リオート「おっ、そうだな(白目)」
千歌「そっか、受験勉強あるんだもんね」
リオート「ああ、今年もまともな夏休みは過ごせないんだろうな...」
千歌「大丈夫!私が完璧なスケジュールを立ててあげよう!」
リオート「お、ほんとか」
千歌「まず朝起きて、ご飯食べてゴロゴロして、お昼ご飯食べてゴロゴロして、晩御飯たべてお風呂はいって寝る!どう」
リオート「どうもこうも...」
千歌「?」
リオート「いつものお前じゃねえか!」
どうも皆さん、そろそろ前書きのネタをだすのに苦労しているリオートです。皆さん思い思いの夏休みを過ごすと思いますが、後悔しないように楽しんでくださいね。
それでは本編どうぞ!
千歌「嘘...」
曜「まさか!鞠莉さんそれをわかってて...」
洋希「だろうな、なにからなにまであの人の策略だったってわけだ」
1杯くわされたな。あの人、表向きは俺たちの味方をしてくれたけど、ホントは潰そうとでも考えていたのか?だとしたらやっぱりやめるなんていったら解散させられるかもしれない。
帰りのバス。とんでもない勝負を受けてしまった俺たちはみんな頭を悩ませていた。最初にライブができると知った時の嬉しさはもう過去の出来事のような状態だ。
千歌「どうしよ〜」
梨子「でも鞠莉さんの言うこともわかる。そのくらい出来なきゃこの先もダメってことでしょ?」
洋希「たしかにそうかもしれないけど、まだ曲もできたばっかでダンスもまだまだ修正部分は沢山あるんだぞ?」
千歌「そうだよ!このままじゃライブすらまともにできないよ!」
曜「じゃあ、諦める?」
千歌「あきらめない!」
本日2度目の曜さんの「る?」攻撃!やっぱり千歌には効果抜群だな。
梨子「なんでそんないいかたするの?」
曜「こういってあげたほうが、千歌ちゃん燃えるから」
まあ言い出しっぺが簡単にあきらめたらこっちがこまるんだけどね。これぐらい諦め悪いぐらいがちょうどいいな。
洋希「とにかく人集めだな。あの広さだと相当人を呼ばないと満員にはならないしな」
千歌「ん〜なんかいい方法...」
アナウンス「次は〜伊豆・三津シーパラダイス〜伊豆・三津シーパラダイスでございます」
アナウンスの声がバス内に響く中、千歌は突然立ち上がり「そうだ!」と声をあげた。
洋希「なにか思いついたんだろうけど、まだバス動いてんだから立つな」
千歌「ご...ごめん...ってうわぁ!?」
案の定バスが大きく揺れ、千歌はバランスを崩した。
だから言ったのに。こんなの小さなお子さんでもでもわかる事だぞ。しっかりしてくれよ...。
千歌はそのまま真横に倒れてきたので、俺が軽く腕をだして千歌がぶっ倒れるのをふせいだ。
洋希「だから立つなって言っただろ?気をつけろよ」
千歌「ご、ごめんなさい...」
ようやくバスが俺たち(曜以外の3人)が降りるバス停で止まった。すると千歌は「みんな一回うちにきて!」と俺たちを誘ってきた。いや、ほぼ強制みたいな感じで連れてかれた。
千歌の部屋に連れて来られた俺たちは千歌に「そこでまってて!」と言われたので、大人しく待っているのだ。
梨子はトイレに行っている。なので部屋には俺と曜の2人だけだ。
曜「それにしても何を思いついたんだろう千歌ちゃん」
洋希「たぶん美渡さんに、会社の人達を連れてきてくれ〜とか頼んでんじゃない?あくまで憶測だけどな」
曜「なんか...当たってそう...」
洋希「単純だからな、あいつ」
曜「そう...だね...」
千歌の行動についての予想を話あってる中、曜は1人で衣装を作っている。俺たちの担当の割り振りとして、作詞は千歌、作曲は梨子、衣装は曜と、綺麗に割り振られている。俺は練習メニューを考えたりするぐらいで、仕事量的には俺が1番少ない。作詞作曲もそれなりに大変だろうし、衣装に限っては3人分を作らなくてはいけない。手伝いたいのだが、生憎おれは裁縫をまともにやった事がないのだ。学校で家庭科の授業でやったことがあるのは覚えているがやり方はほとんど覚えていない。だが俺は考えた。できないなら習えばいいと。
洋希「曜、裁縫って難しい?」
