ラブライブ!サンシャイン!! 〜希望の光〜   作:リオート

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善子「くっくく、ようやくヨハネもここに出られるようになったのね」
リオート「まっ、本編に出るのは相当後になるけどねぇー」
善子「なんでよ!私も早くリトルデーモンと一緒に堕天したいのに〜!」
リオート「俺が要求するものをくれたらお前の登場が早くなるぞ」
善子「ほんとに!じゃあ今すぐ欲しいものをいいなさい!この堕天使ヨハネが早急に用意するわ」
リオート「時間をくれ」
善子「それはさすがのヨハネでも無理だわ」

最近書く意欲が湧いているリオートです。最近新たに別の小説をかこうかと考えています。まあ当分先になると思いますがね...。
それでは本編どーぞ!


第18話 聞こえた先に...

洋希「おお!ほんとにこれで潜るのか!」

 

ダイビングスーツに身を包んだら俺はいままで感じた事のない感覚に感動していた。東京のほうにいるとダイビングなんてまずやろうとは思わない。なのでこれから本当に潜るのと考えるとワクワクしてくる。子供のようにはしゃいでいると果南先輩がやって来た。

 

果南「どう洋希?初めてのダイビングスーツは」

洋希「いや〜もうなんか最高っすね!」

 

語彙力のない俺はそんなことしか言えなかったが、なんとなく俺の表情などで気持ちみ読み取ったのか、果南先輩もふふっと笑う。

 

果南「そう言ってもらえると嬉しいな、それはそうと今日はどういう理由で来たの?」

 

おそらく千歌から連絡をもらった時から疑問を抱いていただろう。なんせその理由を果南先輩は知らないのだから。千歌と曜には朝のうちに話しておいたので問題はない。なのでこの場を借り、果南先輩には説明をさせてもらおう。

 

洋希「千歌たちと一緒に連れてきた桜内って子がいたじゃないですか、理由はその子です」

果南「もしかして!ダイビングに興味あるとか!」

 

もちろんそんなことはないが、理由を知らない果南先輩は目を輝かせている。嘘をいってもしかたないので、俺は「あ、残念ながらそうじゃなくて...」というと、果南先輩は「なーんだ...」といってさっきまで輝かせていた目をつぶり、ショボーンとしてしまった。あてはないが今度学校でダイビングに興味あるやつを探してあげようと、目の前で落胆している先輩をみて思った。

 

洋希「あの子、ピアノをやっていたらしいんですが突然引けなくなったらしくて、だから海の音を聞けばなにか変わるんじゃないかって」

果南「なるほどね、だからわざわざうちに来て潜ろうって考えたわけね」

洋希「まあその前に1回だけ潜ったんですけどね...」

果南「えっ?いつ?」

洋希「この前の入学式の日です、あいつこの時期なのに水着になって海に飛び込もうとしたんですよ、危ないから俺が止めたんですけど足を滑らせて二人仲良く海に落っこちて冷たい海を泳いだんですよ...」

果南「そ、それは大変だったね...」

 

俺が生気のない顔で話していると、果南先輩は苦笑いで俺の話しを返してきた。あの時は本当に死ぬかと思った。正直内浦の海をなめてましたすいません。なのでみんな、沖縄以外の場所で4月の海に飛び込むなよ!先生との約束だぞ!と、ビシッと人差し指を突き立てると

 

果南「洋希...さっきから1人でなにいってるの...?」

 

どうやら心の声が漏れていたようだ。俺と読者だけにしか聞こえてないと思っていたのに...不覚...。

 

洋希「そ、そんなことより!あいつら遅いですね〜なにしてるのかなぁ...」

 

話しを変えるためにわざとらしく話題を切り替えたのだが本当に遅い。女子の着替えの遅さは重々承知しているのだがそれにしても時間がかかっている。なにかあったのではと心配になってきたところでダイビングショップの中から聞きなれた声が聞こえてきた。

 

千歌「ほ〜ら桜内さん、いつまでもそんなんじゃ海の音は聞けないよ!」

曜「そうだよ!こういうのは当たって砕けろ、だよ!」

梨子「いや砕けちゃダメでしょ!っていうか、自分で行くから〜」

 

