俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。   作:いでんし

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エリゴスちゃんやビリーちゃんはブラウザ版、ソルちゃんはアプリ版の衣装で考えてます。
アプリ版の衣装チェンジは見ててなかなか面白い。
ほとんど肌隠しだけど。


光の神姫

 何らかの理由で武器を手に入れたら、突然神姫が現れた。

 カゲツは一度この光景を見たことがある。

 エリゴスが、まさにそうだった。

 だが、その後にとる行動が、寝ているカゲツの上に四つん這いでのしかかるという、少々常軌を逸したものだった。

 あろうことか、今回もそれは変わっていない。

 今回現れた相手は、突然初対面のカゲツに背後から抱きついた。

 そして言う。

 

「私はソル。神姫だよ!あなたも神姫を連れてるの?」

 

 

「…えっと…なんで抱きついてるんだ?」

「私を解放したってことは、私を仲間にしたいんでしょ?人間はこうやって親愛を深めるって聞いたよ!」

「いや、こう言うのには順序があるだろ⁉︎いきなり抱きつくなんてあるか⁉︎」

「人間の間じゃ、こういうのが普通って聞いたよ?」

「と、とにかく一旦離れて…」

 

「…………マスター……?」

 

「ヒッ⁉︎」

 

 異常に暗い女の声。

 カゲツは、壊れた機械の如く、声の方向へゆっくりと首を回す。

 案の定、そこには闇の魔力をダダ漏れさせたエリゴスの姿があった。

 怒っている。

 間違いなく怒っている。

 

「マスター……」

 

 エリゴスが、ゆっくりと近づいてくる。

 今すぐにでも逃げたいのだが、ソルがくっついていて動くことができない。

 そして、

 

 そっと、カゲツを抱きしめた。

 

「って、お前もかよ⁉︎」

 

 なんなのだろうか、この光景は。

 人が大勢いる広場の真ん中で、少女二人に抱きつかれるというよくわからない状況になっている。

 

「マスターには、私だけを見て欲しい……」

「あーもう!分かった!分かったから二人とも離れろ!ビリー!お前も便乗しようとするな!分かってるからな!」

「あっ…バレてた?」

「バレるわ!本当に俺が大好きだなお前ら!」

 

 

×××

 

 

「それで、ソルだっけか。アンタは何の能力を持つんだ?」

 

 何とか二人を引っぺがしたカゲツは、近くのベンチに腰掛けてソルに話を聞く。

 

「私にできることかぁ…そうだ!太陽作れるよ!」

「…?つまりどういうことだ?」

「だから、太陽を作れるの!」

「…今空で俺たちを明るく照らしてる太陽を?」

「私が作れるの!」

「…すごい能力だな、それ」

 

 エリゴスは未来予知、ビリーはガンマン顔負けの銃の腕。

 どちらも人間には真似できない能力を持っているが、やはりと言うべきか、ソルもぶっ飛んでいた。

 ピコン…

 突然デバイスが起動する。

 

『神姫ソルは、最上位の神姫。神姫の中でも指折りの実力を持ちます』

「最上位?神姫にも階級があるのか?」

『神姫にはそのような区別はありませんが、事実上は中位・上位・最上位といった階級が存在します。一方、英霊ははっきりと基本英霊・上位英霊・最上位英霊と区別がされています。ビリーザキットは基本英霊、エリゴスは上位神姫です』

「へぇ…」

 

 エリゴスはかなりの実力を持っていたが、単純に階級だけで考えると、最上位神姫のソルは上位神姫のエリゴスより強いということになる。

 そんなソルが戦ったら、どうなるのか。

 少し好奇心が沸くカゲツ。

 

 ドゴォォォン…

 

 突然響き出す爆発音。

 北の方向を見ると、黒い煙が上がっていた。

 

「…魔物か?」

 