曜「どうだろ、慣れちゃえば簡単だと思うけど、どうしてそんな事聞くの?」
洋希「あ、いや...曜の衣装作り手伝いなぁと思ってな」
曜「ほんとに?手伝ってくれるの!」
洋希「ああ、だから曜に裁縫を教わりたいんだ」
曜「そういうことなら任せて!この曜ちゃん大先生がバッチリ教えちゃうよ!」
そして曜ちゃん大先生の指導が始まった。針穴に糸を通すなどの基本的な事はさすがに覚えていたので、曜からは縫い方などを教えて貰うことにした。
洋希「ここはこんな感じでいいのか?」
曜「うん、いい感じ。洋希って手先器用なんだね、上手くできてるよ!」
洋希「お、まじすか。早速大先生からお褒めの言葉を頂いちゃいましたよ」
曜「でも調子に乗って指に刺したりしないでね」
思っていたより楽しいもんだなと思いながらやっていると、先程からなにかやっていた高海千歌が帰ってきた。なぜか不機嫌そうだ。
千歌「おかしい...完璧な作戦だったはずなのに...」
洋希「何やってたんだ?」
千歌「美渡姉に会社の人達を連れてきてってたのんだんだよ!」
曜「予想どうりだね...」
洋希「まさかほぼ100%だとは...こちらとしてもビックリだぜ...」
俺たちがヒソヒソ話しているに気づかずに千歌は喋り続けた。
千歌「でも美渡姉、お前には無理だ〜とかいってくるし、おまけに...みてよこれ!」
そういって千歌は前髪をあげおでこを突き出す。そこには黒ペンで「バカチカ」と書かれていた。うん、なにもおかしくはないな。
曜「お姉さんの気持ちもわからなくもないけどね」
千歌「ええ!?曜ちゃんお姉ちゃん派!?」
洋希「じゃあ聞くが、仮にお前が美渡さんの立場で、突然学校の人全員連れてきてくれって言われて、「わかった!」なんて言えないだろ?」
千歌「そ、そうだけど...」
洋希「それに頼むあいてが悪い」
千歌「うん、それはちょっと思ってた」
思ってたのかよ。実の姉に対してそう言う考えもつのはよくないな。でも俺も知紗姉には頼まないかな。次の日ぐらいに「えっ?そんなこと言ったっけ?」とか言われそうだし。
洋希「お互いに面倒な姉をもったな」
千歌「ん?なんかいった?」
洋希「なんでもない」
俺がボソッといったので、千歌には聞こえなかったらしい。聞こえてても理解できるかどうかしらんがね。
千歌「そういえばひろ君、なんで衣装作りしてるの?」
洋希「手伝いだよ、曜1人じゃ大変だと思ってな。さっきやり方は教わってやり始めたところだ」
曜「洋希、結構手先器用なんだ!こっちとしては助かるよ〜」
千歌「む〜、良いなぁ!曜ちゃんは手伝ってもらって」
洋希「作詞はできてるからいいだろ」
千歌「じゃあ次作詞するときは手伝ってよね!」
洋希「ハイハイ、わかりましたよ」
まあ今はその「次」があるかもわからない状況なんだけどね。まあそんな後ろ向きなこと考えてたらあいつらの気持ちを沈ませるだけだからな。心の内に閉まっておこう。
千歌「あれ?そういえば梨子ちゃんは?」
曜「さっき、お手洗い行くって言ってたけど」
洋希「にしても遅いな」
すると廊下の方からドスンと音がした。なにかと思い廊下を見ると梨子がしいたけの上に乗っかっている。てか、しいたけいつからそこにいたんだ...。
梨子はすぐさま、しいたけから離れた。顔が真っ青になっているがそんなに犬が嫌いなのかね?こんなに可愛いのに。
洋希「大丈夫か?梨子」
梨子「だ...大丈夫...です...ハァハァ」
洋希「しいたけもごめんな、ビックリしたろ?」
息を荒らげる梨子とは違い、しいたけは俺の呼びかけに「クゥン」というだけで、特に暴れたりする様子もなかった。ほんとにいい子だな、しいたけ。
次の日の放課後、俺たちはある目的のために沼津駅まで来ている。ここは内浦と違い、人通りも多く、近くに高校からの下校生徒などがいるので、人集めには最適な場所なのでここで宣伝しようということになったのだ。
梨子「東京に比べると人は少ないけど、やっぱり都会ね」
曜「そろそろ部活終わった人たちが帰ってくるよ」
千歌「よ〜し!気合い入れて配ろう!」
