネ「すべてのリトルデーモンに捧げる...堕天の力を!」

 

ピロン

 

生放送の終了時間となり、動画にうっつていたヨハネの姿は消えた。そして放送が終了数秒の束の間、ヨハネは窓を勢いよく開け、ベランダに飛び出した。

 

善子「やってしまった~!なによ堕天使って!ヨハネってなに!リトルデーモン?サタン?いるわけないでしょ!そんなもーん!」

 

と、自分が先ほどまで言っていたセリフをなぜか自分で否定し始めた。

 

善子「もう高校生でしょ!津島善子!いい加減卒業するの!...」

 

部屋に戻った善子は鏡の前で自分をしかりつけた。

 

善子「そう、この世界はもっとリアル、リアルこそが正義!...リア充に...私はなる!」

 

腕をかかげ、どこぞの麦わら帽子の海賊のように宣言した善子。

しかし彼女は先日自分がとった行動を記憶の底から呼び寄せてしまった。

 

善子「なんで...なんであんなこといったのよ!」

 

入学初日の自己紹介で堕天使を降臨させてしまい、高校デビューのスタートダッシュを大きく踏み外してしまったのだ。これが、今彼女が引きこもりになっている原因だ。

 

善子「学校いけないじゃない!」

 

はたして堕天使ヨハネ、もとい善子は、リア充になる夢を果たせるのか...。

 

 

 

次回もお楽しみに...

 

 

 

 

 

 

 

善子「って!勝手に終わらせるな!!」

 

 

 

 

 

 

 

一方浦の星スクールアイドル部部室では...

 

洋希「4768位か...」

曜「今日も上がってないね」

洋希「そう簡単には上がらないか~」

ルビィ「ライブの歌は評判いいんですけど...」

 

放課後、俺たちはパソコンに映し出された順位を見ている。最初のほうは少しずつだが順位は上がっていた。しかしここ数日になって数字の変動がない。上りもしないし下がりもしない。

 

千歌「それに新加入の二人もかわいいって!」

ルビィ「本当ですか!」

曜「特に花丸ちゃんの人気がすごいんだよ」

梨子「[花丸ちゃんかわいい][花丸ちゃんの歌ってる姿が早く見たい]」

 

といったAqoursのファンからのメッセージが数多く送られてくる。

一番うれしいのは花丸の人気が高いこと。やっぱり誘って正解だったと思えた。

 

洋希「よかったな花丸!やっぱり俺以外にもかわいいって思ってくれる人はちゃんといたな!」

曜「さらっと俺もかわいいと思ってるアピールしなくていいからね」

洋希「そういうことじゃねえから!」

 

当の本人である花丸は嬉しいのか、口を開けたままボーっとしている。かと思うと今度はふらふらとこちらに近づいてきた。コメントを自分の目で確かめたいのだろうと思っていたのだが...。

 

花丸「これが...パソコン!...」

 

ガシャーン!!

曜「そっち!?」

梨子「ていうか洋希くん、大丈夫...?」

洋希「だ...大丈夫だ...問題ない...」

 

花丸の予想の斜め上の反応に、思わず椅子から転げ落ちてしまった。まさか感動の矛先がそっち側だったとは...。

 

花丸「もしかして、知識の海につながっていると言う...インターネット!」

 

知識の海とはまた花丸らしい例えだな。

と感心していたが、俺は一つ疑問に思った。その問いに答えられるのは、おそらくルビィだ。

俺はルビィに近づき、耳打ちする。

 

洋希「なあ、花丸ってパソコン使ったことないのか?」

ルビィ「実は、お家が古いお寺で、電化製品とかほとんどなくて...」

曜「そうなんだ」

 

そのせいか、ショッピングモールとかによくある自動で水がでる蛇口なんかでも相当驚いていたらしい。花丸はいったいいつの時代からタイムスリップしてきたんだ。

 

そんな花丸をみんなで後方から眺めていた。すると花丸が「触ってもいいですか!」と聞いてきた。

千歌がそれを了承すると、まるで新しいおもちゃを与えられた子供のようにパソコンに食いついた。

パソコン一つであそこまで喜べる花丸がうらやましくも感じた。

そんな花丸は何かに気づいたらしく、手が動き始めた。その指の先は...。

 

