俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。 作:いでんし
4000字書くのが個人的なノルマだったけど今回は3450文字程度。
良いのかなこれ?
計八体のオークを倒したエリゴスとカゲツ。
街に入ると、すれ違う誰もが「ひっ」と驚いて顔を引きつらせた。
…まぁ、当然だろう。
先程の戦いで、エリゴスはオークの腹部に魔力を送り込んで
そんな戦い方をしたら、返り血がつかないはずもなく…
エリゴスは、全身返り血まみれで街を歩いていた。
「だから、近くの川で洗ってくればよかったのに…」
同行しているカゲツがぼやく。
当のエリゴスは、そんな事を気にする様子もなく、堂々としてるようにも見えた。
×××
今回の依頼の報酬だが、なんと20万ジェム。
魔物の群れ一つをまるまる壊滅させたことが評価されてのことらしい。
証拠として巨大オークの肉片を受付嬢に見せた時、受付嬢は一瞬固まっていた。
×××
返り血を洗い流すためエリゴスがシャワーを浴びている最中、カゲツは街を散策していた。
カゲツはあちこちを旅しながら魔物を討伐して小金を稼いでいる。…流石にこの量は小金とは言えないが。
この街に来たのもゴーレムを討伐した日の前日であり、地理関係は全く把握していなかった。この街の構造を覚えがてら、神姫に関する情報を集められたらいいと思ったようだ。
そもそも、カゲツは神姫の事を全くと言っていいほど理解していない。
過去の厄災を止め、魔物の群れを一人で一掃する程の実力を持つ存在が、なぜ突然自分の前に現れたのか。
あの様子ではエリゴスがカゲツに愛想を尽かして離れていくのはまずありえないため、神姫が何者なのか調べておかなければ、という使命感が、カゲツにはあった。
しかし、この街に資料館や図書館はあったが、神姫のことについて書かれた本はどこにも無かった。
もう少し情報が欲しいところではあるのだが、すれ違う人全てに神姫のことを聞くのも迷惑だし、煩わしい。
「せっかくだし、もっといろんな所を回ってみるか…」
カゲツは、この街にどんな物があるのか、調べてみることにした。
×××
カゲツがたどり着いたのは骨董屋。
古めかしい道具や家具、用途の不明な壺などが所狭しと並べられていた。
もしかしたら、何かしら掘り出し物があるかもしれない。
この店にあるものから神姫に関する情報が取れたら儲けものだ。
一種の博打と言えるだろう。
とりあえず金はあったので、適当に色んな物を買っていった。
壺、金槌、ナイフ、銃、その他諸々。
ここの店以外にも骨董屋があるらしく、カゲツは片っ端から骨董屋の商品を買っていった。
その背後からは、一つの人影がついてきた。
以前、エリゴスがそうした様に。
×××
カゲツは宿屋に戻って来た。
「おかえり」
部屋に入ると、エリゴスがベッドに座っていた。
だが、部屋に備え付けのバスローブを羽織っている。
「エリゴス、服はどうした?」
「……洗濯。血で汚れたから……」
「…洗う必要あるんだ、あれ」
「それで……何か見つかったの?」
「とりあえず色々買ってきた。神姫の手がかりがあれば良いんだけどな」
カゲツはマントの中から買った物を次々と取り出す。
エリゴスは、その中の一つに興味を示した。
「?これ……」
エリゴスが取り出したのは片手で持てる程の小さな板状の物体。
変わった装飾が施されており、中央には硝子製の板がはめ込まれていた。
カゲツが持ってみたところ、軽い。
強く落としたりでもしたら簡単に壊れてしまいそうだ。
「なんだこれ?この中に神姫が封印されてるのか?」
「いや……それは……」
エリゴスが何かを言おうとした瞬間、
ピコン。
「⁉︎」
カゲツが手に持つ物体から、突如音が鳴る。
続いて、硝子板に光が灯り、そこに少女の姿が映し出された。
銀色の髪、そして銀色が中心の服を着ている。
エリゴスレベルの無表情で、どこか機械の様な無機質さを感じる。
そして、あちらこちらから伸びている配線に繋がっている大きな椅子に腰掛けていた。
「なんだ…?こいつは…」
『…マスター・コグレは、何処へ?』
出会い頭に、画面の中の少女は質問する。
「コグレ…誰だ、そいつは?」
『…なるほど、おおよそ理解しました』
勝手に自己解決した少女は、カゲツに言った。
『カゲツよ。貴方は継承者に選ばれました』
「………はぁ?」
突然訳の分からない役職(?)に任命され、カゲツは思わず声を出してしまう。
「継承者……⁉︎」
だが、横で話を聞いていたエリゴスの声には、少々焦りが篭ってるように聞こえた。