と意気込んだのはいいものの、
千歌「あの!お願いします!」
千歌の呼びかけに、高校生2人は聞く耳を持たずにスルーした。
洋希「上手くいかないもんだな」
梨子「意外と難しいのね...」
曜「こういうのは気持ちとタイミングだよ!みてて!」
そう言うと曜は2人組を見つけるとそこに飛び込んでいった。
曜「ライブのお知らせでーす!よろしくお願いしまーす!」
女子生徒「ライブ?」
女子生徒「あなたが歌うの?」
曜「はい!来てください!」
女子生徒「へぇー日曜か〜、いってみる?」
女子生徒「いいよ!」
曜「よろしくお願いしまーす!」
あっというまに配ってしまった。なんだあの手馴れた動き。経験者かのような言動、曜はなんでもできるんだな...。
梨子「すごい...」
千歌「じゃあ次ひろ君ね」
洋希「曜みたいにうまくできる気がしないんだけどなぁ...」
そういって俺が目をつけたのは男2人組、話しかけやすそうなのでその2人のほうに足を向けた。
洋希「そこのお2人さん」
男子生徒1「ん?なんだ?」
洋希「今度、うちの学校のスクールアイドルがライブやるんですけど、どうです?見に来ませんか?」
男子生徒2「ライブ?お前が踊るのか?」
洋希「あ、いえ、俺じゃなくてあそこの3人が...」
男子生徒1「あれって浦の星じゃね?女子校だろあそこ」
洋希「い、色々あって、共学になったんですよ...」
男子生徒2「へぇ、そうなのか」
あぶねぇ、今ので納得してもらえなかったらタダの変態扱いされてたかもしれないぞ。理解のある人たちで助かった...。
男子生徒1「日曜か...どうしようかな...」
洋希「ちなみに、初ライブなんですよ!将来スーパースターになるかもしれない彼女たちの初ライブをみるのはこれ以上ない勲章ですよ〜!」
男子生徒1「ん〜、よし、いくか」
男子生徒2「まじかよ!」
男子生徒1「いやまあせっかくだしな、どうせ部活もないし」
男子生徒「んじゃあ、俺も行こうかな!」
洋希「ありがとうございます!」
そういって男子生徒2人はチラシをもって去っていった。ふぅ、なんとな上手くいったな...。
梨子「洋希くんも上手くいってる...」
千歌「あとは梨子ちゃんだけだよ!」
梨子「わ、私も...」
千歌「そうだよ!4人しかいないんだし!」
曜と洋希はさっきの調子のまま、どんどんチラシを配っている。さすがの梨子もこれには焦りを感じた。
梨子「はぁ、こういうの苦手なのよ...」
洋希「リラックスリラックス!軽く、お願いしまーすっていって渡すだけでもいいんだよ」
梨子「う、うん...そうだね...やってみる...」
そういって飛びたした梨子の先には人がいた。衝突はまぬがれたが、ぶつかりそうになった人はなぜか身構えている。マスクにサングラスをしてコートを着ている。なんだあのいかにも不審者!みたいなのは。今にも「瑠璃!?なぜ瑠璃がここに!?」とか言ってきそうだ。
それにしてもあの子、どこかで見た気が...。
梨子「あ、あの!よろしくお願いします!」
???「...」
少しの間沈黙が続いたのち、不審者姿の子はチラシをかっさらって逃げていった。
梨子「...やった!」
洋希「よ、よかったな、この調子でどんどん配ってこうぜ」
梨子「うん!」
チラシ配りは思ったよりスムーズに進み、手持ちにあったチラシは瞬く間に減っていった。東京にいた時にみたティッシュ配りなんかみてるとなかなか配り終わらないイメージがあったが、ここの人たちは快くチラシを受け取ってくれるのでこちらとしても凄く助かる。これなら当日のライブも期待ができる。
手持ちのチラシが少なくなってきた時、俺は不意に後ろから聞き覚えのある声で声をかけられた。
花丸「あれ?もしかして赤羽先輩?」
洋希「花丸ちゃんじゃないか!こんな所で何してんだ?」
花丸「今ルビィちゃんと一緒に本屋にいってたずら」
洋希「へ?ルビィちゃん?」
よく見ると花丸ちゃんが背負っている緑の風呂敷の後ろにルビィちゃんが隠れていた。ルビィちゃんいるのが分かったが、なんでこんなでかい風呂敷担いでるんだ?
