俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。   作:いでんし

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覚えている人もそうでない人も初めまして
他ゲーにハマりすぎて神プロのモチベがダダ下がりですたすけてくだささ




騎士との攻防

 エレミアが率いるゼスト教第一師団の騎士は、現在とある問題の解決に急いでいた。

 

 継承者一行を捕らえ、デバイスを入手することだ。

 

 エレミアは一部の人間にのみデバイスの詳細を伝えており、下っ端の騎士はそれを知らない者も多い。せいぜい魔物を思うがままに操れる古代の遺産、という認識しか持っていないだろう。

 ひと月前、エレミアの師団に移籍された騎士のベルクも、その一人だった。

 彼は現在、新任の騎士ととある農村の警備をしていた。

 

「魔物ハンターが何故か遺跡から出てきて、エレミア様と戦闘になった…どういうことだよ」

「知らないっすよ。そもそもデバイスって何なんすか」

「何も分からん。多分上官は知ってるだろうけどな」

 

 警備とは銘打っているが、この農村はここ数年で事件はほとんど起きていない平和な村である。

 彼等は元々カゲツ一行が侵入した遺跡を守護していたが、易々と突破されたため、左遷されてしまったのだ。

 仕事も怪しい通行人の装備を調べる程度で、基本は暇である。

 

「俺は遺跡を守護するために教会騎士になったんすよ?こんな辺境の田舎町なんか守って何になると…」

「そういうのはやめとけ」

 

 新兵は暇だ暇だと嘆いている。生意気な後輩に、ベルクは頭を抱えていた。

 

「おっ、人が来ましたね」

「来たな。…妙に女が多いな。子供もいるぞ」

 

 男一人に女五人のパーティだ。しかも女は皆整った顔立ちときた。所謂ハーレムというやつだろうか。羨ましいとかは思っていない。

 ベルクは彼等に声をかけた。

 

「遺跡荒らしが逃げたって話でな。荷物を見せて欲しいんだが、いいか?」

「分かりました」

 

 最初に長い銀髪の女が前に出た。杖以外の装備はない。

 次に銀髪ショートの紫女。手足がごつい癖に胸元は出してる。持ち物はない。

 続いて銀髪ハンチング帽…銀髪多くね?男の趣味なの?こちらも持ち物なし。

 次にオレンジ髪の女。若干光ってる気がする。装備は杖のみ。

 次に踊り子みたいな格好の幼女。裸足じゃないか、これで歩かせてるのか?いや男がおぶってんのか。持ち物なし。

 最後に男。他と違って剣やら爆発物やら、やけに重装備。だが怪しい物は無かった。

 

「…変な物は無いな。通ってよし」

「どうも」

 

 変な奴らだったと思ったベルク。

 その()()が、自分が探している継承者の一行だとは知る由もなかった。

 

 騎士たちから離れた後、カゲツの手に何かが落ちてきた。

 彼らの探し求めている、デバイスそのものだった。

 

「助かった、ハスター」

「いいのよ」

 

 

 ×××

 

 

「あの村で泊まってくんだよね?」

「そうだ。何か異常は?」

「教会騎士が入り口を警備してるねー」

「うーん、やっぱりいるか、警備」

 

 数十分前。

 山を越えたカゲツ一行は、休憩がてら目的地の農村を眺めていた。

 ガンマンだからか、何故かやたら目が良いビリーは、双眼鏡も無しで辺りを調べている。

 

「村を出入りする人に取り調べしてるみたいだねー」

「取り調べですか。デバイスがバレたら大変ですよ?」

「あんな奴ら、あたしの電撃で一発よ」

「……ダメ。大ごとにはしたくない。人の目もある」

「えー、じゃあどうするの?多分反対側の入り口にもあいつらいるんでしょ?」

 

 どうやって何事も無く通り抜けるかで悩む一行。

 更に、ビリーが不安な事を口にした。

 

「…あの人、会ったことあるかも」

「え?」

「お兄ちゃんと合流する時、騎士と戦ったんだけど…あの人、ビリーが鎧()った人だ」

「何をどうしたら戦闘中に鎧を奪う発想になるの⁉︎」

 

 ちなみにその鎧を奪われた騎士、ベルクだったりする。

 とりあえず、これで問題点が二つ浮上した。

 一つは取り調べによるデバイスの露見。もう一つは、面識のあるビリーの顔バレ。

 この問題点をどうやって解決するかが重要になる。

 あと少しで日も暮れる。せっかく宿のある村の直前まで来たというのに、ここへ来て野宿は避けたい。

 そもそも、そんなことはスケジュールの鬼・イタクァが許さない。

 

「デバイスがあればダメ、ビリーがいてもダメ、気絶させるのもダメ…お兄ちゃん、どうしよう?」

「どうするかなぁ…」

「そうだ!あたしの電撃で周りの人みんな気絶させれば…」

「ダメに決まってるでしょ!」

 

 いい案が出ず悩む一行。

 そこに、ソルが一つ意見を出した。

 

「デバイスをハスターの風で空高く飛ばして、乗り切るのはどうかな?」

「空高く…なるほど、騎士の目が届かない高度まで飛ばせれば…」

「時間もありません。デバイスはそれで隠しましょう。ですがビリーはどうします?」

「ビリーは英霊なんだよね?だったら、デバイスの中にいれば良いと思うよ」

「あっ…」

 

 すっかり忘れていたが、英霊は元々デバイスから召喚する存在。コガネも言っていたことだが、そもそも戦闘時以外はデバイスに戻しておくのが普通なのだ。

 