 もしそうなら、急いで止めなくてはならない。

 カゲツの足は、無意識の内に動き出していた。

 エリゴス、ビリー、ソルは、慌ててカゲツを追いかけた。

 

 

×××

 

 

 爆発音が発生する数分前のこと。

 女の二人組が、北側のエリアを歩いていた。

 

「あっ!この食べ物美味しそうね。あっ、こっちも!」

 

 一人は緑のハンチング帽に、緑と金色のローブを羽織った銀髪ボブカットの女。

 

「…ハスター様、私達はここへ遊びに来た訳ではありませんよ?」

 

 もう一人は緑色の制服のような服に身を包んだ少女。

 長い銀髪で、杖を片手に携えている。

 ハスターと呼ばれた女は、少女の言葉に不満を出す。

 

「いいじゃない、イタクァ。せっかくのお祭りなんだから」

「ハスター様、自分の立場を分かっておりますか⁉︎貴女はいずれ黄衣の王となり、世の神姫全てを従える者なのですよ!そのような者がこのような祭りでハメを外していては、周りに示しがつきません!」

「もー、イタクァは相変わらず堅いわね。…ん?ああっ!あのお店のお酒美味しそう!」

 

 ハスターは、別の露店に駆け寄った。

 

「あぁ…スケジュールがめちゃくちゃです…」

 

 イタクァと呼ばれた少女は、頭を抱えてついていった。

 

 

×××

 

 

 ハスターとイタクァは、露店に設けられた椅子に腰を下ろした。

 やがて、酒がなみなみと注がれたジョッキがテーブルに運ばれてきた。

 ハスターはそれを見て目をキラキラと輝かせる。

 

「おいしそ〜!これはなかなかの上物ね!それじゃ早速…」

 

 ハスターがジョッキに手をかけようとした、次の瞬間。

 

 ドゴォォォン!!

 

「⁉︎」

 

 とてつもない衝撃が、ハスター達を…いや、北側のエリア全体を襲う。

 その衝撃はあまりにも大きく、酒の入ったジョッキが大きく傾いた。

 

「あっ…待って!」

 

 ガシャアン!

 

 ハスターの叫びも虚しく、ジョッキは倒れ、中の酒は全てテーブルに溢れてしまった。

 

「あぁ…あぁ…私のお酒が…」

 

 ハスターは怒りと悲しみでプルプルと震えている。

 

「…ハスター様、大丈夫ですか?」

「………ない」

「ない?」

 

「ぜっっっったいに許さないわ!!誰⁉︎あの爆発を起こしたのは!!」

 

 …どうやら、相当お冠のようだ。

 ハスターは涙を流しながら、怒りを顕にしていた。

 

「私がとっちめてやるわ!イタクァ、ついて来なさい!」

「…構いませんが、この人混みですよ?どうやって行くんです?まさか魔法で人を吹っ飛ばしたりなんてしませんよね?」

「………そんなことする訳無いじゃない」

「少し間が空いたということは、考えてたということですね?」

「うっ…」

 

 図星だったらしく、ハスターがバツの悪そうな顔をする。

 

「…ん?」

 

 ハスターの意識が、突然別のものに向いた。

 大勢の人が逃げる方向から、三人くらいの少女が走ってくる。

 テンガロンハットの少女は民家や街灯を三角飛びで足場にして飛び回り、純白のドレスを着た少女は露店の屋根を走り、手なのか翼なのかよくわからない装備をつけた少女に至っては、一人の男を抱えて空を飛んでいた。

 人がここまで逃げ惑っているというのに、率先してそこへ向かって行くのは何故なのか。

 そもそも、あの身体能力はなんなのか。

 建物や屋根でアスレチックしたり、当たり前のように人が空を飛ぶなど、魔法を使わない限りまずありえない。

 だが、ハスターとイタクァは()()()()()

 人間には真似できないことを平然とやってのける存在、神姫を。

 

「イタクァ、あれって…」

「えぇ、間違いありません。()()()()()()でしょう」

 

