俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。   作:いでんし

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VS.エレミア(2)

「……ナイトメアスピア」

「ポイゾナスガスト!」

「アールヴレズル!」

 

 エレミアが遺跡から飛び出したタイミングと、エリゴス・イタクァ・ソルの三人が魔法を放ったのは、ほぼ同時だった。

 闇が、光が、毒が、エレミアを飲み込み、爆発を引き起こした。

 

「ハスター様、無事ですか⁉︎」

 

 イタクァが心配した様子で駆け寄った。

 

「見ての通りよ。…そっちも大丈夫みたいね」

「はい。全員ケガもなく…」

「あれ?マスター君の姿が見えないけど…」

 

「呑気に喋ってる暇があるのですか?」

 

 土煙の中から声がした。

 直後、光の刃が、ハスターとイタクァを貫かんと伸びた。

 回避は、間に合わない。

 反射的に、ハスターは目を瞑った。

 

 

「……?」

 

 何も起きない。

 恐る恐る目を開くと、

 

「無事で何よりだ、ハスター」

「イタクァお姉ちゃんも大丈夫ー?」

 

 両刃剣を構えたカゲツと、二丁拳銃を携えたビリーが、そこにいた。

 

「…そっちもね。助かったわ、マスター君」

「気を抜いてるところ悪いが、まだ安心は出来ないぞ」

 

「光を斬りますか。お見事です」

 

 土煙が晴れ、中からエレミアが現れた。

 衣服は砂で多少汚れているものの、三人がかりの攻撃で傷一つついた様子もない。

 

「……完全に不意打ちだったはず。おかしい」

「何もおかしくはない。アイツは…エレミアはそういう奴だ」

 

 エレミアは剣を構え、カゲツに向かって一直線に突撃した。

 突撃するエレミアに、ビリーは二丁拳銃をぶっ放す。

 エレミアは避けようとはしなかった。

 ただ平然とした表情で、ビリーの銃弾をその身で受け止める。

 

「えっ?」

 

 状況が理解できず、ビリーの反応が遅れる。

 真っ正面から銃弾を受けてなおノーダメージのエレミアは、突撃した勢いのまま、ビリーに剣を振り下ろした。

 瞬時にカゲツはビリーを突き飛ばし、同時に剣でエレミアの攻撃を受ける。

 キィン、と金属音が響き渡った。

 

「お前、とことん化け物だな…!」

「お互い様では?私の剣は並大抵の反応速度では見切れません」

 

 エレミアは余裕の表情を浮かべ、カゲツの剣を弾いた。

 そして、鋭い突きを幾度も繰り出す。

 カゲツはかろうじて全てを受けきるが、早くも肩で息をしていた。

 このままではまずい。

 

「マスターから離れて!」

 

 エリゴスが二人の間に割って入り、エレミアの相手を引き受けた。

 槍と長剣がぶつかり合うが、若干エレミアが押してように見える。

 エリゴスの未来予知の力で、ギリギリ互角のレベルに抑えている状況だ。

 

「マスター君、私とエリゴスで足止めするわ。逃げて!」

 

 エリゴスですら、エレミアに遅れをとった。

 今ここに、エレミアの相手をまともにできるのはハスターしかいない。

 カゲツは言われるがまま、逃げるしか無かった。

 

 だが、悪い状況は変わらない。

 草木を掻き分けて、次々と人影が登場。

 遺跡を囲う森から、多数の教会騎士が現れたのだ。

 

「ここで増援かよ…!」

 

 今まで見てきた教会騎士とは違うのは、今までの一般兵とは比べ物にならない魔力と、全く異なる武器。

 やはりエレミアには及ばないが、戦闘力は相当高いはずだ。

 

「神姫を捕らえろ!殺しても構わん!」

 

 指揮官と思われし男が指示を出した瞬間、多数の教会騎士がカゲツに向かって来る。

 

「ビリー!イタクァ!ソル!迎え撃て!」

「了解!」

 

 カゲツを守るように三人が立ち塞がり、騎士と戦う。

 だが、教会騎士の数は10人を超える。

 その一人一人が神姫にも劣らない実力の精鋭揃いだ。

 いとも簡単に二人の騎士がイタクァとソルの間を抜け、カゲツに飛びかかった。

 一人は斧、もう一人は電気を纏った鞭を武器にしている。

 

「大人しくしろ!」

「されるかよ!」

 

 カゲツは斧を剣で受け止め、鞭を身体を逸らして避けた。

 鞭は斧に命中。

 感電する直前に剣を離し、結果騎士だけが感電する羽目になる。

 

「あばばばばば!」

「しまった!…貴様ぁ!」

 

 怒った騎士が鞭を伸ばそうとするが、銃声と共に倒れる。

 ビリーの銃撃が脳天にヒットした為だ。

 

「お兄ちゃん、大丈夫⁉︎」

「まだこれくらいなら大丈夫だ!」

 