そしてダイビングショップの扉があき、3人がでてきた。3人とも俺や果南先輩と同じダイビングスーツを来ている。

千歌に背中を押されながらでてきた桜内はその勢いえいっと押されて、体が前にでた。うわぁ!といいなかがら俺の数cm前で来て止まった。桜内は崩れた体制を直し顔を上げる。その顔はいつもの整った綺麗さに加えて、恥ずかしさかわからないが、赤くなっていた。それをみて

少しドキッとしてしまった。数秒見つめあったのち、俺は正気に戻り話しを始めた。

 

洋希「お、遅かったね...」

梨子「ご、ごめんなさい...ちょっと手間取ってしまって...」

 

別に責めているわけではないが、これといって話すことが無かったのでそれしか言えなかった。すると梨子の言葉に付け加えるかのように千歌がしゃべりだした。

 

千歌「梨子ちゃんね!ひろ君にこの姿が見られるのが恥ずかしいとかいってなかなか出てこなかったんだよ!」

曜「ホントは10分前ぐらいに着替え終わってたんだけどね...」

 

なるほど、だから遅かったのか。まあそう思うのも無理はないと思う。なんせダイビングスーツはそこら辺の服とは違い、体のラインがハッキリ出てしまう。とくに大きい人はそれこそくっきり出てしまう(どことは言わないが)。それを知り合ってまもない男にみられるのはさぞかし恥ずかしいだろう。逆に俺は、なんで千歌たちは見られて平気なのかと不思議に思う。だから梨子の気持ちはおかしくない。むしろ正しいと言ってもいいだろう。

するとさっきまでほとんどしゃべらなかった桜内がもじもじし始め、俺に質問してきた。

 

梨子「あの...似合ってますか?」

 

突然の質問に俺は同様を隠せず、思わず「えっ」と口にだしてしまった。どういう理由で聞いてきたのかはわからないが、聞かれたからには答えるのは人間としての常識だ。実際よくみると桜内のダイビングスーツ姿をはなかなか様になっている。いつもは髪を下ろしているのだが、今日はそれを上で結んでいる。それを含め、今日の桜内は俺のなかでは最高といってもいいぐらい可愛い。というのを桜内に直接べらべらいっても困らせるだけだろうから、俺は一言、

 

洋希「に、似合ってるよ...」

 

と、口下手なふりをしてそれだけしか言わなかった。無駄に可愛いなどというと曜に説教をくらいそうなので辞めておく。

そして当の本人、桜内は

 

桜内「あ、ありがとうございます...」

 

といって顔がいっそう赤らめた。自分から聞いといてそれはないだろと思う反面、素直な反応が見れて嬉しいというのもあった。

すると横でみていた千歌と曜も便乗して、

 

千歌「ねぇ私は?」

曜「似合ってるかな?」

 

と、いかにも似合ってると言ってほしそうな顔で俺に聞いてきた。なので、

 

洋希「あー似合ってる似合ってる」

 

流れるように俺は言葉をはいた。もちろんそこには情はないといってもいいだろう。

 

千歌「絶対おもってないでしょ!」

曜「洋希のいじわる!」

 

なんとでもいえ、俺は純粋な気持ちできいてきたやつにしか純粋な気持ちで答るつもりだ。

がやがやと話していると果南先輩がパンパンと手を叩き視線を自分のほうに集める。

 

果南「はいはーい、おしゃべりするのもいいけど、早くやらないと日が暮れちゃうよ、特にそこの2人ね」

 

といって俺と桜内のほうに指をさしてきた。

 

洋希「なんで俺と桜内なんですか!?」

果南「だってさっきまでの2人の会話、完全に出来立てのカップルにしか見えなかったもん」

洋希「なっ!...」

 

正直いいかえす言葉も見当たらなかった。よくよく考えて見ればたしかに初デートのカップルのような会話をしていた。たぶんあそこで千歌たちが横槍をいれなければいろんな意味でもっと酷いことになっていただろう。それを思い出し、俺の体温が少しづつ上がっていくのを感じた。横にいる桜内も果南先輩の言葉で更に顔が赤くなり、トマトのようになっていた。あいつも俺とおんなじことを考えているのだろう。そんなこと考えても埒が明かないので俺は顔を左右に揺らし気持ちを切り替える。

