ラブライブ!サンシャイン!! 〜希望の光〜   作:リオート

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洋希「赤き衣を纏いし男は、愛する人を救うため、赤き方舟に乗り、世界を飛び回る。いくたと襲いかかる試練を帽子に宿りし相棒とともに、乗り越えていく。時には敵に化けたり、建物と一体化したり、はたまた乗り物になったり。彼らの冒険は危険と苦労の連続。はたして、彼らは無事に愛する人たちを救うことができるのか...」
花丸「先輩!それは何ていう本の内容ずら?!」
洋希「ああ、これはな...」
花丸「うんうん!」
洋希「俺なりに考えたゲームの宣伝だ」


マリオ面白いすぎ。


第30話 やらない後悔よりやる後悔

洋希「花丸ちゃんの...夢...」

 

ルビィちゃんのためにそこまで考えていたなんて、親友というよりもはや家族レベルの思いに感じた。

 

花丸「そして今、その夢は叶いました」

洋希「っ!...」

花丸「たぶんこのままスクールアイドル部に入部すると思います、だから洋希先輩」

 

花丸ちゃんは深々とお辞儀をした。

 

花丸「ルビィちゃんのこと、よろしくお願いします」

洋希「あ、ああ...」

花丸「それでは」

 

花丸ちゃんは階段を一歩一歩ゆっくり降りていった。

これで良いのか。なんだか俺のなかでもやもやが残っている。

 

洋希「花丸ちゃんは続けないの?」

花丸「マルは...大丈夫です。もともとはルビィちゃんを誘うためだったので...」

 

声にハリがない。どこか苦しいそうで、悲しそうに聞こえる。

 

花丸「なのでマルはこれで...さようなら!」

洋希「あ...」

 

そういって花丸ちゃんは走り去っていってしまった。

あの様子...もしかして花丸ちゃんも...。

 

 

 

 

 

 

 

 

花丸ちゃんと別れた後、ルビィは何とか頂上までのぼりきることができました!途中ちょっと止まったりしたけどのぼりきった時はすごく気持ちよかったです。

少しして洋希先輩がゆっくりとぼとぼのぼってきました。

 

千歌「ひろくんおそーい!なにやってたの!」

曜「あれ?花丸ちゃんは一緒じゃないの?」

洋希「え...ええっと...」

 

先輩の視線がルビィに向けられる。花丸ちゃん、洋希先輩に何を話したんだろう...。

 

洋希「よ、用事を思い出したずら〜とかいって帰っちゃったぜ...へへへ...」

梨子「そうなんだ...」

曜「それじゃあ仕方ないね」

 

あの感じ。先輩が嘘をついてるのが良くわかる。花丸ちゃんとなんかあったんだ...。

 

 

一方その頃...

 

マルはある人をここに呼びだした。その人は...

 

ダイヤ「なんですの?こんなところに呼び出して」

 

そう、ルビィちゃんのお姉さん、ダイヤさん。

ルビィちゃんが今もっとも気にしている人。

マルはダイヤさんに近づき、考えをぶつける。

 

花丸「あの...ルビィちゃんの話を...ルビィちゃんの気持ちをきいてあげてください...」

ダイヤ「ルビィの?」

 

 

 

 

 

 

 

今日の練習は終わり、というわけで俺たちは階段をゆっくりと降りていっている。

頂上の景色も最高だったが、途中にあるロックテラスからもいい景色がみれるんだよなぁ〜と思っていたのだがそこには...。

 

ルビィ「お姉ちゃん!?」

 

あろうことかダイヤさんがロックテラスで待ち伏せしていたのだ。

 

千歌「ダイヤさん...なんでここに...」

曜「洋希...」

洋希「俺じゃないからな」

 

信用なさすぎじゃないですかね?

