いつも頑張るお前の傍に。いつも支えてくれる君と一緒に。 作:小鴉丸
今回は急投稿なので短いです。
~総士side〜
「俺が終わるまで居座るか、普通?」
「折角の休みなんだ。たまには友達と話とかしたいさ」
「そういうものか?」
「そういうもんだよ、きっと」
まぁ高校が別れて会う機会が少ないから、話すとなればそういうものか。
一人で納得してやまぶきベーカリーに足を運ぶ。
あれから莉緒は俺が上がるまで喫茶点に居座っていた、俺が上がったのはつぐが帰ってきた十四時だ。それまでは俺やイヴを見ながら時間を潰していたらしい。
「それにしても久々だな。何か奢るぞ」
「お、マジか? ラッキー!」
「ラッキ〜、ごちになりまーす」
後ろから抱きつかれる。声、匂いで誰かはすぐに分かった。
「……お前は何だよ」
「いやー、総士が奢ってくれるなんてー。今日はついてるなぁ~」
俺はお前に奢るなんて一言も言ってない、というかそもそも話に入ってない訳だが。
巻きついている腕を解いてその人物を見ながら言う。
「モカは蘭に奢ってもらえ」
「はぁ? 何であたしが……総士がやってよ」
「親友に迷惑は掛けれないよ〜。総士のお金で食べたパンが一番美味しいの~」
こ、こいつ……。
九郎と張るくらい性格悪いぞ、いやでもあいつが一番か。財布と相談をしてどうするかを割と真面目に考える俺を見て、莉緒は笑っている。
「……一人二つまでな。蘭もいいぞ、俺が払うから」
蘭は意外そうな表情で「ありがと」とお礼を言ってやまぶきベーカリーに入っていった。それに続いて俺らも入る。
中に入るとパンのいい香りが漂ってくる。俺はメロンパンを一つだけトレイに置いてレジへ持って行く、そこには山吹沙綾が立っていた。
「いらっしゃいませー!」
「あいつらのも一緒に払うから待っててくれ」
「ふふっ、優しいんですね白羽さん」
その言葉にため息をついて「ついでだ」と言う。
「よろしくな総士」
「あたしこれ〜」
「ん」
全員が選び終えてトレイをレジに置く。値段は1200円、まぁ別にいいだろ。そう思いながら支払って、袋に入ったパンをそれぞれに手渡した。
「ありがとうございましたー!」
後ろから聞こえる声を聞きながら店を出る。出るや否やすぐに蘭達は俺達に別れを告げた。
「それじゃ、あたし達は帰るから。パンありがとね」
「じゃーねー総士ー」
別に話そうとは思ってなかったけどさ、ただ奢っただけって……何だろう、何やってんだろう俺。
二人と別れた後は、野郎二人でパンを食べながら道を歩く。奏とも滅多にない光景に不思議に思いながらも、家に着く途中までの道を行く。
「そーいや、奏や龍斗は元気か?」
ふと莉緒が口を開いた。
「元気だぞ。因みにまだ花音とはくっついてない」
「かのも大変だな~。ま、かのが思いっきりいけば変わると思うけどな、俺は。そういえば龍斗は音楽再開したんだろ?」
「ああ、確かゆりさんの妹達と一緒にって俺は聞いてるぞ?」
ゆりさんとは昔ライブハウスで出会ったとあるバンドのリーダーの人だ。高三になった今でも、バンドはやってるらしい。
「ゆりさんの妹? ……確かりみちゃんだっけ? “達”って事はあの子もバンドを始めたんだな」
「そこは俺も詳しくは知らないな。ただ龍斗が始めたってだけで」
最近楽しそうなのは目に見えて分かってたしな。
「楽しそうなら何よりだ。俺みたいに
疲れきった笑いをしながら言う莉緒。中学時代からあいつに苦労してたもんな……こいつ。
それからは互いの高校の雑談をしながら俺と莉緒の家に別れる十字路に着いた。それぞれの道の前に立って俺らも別れの挨拶をする。
「それじゃパンありがとな。それとつぐ、頑張れよ」
「ははっ、お前も
背を向けたまま「ちげぇよ」と言いながらもその声は少し嬉しそうに思えた。
「おう。また今度な」
「ああ」
俺らもそれぞれの道を歩いてるんだな……。奏や莉緒、龍斗。九郎はどうか知らないけど、あの頃とは違い自分の道を歩き始めたと今回話して実感した。
「(さて。俺も頑張らないとな)」
次の話からはちゃんとバランスよく投稿していきますので許してください!(それとちゃんと書きますので!)
こんな僕ですがこれからもよろしくお願いします!