 何故なら、()()()()()()()()()()()()()

 

「イタクァ、人混みが少なくなったら、追うわよ」

「了解しました、ハスター様」

 

 普段はハスターのワガママを止めようとするイタクァも、この時はハスターに賛同した。

 

 

×××

 

 

「マスター、どうして泣いているの?」

「聞くな…」

 

 先陣を切って走り出したのはカゲツだった。

 しかし、彼は所詮人間。

 神姫や英霊のフィジカルに敵う訳が無かった。

 気づけばビリーが猫の如く街中を飛び回り、ソルには普通に走りで負けていた。

 そして、爆発でパニックになった人々が前から走って来た時のこと。

 カゲツの身体が、突然宙に浮いた。

 最後尾を走っていたエリゴスが、カゲツを背後から抱き抱えたのだ。

 そして翼を展開し、そのまま空を飛ぶ。

 カゲツはお姫様抱っこの状態になり、人混みに巻き込まれる事は無かったのだが。

 カゲツには、なかなか屈辱だったらしく、涙を流していた。

 

「なぁ、次にこんなことあったら背中に乗せてくれないか?」

「……おんぶされたいの?」

「違うからな…」

 

 カゲツのツッコミにはキレが無かった。

 

 

×××

 

 

 煙の元に到着したカゲツとエリゴス。

 既に、ビリーとソルは到着していた。

 

「お兄ちゃん、おそーい!」

「お前らと俺を一緒にするなよ。俺は人間だぞ?」

「リーダー、そんな雑談をしてる暇は無いよ!」

 

 ソルが指差す先には、黒い体色の魔物と、それを使役している三人の男達。

 魔物の一匹は狼のようなフォルムをしており、一匹は人型。奥の一匹はずんぐりとした大型で、腹に大きな口を構え、四本の腕を持っている。

 大型の魔物の口の中には…何やら人のようなものが見える。

 …いや、人ではない。

 先程カゲツ達の前でライブをしていた少女だ。

 

「ラミエル…!どうして捕まってるんだ⁉︎」

 

「ムッ!キミ達、ボク達のラミラミを奪うつもりか⁉︎」

 

 三人の男の内、痩せ型の男がカゲツ達に気づく。

 

「ボク達はラミラミがボク達以外の男に見られるのは許せないんだ!ボク達と一緒に暮らせば、彼女も幸せに決まってる!」

「ふざけるな!そんなものお前らの自分勝手だろうが!」

「うるさ〜い!ボク達の邪魔をするなら排除するまでだ!…ん?そこの銀髪…ラミラミの直筆サイン入り魔法銃を奪った女!ちょうどいい!あの銃も一緒にボクらのものにするんだ!行くぞ!」

 

 相手は完全にやる気マンマンのようだ。

 

「あれ⁉︎カゲツ達じゃん!どうしたんだよ、こんな所で!」

 

 突然声を掛けられた。

 建物の屋根を見ると、そこにはブロンドの髪の少女。

 街に入る前に案内してくれたが、その前にどこかへ走り去ってしまった彼女がいた。

 カゲツがその名前を呼ぶ。

 

「ヘルモーズ!」

 

 ヘルモーズは、華麗に屋根から飛び降り、着地する。

 

「どうしてお前がここに?」

「話は後だ!ったく、ラミエルったら、面倒なことして…ラミエルを助けたいんだろ⁉︎協力する!」

「助かる!お前、神姫なんだろ?」

「もちろん!馬術の達人、俊敏のヘルモーズとは私のことさ!」

 

「なんだ、お前達の仲間か⁉︎一人増えたところで何の問題もない!みんな潰してやる!」

 

 ラミエルを誘拐しようとする男達と、それを阻止するカゲツ達の戦いの幕が、切って落とされた。




大型の魔物はポケ○ンのアク○キングをモデルにしてます。
いつか○ケモンの小説も書きたいところ。

ハスター様はいいぞ!

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