 

洋希「とりあえず潜りにいきましょ!本来の目的は海の音を聞くことですからね!」

果南「はいはい、じゃあみんな付いてきて、わたしの船で行くから」

 

俺の言葉をスルーされたようの感じで納得できなかったが、それをズルズル引きずってもしかたないので、黙っておくことにした。

船に乗り込み海へと繰り出した俺たち一行はすぐに潜る準備をはじめた。といっても基本的なことは、最初に来た時にレクチャーされたので、準備運動とシュノーケル、足ビレをつけることぐらいだ。準備が完了し、いざ潜ろうとする。先に千歌と曜がジャボーンと音を立てて海に入った。

俺もそれに続き海へ入ろうとするのだが、ふと横の桜内をみると体が硬直してしまっているのかピクリともしない。それもそのはず、今日は生憎の曇りで、空はよどんでいる。それに加えて、沖のほうまで来ているので海の底がよく見えず暗いのだ。それも相まって入るのに躊躇っているのだろう。だがここで行き詰まってしまってはここまできた意味がなくなってしまう。なので俺は桜内のほうに向けて右手を差し出す。こうすれば少しは恐怖もなくるだろうという安直な考えだが、これしかできないのが現状だ。それに気づいた桜内は左手をだして握ろうとしたが、一瞬手が止まったがすぐにもう一度手をだして俺の手を優しく握ってきた。手はダイビングスーツには包まれていなので手と手が直接触れ合っている。桜内の手の冷たさが伝わってくる。

シュノーケルで顔はよく見えないが、おそらく先ほどのように顔を赤らめているのだろう。正直おれもドキドキしている。なんせこうして女の子と手を繋ぐのは久々なのだ。瑠美とは小学校ぐらいならよく手を繋いでいたが中学、高校になるにつれてそれがなくなっていったのだ。あー、あの頃が恋しいな。

桜内の硬直がほぐれたので、俺は桜内に合図をし、海へと飛び込んだ。海に入り目を開けた。そこはお世辞にも綺麗とはいえなかった。天気のせいもあるのか、海はまるで暗闇の世界のようだった。千歌たちの姿は確認できたがそれ以外はほとんど見えない。周りの状況を確認していると肩をチョンチョンとつつかれた。なんだ?と思い振り向くとその正体は桜内だった。首を傾げると桜内は俺の右手のほうを指さした。そう、まだ手を繋いだ状態だったのだ。俺は慌てて手を離した。名残り惜しかったが、いつまでも繋いでいると千歌たちに勘違いされてしまう。二人でアワアワしていると千歌たちが手を振っているのに気がついた。なんとか落ち着きを取り戻し千歌たちのほうに向かっていった。ここからは桜内が聞けるか聞けないかの勝負だ。

 

数分潜った後、1度果南先輩のいる船に戻ってきた。

 

果南「どう?海の音は聞こえた?」

 

果南先輩の問に桜内は首をふった。どうやらまだ聞こえてないらしい。どうすれば聞けるのか、どんな音なのかは俺たちにはわからない。俺は頭を捻ってなんとかしようと考えたが答えはでてこない。すると千歌が立ち上がった。

 

千歌「もう一回潜ってみよ!そしたら今度は聞こえるかも!」

 

千歌の根拠もない完全なる精神論のような言葉に全員呆気にとられたが。桜内はうんと頷き立ち上がった。それにつられて曜も立ち上がった。俺ももう1度もぐりたかったが、さっきの潜りで足をつりそうになったので、しかたなく待つことにした。3人は再び道具を装着し、あの海へと入っていった。船に残った俺はただ祈ることしかできなかった。

 

《梨子視点》

相変わらず海は暗く、魚たちの姿はほとんど見えない。先ほどから数分はたっているのだが一向にそれらしい音は聞こえない。ほんとに聞こえるのかという不安と、せっかくこんなチャンスをくれた川上さんの為にもいい報告をしたいという焦りが頭のなかをグルグルとしている。彼はわたしの「希望」になってくれた。なのに私はそれを無駄にしている。こんなのいやだ、何としても聞きたい、そしてもう一度あの舞台に...。

