俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。   作:いでんし

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神姫project2周年!おめでとう!

生放送良かったなぁ…
不動様はSuica派なんだなぁ…()


ゴエティアハンド

 エリゴスの槍から放たれた光線が、リリスを貫いた。

 先程まで、それらはあっさり無効化されていた攻撃。

 リリスの身に届くはずもなかった攻撃。

 

 カゲツの目論見が成功している証だ。

 

「…どういうことよ…どうして私の()()()()が無いのよ!」

 

 攻撃を食らったリリスは、イライラをブチ撒けるように叫ぶ。

 突如出てきたデバイスという単語に、イタクァは驚いた。

 

「私やエリゴスの魔法が無力化されたのは、リリスのデバイスが原因…まさか、リリスも継承者⁉︎」

「いや、違うな」

 

 カゲツはポケットから自分のデバイスを取り出し、画面をイタクァに見せる。

 画面には、『近くに量産型デバイスの反応あり』と表示されていた。

 

「量産型デバイス…⁉︎」

「本来のデバイスより能力は劣るが、それでも神姫の魔力を無効化することはできるらしいな。もっとも、本物のデバイスの影響下にあるエリゴスやイタクァには効かなかったらしいが」

「…確かにそうね。でも、それは私のデバイスが無くなった理由にはならないはずよ!どこにやったのよ!」

 

 カゲツのデバイスがリリスのデバイスの力を抑えられても、それだけではリリスからデバイスを奪うことはできない。

 ましてや、この戦いで、カゲツは自らリリスに接近していない。

 二人は実力が離れすぎていて、とてもデバイスを奪うなんてことはできないだろう。

 

「よく考えてみろ。俺の仲間は何人いる?」

 

 あの男の仲間?

 何度かテスタメントと接触しているカゲツの情報は、こちらに入っている。

 部下がさらってきたソル。

 私が脚を負傷させたハスター。

 今現在、戦っているエリゴスとイタクァ。

 あと一人…

 

 

 ……あと一人…⁉︎

 

 リリスが察した瞬間、彼女の背後で何かが発光する。

 

 そこには、魔光銃ソルイグナイトを構えたビリーがいた。

 

「デスバレット!」

 

 放たれた光球は、リリスの背中を的確に捉えた。

 声を上げる間も無く、リリスは光球に呑まれた。

 

「閃光弾で怯んだ隙に、ビリーのスナッチでデバイスを奪う。それが作戦だった」

 

 もちろん、この程度でリリスを倒せるとは思っていない。

 現にリリスは、ボロボロになりながらも立ち上がっていた。

 しかし、目にはまだ強い殺意が宿っている。

 どうやら彼女は、カゲツを殺すことをまだ諦めていないらしい。

 

「…やってくれるじゃない。油断してたわ」

 

 まだ余裕がある。

 リリスの底は、到底見えそうにない。

 

「前に別の継承者に絡まれてから、私も特訓したのよ。あいつは本当にムカつく奴だったわ」

 

 どうやらリリスは、別の継承者と戦ったことがあるらしい。

 

「でも、今回はそうはいかないわ。あいつを殺す練習台として、あなたたちも殺してあげる!」

 

 ただでさえ異常だったリリスの魔力が更に強大になった。

 

「エリゴス!ビリー!イタクァ!構えろ!」

「はい!」

 

 三人が返事をするが否や、リリスがエリゴスに突っ込んできた。

 エリゴスは両手でしっかりと槍を握りしめ、リリスと相対する。

 リリスの杖とエリゴスの槍がぶつかり合うと、闇の魔力が衝撃波を発生させた。

 ビリーとイタクァが、リリスの横から銃と毒霧を放つ。

 すかさず蛇が間に割り込み、主人を攻撃から守った。

 

「あなたたちの相手はこの子よ。存分に暴れなさい!」

 

 指示を受けた蛇はビリーに突撃。

 ビリーはなんとか回避するが、エリゴスのサポートには回れなくなった。

 

「イタクァ!ビリーを援護しろ!」

「はい!」

 

 ビリーを助けに向かうイタクァ。

 蛇と戦う二人の傍で、エリゴス対リリスのタイマンが勃発した。

 

(攻撃が当たらない…全て避けられてる⁉︎未来を見ているかのように…!)

