俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。   作:いでんし

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前回結構間延びしたイメージがあったけど普段と比べたら1000文字くらい少なかった事が判明
というか普段から3500文字書いてたんだなと

もうすぐ二周年ですね


毒と未来予知

「全員倒したですって…?何言ってるのよ!」

 

 リリスは、大ホールに入ってきたカゲツを睨みつけた。

 

「嘘じゃない、本当だ。なんなら見てみるか?」

 

 カゲツが奥を見るように促す。

 よく見ると、奥の廊下でテスタメントの男達が倒れているのが見えた。

 

「ここにも憲兵を呼んでいる。いずれ包囲されるぞ」

「…流石、継承者といったところかしら」

「俺が継承者だと思うのか?」

「思うわよ。あんたのマントの奥から、光が漏れてるもの」

 

 カゲツがふとズボンのポケットを見ると、何かが確かに光っていた。

 どうやらデバイスが発光しているらしい。

 

(…なるほど)

 

 デバイスに表示された文字を見て、カゲツは納得する。

 

「それがデバイスかしら。似合っているじゃない」

 

 リリスがデバイスに興味を示したようだ。

 

「悪い事は言わないわ。それを私にくれないかしら?」

「断る」

「即答なのね」

「神姫を誘拐するような輩がデバイスを使って、ろくな事する訳ないからな」

「……マスター、長話し過ぎ。あいつに逃げられる」

 

 エリゴスがリリスの逃走を危惧する。

 しかし、カゲツは「そんな事はまず無い」と反論した。

 

「よく見ろ、ここには俺達以外には誰も入ってこれない」

「はぁ?」

 

 どういうことだ。

 ふとリリスの視界に、大ホールの出入口が入った。

 そこに、紫色の気体が多量に浮かんでいるのが見えた。

 

「…毒霧…ねぇ」

「…わかりますか」

「毒を使って挑んでくる奴なんて、よくいるわ」

 

 どうやらイタクァが、予め毒霧を出入口周辺に散布し、うまい具合に道を塞いでいるらしい。

 なるほど、それなら逃げることも、増援を呼ぶのも難しい。

 

 つまり、現状のリリスは孤立無援の状態だ。

 

「さて、どうする?大人しく捕まるか、抵抗して捕まるか」

 

 もうリリスに選択肢は無いように見える。

 しかし、リリスは笑みを余裕の表情を絶やさなかった。

 

「そうね、確かに神姫は諦めるしか無いみたいだけど…」

 

 瞬間、リリスは蛇にまたがり、目にも留まらぬ速さでカゲツに接近した。

 

「継承者、テスタメントにとって、貴方は邪魔なの。貴方を殺して、デバイスも奪うわ」

 

 リリスが杖を振り下ろす。

 あまりにも動きが速すぎて、デバイスをしまう余裕がない。

 カゲツはデバイスを左手で持ったまま、右手の剣で杖を受け止めた。

 重い。

 明確な殺意を持った、非常に重い一撃だ。

 彼女は本気でカゲツを殺そうとしている。

 攻撃を受け止められてはいるが、片手では限度がある。

 しかし、リリスの力が急に緩んだ。

 カゲツはなんとか杖を弾き、リリスから距離を取る。

 エリゴスが蛇の下に回り込み、下から攻撃したらしい。

 

「ちいっ!」

 

 舌打ちしたリリスが、カゲツに向かって襲いかかってくる。

 だが、またエリゴスが邪魔をする。

 槍と杖の猛攻。

 鋭い金属音が連続して響いた。

 だが、リリスの攻撃は全てエリゴスに見切られる。

 エリゴスの得意技、未来予知を使った回避だ。

 時に避け、時に受け止めて完全に防ぎ切る。

 

「意地でも行かせないってことかしら。ムカつくわね!」

 

 イラつく様子を見せたリリスは、魔力を漲らせた。

 

「まだ本気じゃないのか…!」

 

 この女、やはり只者ではない。

 カゲツは冷や汗をかいた。

 あの調子だとまだまだ魔力をブーストできるだろう。

 

「この技に見覚えがあるかしら?」

 

 リリスが頭上に生み出した、闇を纏った球。

 ラミエルの追っかけが使役していた魔物が、酷似した魔法を使っていた。

 

「あの魔物は私の魔力を注ぎ込んで強化したものよ。だから私の技を使えたの」

「やっぱり、あなたたちが……」

「でも、これから使うのは、あれとは比べものにならない威力よ」

 

 球はさらに増えていく。

 最終的な数は三十個程度。

 フードの少年程ではないが、かなりの数を扱えるようだ。

 

「食らいなさい!」

 

 それらを全てエリゴスへ向けて発射する。

 

「ダークネスレイ」

 

 闇を纏った衝撃波。

 リリスの弾幕に劣らない範囲を持ち、球とぶつかり合った。

 しかし、威力が分散したせいで、一発一発がとても強力なリリスの球には敵わない。

 衝撃波は、いとも簡単に押し負けた。

 しかし、それすらエリゴスの予想通り。

 槍にさらなる魔力を込め、弾幕に向かって放つ。

 

「ナイトメアスピア」

 

 闇の光線が威力の弱まった球を貫いた。

 球は大爆発。

 さらに、その爆発が別の球に衝撃を与えて誘爆。

 次々と爆発した。

 衝撃と爆風に煽られ、カゲツは吹っ飛び、ソルは尻餅をついた。

 埃が舞い散り、視界が一気に悪くなった。

 砂埃が舞う中、先に動いたのはリリス。

 蛇にまたがり、突如埃から突撃してきた。

 

(奇襲!)

