「みんな、忘れ物はない?」
「ない(わ、です、ぜ)」
雪が最後に俺の家の鍵をかけ学校へ向かう。
非常に遺憾だが・・・親は俺を信用してない。親の信用は
雪 咲 唯 超えれない赤壁 俺 天 だ。
ちょっと鍵をかけ忘れて数日過ごしたぐらいで大げさな両親だ。
天は普通に信用がない。
私立大石学園は俺の家から15分程の場所にあってそこまでみんなで歩く。
「今日は晴れてよかった」
雪はこの世界で珍しく家事を担当している女の子で家の洗濯物的にも嬉しいのだろう。
「確かにいい天気だ」
空を見れば雲も程よい程度にある快晴だ。
こんな日は河原でゆっくり日向ぼっこしたい。
「帰ったら洗濯物手伝うよ」
「「え?」」
「え?」
二人に驚いた顔をされた。
そんに珍しいか?
「雪はわかるがなんで咲まで・・」
「あれだろ?圭にいが珍しく男らしい事を言ったからだろ?」
「まあ・・確かに・・」
この世界の女は働き男は家を守るのが普通らしいが・・・
俺はヒモみたいで無理だな。
「圭は家事嫌いだもんね~」
「否定はしない」
「圭さんはやらないだけですよね」
「圭にいのそう言う所は女みたいだよな」
「兄さんは私が養ってもいい」
好き勝手言いやがって・・・
「うっさい、雪今日は手伝うよ」
「っ・・圭もやるなら私もやるわ」
咲も名乗り出る。
「いきなりどうしたんだ?」
「たまにはいいじゃない」
「・・洗濯物に3人も要らないよ。圭さんだけで大丈夫」
「なら私が圭の代わりに手伝うわ」
「「・・・」」
「珍しいね、咲ねえが攻めてる」
「確かにどうしたんだろ?」
「もしかしたらマリーかな?」
「マリー?」
「私の親友だ」
「ロクな奴じゃなさそう」
「お前はマリーに謝れ」
「はいはい。そこまで。じゃあ俺は料理で咲は洗濯物でいいだろ」
「本当ですか?」
「マジで!?」
「圭にいの料理!」
「!」
俺は基本的に家事をしない。
ここの世界では男がまず少ない。
共学のクラスでも40人中10人位。
だから父親以外での男の手料理はまず食べる事は無い。
ちなみにバレンタインも逆転して男が女にチョコを渡す。
しかも義理チョコすらかなりのレア物になる。
俺はその日は学校を休む事にしている。
「まあ。たまにはいいだろ」
「私、肉じゃが!」
「あ、狡い!私はオムライスがいいです」
「私はハンバーグがいい!」
「コロッケ」
「スーパーの品次第だな」
話していると真新しい学校が見えてきた。
咲と雪は同じ教室で一番館。
で天と唯は別学年なのでここで別れて二番館だ。
「じゃあまた後で!」
「後で」
「天、勉強頑張れよ」
「天、授業中寝ちゃダメよ」
「天、授業出ろよ」
「お前ら酷い!授業はちゃんと出てるよ!」
「あはは・・・」
俺達は天達は別れて教室に向かう。
廊下を歩く度に思うんだが人の顔を見てヒソヒソするのやめて欲しいよね。
まあ・・理由はわかる。
俺は男で4姉妹と仲がいい。
前の世界だと女が男を囲ってる風に見えるのだろうしオタサーの姫とかに近いのかもしれない。
(そら嫌われるしビッチ扱いだわな・・)
こっちの世界では男友達は一人だけ。
他の男子は前の世界での女の立ち位置だ。
中身が女の男で中々厳しいモノがある。
「お~す」
後ろから声をかけられる。
この声は
「ジュンおはよう」
「おはよう」
「おはようございます」
「今日も仲いいね~」
ガタイがよく髪の短い爽やか系スポーツ少年だ。
「そ、そんなんじゃないわ」
「そ、そうですか?」
双子らしい反応どうも。
「ヒソヒソ」
ん?周りの女子が騒ぎだしたな。
俺はビッチ扱い、ジュンは爽やか王子でなんで俺はビッチ扱いなんだ?
