俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。   作:いでんし

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前回説明し忘れていましたが、中位神姫・上位神姫・最上位神姫とは、ゲームで言うR神姫・SR神姫・SSR神姫の事を指しています。
ついでに言うと、Nの武器や幻獣は「下位」で表現しています。


最上位神姫の実力

 ラミエル誘拐犯とカゲツ達の戦い。

 

「皆、邪魔……ダークネスレイ」

 

 先手を取ったのはカゲツサイド。

 エリゴスが単独で突っ込み、魔力波で攻撃した。

 ナイトメアスピアより威力は劣るが、代わりに攻撃範囲は広い。

 前にいる狼型と人型の魔物が怯む。

 その隙に、一瞬で距離を詰めたヘルモーズが人型に連続蹴りを浴びせ、カゲツが狼型の喉元を狙って剣を振るう。

 なんとか魔物達は距離をとってかわすが、ビリーとソルが見逃さずに攻撃。

 ビリーの銃弾が人型の脳天を貫き、狼型はソルの光魔法で吹っ飛んで建物の壁に激突、そのまま動かなくなる。

 一気に戦力で差をつけられた誘拐犯サイド。

 

「なかなかやるじゃないか…ならこれはどうだ⁉︎」

 

 大型の魔物の腕に魔力が集中し、魔法弾を発射する。

 とはいえ、弾速は遅い。十分に避けられる。

 ヘルモーズが一気に距離を詰め、ラミエルが捕らわれている魔物の下腹部を攻撃する。

 だが、蹴りは効かない。とてつもなく頑丈なバリアで防がれてしまった。

 

「無駄だ!このバリアは雷属性の攻撃では決して壊れない!ラミラミも雷属性、中から破壊することなんてできないのさ!」

 

「じゃあ……これは?」

 

 飛び出したのはエリゴス。魔物に向けて槍を突き立てる。

 

「防げ!」

 

 男の指示を受け、なんとか反応した魔物だったが、図体がでかいために動きが遅く、回避が間に合わない。

 エリゴスの槍は、バリアではなく魔物の腹の肉に深々と突き刺さった。

 このまま魔力を送り込み、内部から爆発させる…

 

 

 ……おかしい。

 いくら魔力を送り込んでも、爆発する予兆が見えない。

 その時、エリゴスの脳裏に映像が流れる。

 自身が、何者かに叩き潰される映像だった。

 とっさの判断で槍を引き抜き、全力で後退する。

 瞬間、エリゴスがいたところに、魔物の腕が振り下ろされる。

 大きな音を立てて、地面に敷いてあるタイルが粉々になった。

 見ると、先程までヒョロ長かった魔物の腕が、筋肉質になっている。

 

「ビリー!攻めるぞ!」

「うん!」

 

 カゲツとビリーが突っ込む。

 ビリーの二丁拳銃でバリアに攻撃するが、銃弾は全く効いていない。

 だが、それは囮。

 背後に回ったカゲツが、魔物の腕を剣で斬りつけた。

 

「何っ⁉︎」

 

 ()()()()驚きの声をあげる。

 剣は、確かに魔物に当たった。

 だが、少し肉に食い込んだだけで、剣はそれ以上刺さらなかった。

 カゲツの剣はなかなかの上物で、しかもまだ買って3日の新品だ。毎日手入れも行っている。

 カゲツ自身も、エリゴスが仲間になる前から一人で魔物を相手してきたし、鍛錬も日課となっている。今でもそれは変わっていない。

 神姫ほどの実力を持たないとはいえ、カゲツの剣が通用しない。

 更に、エリゴスの攻撃も効いている様子はない。

 これは明らかな異常事態である。

 カゲツがどういうことかと考えている間に、魔物は暴れだし、カゲツを振り払った。

 カゲツはなんとか回避する。

 しかし、距離をとったことで、魔物の攻撃体制が整う。

 

「攻めろ!シャドウ・ボウル!」

 