 残る騎士は八人。

 しかし、カゲツの下に残った三人はあくまでも回復等の補助が専門で、直接の戦闘には向いていない。

 だが、状況を変えるには、やるしかない。

 

「…行くぞ」

 

 

 ×××

 

 

 一方で、エレミア対エリゴス・ハスターの戦いは激化していた。

 

「エターナルエアレイド!」

「サモンフォーカイム!」

 

 風の刃と竜巻が衝突。

 そして、ハスターの竜巻が押し勝った。

 エレミアは竜巻を避けようとはせず、長剣で斬り裂いた。

 

「風魔法では私が一枚上みたいね?」

 

 エレミアは何も答えない。

 そして、頭上を斬るように剣を振るう。

 剣は、エリゴスの不意打ちを受け止めていた。

 

「ハァァァッ!」

 

 エリゴスが無数の刺突を繰り出す。

 エレミアは攻撃一つ一つを的確に剣で受けており、ダメージを全く与えられない。

 エレミアが反撃で攻撃を一発入れると、それだけでエリゴスは吹っ飛んだ。

 

「ガードしたのにこの威力……」

「ボーッとしないで、エリゴス!来るわよ!」

 

「ナイツオブクリムゾン!」

 

 エレミアの放つ火球は、着弾と共に爆発を起こす。

 火の手が次々と回り、火属性に弱いハスターの逃げ場を着実に奪っていく。

 

「……ナイトメアスピア!」

 

 エリゴスの闇魔法が、ハスターを守るように横からぶつかる。

 火球は霧散し、ハスターが空へ逃げる隙間を作った。

 ハスターは風に乗り、火の海から脱出した。

 だが、既にハスターは疲弊の色を見せていた。

 

「魔力…使いすぎたかも…」

「……!」

 

 ハスターは単独でエレミアから逃げてきた。

 その過程で、魔力をかなり使ってしまったらしい。

 

「さて…貴女たちの目的は継承者の時間稼ぎでしたが…目論見は失敗のようですね」

「⁉︎」

 

 エレミアの視線の先には、教会騎士と戦っているカゲツの姿がある。

 交戦中にここまで押し戻されたらしい。

 

「さて…デバイスを頂きましょうか」

 

 瞬間、エレミアはカゲツの元へ駆けた。

 火の海を躊躇なく進み、エリゴスとハスターとの距離をずんずんと離していく。

 

「逃がさない……!」

 

 自分だけでもとエレミアを追おうとするエリゴス。

 だが、エレミアは自身のデバイスを操作し、魔物を数十体呼び出した。

 魔物は地に降りた瞬間にエリゴスを敵と認識し、咆哮を上げて襲いかかってきた。

 

「貴女の相手は彼らです。行け!」

「……!」

 

 エリゴスを足止めしたエレミアは、今度こそカゲツに突撃する。

 

「エレミア⁉︎まずい、遺跡まで戻ってきてしまったのか!」

 

 激戦のあまり、周りの状況を把握していなかったカゲツ。

 交戦していた騎士を蹴飛ばし、エレミアの剣を受け止めた。

 

 ギィン!

 

「ぐっ…」

 

 一撃が重い。

 手の痺れが、エレミアの剣技の威力を物語っている。

 

「この程度で終わりではありませんよね?」

 

 エレミアの連撃は更に激しさを増していく。

 このままではエレミアに敗北し、デバイスを奪われてしまう。

 カゲツが反撃するには、神姫の力を頼るしかない。

 ビリーの銃弾はエレミアには効かず、イタクァの毒霧は多人数を同時に相手取るには必須。

 エリゴスとハスターは距離を考えると助けを呼べるとは思えない。

 となると、あと一人。

 

「ソル!手を貸してくれ!」

「わかったよ、リーダー!」

 

 瞬間、ソルの光球がエレミアを囲んだ。

 光球がエレミアの背中を攻撃すると、ダメージを受けたエレミアの力が緩んだ。

 

「ぐっ…」

「おおおおっ!」

 

 カゲツが力を振り絞り、剣を押し返した。

 そしてすぐさま距離を取る。

 

「はぁっ…はぁっ…」

「リーダー、大丈夫⁉︎」

「あぁ、助かったぞ、ソル」

 

「くっ…やりますね」

 

 ふらつきながらもエレミアが立ち上がる。

 ソルの攻撃は間違いなくダメージになっているようだ。

 なら、こちらにも勝ちの目はある。

 

「ソル、ここから反撃する。俺が接近するから、サポートを頼む」

「うん!」

 

 カゲツはエレミアに向かって走り出した。

 

「何やら企んでいるようですね…ナイツオブクリムゾン!」

 

 エレミアが放つ火球が、カゲツを焼き尽くさんと迫ってくる。

 

「ぴかぴか、ぴかーん!」

 

 負けじとソルも光球で攻撃。

 ソルの光球とエレミアの火球がぶつかり合う。

 炎と光が織り成す爆発は、三人の視界を燃え盛る赤に染めた。

 爆発の間を潜り抜けて、カゲツはエレミアに迫る。

 袈裟斬りを繰り出すと、エレミアは剣で受け、攻撃が一瞬止まる。

 その隙にマントから何かを取り出すカゲツ。

 