洋希「花丸ちゃん、これもしかして全部本?」
花丸「そうずら!」
洋希「へ、へぇ...すごいね...」
花丸「でもこの量だと1ヶ月ぐらいで読み終わっちゃうずら」
洋希「えぇ!?1ヶ月で!?」
どんだけ本が好きなんだよ。この子にとっちゃ本を読むのは息をするのと同じなんじゃないか?それぐらい好きなのは分かったけど、わざわざどこぞの妖怪みたいに風呂敷担ぐ必要はあったのかな?今どき風呂敷担ぐ女子高生なんて全国どこ探してもこの子だけだと思う。
花丸「そういえば、赤羽先輩はここでなにしてるずら?」
洋希「俺?...ああそうだった!」
俺はおもむろにバックの中からチラシを取り出し花丸ちゃんの前に差し出す。
洋希「これ、こんどライブやるからぜひ来て欲しいんだ」
ルビィ「ライブですか!?」
俺の言葉に反応したルビィちゃんが花丸ちゃんの影から顔をだした。けどまた後ろの隠れてしまった。やっぱりルビィちゃんもスクールアイドル好きなんだろうな。ダイヤさんもそうだしやっぱり姉妹だな。
俺は隠れて座っているルビィちゃんの隣に座りチラシを差し出す。
洋希「絶対満員にしたいんだ。だから来てね、ルビィちゃん」
ルビィちゃんは少し躊躇いながら差し出したチラシを受け取った。
洋希「じゃあ俺はまだチラシ配りをしなきゃいけないから、じゃあね」
そういって立ち上がり、花丸ちゃんたちを背に走り出した。
ルビィ「あぁ!あの!」
突然の呼びかけに俺は足を止める。声の主は先程まで隠れていたルビィちゃんだった。
洋希「どうしたの?なにか聞きたいことでもあった?」
ルビィ「あ...あの...」
なんだろう?「絶対見に行きます!」とか言ってくれれば嬉しいし、「お友達も誘ってみます!」とかだと尚更嬉しいんだけど。
しかし、ルビィちゃんの言葉は俺が予想しているものではなかった。それにスクールアイドルを知っていればおのずと浮かびあがる疑問だった。
ルビィ「グループ名はなんて言うんですか!?」
洋希「グループ名...」
俺はチラシを見ながらその答えを考える。しかしその紙に答えはのっていない。なぜなら...
洋希「グループ名...考えてなかった...」
千歌「前書きでネタがないっていったよね?」
リオート「そうだな」
千歌「ああ、じゃあネタがポンポンでてくる人とかに羨ましいよね?」
リオート「俺もそんなスキルがほしいよまったく...」
千歌「ダメだよ、ネタがないからってほかの人を「ねた」むのは。あ、ちなみに今のはねたむの「ねた」とネタをかけた高度なギャグで...」
リオート「次回もお楽しみに!」
千歌「ちょっとぉ!」