 男の指示を受け、放たれる無数の魔法弾。

 数、威力、弾速、共に先程とは桁違いだ。

 予知能力を持つエリゴスとスピード狂のヘルモーズは難なく回避するが、他はそうもいかない。

 特に、人間のカゲツには少々辛いものがあった。

 ギリギリで攻撃を避け続けていたが、近くに着弾した魔法弾の爆風に煽られ、地面に倒れてしまう。

 そこに飛んでくる魔法弾。この体制では避けることはできない。

 

「マスター!」

 

 エリゴスが割って入り、体を張ってカゲツを庇う。

 魔法弾がエリゴスに触れた直後、大爆発を起こし、エリゴスの背中を焦がした。

 

「エリゴス!」

 

 エリゴスは、カゲツに倒れかかってきた。

 

「しっかりしろ、エリゴス!」

「………マスター……大丈夫……?」

 

 相当ダメージは大きいようだ。

 だが、最初に魔物が撃った魔法弾は、とてもここまでの威力があるとは思えなかった。

 一体、どういうことだろうか。

 思考を巡らせるカゲツ。

 

「…なるほど、そういうことか」

 

 変化があったのは、あの時。

 

 ()()()()()()()()()()()()だ。

 

「お前…エリゴスの魔力で何かしたな?吸収して自身を強化するとか…そういう感じか」

「フフッ…見破るとは、やるな。そうさ!こいつは雷と闇の魔力を吸収してパワーアップできるのさ!」

 

 よほどの自信なのか、男はネタばらしを始めた。

 

「こいつは様々な魔物を合成させて作った、言わばキメラだ。その結果、偶然とはいえ、雷だけでなく闇にも強い強力な魔物が完成したのさ!こいつを作るのには、なかなか苦労したよ…」

 

 男が魔物を作る経緯を語り出したが、魔物が攻撃を再開したため、ゆっくりと話を聞いている暇もない。

 とにかく、これはかなりまずい状況だ。

 この調子だと、最初に撃ったダークネスレイも、もれなく魔物のエネルギーになっている事だろう。

 カゲツは動くことができないエリゴスを抱えながら避けているため、更に動きが鈍くなっている。

 ビリー達が何とかフォローするが、やがて体力の限界が来る。

 気づけば、全員疲弊しきっていた。

 

「なんだ、もうボロボロじゃないか。さっさとやってしまえ!」

 

 魔物が屈強な腕で、カゲツ達を潰そうと迫ってくる。

 その魔物に対して、行かせまいと立ち塞がる者が一人。

 

 それは、ソルだった。

 

「任せて。ソルが、皆を守るから!」

 

「正気か⁉︎よせ!解放されたばかりだってのに、死にたいのか⁉︎」

「大丈夫。ソルに任せて!」

 

 ソルが、手に持つ杖に魔力を込める。

 太陽を模した杖のコアが淡く発光し、装飾が高速で回り始めた。

 

「光魔法、いっくよー!アールヴレズル!」

 

 魔物の正面に光が集まり、やがて弾ける。

 魔物は怯んでいる。ダメージは与えられているようだ。

 だが、この程度の攻撃では倒すのは厳しいだろう。

 

「光魔法か、さすがにそいつは効くな…ん?」

 

 男が異変に気付く。

 

 エリゴスの魔力によって屈強になった魔物の腕が、細く、貧弱になり始めたではないか。

 

「なっ⁉︎どういうことだ!」

 

 男が驚きの声を上げる。

 魔物は衰弱し、地面に倒れこんだ。

 ソルは、その隙を見逃さなかった。

 

「闇を浄化する、閃光の太陽!」

 

 ソルが魔力を高めると、杖のコアの回転が更に強くなり、コアが外れて空に飛んで行った。

 空へ飛んで行ったコアはまばゆい光を放つ。目が開けられない程の光だ。

 

「ホワイト・プロミネンス!」

 

