俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。 作:いでんし
作者「言うて前に半年間隔空いたこともあったけどなぁ…」
イタクァ「そういうのいいので、早く説明してください」
作「神姫のR小説書いたり#コンパスにハマってR小説書いたりしてました」
ハ「R小説ばかりじゃない…」
イ「で、本当の理由は?」
作「ポケモンの非公式大会参加して色々厳選してました」
ハ「浮気者かしら?」
作「やめろ」
第二章、始まります。
エレミア
「単刀直入に言います。デバイスをこちらによこしなさい」
カゲツ達を取り囲む、大勢の教会騎士。
彼らを代表して言ったのは、ボアコートを肩に羽織った美女だった。
他の教会騎士にも見られる赤と銀を基調とした服装だが、彼らとは違い、自身の豊満なボディを見せつけるような服装をしていた。
「嘘だろ…待ち構えてたのかよ…」
「継承者がこのポータルから消えたという報告がありましてね。防衛機構も破壊されていましたし、予め待機しておいたのです」
その破壊された防衛機構は、今現在頭部を修復され、教会騎士の後ろに立っている。
命令があれば、すぐにレーザーをカゲツ達に照射できるだろう。
「あなたたちには三つの罪があります。許可を得ずに勝手に遺跡に侵入したこと、遺跡の壁や防衛機構に損害を与えたこと、そして我ら教会騎士に攻撃したことです」
メガフロンティアにおいて、教会騎士は強大な地位を得ている。
魔法科学文明の遺産の中で最も重要な、各地に点在する遺跡。
それらをあらゆる敵から守るため、相応の実力を持つ騎士が大勢いる。
そういった者たちが街を警備すれば、犯罪の抑止力にもなる。
結果、遺跡の守護だけではなく、メガフロンティアでの憲兵の役目も果たしているのだ。
一般市民が逆らったら投獄はほぼ確定である。
そして、カゲツ達は投獄されてもおかしくない罪を三つも抱えている、というのがあちらの見解のようだ。
「だからって、『人間兵器』エレミアまで呼ぶか、普通…⁉︎」
「おや、私を知っているのですね。その通り、私はゼスト教第一騎士団騎士長、エレミアです」
額に汗を垂らすカゲツ。
だが、神姫達は「人間兵器」なる単語にピンとこない。
「『人間兵器』…?」
「教会騎士の中でも指折りの実力を持ってることから付けられた二つ名だ。人間としての実力はメガフロンティアでもトップクラスだろう」
カゲツが説明すると、ビリーやソルは身構える。
警戒する様子を見て、エレミアは笑みを浮かべた。
「あまり抵抗はしない方が身のためですよ。これほどの人数差が…」
「邪魔」
エリゴスが放った闇の光線がエレミアの横を突き抜け、彼女の背後のゴーレムの頭部を貫いた。
「⁉︎」
ゴーレムが仰向けに倒れ、教会騎士に衝撃が走った。
「おいエリゴス!やるなら先に言え!」
「言ったら相手に避けられると思ったから……」
「はぁ…まぁいいか。ゴーレムは潰した」
「どうするの、マスター君?」
「ここまで来たら逃げるしかないだろ」
「逃げられると思っているのですか!」
エレミアが教会騎士をけしかける。
だが、神姫の力の前には意味がなかった。
「サモンフォーカイム!」
ハスターの強烈な風魔法が教会騎士を一斉に吹き飛ばす。
竜巻は反対側の通路まで伸び、綺麗な一本道を作り出した。
「今よ!」
ハスターの合図に合わせて、一行は走り出す。
迫る教会騎士をビリーの銃撃とイタクァの毒霧で遠ざけ、通路に入ることに成功した。
教会騎士は追おうとするが、狭い通路を大人数で通ることはできない。
我先にと行こうとした結果、ほとんどが進めずにいた。
「エリゴス、羽をしまえ。この狭い通路だと邪魔になりやすい」
「でも……」
「大丈夫だ。それでも騎士は相手できるだろ。それに…今は仲間がいる」
困惑するエリゴスの前に、ビリーとイタクァが出る。
「私達に任せてください」
「お兄ちゃん達は、ビリーが守るのー!」
「背中は私に任せて!マスター君には、指一本触れさせないから!」
「頼む!ソルは状況に合わせてサポートしろ!」
「了解だよ!」
ハスターとソルも、後続の相手をするために構えた。
「エリゴス、お前が心配しなくても、俺達はいける。安心して守られろ」
「……わかった」
エリゴスは機械の羽を解除する。
同時にエリゴスの魔力が大きく下がってしまう。
が、前からの敵をカゲツ、ビリー、イタクァで、エレミア率いる後続はソルとハスターで相手することで、なんとか逃げようという魂胆だ。
それには、前からの敵も脅威だが、何よりも追ってくるエレミア達を、最悪ハスター一人で抑え込む必要がある。
「相手はここにいる教会騎士全員がかかっても敵わない強敵だ。ハスター、いけるか?」
「…上等じゃない。やってやるわ」
「頼もしいな」
カゲツがそう言った瞬間だった。
光の光線が、カゲツの頬をかすめた。
「っ⁉︎」
鈍い痛みに頬を抑えるカゲツ。
手に残る血の感触からして、出血しているのは想像に難くない。
「もう追いついてきたの⁉︎」
教会騎士でごった返していたはずの背後から、エレミアが一人で歩いてくる。
まさか単独で追ってくるとは、完全に予想外だ。
自身の部下が足止めにもならないことをよくわかっている。
そして、アクシデントはまだ終わらない。
バチッと電気の流れる音がする。
どこからだ?