「ソル、目を瞑れ!」

 

 そう叫ぶと、取り出した物体をエレミアの足元に向かって投げつけた。

 地面に叩きつけられた物体から発するのは、閃光。

 カゲツが魔物狩りに使うアイテムの一つだ。

 

「があっ…目が…」

「今だ、やれ!ソル!」

 

「闇を浄化する、閃光の太陽…ホワイト・プロミネンス!」

 

 ソルの杖から生み出された小さな光球が、エレミアに向かって降り注ぐ。

 最後にトドメと言わんばかりに、特大の光球が一発撃ち込まれる。

 衝撃と爆発が周囲に響き渡った。

 

「エ…エレミア様!」

 

 教会騎士が焦りの表情を見せる。

 爆発による土煙で、エレミアの様子はわからない。

 

「あっぶねぇ…少し避けるのが遅かったら死んでた」

「リーダー、大丈夫?」

「あぁ、なんとかな」

 

 ギリギリでソルの技を回避したカゲツが、土煙から現れた。

 ソルはカゲツを急かす。

 

「早くビリーとイタクァの戦いに加勢しよう?」

「そうだな」

 

「まだ勝った気でいるのですか」

 

 背後からの声。

 土煙から人影が飛び出してきたのは見えた。

 その瞬間、灼熱が走った。

 

 腹がとてつもなく熱い。

 それに、熱いだけではない。

 痛い。

 痛い痛い熱い熱い熱い痛い痛いいたいあついあついいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい。

 あまりの激痛に頭が回らなくなり、身体に力が入らなくなる。

 口の中に何か広がっていく。

 

 血の、味だ。

 

 

「……マスター……?」

 

 魔物を皆殺しにし、返り血を全身に浴びたエリゴスが、カゲツを呼ぶ。

 

 返事は、ない。

 

 

「閃光弾には一杯食わされました。お見事です。ですがここまですね」

 

 カゲツの腹を、エレミアの長剣が貫いていた。

 

「いやぁぁぁぁ!リーダー!!」

 

 ソルが目に涙を浮かべ、絶叫する。

 カゲツは吐血し、その場に倒れ込んだ。

 

「……殺す……!」

 

 エリゴスが明確な殺意を向けて、エレミアの元へ向かおうとする。

 だが、

 

「エリゴス!後ろ!」

「⁉︎」

 

 鉄球が飛んできた。

 モーニングスターを振るう騎士が、エリゴスの背後から飛び出して来たのだ。

 

 気付いた時にはもう遅い。

 ハスターの助言も虚しく、エリゴスは鉄球を横腹に食らい、森へ吹っ飛ばされる。

 エリゴスが激突した木はメキメキと音を立てて倒れた。

 

 まずい。

 カゲツが重傷を負い、エリゴスもあれでは復帰が難しい。

 デバイスを奪われ、魔力を強引に抑えられれば、こちらの負けが確定する。

 それ以前にカゲツが失血で死にかねない。

 早くカゲツを助けられるか?

 エレミアがいるのに?

 どうやって助け出す?

 

 ハスターの思考がぐるぐると回る。

 

「早くトドメを刺してしまいましょう」

 

 だが、エレミアは今すぐにでもカゲツの命を断てる状況にあった。

 無慈悲に剣が振り下ろされる。

 

「…させません!」

 

 すんでのところで何者かが割り込み、防御魔法でカゲツを庇った。

 

 イタクァだった。

 

「イタクァお姉ちゃん⁉︎」

「イタクァ⁉︎貴女では無理よ、戻って!」

「私が相手です。マスターを殺す前に、私と…!」

 

 ビリーとハスターの制止の声は、イタクァに届かない。

 イタクァは必死にカゲツを守ろうとしている。

 だが、イタクァの足は恐怖で震えていた。

 はっきりと、実力差があるのをわかっていて、それでいて彼女はあの場所に立っているのだ。

 エレミアは、表情を変えず、火球を剣先に生み出した。

 

「言いたいことはそれだけですか?」

「…ッ!」

「なら、死んでください」

 

 剣が振り下ろされる。

 

「イタクァ!」

 

 ハスターが叫ぶが、もう遅い———

 

 

 

 

 

「やぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ピシャァァン!!

 

 突如、遺跡から高い声が、次いで雷撃の音が響く。

 エレミアは驚き、イタクァへの攻撃を中断して遺跡の方を向いた。

 遺跡の壁がガラガラと崩れ、中から何かが現れる。

 

「私の宝を…返せぇぇぇぇ!!」

 

 現れたのは巨大な幻獣体。そして、ブランコに乗った幼い少女だった。




長く苦しい戦いだった(執筆が)

エレミアの技を調べるためにジャンヌ一人でエレミアと戦うクエストに何度も挑んだのは私だけでいい

リリスも同じようなことしたけど結局技使ってないな…

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