俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。   作:いでんし

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このゲーム、推しがSRやRだろうと関係なくスタメンに据えるって人はなかなか見ません。
制限ステージ以外だとSSRでおkなゲームだから仕方ないんですけどね。

私の闇パはエリゴスちゃんを前衛に配置しています。
前衛は攻撃する頻度が嫌でも多くなるので、エリゴスちゃんをたくさん動かせるわけですね。


3つの邂逅

「ふぅー……」

 

 森の中、ため息をつくのはハスター。

 その足元には、風で吹っ飛ばされて目を回している親衛隊2人の姿があった。

 

「ハスター様、ご無事ですか?」

 

 木の陰からイタクァが現れる。

 

「大丈夫よ。バイアクヘーを呼び出すまでもなかったわ」

 

 他の仲間たち同様、分断されたハスターとイタクァだったが、この2人は偶然か必然か、早い段階で合流することができた。

 が、そこでエレミア親衛隊のメンバーに同時に襲われたのだ。

 結果はハスターの圧勝。イタクァは出る幕すらなかった。

 

「親衛隊って聞くから強いのかと思ったけど、大したことなかったわね」

「それは何よりですが……油断は禁物ですよ?」

「わかってるわよ。だとしても拍子抜けだけどね」

「ところで、マスターの場所はわかっているんですか?」

「もちろん。バイアクヘーを1匹忍ばせておいたもの。すぐにたどり着けるはずよ」

「本当ですか!? 早く行きましょう!」

「私もそうしたいところだけどね」

「え?」

「ちょっと、厳しいみたい」

 

 

「2人を同時に倒すなんて。貴女は他の神姫よりもはるかに強力なようですね」

 

 

 森の奥から、親衛隊がもう1人現れた。

 手に持つのは棒に鎖付きの鉄球が付いた武器。モーニングスターと呼ばれる代物だ。

 

「よりによってこいつか」

「ハスター様?」

「構えて、イタクァ。この女、他よりずっと強いわ」

「えっ?」

「前に遺跡で戦ったとき、他より魔力の高い奴らが2人いたわ。1人がこいつ」

「……!」

 

 警告を受け、イタクァの目つきが変わる。

 手に持つ杖を構える。

 

「思い出しました。あの鉄球でエリゴスを吹っ飛ばした……!」

 

 遺跡での戦いでエリゴスに痛手を負わせた相手。

 それが、目の前にいる親衛隊だった。

 

「あの人はここにいないみたいですね。まぁ、貴女方もなかなか強そうですし、楽しめそうです。クスクス」

「……わざとらしい笑い方ね。なんかイライラするわ」

 

 嫌味を垂れつつ、ハスターは角笛を勢いよく吹いた。3匹のバイアクヘーが、次々と召喚される。

 

「イタクァ、私とバイアクヘーが動きを封じるわ。その隙に、貴女の毒をぶつけて」

「わかりました、ハスター様」

「クスクス、では……参ります」

 

 バイアクヘーの放つ風魔法と、親衛隊の鉄球がぶつかり合った。

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

 デバイスに表示された神姫の反応を辿って、カゲツ・ビリー・アマルの3人は森を走っていた。

 ……いや、アマルはカゲツに背負われているので走ってはいない。裸足なので森を走れないのもあるが、先の戦いでダメージを負ったのであまり動けないのだ。

 最も、カゲツも木に叩きつけられてダメージは負っているが。

 

「ケガ人に人背負わせるとか、鬼だなお前は」

「鬼じゃない、幻獣だ!」

「そこ重要なのか?」

 

 そんな話をしながら走っていれば、神姫の姿が見えた。

 

「あっ、リーダー!」

 

 ソルが走ってきた。……親衛隊らしき人影を2人連れて。

 

「ちょちょ、ソルちゃん、大丈夫ー!?」

「大丈夫だけど……2人相手だと厳しいよー!」

 