エリゴスがふと上を見ると、電流が尾を引いていた。
「マスター君!」
電流の正体を察したハスターが、自分以外の全員を風で吹き飛ばす。
瞬間、カゲツ達のいた場所に、天井から伸びた鉄格子が突き刺さった。
「ハスター⁉︎」
「ハスター様!」
ハスターと他の五人が分断された。
鉄格子の間隔は狭く、とても通れない。
「どうなっているんです…⁉︎」
突然作動した遺跡の罠。
カゲツ達も驚いたが、一番驚いていたのは、他でもないエレミアだった。
「奴らが仕掛けたんじゃないの…?」
どうやら意図的に起こした罠ではないらしい。が、状況は深刻だ。
ハスターが単独行動を強いられ、エレミアに追われる。
デバイスで遺跡の内部を把握しているので、デバイスを持たないハスターが迷って出られなくなる可能性すら出てきた。
「この鉄格子を壊せれば…」
ソルが光魔法を発射する。
瞬間、強烈なスパークが発生し、魔法をかき消した。
もちろん鉄格子には傷一つつかない。
「壊すのは無理そうですね。剣を使うと感電する恐れもあります」
「…ハスター、大丈夫か?」
「心配しないで。逃げるのは余裕よ。風魔法を駆使すれば脱出だって…」
「……リリスとのことを考えると……」
「やめて⁉︎」
エリゴスの一言にツッコミを入れるハスター。
そして、鉄格子で分断された二組は、別々の道を行く。
「逃がしません!」
ハスターに光線を放つエレミア。
ハスターはそれを的確に回避し、横道へ逃げた。
「くっ…」
「エレミア様!」
背後からエレミアを呼ぶ声が聞こえる。
教会騎士が一人、こちらへ駆け寄ってきた。
「地上の兵士に命令を出しました。継承者一行を捕らえるため、全速力で向かっています」
「御苦労です」
「しかし…一つ問題が」
「…何かあったのですか?」
「遺跡内部で銛や鉄格子といった罠が大量発生しています!継承者が起こしたものではない様ですが…既に多数の損害が出ています!」
報告を受けるエレミアの表情が硬くなる。
「…そこの道に一人逃げ込みました。追いなさい」
「はっ!」
いつのまにか集まった兵士達が、エレミアの指示を受けて次々とハスターを追いかける。
エレミアはそれを見て、小さく呟いた。
「…また私達の邪魔をしますか、継承者」
エレミアが舌打ちしていたことは、誰も気づかなかった。
×××
正面から銛が飛んでくる。
かなりのスピードだが、ハスターにとって避けることは容易い。
避けた銛が追いかけてきた騎士の一人の胸を穿つと、銛は高圧の電流を発し、騎士の身体を容赦なく焼き焦がした。
人間が炭化するレベルの電圧。ハスターといえど、当たれば助からないだろう。
「幸いなのは、私が逃げるだけでも大丈夫ってことかしら」
教会騎士側でも想定になかった罠の大量発生。
それらは、ハスターだけではなく、騎士達にも容赦なく牙を剥いた。
彼らが罠に足止めを食らっている間に、ハスターは余裕を持って逃げることができていた。
恐らく、ハスターを安定して追えるのはエレミア程度しかいない。
そのエレミアをどれだけ引き離せるかが、この逃走劇の鍵となる。
「なるべく近道を使った方が良さそうね…魔力展開!」
ハスターは自身の魔力を風に変換し、展開する。
その風によって、ハスターは遺跡の内部構造を把握し、最短ルートで移動することができていた。
故に、この広大な遺跡といえど、脱出は容易い。
懸念すべきは、やはりエレミアと、無尽蔵に襲いかかってくる罠の数々だ。
エレミアはともかく、罠はどうしようもない。
自分に襲いかかってくる分はどうでもいい。
現在エリゴスは実質戦闘不能、カゲツも逃げる時には足手まといになっている。
イタクァやビリー、ソルがついているとはいえ、やはり心配だ。
(…何不安になってるのよ、私)
だが、ハスターは考えを改める。
自分の信頼している仲間達だ。
この程度の罠などどうということはないはずだ。
(だから…無事でいてね、マスター君)
ハスターが心の中で呟いた瞬間だった。
背後から光の刃が飛んできた。
目でも追えない速度の攻撃を、ハスターはほぼ反射的に避けていた。
「逃がしませんよ。貴女は継承者を捕える餌になる」
「人間兵器」が、すぐそこまで迫っていた。
どうでもいいけど風パってデバフフレフレース込みで計算した方がいいと思うの