洋希「どうした梨子?足抑えて。怪我でもしたか?」
梨子「あ、ううん。ちょっと筋肉痛で...」
洋希「もしかして階段ダッシュのやつか?」
梨子「か、かも...」
洋希「しゃあねぇ、俺がマッサージしてやるよ。ほら、足出せ」
梨子「えっ!いいよ別に!」
洋希「いいから貸してみろ」
梨子「ちょっと...///」
千歌「ひろくんが」
曜「梨子ちゃんにセクハラしてる〜」
梨子「千歌ちゃん!?曜ちゃん!?」
洋希「なんだよ、俺は梨子のためにな...」
千歌「じゃあ私たちにも」
曜「あとでやって」
洋希「わかったわかった、まずこっちをおわらせるから...」
梨子「えっ、やっぱりやるの?」
洋希「もち」
梨子「お...お手柔らかにね...?」
揉むたびに梨子ちゃんが変な声をだすので、洋希は相当理性を削りながらマッサージしたそうです。
ルビィ「ふぇぇ!?スクールアイドルに!?」
花丸「うん」
放課後、いつも通り花丸ちゃんと下校しようとした時だった。花丸ちゃんが「スクールアイドルをやってみたい」といってきたのだ。
ルビィ「どうして!?」
花丸「どうしてって...やってみたいからだけど...ダメ?」
ルビィ「全然!ただ花丸ちゃん、興味とかあんまり無さそうだったから...」
この前は「ないない!オラには無理ずら!」みたいなこといってたのに。いったいどういう風の吹き回しだろう?
花丸「いやぁ、ルビィちゃんと見ている内にいいなぁって」
花丸ちゃんには何回かスクールアイドルのDVDは見せてたけど、もしかしてそれがきっかけなのかな?いつも何食わぬ顔で見てたけど、ホントは花丸ちゃんも虜になってたんだ。
花丸「それでね、ルビィちゃんも一緒にやって見ない?」
ルビィ「ルビィも!?」
まさかの花丸ちゃんからの誘いにルビィは少し困惑した。やりたい...せっかく誘ってくれたんだし...でも...
花丸「やってみたいんでしょ」
ルビィの心を見抜いたかの様に花丸ちゃんはルビィに問いかけてきた。
ルビィ「それはそうだけど...人前とか苦手だし...お姉ちゃんが嫌がると思うし...」
どちらかというと、後者のほうが強い。スクールアイドル部に入った、なんてお姉ちゃんに知られたらなんて言うかわからない。お姉ちゃんが嫌だって言ってるのに、それを無視して始めていいのだろうか?
花丸「そっか、ならこうしない?」
すると花丸ちゃんは立ち上がってルビィにひそひそとその作戦内容を伝えてきた。その内容とは...
ルビィ「体験...入部?」
千歌「ほんと!?」
花丸「はい」
ルビィ「宜しくお願いします!」
放課後、いつも通り練習をしようとしていた俺たちの前に現れたのはルビィちゃんと花丸ちゃんだった。二人の申し出はなんと「スクールアイドル部の体験入部をしたい」と言うことだった。
ま、まじか、正直かなり嬉しい。ここにきて新入部員は嬉しすぎる。しかもルビィちゃんと花丸ちゃんだぜ!?やっぱり俺の目にくるいはなかったな!ハッハッハ!
でも...体験入部なんだよなぁ。
曜「洋希、さっきからなに一人でブツブツいってるの?」
洋希「気にするな、なにごとも口に出さないと気が済まない主義なんでな」
曜「は、はぁ...」
すいませんね!めんどくさい主義で!
千歌「やった...うぅ...やった...」
すると千歌は突然部室の扉を開けたと思ったら、「やったーー!」といって飛び上がった。
千歌、今回ばかりはお前の気持ちに賛同するぜ。
千歌「これでラブライブ優勝だよ!レジェンドだよ!」
二人の肩にガシッと掴まった千歌はそういった。
まてまて、気が早すぎませんかね?
曜「千歌ちゃんまって、体験入部だよ?」
千歌「えっ...」
梨子「要するに仮入部っていうか、お試しって感じよ」
洋希「合うならそのまま入部、合わなきゃそれまでってことだ」
千歌「そうなの?」
花丸「いや...まあ...いろいろあって...」
なにか理由があるのか...あ!もしかして...