 ソルは太陽に匹敵する火力の攻撃が使えるが、本分はあくまでも回復。攻撃の隙は大きいので、エリゴスやカゲツのような前衛が時間を稼ぐ必要があるのだ。

 だがデバイスを持った継承者がいるなら、そんなことは問題ない。

 

「魔力を回すぞ! 一撃で決めてやれ!」

 

 デバイスの力で、ソルに魔力が集まる。

 その魔力は、上空で太陽の如く光球に変わる。

 

「いっくよー! ホワイト・プロミネンス!」

 

 光球が親衛隊の2人を飲み込む。

 叫び声すらあげる暇なく、親衛隊の2人は動かなくなった。

 

「やったー! リーダーありがと!」

「おう、お前も無事で良かったよ」

「あれ? リーダーとアマル、怪我してるよ? 治す?」

「頼む。俺はともかく、アマルは結構やられた」

「わかった! ぴかぴか、ぴかーん!」

 

 ソルの回復魔法がカゲツとアマルを包む。2人の傷はあっという間に癒えた。

 

「お前の回復魔法は本当に頼りになるな」

「本当? もっと頼っていいんだよー」

「……いや、本当に無事で良かった」

 

 デバイスは英霊と幻獣を召喚することはできても、神姫は呼び出すことはできない。

 そんな中で、単独の戦闘能力に特別優れるわけでもないソルを無傷で保護できたのは幸いだった。

 エリゴス・ハスター・イタクァは元々ある程度の戦闘能力は備えているので、なんら問題ではない。

 

「ビリー、アマルに、ソルを加えて3人。これで残りは3人か……」

「あの3人なら、問題なさそうだけどねー」

「いや、そうとも限らないぞ」

 

 3人の力を信頼しているビリー。

 しかし、アマルはそれに反論する。

 

「お前、デバイスであたしの力を奪ったでしょ」

「あぁ。原理は俺もわからないけど」

「それって神姫にも使えるのか?」

「……使ったことはないけど、多分できる。というか、前の世界だとハスターがそれでやられたからな」

 

 前の世界では、リリスの持つデバイスの力でハスターの力が奪われ、結果カゲツが到着するまで痛めつけられた。

 カゲツのデバイスにその機能があるかは試してないのでわからないが、可能性はある。

 

「ハスターはエレミアと戦った時、幻獣をけしかけてきたって言ってたな。……あれ、これマズくないか?」

「大変だよ! どんなに強くても、デバイスがあったら……」

「早く探さないと!」

 

 

「その必要はありません。貴方達はここでおしまいですから」

 

 

 突如、上空から火球が降り注いだ。

 

「!」

「この攻撃は……!」

 

 ソルの光球とビリーの銃弾が、落下する火球を撃ち落とす。

 こぼれ玉も、カゲツが全て切り裂いた。

 

「森の中でこの規模の火魔法、正気じゃないな、エレミア!」

 

 ゼスト教第一騎士団騎士長・エレミアが、上空に浮かんでいた。

 

「さて、正気じゃないのはどちらでしょう。教会騎士団に歯向かっている時点で、言い逃れはできませんが?」

「こっちは正当防衛なんだよ。このデバイスは大切なものだ、はいどうぞと渡せるわけないだろ」

「先に遺跡に侵入し、損害を出したのは貴方達ですよね?」

「…………」

「論破されちゃったよ!?」

 

 情けないカゲツに一同がツッコミを入れる。

 

「……話は終わりましたか? では、早くデバイスを渡してください」

「……相変わらず、その一点張りか。断るって言ってるだろ」

「よろしいのですか? 面子は少々変わっているようですが、それでも私には勝てないと思いますよ」

「やってみなきゃ……わかんないだろ!」

 

 真っ先に飛び出したのはアマル。幻獣体の豪腕を振り回して、エレミアに殴りかかった。

 エレミアは剣すら使わず、真っ正面から拳で受け止めた。

 