まあいいや。でそんな奴らが教室の前で話していたらそらヒソヒソ話ぐらいするだろ俺もする。
「あ~みんなとりあえず教室入ろうぜ?」
「「・・・・」」
二人は周りを見て恥ずかしそうに黙る。
俺とジュンは苦笑いしながら扉を開け教室に入る。
「おはよう!」
「あ。ジュン君おはよう!」
「おはよう!」
「咲、雪おはよう」
「おはようごさいます」
「はいはい。おはよう」
教室に入りみんなに挨拶する。
雪は教卓の前で咲は教室の窓側の後ろ。
ジュンが後ろ真ん中で俺が窓際真ん中。
席に座る前にかわいい黒猫のブックカバーの本を読んでいるお隣さんに声をかける。
「
「・・・・・おはよう」
見た目は黒髪ロングで背が低く目がパッチリしてるのポイントが高い。
まるで日本人形みたいだ。
てか返事があった事にびっくりする。
いつも挨拶してもこちらを見て無視するから初めて声を聞いた気がする。
めっちゃ綺麗でかわいい声でびっくりした。
「・・・・」
「・・・・なに?」
「・・いや。スゲー綺麗な声でびっくりしたんだ」
「・・・・」
本に視線を向けて顔を隠してしまった。
このクラスになって半月だが、なかなか仲良くなれない。
「なに今日は読んでるの?」
「・・・・」
ん~返事を返してくれない。
これ以上は無理か・・・
本もブックカバーを付けてるし毎日変わる。
たまに音楽を聴いてるようでイヤホンが黒髪から覗く。
「~~~」
俺は思って頼りテンションが上がっていたのか授業の準備をしながら鼻歌を歌ってしまっていた。
内容は子供向け特撮「仮面少女キュア」のOPだ。
こっちの世界は娯楽すら逆転していて俺が楽しめるのは女の子向けが多い。
ちなみに唯一チラッと見た男の向けアニメは「明日のロイス」だ。
内容は・・・いいだろ。
「・・・・」
視線を感じたのでそっちを見ると高菜さんがこっちを見ていた。
「どうしたの?」
「・・・」
プイ
視線を本に戻してしまった。
ん~わからん。高菜さんは謎が多く俺の授業中の暇・・・観察対象だ。
前は授業中消しゴムを弄っていた。
「アイツまた見てる!」
「ちょ!咲!痛い!痛い!腕が痛い!」
次の授業は古文か・・苦手だ・・・
まず昔の人物すら逆転してる世界だぞ?
紫式部や古事記なんて地獄だ。
和歌も意味不明だで歴史等はほぼ壊滅だ。
・・・・ビッチと呼ばれる理由が俺の成績なら甘んじて受け入れるぞ。
ジュンは勉強も出来るからな。
「圭さんちょっといい?」
「ん?舞か。どうした?」
腕を押さえた咲の親友の
「えっとね。その~」
舞は言いずらそうに周りを見渡す。
「ここじゃ話難い内容?」
「ち、ちがう!ちがう!そんなんじゃないよ!」
手をパタパタして否定するとか・・・
初めて見たわ。
顔が赤くなったり青くなったりどうしたんだ?
「お前顔色悪いぞ?どうしたんだ?」
「いやホント私の事はなんでもないから気にしないで!そ、のね・・」
周りが急に静かになった気がする。
てかクラスのほとんどがこっちを見ている。
一部の男子は携帯で撮ってるヤツもいる。
「あ・・あ・・」
あ~
「舞。戻った方がいいな」
「う・・うん」
舞は肩を落としてゆっくり戻っていった。
それを見て教室はまた騒がしくなる。
「死にたい・・・」
「ご、ごめん」
「咲」
「は、はい」
「ご飯ぐらい奢りなさいよ」
「はい・・」
そろそろ授業はじまるかな・・・
二つをくっつけました。