 ソルが両手を空に掲げ、技名を叫ぶと同時に、上空の光から何かが落ちてきた。

 …流星だ。

 光を纏った流星が、ものすごいスピードで魔物に向かって降ってきた。

 それも一つではない。

 無数の流星が、魔物を貫かんとばかりに降ってきたのだ。

 流星を受ける度に、魔物の身体はえぐれていく。

 鳴き声を発する器官が存在しないのか、魔物は無言でやられていき、叫び声も上げなかった。

 

「これで…トドメッ!」

 

 ソルが空に掲げた両手を同時に振り下ろす。

 瞬間、先程の倍以上のサイズの流星が、魔物を無慈悲に飲み込んだ。

 あまりの光に目がくらむ。

 やがて目が慣れてくると、魔物の本体は完全に消滅し、後にはラミエルを包むバリアだけが残った。

 そのバリアにもヒビが入り、ラミエルが解放される。

 

「…やっぱり、神姫は凄いな」

 

 エリゴスやビリー、ヘルモーズがかかっても倒せなかった魔物を、たった一人で倒したソル。

 カゲツは、最上位神姫の実力に、驚くばかりだった。

 

「そんな…ボク達が研究に研究を重ねて完成させた魔物が…クソッ!こうなったらラミラミだけでも…」

「させると思ってるのか?」

 

 ラミエルだけでも連れて行こうとする男達だが、ラミエルのそばには、既にヘルモーズが立っていた。

 ヘルモーズのスピードなら、ラミエルを抱えて一瞬で逃げる事も容易い。

 周りを見れば、騒ぎを聞きつけて駆けつけた憲兵も集まっている。

 男達は、もう素直にお縄にかかるしか無かった。

 

 

×××

 

 

 男達は憲兵に連行され、ラミエルを奪還することには成功した。

 だが、まだ負傷したエリゴスをどうするかという問題が残っている。

 

「大丈夫。ソルに任せて!痛いの痛いの、とんでけー!」

 

 突然、ソルが魔法を発動し、優しい光がエリゴスを包む。

 …いや、エリゴスだけではない。光はラミエル、カゲツ、ビリー、ヘルモーズ、ソル本人も包み込んでいた。

 戦闘でできた傷が、少しずつ癒えていく。

 やがて光が消えると、エリゴスの背中の傷は綺麗さっぱり無くなっていた。

 

「回復魔法…そんな技も使えるのか」

「ソルの一番得意な魔法だからねー」

 

 カゲツ達のすり傷も、完全に癒えている。

 エリゴスが身を起こした。

 

「エリゴス、大丈夫か?」

「……大丈夫。心配しなくていい」

 

 エリゴスは無事に復活したが、ラミエルの意識は戻らない。

 先程のバリアはラミエルの魔力も使って強度を上げていたらしく、相当消耗していたようだった。

 

「仕方ないな…なぁ、カゲツ達。ちょっとついてきてよ!礼がしたいんだ」

 

 ラミエルを背負ったヘルモーズが歩きだす。

 

「どこへ行くのー?」

「私たちのリーダーの所さ」

「さっきみたいに勝手に行くなよ?俺たちはあんたのスピードについていけない」

「分かってるよ…あーあ、ラミエルが起きてくれば、全力で走れるのになぁ…」

 

 残念そうにするヘルモーズであった。

 

 

×××

 

 

「さっきの光魔法…一体どういうことなの?あれくらいの攻撃じゃ衰弱するような相手には見えなかったけど」

 

 戦いの一部始終を見ていたハスターとイタクァ。

 ハスターには、ソルが魔物に使った魔法が理解できないようだ。

 

「あの魔法は…確か、攻撃した相手の強化魔法の効果を消去する魔法ですね。以前見た本でそのようなことが書いていました」

「よくそんな事を覚えていられるわね…」

「私の特技ですからね。ハスター様も、もっとそのような本を読まなければいけませんよ?」

「………」

「嫌そうな顔をしてもダメですよ」

 

 やがて、カゲツ達が移動し始め、ハスターとイタクァはそれを追いかけ始めた。




まずい…ヘルモーズを活躍させようと思ってたのに空気になっちゃった…

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