俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。   作:いでんし

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エリゴスちゃん!エリゴスちゃん!エリゴスちゃん!エリゴスちゃん!
ああっ、ああっ、ああっ、ああっ…
ああああああああああああああああああ!!!!!!


火属性の新しいエリゴスちゃんが実装されてからずっとこんな様子です。
いやぁ嬉しい。ものっそ嬉しい。



祭り

 デバイスから溢れる光が、徐々に弱くなっていく。

 光が完全に収まり、目を開けたカゲツは、目の前の光景に驚愕した。

 先程まで、自分たちは遺跡の中にいたはずだ。

 ところが、目の前に広がるのは草原。

 とにかく広い草原だった。

 先程の遺跡は森の中にあり、草を払った程度の簡素な道も整備されていたが、 ここにはそんなものすらなかった。

 

「本当に、異世界に来たんだな、俺…」

 

 周りを見渡すと、エリゴスとビリーもちゃんといた。

 転送に失敗して三人それぞれ別の場所に飛んでいった、ということが無くてひとまず安心である。

 後ろには元いたメガフロンティアのものに酷似した遺跡があり、メガフロンティアに戻る時はあそこから行くといった判断でいいだろう。

 

 

×××

 

 

「さて、どうするかな」

 

 カゲツ達がこの世界に来たのは、ラグナロクを止める力を持つ神姫を探すため。

 今すぐにでも出発したいところだが、カゲツ達はこの世界のことを何も知らない。

 どの方向に行けば何があるのか、そういったものは全く分からなかった。

 

「デバイスなら、神姫がどこにいるか、分かるんじゃないのー?」

 

 ビリーが進言する。

 だが、いくら呼びかけても、デバイスは反応しなかった。

 遺跡の中ではちゃんと作動していたのだが、今はただの硝子板と成り果ててしまっている。

「異世界へ送ってやったから、後はお前達でなんとかしてくれ」ということだろうか。

 困惑するカゲツ達。

 

「ねぇ、アンタ達そこで何してるのさ?」

 

 突然、声をかけられた。

 見ると、いつの間にか少女が立っていた。

 ブロンドの髪を束ねてポニーテールにしている。

 スパッツの上に鎧を着ているが、胸元や籠手、脚など最低限の装備しかつけておらず、開放感がある。

 足には妙にゴツいヒールを履いていた。

 

「ここらじゃ見ない顔だなぁ。旅でもしてるの?」

「まぁ…そんなところだな」

 

 初対面の人間に神姫の事を話したところで混乱させてしまうだけなので、素性は隠しておく。

 

「私はヘルモーズ。あなた達は?」

「俺はカゲツ。そっちが…」

「……エリゴス」

「ビリーザキットだよー!」

 

 ヘルモーズと名乗った少女と挨拶を交わす。

 

「よろしく。ところで、なんでこんな所にいるの?ここには遺跡くらいしかないじゃない」

「地図を失くしてしまってな…ここから一番近い街を知らないか?」

「あぁ!近くの街なら今祭りをやってるんだ!私もこれから戻る予定だし、案内する?」

「おぉ、それはありがたいな!案内してくれ」

 

 ヘルモーズの案内で、近くの街に行くことになった。

 

 

×××

 

 

 数分ほど歩いた時のこと。

 突然、ヘルモーズはプルプルと震え始めた。

 

「?おい、どうし…」

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!もう我慢できないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

 突然叫びだすヘルモーズ。

 ギュイィィィン…

 直後、ヘルモーズの鎧のヒールから、機械音が響きだした。

 続けて、ヘルモーズの靴から電撃が溢れ出す。

 その状態で、ヘルモーズが地を蹴ると…

 

 ドヒュン!!

 

 ものすごい風を起こして、ヘルモーズははるか先へ駆けていた。

 

「………おおう」

「す、すごーい……」

 

 カゲツとビリーはポカーンとしている。

 

「……」

 

 エリゴスは相変わらずの無表情だが、驚いてはいるようだ。

 とりあえずわかることは一つ。

 

「あの人、神姫だよね…」

「……いなくなっちゃったけど、大丈夫?」

「この先の街へ向かったんだろうから、運が良ければまた会えるだろ。それより問題は道案内役がいなくなったことだぞ」

「「……あっ」」

 

 女子二人が同時に声を上げた。

 

 

×××

 

 

 幸いながら、ヘルモーズの走って行った方向にまっすぐ行くと、彼女の言っていた街があった。

 メガフロンティアでカゲツが拠点としていた街よりかなり大きい街だ。

 人通りが多く、活気もあり、街として栄えているのを感じさせる。

 少し中に入ると食べ物やアクセサリーを販売している露店が数多く並んでいた。

 テンションが上がったのか、ビリーは突然カゲツの右腕をつかみ、肌を密着させる。

 

