俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。 作:いでんし
プルート覚醒はめでたい。情報来てから長かったなお前な。
未来予知能力や寵愛の力を持つエリゴスちゃんは結構な大物キラーな気がします。
最も、ゲームの方だと未来予知は全然使ってくれませんが。うちのエリゴスちゃんはガンガン使うけど。
荷台から投げ出されたエリゴスが見たのは、それぞれ盾、弓、鎌を持った教会騎士の少女らだった。
だが、今まで蹴散らしてきた雑兵とは違う。それは、彼女らから溢れる魔力の波を見れば明らかだった。
彼女らは樹上からエリゴスを見つめるばかりで、向こうから攻めようとはしない。
正直、今すぐにでもカゲツを探しに行きたい。だが、それは騎士が許さない。
戦う他、ない。
静寂を断ち切り、先に動いたのは鎌を持った少女だった。
いかにも死神が持っていそうな、大きな首切り鎌だ。刃からは得体の知れない液体が滴っている。
少女は鎌を振りかざし、エリゴスに斬りかかった。
エリゴスは鎌を避ける。避ける、避ける、避け続ける。
鎌を振るうその動作には無駄が一切なく、反撃の隙がない。エリゴスは回避に集中せざるを得なかった。
エリゴスが避けた斬撃が、森の木を掠る。ほんの少し掠っただけだったが、その切り口は即座に紫色に染まり、爛れた。
(毒……)
皮膚に直接食らえば、どうなるかは明らかだ。
極力接近せず、遠距離から攻めるのが得策と見た。
エリゴスは後退し、背中のユニットに魔力を込める。
「ダークネスレイ」
闇の魔力が込められた6本の怪光線は、鎌使いの少女に向かって真っ直ぐ放たれる。
だがそれは、少女に届くことなく、全て矢によって撃ち落とされた。
樹上の弓兵は、素早く矢を番え、エリゴスを狙い撃つ。
ただ、エリゴスの実力と予知能力があれば、弓矢での狙撃自体は十分に槍でいなせる。爆走する荷車の上というバランスの悪い環境でも、エリゴスはカゲツらを矢から守り通せた。結局は分断させられたが。
問題なのは、これに鎌使いが介入してくることだ。こうなってしまうと、いくらエリゴスといえど攻撃に被弾する可能性がある。予知はあくまでも未来の先読みであり、その後の行動を起こさなければ、未来を変えることはできない。予知ができても、エリゴスの身体が反応できなければ意味がないのだ。
数で劣るこの戦い。優位を返さんとするエリゴスがとった行動は、弓兵を真っ先に倒すために、樹上へ突撃することだった。
遠距離から攻撃してくる敵を速く潰すことで、戦闘はある程度楽になる。
弓兵の矢は幾度もエリゴスを射抜かんと飛んでくるが、エリゴスはそれを全て防ぐ。
不利を察した弓兵は樹上を跳び回り、距離を取ろうと試みる。だがそれよりも、エリゴスが間合いを詰める方が早い。
「……これで、終わり」
構えた槍を、弓兵の左胸目掛けて突き出す。
ガキィン!
「!?」
重い金属音が響く。槍はすんでの所で盾に阻まれていた。
そう、騎士はもう1人いた。
盾を持つ少女は、エリゴスの槍を真っ向から受け止めていた。盾には傷一つついていない。
「
盾使いは何かを唱える。すると、盾の模様が青白く発光し、盾に魔力が集まった。
蓄積された魔力は衝撃波となり、エリゴスを吹き飛ばした。
「……っ!」
吹っ飛ばされた先には、鎌使いが待っていた。木々を飛び移って跳躍し、はるか空中のエリゴスを斬り裂かんと襲いかかる。
「死ね、神姫!」
普通ならそのまま鎌使いに真っ二つにされるか、毒液を受けて身体を蝕まれるかのどちらかである。
だが、エリゴスは空中で体勢を立て直し、ギリギリで鎌を槍で防いだ。
この近距離だと鎌から滴る液体が身体に触れる危険性もあるが、同時にエリゴスの攻撃のチャンスでもある。
「ダークネスレイ」
「!!」
空を飛べるエリゴスと違い、鎌使いは空中で姿勢を制御できない。結果、エリゴスの怪光線をモロに食らってしまった。
鎌使いはそのまま落下。エリゴスも、弓兵の追撃を避けるため、遮蔽物の多い地上に逃げた。
「リーダー、メムが……」
「問題ない。あいつならあの程度じゃ死なんさ。それに……アレもそろそろ起きる時間だろう」
────────────────────
エリゴスが降り立った場所は、キメラと大破した荷車があった林道だった。弓兵の追撃の過程でかなり移動したように感じたが、実際には同じ場所で戦っていただけのようだ。
爆発の衝撃を受けたのか、キメラは気絶しており、ピクリとも動かない。
これなら平気だろうと、エリゴスはキメラに背を向ける。
視線の先には、エリゴスの怪光線を食らった鎌使いが、ボロボロの姿で立っていた。
鎌を杖代わりにしてようやく立っている状況であり、受けたダメージで脚がガクガクと震えている。
神姫の戦闘能力は人間を遥かに凌駕する。その攻撃をまともに受けて、立っていられるのは純粋に恐ろしいことだ。
「神姫……殺す……」
ぶつぶつと呟く鎌使い。
目には殺意が混じった闘志が宿っており、エリゴスを睨み続けている。
そして鎌使いは、突如矢で胸を射抜かれた。
当然ながら、その矢は味方のはずの弓兵が放ったものだった。
味方を射殺した?