顔を伏せて下をみる。下には闇が広がっているだけだった。もうダメなんだと心の中で諦めてしまった。自分にもうピアノは弾けない、一生...この先ずっと...。

すると突然海面のほうから光が差し込んできたのだ。上を見上げると先ほどまで曇り空でよどんでいた海面に太陽の光が当たり海のなかを明るくしていく。それだけではない、微かにだが聞こえる、いままで聞いたことのない、優しくて、それでいてテンポのよい音が。

 

梨子(これが!海の音!)

 

やっと聞こえた。ピアノを引くときのように手をだして指を動かす。これが私の求めていたもの。やっと会えたね...。

海面に浮上して息を整える。千歌ちゃんたちもつづいて海面に上がってくる。私は海の音が聞こえたのを千歌ちゃんとたちに報告する。

 

千歌「ほんとに!やったね梨子ちゃん!」

曜「うん!ほんとによかったよ!」

 

千歌ちゃんたちはまるで自分のことかのように喜んでくれた。私自身もすごく嬉しい。これも松浦さんや千歌ちゃんたち、そしてなによりも...。

私は船の上にいる彼に向けてピースをして、聞こえたと報告をした。それに対して彼は「やったな!」と言わんばかりの満面の笑顔を私に向けてきた。彼がいなかったら私は今ここにいない。彼が私をここまで導いてくれたのだ。彼は本当に私の「希望」になってくれたんだ...。

 

《洋希視点》

桜内の報告を受け取り、ホッと一安心する。果南先輩もさっきの桜内の報告で状況を理解したようだ。

 

果南「よかったね、ちゃんと聞けたみたいだよ」

洋希「そうみたいですね、これも果南先輩のお陰ですよ、ありがとうございます」

果南「君はお礼をいうほうじゃなくて言われる方だと思うんだけどな」

洋希「なんでですか?」

果南「だって君がこの案を考えなかったらそもそも私だって動けなかったし」

洋希「俺は案を考えただけです、実際実行にうつせたのは千歌と曜、そして果南先輩の協力があったからこそです、俺1人じゃできませんでしたよ」

果南「そういうもんかな〜?」

 

果南先輩は納得がいってなさそうだが、さっき言ったとおりこれは俺1人でやれたことではない。みんなの協力があったからこそできたものだ。そして彼女自身の強い想いに海が、天がこたえてくれたのだろう。

 

果南「でも洋希、確実にいえることが一つあるよ」

洋希「なんですか?」

果南「君はあの子の「希望」になったね」

洋希「...!」

果南「だからもっと自信をもって、胸をはって、「希望」になれた!って思ってもいいと思うよ」

 

果南先輩の言葉に俺はこの上ない喜びを感じた。海の音が聞こえたことで笑い、はしゃぎあっている桜内たちをみて、俺はほんとに彼女の「希望」になれたんだなと思えた。

 

洋希「そうですね、俺は、あいつの「希望」になれたんですね...」

 

灰色がかった曇り空は晴れ、太陽の光が桜内たちを、そして俺たちを照らしてくれている。それはいままで、曇っていた俺たちの心が晴れたのを表しているかのような優しい日の光だった。




善子「ヨハネにも聞こえる...ヨハネを求めし声が!」
リオート「多分幻聴だよそれ」
善子「なーんでそういうこというのよ!なんかもっといい返しはなかったの!」
リオート「いやぁ、僕そういうのには乏しくて...」
善子「なんか自分がかっこいいと思うのいってみなさいよ!」
リオート「我が内に潜みし深淵の魔物よ、今その鎖引きちぎり下劣なる人間どもを喰らい尽くせ!!」
善子「か、かっこいい!...」
リオート「こんなのでいいのか...」

書いてる途中でまだアニメ第2話すら終わってないと知ったときはなかなか焦りましたね。この調子だと2期始まるまでにおわらないかもしれないです...。そこは気力で頑張りたいおもいます!
次回もお楽しみにヾ(・ω・`)

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