曜「もしかして、生徒会長?」
曜さん、僕のセリフ、と、とらないでください!
花丸「あ、はい...だから、ルビィちゃんとここに来たことは内密に...」
やっぱりダイヤさんだったか。うん、最初から知ってたよ?最初から...わかるわけないだろ!!
なにやら横から視線を感じる、と思い横を向くと曜が睨みつけている。
洋希「なんだよ」
曜「洋希、生徒会長にぜっったい、言っちゃダメだよ?」
洋希「いわねぇよ、てかそもそもなんで俺に...」
曜「だって洋希、ダイヤさんとも繋がりあるじゃん」
洋希「まあそれは否定しないが...この可愛い後輩の約束を俺は破ったりしないからな!可愛い後輩の!」
曜「2回言わなくていいよ!」
花丸「また可愛いって...」
ルビィ「花丸ちゃん...そろそろ慣れようね...」
千歌「できた!」
俺たちがいがみ合っているさなか、千歌は何かを完成させたらしい。気になってみてみると、「輝け!スクールアイドル部(仮)大募集」のポスターに、「新入生 国木田花丸 黒澤ルビィ」と書いてある。
俺は千歌に軽くチョップをかます。
千歌「なにするの!」
洋希「あのな千歌、人の話はちゃんと聞くもんだぞ?」
千歌「だから新入生って...」
洋希「仮だっていっただろ!」
千歌「はぁ!そうだった!」
やっぱりこいつは典型的な馬鹿だぜ...。
後ろの二人も呆れてるようだし。
梨子「じゃあとりあえず、練習やってもらうのが1番ね」
洋希「でことは、練習メニューが必要だな。ちょっとまってろ」
数分後...
洋希「ジャーン!どうよこれ!」
俺が用意したのは円グラフだ。中には準備運動、基礎体力訓練、ボイストレーニング、ダンスレッスンと書き、それを色別に分けたものだ。
ルビィ「わぁ...」
千歌「おお〜」パチパチ
洋希「いろんなスクールアイドルのメニューを参考にして、俺なりに作ってみたんだが...」
曜「質問!曲作りは?」
洋希「それは別の時間を設けるから、安心しろ。たまには休憩がてら1日曲作りをする日とか設けるからさ」
ルビィ「本物のスクールアイドルの練習...」
洋希「気に入ってくれたかな?」
ルビィ「はい!」
それは何より。まずこういう所からポイント稼いでいくのがいいよな。花丸ちゃんも嬉しそうだし。
曜「でも練習はどこでやるの?」
千歌「あっ...」
カキーン アガレアガレ!バックバック!
練習場所を探しに外に出たものの、練習できそうな場所は他部活に使われてしまっている。
千歌「中庭もグラウンドもいっぱいだね〜部室もそこまで広くないし...」
曜「砂浜じゃダメなの?」
梨子「移動の時間考えると、練習場所は出来たら学校内で確保したいわ」
するとルビィちゃんがなにか思いついたような顔をした。
ルビィ「屋上はダメですか!?」
千歌「屋上?」
屋上、普段はあまり使われることのない場所だ。昔の学校ならよく昼飯食ってたけど、この学校では言ったことなかったな。
ルビィ「μ'sはいつも屋上で練習してたって!」
千歌「そうか!それだよ!」
曜「屋上か!」
千歌「いってみよう!」
ところ変わって屋上。特にこれと言って特徴はない。いや、むしろそれの方がいいのかもしれない。屋上の床には真ん中にでかい物が置いてあるだけで、それ以外に特に邪魔になるものはない。練習場所にはうってつけだ。
千歌「すっごーーーい!」
曜「富士山くっきりみえるてる!」
花丸「でも日差しは強いかも...」
洋希「夏はやばそうだな...」
千歌「それがいいんだよ!太陽の光を一杯に浴びて、海の空気を...胸いっぱいに吸い込んで...」
千歌がなんか似合わないことをいっているが、本人にいうとプンプンと怒って数分口をきいてくれなくなるので、言わないことにした。
ほんとはめっちゃ言いたいけどね。
千歌「あったかい...」
しゃがみこんで床を触りながら千歌はそう呟いた。
俺たちもそろって床を触りにいく。確かに太陽の光を浴びて床がいい感じに温かくなってる。
花丸「んんー、気持ちいずら〜」
みんなが座り込んでる中、一人ゴロンのする花丸。
花丸さんて、こうみると意外とあるんですね。
曜「洋希、なんか目線がいやらしいよ...」
洋希「そ、そんなことないだろ!この紳士たる私がそんな...」
曜「紳士は紳士でも変態紳士だもんね」
洋希「変態は余計だ!」
ルビィ「花丸ちゃん?」
花丸ちゃんのほっぺをつんつんするルビィちゃん。なんかこれ見てるだけで癒されるのは自分だけだろうか?