何のために?
困惑するエリゴスの前では、異様な事態が起こっている。
胸を射抜かれた鎌使いは、多少仰け反りはしたものの、すぐに体勢を立て直した。
矢は徐々に霧散し、同時に鎌使いの傷が癒えていく。
矢が完全に消滅した時、傷はどこにも見られなくなっていた。
(矢で射抜くことで回復する魔術……?)
どういう魔法かは分からないが、鎌使いは完全に復活してしまった。
だが、それだけではない。
「ぐるるる…………」
エリゴスの背後から唸り声が響く。
それは、数秒前まで地に伏していた、キメラのものだった。
目覚めた獣は目の前の肉を捉え、力強く吠えた。
「────────ー!!」
「こいつは我がゼスト教で製造された合成獣だ。ただ、少々凶暴になりすぎてな。機械で操らなければ我々も危ういが……どうする?」
──────────
気づけば、カゲツは木々の中を飛んでいた。
いや、少々語弊がある。吹っ飛ばされたと言うべきか。
エリゴスが矢の猛攻を必死で抑えていた最中だった。必死に荷台に戻ったイタクァが、目の前で消えたのだ。
次いでソルが、ハスターが次々に消えた。そこまで来てようやく、敵は既に襲撃していると察知した。
カゲツができることは、ビリーとアマルをデバイスに戻すことだった。英霊や幻獣をデバイスで呼び出す際は、別の場所にいる彼女らをデバイスを介して召喚するのか、あるいはデバイスの中に独自の空間が形成されており、そこから召喚するのか。詳しくはわからなかったが、少なくとも一度戻すことができれば、またすぐに召喚できるのは確かだった。
ビリーをデバイスに戻し、すぐにアマルを戻そうとした時、アマルは消えた後だった。
そして、最後に残ったカゲツが飛ばされた。
不思議と痛みや衝撃はなかった。
だが、木々は猛スピードで視界を通り過ぎていく。このまま何かに衝突すれば重傷では済まないのは火を見るより明らかだった。
幸いながら、大木に激突する瞬間に突然勢いが弱まり、カゲツは安全に着地できた。
「よし、ここまで飛ばせば、そう簡単に戻れないでしょ」
大木を背にするカゲツの前に、いつのまにか1人の少々が立っていた。
身長はソルより高い程度だが、他の騎士にも見られる赤と銀の鎧を着け、その上から似た色合いのローブを羽織っていた。
手には魔導書。あれで魔法を発動し、カゲツ達を分断したのだろう。
「そのローブ……噂のエレミア親衛隊か?」
「おっ、鋭いね。知ってるんだ」
エレミアを始めとしたゼスト教の精鋭を敬愛し、付き従う実力者達。それが親衛隊だ。
エレミア親衛隊は、彼女が特別に選別した10人の少女で構成されていると噂されている。一般市民はおろか、ゼスト教の騎士達ですら存在を知らない者は多い。
「結構な機密情報のはずだけどなぁ、どうして知ってるの?」
「……それを言う義理は無い」
「そっかぁ、残念。じゃあ、それ、貰うね」
悪寒が走る。それ、とは間違いなくデバイスのことだろう。
腰のポーチに忍ばせたデバイスに触れ、召喚を試みる。
「ビリー、アマル、来てくれ!」
デバイスから光が放たれ、英霊ビリーザキット、幻獣アマルが召喚された。
アマルは呼び出せるかどうか不安だったが、無事成功してくれたようだ。
「吹っ飛ばされたかと思えば、次はお前に召喚されて……どうなってるの!」
「分からない。だけど……目の前のそいつは、敵だ」
「……じゃあ、暴れてもいーい?」
「あぁ、存分に暴れろ!」
カゲツの指示を受け、アマルが巨大な鳥人型の幻獣体を召喚する。
幻獣体は雷を纏った豪腕で少女に殴りかかった。
まともに食らえば一撃で死にかねないレベルの威力だが、少女はそれを瞬間移動で回避。当然、少女は無傷だ。
「いけいけいけ! ぶっ飛ばしちゃえ!」
パンチの雨が襲いかかる。だが、一発たりとも少女には当たらない。ただ、森の草木を焼き焦がすだけだ。
地面を陥没させ、大木をへし折る威力の攻撃も、当たらなければノーダメージ。なんてことはない。