花丸「ずらっ」

 

花丸がボタンを押したと同時に画面が真っ暗になった。そう、花丸が押したのはあろうことか電源ボタンだったのだ。そしてそれに気づいた曜と梨子がとっさにパソコンに駆け寄る。

 

梨子「大丈夫!?」

曜「衣装のデータ保存してたかなぁ...」

 

梨子と曜の会話で花丸の顔に焦りが見え始めた。

 

花丸「ま...マル...なにか...いけないことしました...?」

 

そう涙目になりながら尋ねてきた。

 

洋希「大丈夫、梨子たちが大げさに言ってるだけだから」

花丸「ほ...本当ですか...?」

洋希「ああ、だからそんな泣きそうな顔すんなって」

 

花丸の頭に手をおき、ゆっくりなでる。ブラウン色のすらっとした髪、なでているこっちが気持ちいぐらいだ。

花丸自身も「ずら~♪」と言ってご満悦の様子だった。さっきまでの不安そうな顔も、どこかに飛んで行ってしまった。すると千歌が横目で俺に近づいてきた。

 

千歌「いいな~花丸ちゃんだけなでてもらって~」

洋希「なんだよいきなり」

千歌「私のこともなでてよ!」

洋希「理由を10字以上15字以内で述べよ」

千歌「ええっと...なでてほしいから!」

洋希「理由としてもひでえしまず10字いってねえし」

千歌「ダメ~?」

洋希「先輩なんだから少しは我慢しろ」

千歌「そんなこといわずにさぁ~ちょっとでいいから~」

 

そういいながら今度は俺の左腕にしがみついて「おねがぁい..」と上目遣いで頼んできた。

これ以上断ると何をしてくるかわからないので、やむなく了承するしかなかった。

 

洋希「わかったよ、ほれ」

千歌「わ~い!」

 

花丸のから手を離し、千歌のほうにスライドさせる。そのとき花丸が残念そうにしていた。そんなに気持ちよかったのかな?

千歌はなでるたびにアホ毛がぴょこぴょこする。前にも一回なでてるから、特別気持ちいとは思わなかった。

千歌も花丸同様、なでてる途中で「えへへ♪」といっていて嬉しそうだった。

すると会話を聞いてたであろう曜と梨子がこっちを向いた。

 

曜「洋希、私にもあとでやってね、絶対」

梨子「私も...ちょっとだけ...」

 

押し気味に頼んでくる曜と、控えめに頼んでくる梨子。

あーダメだ、もうこれ断れないやつだよ~。やっぱり千歌のうけるんじゃなかったわ。

なんて考えていると、

 

ルビィ「先輩...あの...」

 

と言って近づいてきた。

まさかとは思うけど、ルビィもなでてくださいとか頼まないよな...。

 

洋希「ど、どうしたルビィ?」

ルビィ「こ...こんなときに言うのもあれなんですけど...」

 

お?もしかして違う話題か!よかった、やっとなでなで地獄から解放される!

 

ルビィ「お姉ちゃんからの伝言で、「もしルビィに破廉恥なことをしたらそのときは...」って言ってました」

 

あーダイヤさんからの忠告ね、気をつけますよっと...って!最後の「そのときは」の後なに!?そこが一番気になるんですけど!何されるんですか僕!

 

結局この後洋希は、ルビィちゃんを除く全員をなでたのだった。

めでたしめでたし...