「えへへ〜、お兄ちゃんとデート♡」

「はぁ?一体何を…」

 

 横で見ていたエリゴスは、ムッとしてカゲツに駆け寄り、余った左腕を掴んで引き寄せた。

 柔らかい感触が伝わり、カゲツは少し落ち着かない。

 

「なぁ…二人とも…暑いんだが…」

 

 カゲツが苦情を言うが、エリゴスとビリーは離れない。

 

「エリゴスお姉ちゃんはずっとお兄ちゃんとくっついてたでしょ?ビリーもやりたいー!」

「……マスターには、私だけを見て欲しい……連れてかれるのは、困るの」

 

 二人はにらみ合い、火花をバチバチと鳴らす。

 カゲツは、両手が塞がったまま、ため息をつくことしかできなかった。

 

 

×××

 

 

「お兄ちゃん!ビリー、あれやりたい!」

 

 ビリーが指差す露店の看板には「射的」と書かれている。

 奥の棚には小さな菓子の箱が並び、手前のテーブルにはおもちゃの銃が置かれている。

 店主の説明を聞くと、この銃で棚の菓子を撃ち、倒す事が出来れば景品としてその菓子を貰えるルールとのこと。

 

「マスター……私、やる」

 

 エリゴスが前に出た。

 店主に代金を渡して銃を受け取ったエリゴスは、棚の菓子に向けて銃を構える。

 パンッ。

 引き金を引くと、コルクの弾が飛んでいった。

 弾は菓子に向けてまっすぐ飛んでいき…

 菓子の上をかすめていった。

 

「………ッ」

 

 エリゴスは更に二回チャレンジするが、撃ち落とすどころか、弾がかすりすらしなかった。

 

「もう、エリゴスお姉ちゃんはまだまだだなぁ。ビリーに任せてー!」

 

 続けてビリーが前に出る。

 店主から銃を受け取り、構える。

 

「ガンマンの実力、見せてあげるね!」

 

 そう言って、ビリーが引き金を引く。

 弾は的確に飛んでいき、菓子の箱のど真ん中に命中。箱はそのまま倒れた。

 なんという精度。

 先程のゴーレムとの戦いでも、彼女は一発でゴーレムの頭部を撃ち抜いて見せた。

 カゲツが関心している間に、ビリーは残りの二発もちゃっかり命中させ、三つの箱を持って戻ってきた。

 横のエリゴスは明らかに不満そうである。

 ビリーは少し考えた後、

 

「はい、どーぞ!」

 

 三箱の内一つを懐にしまい、残りの一箱をカゲツに、もう一つをエリゴスに渡した。

 

「……これ……」

「えへへー、仲間のしるしー!」

 

 ビリーがニカッと笑顔を見せる。

 

「でも……」

 

 エリゴスは少し抵抗があるようだ。

 

「せっかくだ。貰っとけ」

 

 カゲツが言うと、エリゴスは、

 

「……マスターがそう言うなら、貰う」

「やれやれ…素直じゃないな」

 

 

×××

 

 

 街の地図を見ながら歩くと、大きな広場にたどり着いた。

 広場には大きなステージが配置されている。

 

「なんだこれ…見せ物でもするのか?」

「お前、旅の奴か?」

 

 若い男に声を掛けられる。彼は発光し続けている棒を手に持っていた。

 

「あぁ、そうだが…」

「ラッキーだな、お前。なんてったって今日はラミラミのライブがあるからな!」

「ラミラミ?ライブ?」

 

 すると、突然、一気に暗くなった。

 空を見ると、真っ黒な雷雲が押し寄せている。

 やがて、落雷がステージに落ち、煙と共に焦げ臭い匂いが漂う。

 煙が晴れると、そこには…

 

「こんにちは〜。みんなのアイドル、ラミエルです♡」

 

 フリルでできたスカートに、髪にはピンクの大きなリボン。チェーンのついた赤いベルトを巻き、天使の翼を模した装飾を背中につけた少女が現れた。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!ラミラミーーーー!!!」

「ラミラミに会えて俺…最高だよ…!」

 

 少女が現れた瞬間、周りの男達が熱い声援を送る。

 

「みんなはお祭り、楽しんでる?楽しんでるあなたも、そうでないあなたも、ラミラミの歌で元気にしてあげるね〜♡」

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

「それじゃあ…キュクロプスちゃん、よろしく!」

 

 いつの間にかラミラミの隣にいたキュクロプスと呼ばれた少女が、鎌のように見えるギターを弾く。

 それに合わせて、ラミエルが歌い、踊り出す。

 空中にはいつの間にかスポットライトが数多く浮かんでおり、ライブを盛り上げる。

 サビに入ると、男達の興奮もピークに達し、なぜか彼らまで謎のダンスを始める。しかも皆同じように。

 男達だけではない。周りの人々まで彼女のライブを楽しんでいる。

 気づけば、軽く1ヘクタールはある広場が、完全に観客で埋まってしまっていた。

 あっという間に一曲が終了。

 観客からは拍手と賞賛の嵐。

 