 

ダイヤ「これはどういうことですの?」

ルビィ「あの...これはその...」

 

ここは是非ともルビィちゃんにガツンと言ってもらいたいが、いざお姉ちゃんの前になるとルビィちゃんも口ごもってしまう。

 

千歌「違うんです!ルビィちゃんは...」

ルビィ「千歌さん!...」

 

代弁しようとした千歌をルビィちゃんが静止する。そしてルビィちゃんはダイヤさんの前までゆっくり歩いていった。

 

ルビィ「お姉ちゃん...」

 

俺たちはただ見守ることだけしかできない。これはルビィちゃんのことだ。ルビィちゃんが自分で言えるかどうかが大事なのだ。頑張れ、ルビィちゃん...。

 

ルビィ「ルビィ...ルビィね!...」

 

 

 

 

ルビィちゃんの決心はそこにいる全員の耳にしっかりと刻まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、ルビィは部室で入部届に「スクールアイドル部」と「黒澤ルビィ」を書いた。

 

ルビィ「よろしくお願いします!」

 

千歌さんはそれをそっと受け取ってくれた。

 

千歌「宜しくね!」

ルビィ「はい!がんばります!」

 

ここから、ルビィのスクールアイドルが...

 

梨子「そういえば...国木田さんは...?」

曜「洋希もいないんだけど」

千歌「二人ともどこいっちゃったのさ〜!」

ルビィ「もしかして...」

 

 

 

 

 

図書室の扉を開けて中に入る。誰もいない、静かな空間になっている。

 

(これでマルの話はおしまい。もう、夢は叶ったから...。マルは本の世界にもどるの。)

 

受付の席に座り、目を閉じ、ルビィちゃんを頭に浮かべる。

 

花丸「大丈夫、一人でも...」

 

それはルビィちゃんに対して思ったことでもあり、自分に対しての言い聞かせでもある。

そして受付の引き出しにしまったμ'sの特集雑誌に目が止まった。マルはそれを取り出し、お気に入りの星空凛さんのページを眺めた。

マルには...程遠い世界だったずら...。

 

花丸「バイバイ...」

 

本を閉じ、スクールアイドルの世界からさようならしようとした、その時だった...

 

 

 

 

 

洋希「へぇ〜、花丸ちゃんもこういうの読むんだな!」

花丸「へぇ?」

 

顔をあげるとそこには洋希先輩が受付に身を乗り出し、マルが手に取った雑誌を覗き込んできた。

 

花丸「ずらぁーーー!」

 

マルはビックリしてそのまま倒れそうになったけど、ぎりぎりでバランスを保ち、体制を立て直した。

 

洋希「ごめんごめん!あんまり熱心に見てるからいつ声かけようかな〜って思って」

花丸「もう!心臓に悪いずら!」

 

ヘタしたら事故になりかねかなったずら...。

 

花丸「それにしてもどうして洋希先輩はここに?」

洋希「花丸ちゃんを連れ戻しにきた」

花丸「連れ戻すって...どういうことですか?」

洋希「そのまんまの意味さ、花丸ちゃんにはスクールアイドル部に入ってもらう!」

 

意気揚々と発言した先輩にマルは呆気をとられた。マルをスクールアイドルに...。でももう...

 

花丸「マルは...もういいです...スクールアイドル部に体験入部したのもルビィちゃんの為ですし...言っちゃえば冷やかしみたいなものです...だから...」

洋希「そうか?冷やかしで来た人はそんなもの読まないと思うけどな?」

 

先輩が指を指したのはマルがもっている雑誌。スクールアイドルμ'sの雑誌だ。

 

洋希「それにこんなのまで」

 

洋希先輩がとったのは[初心者でもわかる 作詞の仕方な・作曲の仕方]。

 

洋希「作詞とか興味あったんだ」

 

二ヒヒと笑いながら先輩はそういった。確かに少しは興味あったけども...。

 

花丸「いいんです、ほんとに...運動も苦手だし、オラとかずらとか言っちゃうし...スクールアイドルには向いてないずら...」

洋希「...」

 

ついに先輩は黙りこんでしまった。手を口にあてて考えこんでいる。もうなにを言われても断わるしかないずら...。

 