 

 

洋希「ってめでたくもねえし、終わんねえから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花丸の一件の後、データを確認したが、特に消えたりなどはしていなかった。それを聞いて花丸はほっとしていた。そんな花丸に俺は、せっかくの機会だからパソコンの使い方を教えてやるよ、といって俺のマイPCをもって屋上に向かった。

 

花丸「おお~!こんなに弘法大師、空海の情報が!」

洋希「すげえだろ、あとここで画面の切り替えな」

花丸「す...すごい...」

 

さすがは知識の海といったところで、花丸が調べたいことは全部のっていた。それにしても、弘法大師と空海って...。とても高校一年生が検索する内容とは思えない。さすがは文学少女といったところだ。

 

梨子「もう!これから練習なのに!」

曜「まあ少しぐらい、いいんじゃない?」

千歌「それよりランキングをどうにかしないと...」

ルビィ「毎年スクールアイドル増えてますから...」

千歌「しかもこんな何もない場所の、地味!&地味!&地味!なスクールアイドルだし...」

洋希「百歩譲ってお前は地味かもしれんが、内浦は結構いいとこだとおもうぞ」

千歌「ちょっとぉ!なんで私は地味確定なの!そういう時は「千歌、お前は地味なんかじゃない。俺からみたら、一番かがやいてるぜ」とかいうもんじゃないの!」

洋希「俺はそんな少女漫画のイケメン男子みたいなことは言わん」

千歌「むう~」

 

まあ千歌も地味っていうほど地味ではないんだけど、なんか本人に言う気がおきない。

 

梨子「やっぱり目立たなきゃダメなの?」

曜「人気は大切だよ」

千歌「何か目立つことかぁ...」

梨子「そうねぇ...例えば、名前をもっともーっと奇抜なのにするとか?」

千歌「奇抜...!」

洋希「奇抜...!」

千歌「それって...」

洋希、千歌「スリーマーメイド...」

梨子「はっ!」

 

多分千歌と出会って初めて心が通じ合ったんじゃないかと思うぐらい、俺たちは同じことを同時に言った。

 

洋希「ああでも5人になったからファイブマーメイドか」

千歌「シックスマーメイドじゃない?」

洋希「まて、俺は踊らないからな?」

千歌「あ、そうだった」

梨子「二人とも...」

 

おや?梨子の様子が...なんて思ってたら、突然梨子が俺と千歌の頬っぺたを引っ張ってきた。しかも結構つよめだった。

 

梨子「そうやって蒸し返すなら、お仕置きよ!」

洋希「り、梨子しゃん!痛い痛い!」

千歌「梨子しゃん!謝るからー!」

ルビィ「シックスマーメイドォ...」

 

少し離れたところで俺たちの話を聞いていたルビィは、どんな妄想をしてるかわからないが、目を輝かせていた。ていうか俺含んじゃってるし...

 

洋希「だから俺は踊らないから!...って痛い!」

曜「あはは...」

 

いつもに増してわちゃわちゃする俺たちを見て、苦笑いをこぼす曜。

そんな中、先ほどまでパソコンにかぶりつくようにいじっていた花丸が、屋上の入り口を一心に見つめているのに気が付いた。俺も気になって花丸の目線の先を確認したが、何も見えなかった。

俺はなんとかつねりを振り払い、頬をさすりながら花丸に聞いた。

 

洋希「花丸、なんかみつけたか?」

花丸「いや、なんでもないずら」

洋希「そう...」

花丸「マル、お手洗いにいってくるずら」

洋希「おう、いってら」

 

俺の気にし過ぎかな?それともホントになにか見つけたのか...

そんなことを考えている俺に曜が声をかけてきた。

 

曜「洋希〜!私たちでさきにやっちゃおうよ!ただでさえ時間使っちゃったし」

洋希「そうだな、よ~し!始めるとしますか!」

 

パソコンを閉じ、かなり遅めの練習を開始した。

 

数十分して、ようやく花丸が帰ってきた。トイレにしては長いなとは思ったが、女の子だからこんなもんかと思い特に問い詰めたりはしなかった。

しかしその数十分にあった出来事を、次の日俺は知ることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

洋希「ルビィ、教室にいるよなぁ...」

 

俺が今なにをしているかというと、昨日メモを取るためにルビィから借りたシャーペンを返しに、一年生の教室に向かっているのだ。朝練の時に返せばよかったのだが、生憎ルビィが日直だったので会えなかった。なので一限が始まる前の時間を使って、返そうと考えたのだ。一年生教室には何回か足を踏み入れてるので、いまさら躊躇することはないのだが、やっぱりまだ慣れないのが率直な感想だ。なので俺はシャーペンを左ポケットに突っ込み、一度深呼吸して気持ちを整え、教室までの道のりを進み続けた。