「まだまだライブは終わらないから、楽しんでいってね〜!」

 

 観客達は叫ぶ。はしゃぐ。踊り出す。

 この素敵な時間を全力で楽しむために。

 

 

 

「…えーっと………なにこれ?」

 

 観客が興奮する中、カゲツは状況についていけずにポカーンとしているだけだった。

 

 ふとエリゴスを見て、カゲツは驚愕する。

 エリゴスが首を振りながらリズムをとっているのだ。

 あの無表情で何事にもドライな反応を示すエリゴスが、である。

 ビリーを見て、再び驚愕する。

 ビリーは飛び跳ねてまで喜んでいる。

 それほどこのライブが面白いのであろう。

 カゲツは察した。

 今の状況についていけてないのは自分だけだと。

 

 

×××

 

 

 ライブも終盤に差し掛かった時の事。

 

「それじゃあ、最後にラミラミじゃんけん、やっていくよ〜♡」

「ラミラミじゃんけん?」

「ラミラミに勝ち続けて、最後に残った人には、このラミラミ直筆サイン入りの魔法銃をプレゼントしちゃうよ〜」

 

 ラミエルが銃をかかげる。

 赤と黒、銀を基調とした立派な魔法銃だ。

 おぉぉぉぉ…と男達の声が響く。

 それを見て、ビリーが目を輝かせる。

 やはりガンマンとだけあって、銃には関心があるようだ。

 

「お兄ちゃん!ビリーあれ欲しい!」

「はぁ⁉︎何言ってんだ、この人数だぞ⁉︎まず無理だよ」

「えー、そんなぁ…」

 

 残念がるビリー。それを見て、エリゴスが言った。

 

「任せて。私があれをとってくる」

「…まさか強奪とかしないよな?」

「……そんな事、しない」

 

 エリゴスには、何か秘策があるようだ。

 

「それじゃあ、いくよ〜!ラーミラーミじゃーんけーん、じゃーんけーん、ポン!」

 

 

×××

 

 

 …数分後。

 

「という訳で、今回のラミラミじゃんけんの優勝者はエリゴスさんでした〜♡」

 

 宣言通りに優勝し、壇上に上がったエリゴスは、ラミエルから銃を受け取る。

 

「……マジか。考えたな、エリゴス」

 

 このエリゴスという少女、あろうことか自身の持つ能力「未来を予言する能力」をフル活用し、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という、軽い反則技で勝ち上がり、最終的に魔法銃をあっさりと受け取ってしまった。

 ファンの男達は悔し涙を流している。

 

「今回のライブはここまで!みんな見てくれてありがと〜!」

 

 どこからか煙が立ち込め、ラミエル達の姿を隠す。

 煙が晴れると、そこにはもうラミエルはいなかった。

 同時に雷雲もどこかへ行き、太陽が顔を見せた。

 

 

×××

 

 

 人混みをかき分けてカゲツのところに戻ってくるエリゴス。

 

「すごいじゃないか、エリゴス!」

 

 カゲツに褒められて、エリゴスは嬉しそうにしている。

 エリゴスはビリーのところに行き、

 

「……これ」

 

 持っていた銃を、ビリーに渡した。

 

「え?くれるの⁉︎」

「……お菓子の、お礼」

「わーい!ありがとー、エリゴスお姉ちゃん!」

 

 エリゴスがビリーを仲間として認識するようになったのか。

 カゲツには、その光景がとても微笑ましく見えた。

 

「それにしても、改めて見るとずいぶん立派な魔法銃だ。ちょっと見せてくれないか?」

「いいよー!」

 

 ビリーから銃を手渡されると、突然、銃が鈍く光り輝く。

 

「?」

 

 次の瞬間。

 

 カゲツは突然後ろから誰かに抱きつかれた。

 

「⁉︎」

 

 すぐに背後を確認。

 すると、そこには少女がいた。

 フリルが沢山ついた白いドレスを身にまとった、オレンジの長髪の少女。

 赤いマントと変わった形の冠もつけている。

 見た目はビリーより少し年上といったところか。

 

「君は…?」

 

 カゲツが問う。

 

「私はソル。神姫だよ!あなたも神姫を連れてるの?」




ソルちゃん登場。そしてエリゴスちゃんずるい。
ソルちゃんの服は装飾が多くて表現に時間がかかるかと思いきや割とあっさり目に。
エリゴスちゃんの作戦は1話を書き終えた時にはすでに決定してたり。
後ラミラミとキュクロプスはまだ仲間にしてないのに無理やり登場させたり。

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