洋希「...よし」

 

なにか思いついた様な先輩。もう何を言っても...。

 

洋希「俺の後輩に、本の大好きな少女がいました」

 

突然、洋希先輩が本の読み聞かせの様に話をし始めた。

 

洋希「その子は思いやりがあり、親友のために自分が出来る精一杯のことをして、その親友を夢の道へと導きました。長く思っていた夢を叶える事ができました。」

 

マルはその話しをすぐに理解することができた。これは、マルの物語を話しているのだと。

 

洋希「ですがどうしたことでしょう、その少女にはまだ心残りがありました。親友の夢を応援しているうちに、自分もその夢の道に進みたいと思ってしまったのです」

花丸「!...」

 

まるでマルの心の中にある思いを一つ一つ繋げ、作りあげてできた話に聞こえる。ここまで心を見透かされると、逆に恐怖を感じるぐらいだ。

 

洋希「親友は素晴らしい夢も、きらきらの憧れも、胸に閉じ込めてしまう子でした。だから自分がその扉を開けてあげました。しかしそれと同時に、少女は自分の胸の扉を閉めてしまいました、運動が苦手だ、オラとかずらとかいってしまう、そんな自分には程遠い夢だと思ってしまいました、そして...」

 

花丸「もういいずら!!」

 

気づいたときにはマルは大声で先輩を怒鳴りつけていた。先輩の耳を塞ぎたくなるぐらいの、マルの心に対しての解答に耐えられなくなった。

 

洋希「花丸...」

 

初めて先輩にちゃんをつけられないで呼ばれたずら。

 

洋希「俺はな、お前が思ってるほど、お前がスクールアイドルに向いてないとは思わない。運動が苦手なのはやろうとしないからだ、やってみれば案外できるもんだぜ?。オラとかずらなんて逆に可愛いと思うよ。最近のスクールアイドルでも方便使ってる方が人気出てる子だっているしな。そういう面では花丸はスクールアイドルに向いてると思うぜ?」

 

先輩の言葉一つ一つがマルの心に響いてくる。とてと暖かくて優しい言葉が、マルの閉ざされた扉をゆっくりと開いてくれる。

 

花丸「こんなマルでも...スクールアイドルになれますか?...」

洋希「なれるよ、絶対。そこには写ってる凛さんも、最初は自分にスクールアイドルは向いてないって思ってたんだって」

花丸「そうなんですか...」

洋希「花丸に似てるな、そういうところ」

花丸「そうかもしれませんね...」

 

先輩の話で、凛さんに少し親近感が湧いた。

でも、自分も凛さんのように上手くいくかわからない。

 

洋希「誰だって最初は怖いんだよ、新しいことを始めるのって。だから、その恐怖を乗り越えた人が、この先成功するんじゃないかって俺は思うんだ。出来るか出来ないか悩んで手をつけないで、あとで後悔すること、それよりやって後悔したほうが後味悪くないだろ?やらない後悔より、やる後悔!」

 

マルにもできるかもしれない。今の先輩の言葉でマルの心の扉が完全に開いた。

スクールアイドル...やってみよう。そう思えたのだ。

 

花丸「信じていいんですね...」

洋希「ああ!俺がお前の「希望」になってやるからな!」

花丸「希望...ですか?」

洋希「そう!お前の夢を応援する「希望」だ!」

 

希望かぁ...なんか響きはすごくいいけど...