 

 リリスの刺突をエリゴスは余裕の表情でかわし続ける。

 避けながら、時々反撃を入れる事も忘れない。

 一対一において、予知能力を持つエリゴスは圧倒的に有利だ。

 しかし、リリスも負けじと魔法弾を大量に放って応戦する。

 手数はリリスが有利。

 弾幕に押されて、エリゴスはリリスから距離を取った。

 からは、リリスの得意な間合いだ。

 無数の魔法弾を生成し、間髪入れずにエリゴスへ向けて発射した。

 エリゴスは遠距離攻撃を持たない訳ではないが、こうも隙間なく攻撃されると、反撃も何もできない。

 従って、エリゴスは不利な状況に陥っていた。

 

「エリゴス!」

 

 エリゴスの後ろからカゲツが叫ぶのが聞こえた。

 心配しているのだろう。

 この状況において、戦力で劣るカゲツは何もできない。

 しかし、エリゴスはカゲツの方を向いて言った。

 

「……任せて。マスターのことを思えば、どうということもない」

 

 瞬間、エリゴスの背後に剣のようなエフェクトが見えた。

 

「……闇に身を任せる」

 

 同時に、エリゴスの魔力が強く、濃くなっていくのがわかる。

 その間にも、魔法弾はエリゴスに次々と向かっていった。

 

「自分から的になってくれるのかしら?そのまま蜂の巣になりなさい!」

 

 無数の魔法弾が迫り来る。

 

「邪魔」

 

 エリゴスが目にも止まらぬ速さで槍を振るう。

 

 あろうことか、エリゴスを狙った魔法弾は、その一瞬で全て爆散した。

 

「⁉︎」

 

 その場にいた全員が、エリゴスの攻撃に目を見張った。

 エリゴスは翼を展開。

 空中に浮かび上がると、槍を構えて突撃した。

 そのスピードは、リリスの蛇をはるかに上回った。

 

「くっ、近寄るな!」

 

 リリスは魔法弾を放って牽制を試みる。

 それに対し、エリゴスは翼に魔力を集中させ、ローリングしながら魔法弾に真っ正面から突っ込んだ。

 魔法弾はエリゴスの魔力で打ち消され、エリゴスの接近を易々と許してしまう。

 急接近したエリゴスは、リリスに高速で刺突を繰り出した。

 

「がはっ…」

 

 攻撃を見切れず、その全てをまともにくらったリリスは吐血。

 身体のあちこちが裂傷し、血が流れている。

 主人の危機を察した蛇は、ビリーとイタクァの相手を放棄して、エリゴスに飛びかかった。

 鋭い牙がエリゴスに迫る。

 

 だが、エリゴスは回避せず、またもや突撃。

 蛇の下へ潜り込み、腹部に五発、一瞬で刺突を叩き込んだ。

 

 蛇はギリギリ意識を残しているが、攻撃する体力は残ってなさそうだ。

 

「私ですら目で追えなかった…なんて速さなの…⁉︎」

 

 ハスターが、信じられないように呟いた。

 

「どうする?……まだ戦う?」

 

 エリゴスはリリスに槍を向ける。

 その気になれば、いつでもトドメを刺せる。

 

「…フフッ」

 

 だが、この状況でなお、リリスは笑みを浮かべる。

 

「こんな気もしてたわ。()()()()()も残しておくものね」

 

 瞬間、古城は大きく揺れ始めた。

 

「何だ⁉︎地震か⁉︎」

「……!マスター!上からくる!」

 

 直後、天井にヒビが入り、倒壊する。

 そこに現れたのは、多数の巨大な魔物だった。

 更に、壁を蹴破って、別の魔物が入ってきた。

 それらは全て、ハスターやソル等、負傷して動けない者や、拘束されている者を狙って走り出した。

 見届けたリリスは、ふらふらと立ち上がった。

 