「あまりビリーをデバイスの中に入れておくってのもなぁ…なんか、閉じ込めてるみたいで」

「大丈夫だよー?デバイスの中に閉じ込めるんじゃなくて、別の異世界にいるビリーを呼び出すって感じだから」

「そうなのか?…悪いな、一旦戻ってくれ、ビリー」

 

 カゲツの指示を受け、デバイスが起動する。

 同時にビリーの身体が光の粒子に変わっていく。

 

「ちょっとお別れだねー。後でね、お兄ちゃん!」

 

 光の粒子と化したビリーは、デバイスに吸い込まれていった。

 パーティが突然一人減り、空気が少し変わる。

 

「……行こう、マスター」

 

 エリゴスが出発を促す。

 休憩もたっぷりとった。出発するなら今だろう。

 

「おう。…とりあえず、胸を頭に載せるのはやめてくれないか」

「……むぅ」

 

 エリゴスのスキンシップは変わらない。そこに、少し安心感を覚えるカゲツだった。

 

 

 ×××

 

 

「いやー、なんとかうまくいって良かったわね」

「そうだな、ビリーもハスターもありがとう。案を出してくれたソルもな」

「えへへー」

 

 宿に併設された酒場で夕食を取る一行。

 カゲツに褒められ、ソルはニコニコ笑っている。

 

「じゃあマスター君、ご褒美にお酒を…」

「ダメです」

「じゃあマスター君を…」

「ダメ」

「なんでよー!イタクァもエリゴスも酷いじゃない!」

 

 酒好きのハスターにとって、目の前にある酒が飲めないのは大変辛かろう。だが、彼女に酒を与えるとろくなことにならないのだ。我慢してもらうしかない。

 ちなみに、その横ではさらっとビリーとアマルが酒をガッツリ飲んでいたりする。

 見た目は明らかに酒を飲める年齢では無い彼女らだが、英霊と幻獣にはそんな理屈は通用しないらしい。

 

「あんたら、もうちょっと控えなさいよ!飲んでいい見た目じゃないでしょ⁉︎」

「あたしは酒を飲むのも何百年ぶりなの!こんなにうまい酒は昔には無かったから、ちょっと飲むくらいいいじゃん!」

「禁酒してる方からしたら生殺しなのよ!も〜…」

 

 ワイワイと騒ぐ一行。

 楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

 気づけば、閉店の時間も迫っていた。

 

「さて、そろそろ宿に戻るぞ」

「そうですね。明日のスケジュールの確認もあります」

 

 宿で明日の予定を確認し、皆は各自に当てられた部屋に戻っていく。

 だが、カゲツはただ一人、剣を持って外へ出て行った。

 魔物狩りを始めてから一日たりとも欠かしたことのない、自主鍛錬の時間だ。

 

「早めに戻ってきてくださいね?エリゴスがうるさくなります」

「分かってるって」

「……うるさくない」

 

 

 ×××

 

 

「ふっ!…はっ!」

 

 宿周辺の空き地で、黙々と剣を振るカゲツ。

 夜風に紛れて、刀身が風を斬る音が響く。

 仲間が増え、人と話す事も増えたカゲツだが、この間だけは再び、孤独の時を過ごす。その様子を見ている者があるならば、それは空に浮かぶ月くらいのものだ。

 

 だが、その日は違った。

 

「誰だ?隠れてないで出てこい。視線でバレてるぞ」

 

 戦いの機会が減ったとはいえ、野生の魔物と戦って得た、カゲツの気配の察知力は衰えていない。

 視線を向けた影が、その姿を現した。

 

「貴方、凄いですね。ちょっと覗いていただけのつもりでしたが」

 

 柔らかい少女の声が響く。

 銀髪のショートヘアに青いシルクハットを被り、青い外套を羽織った碧眼の少女。ミニスカートにゴツめのブーツと、動き易そうな格好だ。旅装だろうか。

 

「こんな夜更けに鍛錬する人がいるのは珍しいですからね、ついつい見てしまいました。私はアナヒットといいます。考古学者として各地を彷徨っておりますよ」

「俺はカゲツ。魔物ハンターだ」

「魔物ハンターですか。道理で立派な筋肉をしてるわけです」

 

 アナヒットは汗で濡れているにも関わらず、カゲツの二の腕をペチペチと叩く。

 カゲツが払いのけると、アナヒットは「これは失礼」と離れた。

 

「魔物ハンターがどうしてここまで?この辺りにはハンターの手を借りるような危険な魔物は生息していないはずですが…」

「事象があって、今は旅をしてるんだ。遺跡巡りの旅を」

「遺跡巡りですか。なら、もしかするとまたお会いする事もあるかもしれないですね。こんな時間ですし、私はもう宿に戻るとするです」

 

 アナヒットは去ろうとしたが、何を思ったか再び戻ってきて、

 

「はい、どうぞ。お近づきの印と言うことで」

 

 カゲツに飴玉を一つ手渡した。

 

「えっと…ありがとう」

「いえいえ。それでは」

 

 アナヒットは今度こそ去っていった。

 飴玉の色は緑。緑色の葡萄があるという話は聞くが、それの味だろうか。

 カゲツは何故かそれを食べる気にはなれず、ポケットに入れた。

 

「…俺も帰るか」

 

 カゲツは荷物をまとめると、宿に向かって歩き出した。




カゲツパーティ、銀髪多すぎる問題

アナヒットたそも銀髪なんだよな…

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