 

花丸「ふふっ...」

洋希「な、なんで笑うんだよ!」

花丸「なんか、小さい子が言ってそうな言葉だなぁっと思って...ふふっ...」

洋希「なぁ!また笑った!」

 

ほんとに...面白い先輩ずら...。

この人なら信じても大丈夫ずら。ここまでマルのことを思ってくれるのなら...。

 

すると図書室の扉があき、ルビィちゃんが飛び込んできた。

 

ルビィ「花丸ちゃん!」

花丸「ルビィちゃん!?」

 

先輩の次はルビィちゃん...もしかして...。

 

ルビィ「花丸ちゃん...一緒に...」

 

ルビィちゃんは深呼吸して、マルにその思いをつたえた。

 

ルビィ「スクールアイドルやろう!」

花丸「ルビィちゃん...」

ルビィ「花丸ちゃん、ルビィのためにスクールアイドル部に入ってくれたんだよね?」

花丸「バレちゃってたか...」

ルビィ「ルビィ、すごく嬉しかった、花丸ちゃんがルビィをそこまで思っててくれたんだなって思って...でもね!」

 

受付の横からマルの正面まで移動したルビィちゃんは話を続けた。

 

ルビィ「ルビィね!もう一つ夢があったの!」

花丸「夢...?」

ルビィ「花丸ちゃんと...一緒にスクールアイドルをやること!」

花丸「ルビィちゃん...」

ルビィ「ずっと思ってたの!スクールアイドルやるなら、花丸ちゃんと一緒にやりたいって!」

 

嬉しかった。親友からの誘い。いままでにないくらいの幸福を今味わっているずら...。

 

ルビィ「どうかな...?」

花丸「...いいよ」

ルビィ「ほんとに!ほんとのほんとのほんとに!?」

花丸「うん!」

ルビィ「やったぁ!やったぁ!」

 

はしゃぐルビィちゃん。嬉しそうでマルは御満悦ずら!

 

洋希「これで...満足したぜ...」

ルビィ「洋希先輩!?いつからそこに!?」

 

姿が見えなくなったとおもったら、また突然姿を表したずら。なんずら、透明化の魔法でも使えるんですか?

 

洋希「よし!じゃあ花丸!部室にいくぞ!入部届はここにあるからな!時間ないから急ぐぞ!」

花丸「えっ!あっ、はい!」

洋希「ほら!ルビィもいくぞ!親友の入部の瞬間をちゃーんと見届けてやれ!」

ルビィ「は、はい!って今ルビィって...」

洋希「細かいことはあとあと!置いてくぞ!」

 

そういうと先輩は扉をおもいっきり開けてダッシュでいってしまった。

 

ルビィ「いこう!花丸ちゃん!」

 

ルビィちゃんの手が差し出される。

マルはその手を握り返した。

 

花丸「...うん!」

 

 

 

 

 

その日の放課後、マルは入部届を提出し、スクールアイドル部への入部を決めた。そして...

 

千歌「じゃあ行くよ...」

 

そう千歌先輩が宣言し、パソコンの[return]を押す。すると画面に[浦の星女学院アイドル部 Aqours RANK4999]と映し出された。先輩の話をによるとこれは全国のスクールアイドルの順位をあらわしているものらしい。

 

梨子「4999位...」

ルビィ「上にスクールアイドルが5000組もいるってこと!?すごい数...」

洋希「こりゃあ相当頑張らねえと上にはいけない」

 

確かにすごい数ずら。でもマルの中で「無理ずら」っていう言葉は浮かばなかった。やってやる...その思いがマルのなかで沸き起こった。みんな呆気を取られてるずら。こうなったら...。

 

花丸「さぁ!ランニングいくずら〜!」

一同「おおーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マルの...いや...マルたちの物語は...ここから始まる...ずら!!

 

 

 

 




花丸「先輩!ゲームばっかりやってないで本も読むずら!」
洋希「ゲームばっかじゃないぞ。俺だって本の一つや二つ...」
花丸「どうせマンガか小説ずら」
洋希「なぜわかった...」
花丸「前に誰かさんも同じような感じだったずら」
洋希「じゃあ今花丸が読んでる本、読み終わったら貸してくれよ」
花丸「いいけど...これ最新刊ずら」
洋希「最新刊?なんの本だそれ?」
花丸「SAOずら」
洋希「小説じゃねえか!」


2期の4話のダイヤさん面白すぎて笑いこげました。
次回もお楽しみにヾ(・ω・`)

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