一年生教室まで来たのだが、なんだか中がざわざわしている。いつもうるさいくらいだが、今日はなにか、別の騒がしさを感じた。それと同時に、禍々しいオーラも感じ取った。少し開けるのをためらったが、勇気をもって扉を開けた。

 

洋希「失礼しまー...」

ヨハネ「堕天の時が来たのです!」

 

俺はその瞬間、来てはいけないときに来てしまったなと察した。術式の書かれた布の上に、黒いローブを身に纏い、ロウソクを持った少女、津島善子がそこにいた。そして今、絶賛堕天中であった。

 

洋希「お前...学校来てたんだな」

ヨハネ「り、リトルデーモン!?...こ、こんなところでな...何をしているのかしら?」

洋希「いや...それはこっちのセリフなんだが?津島善子さん」

善子「善子じゃなくて!ヨ・ハ・ネ!」

 

いつものテンプレをいただいたところで、俺は今の状況について聞いた。

 

洋希「それで?お前はいま何をしてるんだ?」

ヨハネ「決まっているでしょう、私なりの占いをしてるだけよ...」

 

ローブをたなびかせて、自信満々に占いと豪語する善子。いつの間にか堕天使モードに切り替わってる。

何?このスタイルはクラスになじんだのか?と疑問を抱いてしまった。しかし善子の前にいた生徒たちをみて事の深刻さを悟った。

 

ヨハネ「どお?リトルデーモン。なんならあなたも占ってあげても...」

洋希「それは嬉しいが、まずお前は目の前の状況に目を向けたほうがいいとおもうぞ...」

善子「へ?」

 

善子は顔の向きを変え、クラスメイトのほうを向いた。そこには善子の言動に動揺して声も出せないクラスメイトの姿があった。それを見た善子はさっきまでの生き生きとした顔とは打って変わって、顔がこわばり、余裕がなくなっていた。その顔からは、「やってしまった」という後悔の気持ちが読み取れた。

 

花丸「善子ちゃん」

善子「な、なによずらまる...」

 

俺と反対側に立っている花丸が善子に睨み付けていた。そして花丸は善子が持っていたロウソクの火を消すと、話をつづけた。

 

花丸「放課後部室に来るずら」

善子「な、なんでよ...こ、これでも私、結構忙しくて...」

花丸「じゃあ、マルはもうこれに関しては協力はしなくてもいいということで...」

善子「わ、わかったわよ!行けばいいんでしょ行けば!」

花丸「というわけで先輩、放課後、善子ちゃんがお邪魔するずら♪」

善子「だから...善子じゃなくて!よは...」

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

善子の言葉を遮るかのように予鈴がなった。ということはあと数分で一限が始まってしまう。

 

洋希「やべ!授業始まっちまう!」

 

俺は善子たちに背を向け、教室を後にした。

 

 

そのあと廊下を歩いてる間にさっきまでのことを考察した。

 

洋希「まさか善子が来てるとは思いもしなかったなぁ。あいつ、堕天使キャラがあれだから来なかったのに、結局堕天使降臨させてるし...。それと花丸の「協力」ってなんなんだろうか...」

 

突然の出来事に頭を悩ませる俺は、意味もなくポケットに手を突っ込んだ。その時、左のポケットの中で細長いものをつかんだ。何かと思い取り出した。それはピンク色のシャーペンだった。

 

洋希「シャーペン?...ああっ!」

 

俺はそのシャーペンを見て、本来の重要な目的を忘れていたことに気がついた。

 

洋希「ルビィに返してないじゃん...」

 

 

今回の依頼は、堕天使ヨハネの乱入により、クエスト失敗に終わった。

 

 

 




最近やりたいことが多くて、一日が48時間にならないかな~なんてバカみたいな願望をしています。
あと小説に関してだと、一対一のストーリー作りたいなーとか思ってます。

感想やアドバイスは順次受けつけてます!

次回もお楽しみに(^o^)丿

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