「どこからこれほどの魔物を…!」

「私は逃げるとするわ。憲兵が来るまで遊んであげなさい!」

「逃がすか!」

 

 ビリーが銃弾を放つ。

 しかし、またもや蛇に阻まれた。

 

「エリゴスの攻撃を受けても生きてるのか…!」

「じゃ〜あねぇ〜♪」

 

 リリスを乗せた蛇は魔物の隙間をスルスルと抜けて脱出。

 すぐに追おうとするカゲツだったが、ここでも魔物が邪魔をする。

 

「くっ…まずい、この数は相手できないぞ!」

「し、しかし、このままではハスター様やソルが!」

 

 そういう命令を下されているのか、魔物達はソルなどの拘束されている者や、ハスターといった負傷者を狙っていた。

 カゲツはハスターを守ろうとするが、一人では限度がある。

 そして、魔物の一撃は、カゲツの剣を易々と弾き飛ばした。

 武器を失い、丸腰になるカゲツ。

 そのカゲツに向かって、魔物は再び、棍棒を振り上げた。

 

「あっ…」

「マスター!」

 

 間一髪、エリゴスがカゲツを守る。

 しかし、エリゴス一人では太刀打ちできる数ではない。

 

「エリゴス、ここは…」

「マスター」

 

 カゲツの言葉を遮って、エリゴスが言う。

 

「……指示を」

 

 突然指示を求められるが、どうすればいいかわからないカゲツ。

 すると、懐で何かが震え出した。

 震えている物を取り出すと、それはデバイスだった。

 

「なんだ、これは…」

 

 見たことのない画面が広がっていた。

 画面に『ビリーザキット』『エリゴス』『イタクァ』と文字が写し出されている。

 そして、エリゴスを示すアイコンだけ、右側に『100』と表示されていた。

 訳が分からないが…

 

「あるのか?この方法を乗り切る手段が…」

「ある」

 

 エリゴスは肯定する。

 それを聞いて、カゲツはただ一つ、命じた。

 

「頼むぞ」

 

 指示を受けたエリゴスは、翼を展開した。

 そして、手のような翼を、弱く握るように縮こめる。

 その指先には、エリゴスの魔力が集まり、エネルギー体になっていた。

 エリゴスがその翼を勢いよく広げた。

 

 エネルギー体は怪光線と化し、魔物達の頭上から降り注いだ。

 

「グォォォォ!!!」

 

 脳天や腹を貫かれ、魔物達は絶命する。

 だが、怪光線だけでは全ての魔物を倒すことはできなかった。

 生き残った魔物の一匹が、エリゴスに金棒を振り下ろした。

 

 グシャッ!

 

 床板がいとも簡単に砕け散る。

 だが、()()()()()()()()()()()()()

 一瞬でカゲツの視界から消えたのだ。

 カゲツが周囲を見回すが、彼女は見つからない。

 

 コォォォ…

 

 何か音がする。

 上からだ。

 そこには翼を魔物達に向けたエリゴスがいた。

 

「邪魔……死んじゃえ……ゴエティアハンド……!」

 

 翼の掌と言うべき部分から放たれた光線は、魔物達を闇に飲み込んだ。

 数日前、カゲツは巨大オークを易々と貫くエリゴスの光線を見た。

 しかし、今回はそれとは段違いの威力だ。

 光線が止んだ時、生き残っている魔物はもういなかった。

 

「ひとまず…終わったみたいだね」

『無事に「バーストアタック」を決められたようですね』

 

 ソルが安堵すると、デバイスから音声が流れる。

 デバイスの中の少女のものだろう。

 

「『バーストアタック』…」

 

 カゲツが、デバイスの言った単語を呟く。

 画面を見ると、エリゴスのゲージは0になっていた。

 

「……もう朝……」

 

 山から登った朝日が、エリゴス達を照らしていた。




だいぶ伸びた()
十六話で短くなった分と思ってくれれば…

リリスとの戦いは一旦終わり。
次回、最初の世界での生活は最後です。

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