と、本来の目的をわすれるところだった。
洋希「と、とりあえず始めるか!あんまりちんたらしてたら日が暮れちまうしな!」
曜「誤魔化した...」
洋希「お黙らっしゃい!」
俺が立ち上がると、みんなもそろって立ち上がり、頷く。なんか俺がリーダーみたいだなぁ。
本来のリーダーはまだ床に寝そべったままだ。
なので鼻をつまんで無理やり起こした。
千歌「そうだ!せっかくだからあれやらない!?」
洋希「あれって?」
曜「なにするの?」
すると鼻が少し赤くなっている千歌は手を前にだした。
千歌「ここにみんなも手を乗せて!」
よくスポーツとかである奴か。手をあわせて掛け声と一緒に上に上げるやつ。実際はやったことないんだよなぁ...。
千歌の手に曜、梨子、ルビィちゃん、花丸ちゃんの順で手が乗っていく。
さあ、どんなかけ声をするのかな...
千歌「ひろくん、なにしてるの?」
洋希「ふぇ?」
曜「洋希もやるでしょ?」
洋希「俺も?」
梨子「そうだよ。洋希くんもメンバーの一人でしょ?」
花丸「洋希先輩だけ仲間はずれなんてことはないずら」
ルビィ「さ!先輩もこっちに!」
こういうのってマネージャーもやるもんなのかな?まあ千歌たちがいいっていってるんだし...やりますか!
俺も千歌たちの輪の中に入り手を乗せる。
千歌「じゃあ私がAqours~っていったらみんなでサンシャイン!っていってね!」
洋希「そのあとにイェェェェェイ!とかはいらない?」
曜「ジャスティス!!とかもいわなくて良いからね」
洋希「ア、ハイ」
千歌「それじゃあいくよ!Aqours...」
一同「 サンシャイン!! 」
そして、そのかけ声と共に練習が始まった。
曜「ワンツースリーフォー、ワンツースリーⅣ、ワンツースリーフォー」
最初は簡単にリズムにあわせて踊る練習だ。ルビィちゃんと千歌が初めに踊っている。千歌が慣れた動きをしてるのは当然だが、ルビィちゃんも動きにキレがあってなかなかいい。センスを感じる。
終わりと同時にポーズを決めるルビィちゃん。うん、最初にしては上手い。
ルビィ「できた...」
花丸「さすがルビィちゃん!」
ルビィ「できました!千歌先輩」
千歌「ふぅん...」
洋希「千歌、そんなポーズは取り入れた覚えはないんだが?」
千歌「あ、あれ?そうだっけ?」
梨子「千歌ちゃんはやり直し」
少しは先輩らしくしてくれ...。
梨子「今日までって言ったでしょ!」
千歌「思いつかなかったんだもん〜」
洋希「いつものか」
なにやら千歌先輩と梨子先輩がもめているずら。
花丸「なにかあったんですか?」
曜「ああ、新しい曲、今作ってて」
洋希「でも約束通り書いてきたことはない」
花丸「そ、そうなんですか...」
千歌「花丸ちゃんもなにか思いついたらいってね!」
洋希「後輩に頼るな」
千歌「む〜じゃあひろくんが手伝ってよ!」
洋希「昨日いわなかったじゃねぇか」
千歌「自分でできるかな〜って思ったんだけどできなかったの!」
洋希「...わかったよ、練習終わったらお前んの家な」
千歌「やったぁ!」
歌詞作りって大変そうだなぁ...。
そんなことを考えてる横でルビィちゃんは先程の踊りを復習している。
とても楽しそう。やっぱり連れてきてよかったずら。
そして今回の練習のラスト、地獄の階段のぼり。
ルビィ「これ、一気にのぼってるんですか!?」
千歌「もちろん!」
洋希「嘘つけ、お前いつも1番に休憩するだろ」
千歌「もう!少しぐらいいい恰好させてよ!」
洋希「いまさら恰好つけたってお前の評価はかわんないだろ?」
千歌「どういうこと!」
曜「とりあえずのぼろっか...」
梨子「ライブで何曲も踊るには、頂上まで駆け上がるスタミナが必要だし」
実際ほんとにこれぐらい大変なんだろうな。歌って踊ってってのを何回もやるわけだし。スクールアイドル部って運動系に入るのだろうか?