「これでは、先日と変わりありませんが?」

「どうかな!」 

 

 カゲツがデバイスをかざす。

 瞬間、エレミアの身体から力が抜け始めた。

 

「何!?」

 

 ソルとビリーのアビリティで攻撃力を奪ったのだ。

 エレミアは辛うじて受け止めているが、このままでは潰されてしまう。

 

「このまま潰してやる!」

「……っ! 舐めるな!」

 

 早くも追い詰められたエレミアだが、自身の身体に魔力でブーストをかける。

 豪腕をみるみるうちに押し返し、アマルを弾き飛ばした。

 

「嘘だろ!? あいつの力、底が見えない……!」

 

 全身から魔力を迸らせるエレミア。

 怒りのこもった目でソルを睨みつける。

 その眼力に、ソルは怯え、動けなくなってしまった。

 

「忌々しい! 先に貴女から始末しましょう」

 

 剣を抜き、エレミアは呪文を唱える。

 複数の火球が瞬時に生成され、ソルに向かって降り注ぐ。

 ソルの脚力では、全て避け切るのは不可能だ。

 

「ソル! 光魔法で火球を撃ち落とせ!」

「アールヴレズル!」

 

 太陽レベルの魔法なら、あの攻撃も大したことがない。しかし、現在はそれを使うには時間が足りなさすぎる。

 瞬時に放てる光魔法で迎撃を試みるソル。しかし、出力はエレミアの火球の方が上だった。

 火球は光魔法をものともせず、ソルに向かって一直線に向かう。

 

「ソル!」

「ソルちゃん!」

 

 アマルとビリーが叫ぶが、間に合わない。

 

 彼女らは、だが。

 

 

「ダークネスレイ」

 

 

 空から闇の怪光線が降り注ぎ、火球を一つ残らず貫いた。火球は爆発し、ソルに届くことはなかった。

 

「……やはり来ましたか」

 

 空からゆっくりと降りてくる、少女の名をカゲツは叫ぶ。

 

「エリゴス! 来てくれたか!」

 

 嬉しそうに叫ぶカゲツに、エリゴスは笑みで返す。

 エリゴスだって、本当は今すぐにカゲツの元へ行きたい。なんなら抱きつきたい。だが、今はそれどころではない。

 エリゴスは、エレミアの前に立ちはだかり、槍を構える。

 

「ここまでは予知どおり。これからは……私にも、わからない」

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

 所変わって、林道の中。

 

「おおー、これはすごいですね。すごい戦闘があったようです」

 

 飴をしゃぶりながら、少女が呟く。

 綺麗だった林道は、魔法で木々が荒らされ、道には気絶した教会騎士があちこちに転がっており、その面影はない。

 

「貴様、神姫か? そこで何をしている?」

 

 エレミア親衛隊の1人が、少女の背後に現れた。

 本来アマルを相手するはずが、直後にアマルがカゲツに召喚されたことで手持ち無沙汰になった所を、たまたま発見したのだ。

 

「いかにも、私は神姫ですが……」

「継承者の仲間か?」

「けいしょうしゃ? なんですか、それ?」

「なんだ、関係ないのか? だったら失せろ。ここは貴様が来るべき場所ではない」

「そうなんですか? じゃあ急がないとですね」

「……私は引き返せ、と言いたかったんだが。これ以上進むなら、捕縛するぞ」

「えぇ、それは困りますよ」

 

 少女は自身の武器を取り出す。それは棒の両端に剣が備えられた代物だ。

 

「私は考古学者です。近くに遺跡があるならば、行きたくなるのが(さが)というものですよ」




能力バトルでは「能力を持たない人物は能力者に勝てない」みたいな状況がよくあります。
エレミアは人間の身で神姫に立ち向かっていく点でなかなか好感度高いですね。彼女は彼女で能力者みたいなもんですけど。

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