『貴方が継承者に選ばれた理由は他にはありません。近々、魔法科学文明を滅ぼした災厄、ラグナロクが再来します』
「なっ⁉︎」
ラグナロク。
エリゴスが説明してくれた、世界を滅ぼすはずだった災厄。
神姫達の活躍により、なんとか文明の崩壊程度には収まったが、それだけでも相当恐ろしいものだ。
それがまたやってくるとなると…相当マズい状況である。
『ラグナロクを阻止するには、神姫を集め、それらをこの『デバイス』で従える継承者の存在が必要です。カゲツ、貴方はそれに選ばれたのです』
「…要するに、俺に世界を救う大役を任せたってことか。だが何故俺なんだ?俺より素質のある人間はいっぱいいるだろ」
『とんでもありません。普通の人間には、デバイスを起動させる事は絶対に叶いません。継承者の素質があるからこそ、貴方はデバイスを起動させられたのです』
画面の中の少女は無表情でカゲツを説得しようとする。
カゲツは困った。一度押されるとカゲツは弱いのだ。
二日前にエリゴスに押し倒された時も、ほとんどエリゴスがペースを握っていた。
「分かった!分かったよ、なれば良いんだろ?継承者とやらにさぁ!」
諦めたのか、それともあしらうのに飽きたのか、カゲツは継承者になる事を自暴自棄気味に決めた。
『ありがとうございます。さて、継承者となった貴方には、様々な異世界へと渡り、神姫を集める必要があります。その時に、このデバイスが必要になります』
「異世界?」
『貴方の住んでいるこの世界は、メガフロンティアと呼ばれています。異世界に行くには、メガフロンティアの各地にある遺跡からデバイスを使う必要があります』
「遺跡か…エリゴス、ここから一番近い遺跡は?」
「……北東へ5キロくらい歩くとある」
「分かった。今夜の内に準備を済ませて、朝一で出発するぞ。………あぁそうだ、デバイス、一つ聞いておきたい事がある」
『?』
「さっきお前は『マスター・コグレは何処だ』って聞いたな。そいつは誰なんだ?」
『………』
「あれ?」
デバイスの画面は真っ暗になっている。
カゲツが応答しても、デバイスが反応する事は無かった。
×××
その日の晩のこと。
旅支度を終えたカゲツは、ベッドに寝転がった。
それを見るなり、エリゴスもカゲツの横にくっつき、腕を抱きしめる。
三度目になると、ちょっと耐性がついたのか、初日のように落ち着かない事は無かった。
…この状況に慣れるというのは、なんとも言えない気分になるのだが。
カゲツの頭の中は不安でいっぱいだった。
神姫と言っても、エリゴスの例を見る限り、見た目は普通の少女だ。
普通に生活してる分は探すのは不可能に近い。
こんな大役を自分が引き受けて本当に良かったのか、カゲツは心配でならなかった。
「……マスター、不安なの?」
カゲツの不安を察したのか、横にいるエリゴスが声をかける。
「大丈夫。……マスターは、きっとラグナロクを止められる」
「…なんでそう断言できるんだ?」
「……私は、未来を見通す神姫だから」
「…そうか」
エリゴスは、カゲツを安心させようとしている。
その気持ちは、カゲツに届いたようだ。
カゲツの表情に少し余裕ができ、それを見たエリゴスは少し微笑んだように見えた。
「…なぁ、エリゴス。一つ聞いていいか?」
カゲツが質問する。
「……何?」
「どうしてお前は俺をここまで慕ってくれるんだ?何故出会って間もない俺に力を貸してくれるんだ?」
エリゴスは、しばらく考えた後、こう答えた。
「……マスターの手が、優しかったから。槍を持った時の手が、とても優しかったから」
エリゴスは微笑んでいた。
その笑顔を見て、カゲツは昔の事を思い出した。
白いショートヘアが眩しい少女。
その優しい笑顔が、目の前のエリゴスと重なった。
「……どうしたの、マスター?」
「?何が?」
「マスター、泣いてる……」
「えっ?…あっ」
カゲツが目元をこすると、指先がうっすらと湿っていた。
「マスター、大丈夫?」
「……なんでもない、忘れてくれ。ほら、明日は早いんだ、もう寝るぞ」
「……わかった」
エリゴスは腕を抱きしめる力を少し強くする。
最近はエリゴスのおかげで寝不足だったカゲツだが、その日はよく眠れたという。
ようやっとデバイスを入手できました。
遺跡に行かずにどうやってデバイスを入手するか。
ものっそ考えました。
さて、カゲツの前に現れた英霊とはー⁉︎(次回予告的なやつ)
アーサーの超火力を体感してみたいのだけれども
その前にアンドロメダとダルタニアンを解放したい。
欲しすぎてたまらない。
序盤に英霊ポイント無駄遣いしなけりゃよかった…(泣)