千歌「じゃあ、μ's目指して...よ〜い、どん!」
千歌のかけ声とともに一斉に走り出した。前から千歌、曜、梨子、ルビィちゃん、花丸ちゃん、俺、の順番でのぼっていってる。俺はルビィちゃんたちが途中で疲れたとき要因だ。水あげたりするから後ろにいた方がいいだろうし。
みんな順調に階段をのぼっていっている。何回かのぼっている千歌たちはそろそろ慣れてくれないと困るが、ルビィちゃんは初めてのぼるはずなのに頑張ってのぼっている。しかし、花丸ちゃんは結構疲れてきている。
洋希「大丈夫か?花丸ちゃん」
花丸「は...はい...」
見ててわかるが相当疲れているのがわかる。
そして数分後、ついに花丸ちゃんの足が止まってしまった。まあ初めてでこれをのぼりきれなんて初見殺しもいいところだ。
すると先にいっていたルビィちゃんがこちらに戻ってきた。
花丸「ルビィちゃん...?」
ルビィ「一緒にいこう!」
ルビィちゃんが笑顔で誘うが花丸ちゃんは足を動かそうとしない。
花丸「ダメだよ...」
ルビィ「えっ?」
花丸「ルビィちゃんは走らなきゃ...」
ルビィ「花丸ちゃん...?」
親友の一言に困惑するルビィちゃん。花丸ちゃん、いったい何を...。
花丸「ルビィちゃんは...もっと自分の気持ち、大切にしなきゃ...」
洋希「花丸ちゃん...」
花丸「自分に嘘ついて、無理に人に合わせても辛いだけだよ!」
ルビィ「合わせてるわけじゃ...」
たぶんいままで言いたかったけど言えなかったことを、花丸ちゃんは今ここで言ったのだろう。ルビィちゃんと長くいるからこそ、花丸ちゃんだからこそこの言葉をいえるのだろう。
花丸「ルビィちゃんはスクールアイドルになりたいんでしょ?だったら前に進まなきゃ!」
ルビィ「...」
花丸「さあ、いって」
ルビィ「あぁ...ぅ...でも...」
花丸「さぁ」
ルビィ「...うん!」
ルビィちゃんは笑顔で階段を駆け上がっていった。
洋希「花丸ちゃん...」
花丸「いいんです、これで」
洋希「もしかして、花丸ちゃんがスクールアイドル部に来たのは...」
花丸「ルビィちゃんを連れてくるためです」
洋希「どうして...そこまで...」
花丸「ルビィちゃんは昔からマルと一緒に図書室で過ごしてくれました。とても優しくて、思いやりがあって、でも気にしすぎな子です。素晴らしい夢も、きらきらした憧れも、全部、胸に閉じ込めてしまう子でした。その胸の扉をおもいっきり開いてあげたいと、ずっと思ってました。ルビィちゃんの中に詰まってるいっぱいの光を。世界の隅々まで照らせる、その輝きを。大空に放ってあげたかったんです。それが...
マルの夢でした。」
千歌「ひろくんたち遅いな〜」
曜「なんかあったのかな?」
梨子「も...もしかして...」
曜「わかるの梨子ちゃん?」
梨子「私たちの見てないところでルビィちゃんたちを草むらに連れ込んで良からぬことを...」
曜「そ、それはさすがに...」
千歌「草むらからポ〇モンが出てきたとか?」
曜「それもさすがに...」
梨子「じゃあ曜ちゃんはなんだと思うの?」
千歌「曜ちゃんは的確な答えを出してくれるよね?」
曜「えっ!ええっと...」
梨子、千歌「うんうん!」
曜「赤いスカーフで口を覆ってサングラスかけたエクシーズ使いのデュエリストにデュエルを申し込まれたりしてて!」
千歌「大丈夫かな?」
梨子「まってれば来るわよ」
曜「...絶対ゆるないぞ!ドンサウザンドォーーーーー!」
この世界だと「お前もスクールアイドルか?」とかいってダンスの勝負挑まれそうだけど...ないか。