「じゃあ、そろそろ反撃しちゃうよー」
少女は魔導書のページをめくると、詠唱を開始する。瞬間、アマルの身体は幻獣体ごと10メートル程後方に吹っ飛び、木々を何本もなぎ倒した。
「うわあっ!?」
「アマル!」
吹っ飛ばされたことによるダメージはやはり無さそうだ。しかし、木に突っ込んだ際にでも刺さったのか、幻獣体の背中に枝が何本も刺さっている。
「これで終わりじゃないよー」
相手がさらに詠唱すると、アマルになぎ倒された木の一本が浮き上がる。
そして、グルグルと回転しながら幻獣体を殴りつけた。
その様は、大きなハンマーで人を力強く殴るが如く。アマルは横に吹っ飛び、また木々が巻き込まれた。
「くそっ、ビリー!」
「りょうかーい!」
魔術師を狙うは二丁の拳銃。
弾数無限、百発百中の狙撃は、しかし間に割り込んでくる木々に的確にブロックされる。
更に、突如大木が横から飛び、ビリーを狙う。ビリーはギリギリで避けたが、大木は隣の木に衝突、そこから真っ二つに折れた。
「あっぶなーい!」
「いやいや、流石だね。あれは避けられないと思ったんだけど。マスターの指示が的確なのかな?」
カゲツらを称賛しながら、少女はなお猛攻を止めない。
見る限り、相手の魔術は自身や物体を自由自在に浮遊させ、動かせる能力のようだ。ただそれだけなのだが、大木のような質量のある物体を高速で振り回されれば、それだけでも十分な凶器になる。しかもアマルのような巨大な生物まで自在となれば非常に厄介だ。
カゲツは巧みな剣術で迫りくる大木を両断し続ける。だが、斬っても斬っても、次から次へと大木は補充される。
「くそっ、キリがない!」
「そうだね。あと、デバイスを持ちながら戦うのは流石に酷じゃないかな?」
少女が小声で詠唱すると、ズボンのポーチからデバイスが浮かび上がり、少女の手元に飛んでいった。
「なっ!」
「危なっかしいからね、私が預かってあげるよ」
「返せ!」
カゲツは剣を構えて突撃する。
だが、真っ正面から突っ込めば少女に操られて当然だ。カゲツはそのまま宙に浮かされ、振り回され、木に叩きつけられた。
「お兄ちゃん!」
ビリーが少女に銃を向ける。術者に当てるか、最悪魔導書だけでも破壊すれば魔法を止められるかもしれないと思っての行動だった。
だが、少女はカゲツを盾にした。
「当ててみれば? お兄ちゃんが死ぬけどね」
「卑怯だー!」
「勝負に卑怯もラッキョウも無いんだよ! じゃあねー」
デバイスを奪い、カゲツとアマルを負傷させた。やることは済ませた。
少女はさっさと逃げようとする。
「なんとか……近づけたな」
「え?」
木に叩きつけられて苦しむカゲツ。だが、顔は笑っている。
「
カゲツのマントから、1匹のバイアクヘーが飛び出した。
「なんだこいつ!?」
「ハスターから1匹借りてたんだ。いざという時のために、ってな!」
バイアクヘーは風魔法を展開。枝を折り飛ばす程の突風と風の刃で、少女に襲い掛かる。
召喚者のハスターがいなくても、その実力は折り紙付きだ。
「ビリー! バイアクヘーに加勢しろ!」
「うん!」
バイアクヘーが起こす竜巻と、ビリーが撃ち出す弾丸の雨が少女に襲いかかる。
咄嗟に大木で防御しようにも、バイアクヘーの放つ風の刃はそれをいとも簡単に真っ二つにする。
バイアクヘーの加勢によって、戦況はひっくり返った。
やがて、ビリーの銃弾が少女の魔導書を蜂の巣にした。
「ヒィィィ!」
たまらず、少女は逃げ出した。
が、眼前に巨大な豪腕が振り下ろされる。
「逃すわけないよなぁ!?」
鬼の形相のアマルが、少女を睨みつける。
腰が抜けたのか、少女はその場にぺたりと座り込んでしまった。
「卑怯もラッキョウもあるものか!」
初代ウルトラマンに登場する悪質宇宙人ことメフィラス星人の名言。
何か頭に残るインパクトがある気がします。
エレミア親衛隊っていそうだよね。新ストーリーはまだ全部見れてないんですけど、登場したりしました?