 

 エリゴスは槍を構えて受け止める体勢に入る。

 そして、エリゴスと()()激しく衝突した。

 

「なっ⁉︎」

 

 リリスは高く飛び上がっていた。

 エリゴスを飛び越え、杖を向けてカゲツに襲いかかった。

 蛇はエリゴスを引きつけるための囮だったのだ。

 

「しまった!」

 

 爆風で怯んだカゲツは隙だらけだ。

 リリスは杖を突き出した。

 これではもう、エリゴスのフォローは間に合わない。

 

 だが、カゲツに付き従う神姫は、何もエリゴスだけではない。

 

「アブダクション!」

 

 カゲツの目の前で金属音が響く。

 イタクァが、リリスの杖をしっかりと受け止めていた。

 

「マスター!無事ですか⁉︎」

「助かった、イタクァ!ハスターとビリーは⁉︎」

「応急処置はしました。しばらくは大丈夫です!」

 

 二人の回復が終わったイタクァも、リリスの戦いに加勢した。

 

「注目魔法?珍しいわね」

「いいえ。さらに上位の攻撃集中魔法です。ハスター様とマスターを守る力です!」

 

 イタクァが「マスターを守る」と言った辺りでエリゴスが負のオーラを発した気がしたが、気のせいであってほしい。

 とにかく、反撃開始だ。

 エリゴスは両手で槍を持ち、リリスに向かって連撃を繰り出す。

 常人ではまず見切れない攻撃を、リリスは杖を回転させて器用に受けた。

 更に蛇を退げ、距離を取ってから魔法弾を連発した。

 魔法弾は弾速が増しており、エリゴスのダークネスレイも間に合わない。

 回避はできるが、エリゴスは近づけなくなった。

 

「イタクァ!敵の動きを止めろ!」

「了解です!ポイゾナスガスト!」

 

 ここで、カゲツの指示を受けたイタクァが動き出す。

 毒の風を発生させ、リリスの移動範囲を狭めた。

 

「今だ!奴はもう動けない!」

 

 退路を塞がれたリリスの元へ、エリゴスが突撃。

 槍に魔力を込め、全力で突き出した。

 

 ギィン!

 

「甘いわね」

 

 エリゴスの攻撃は蛇の防御魔法によって阻まれていた。

 全力の攻撃をものともしていない。

 更に。

 

「なっ…毒が消えていく⁉︎」

 

 イタクァが慌てる通り、毒霧が霧散していく。

 

「私の魔法を無力化したのですか…⁉︎」

 

 イタクァは驚きを隠せない。

 その横を、リリスと蛇が猛スピードで駆け抜けた。

 蛇は鋭い牙を伸ばし、カゲツを捕らえようとする。

 

「ぐっ!」

 

 カゲツは身体を逸らして蛇の噛みつきを回避した。

 しかし、頭上からリリスの刺突が襲いかかる。

 ギリギリで剣で受け、なんとかノーダメージでやり過ごした。

 

「ナイトメアスピア!」

 

 エリゴスが闇の光線を発射した。

 まっすぐにリリスに向かっていく。

 しかし、様子がおかしい。

 

「威力が……落ちてる……?」

 

 光線はリリスに近づくにつれ、遅く、弱くなっていく。

 そして、あと少しで届く、そんな距離で。

 

 光線は、虚しく霧散した。

 

「ハスター様⁉︎安静にしてください!」

 

 突然イタクァが叫ぶ。

 見ると、息も絶え絶えなハスターが、立ち上がろうとしていた。

 

「マスター君…気をつけて…そいつは敵の魔力を封じてくるわ」

「ハスター様!脚の傷が開きます!」

 

 ハスターはまだ立てそうにはない。

 ソルがいればなんとかなるだろうが、彼女は拘束されて魔力を封じられている。

 ハスターは戦えない。

 

「魔力を封じるのか…なるほど」

 

 しかし、カゲツは何か思いついたようだ。

 

「二人とも、目を塞げ!」

 

 叫んだカゲツが、蛇に向かって何かを投げつけた。

 黒い小さな玉だ。

 投げられた玉は、蛇に触れると同時にまばゆい光を発した。

 

「がっ⁉︎目が…」

 

 視界を奪われたリリスが蛇の上でうずくまる。

 

「今だ!リリスは動けない!」

 

 エリゴスがリリスに突撃する。

 カゲツの指示で目を塞いだので、リリスとは違い、視界は良好である。

 

「くっ…守りなさい!」

 

 リリスとエリゴスの間に割って入るように、リリスの蛇が飛び出した。

 防御魔法を展開、エリゴスの攻撃を受け止める。

 おそらくダメージはほとんど入っていないだろう。

 そして高速でエリゴスから距離を取る。

 リリス本人の戦闘能力もさることながら、彼女の蛇も相当厄介だ。

 防御魔法で的確に主人を守り、時には彼女の足となって機動力を補う。

 

 だが、やるべきことはやった。

 

「イタクァ!毒霧で行動範囲を狭めろ!」

「はい!」

 

 イタクァがポイゾナスガストを発動、リリスの周りに毒霧を発生させた。

 

「何やってるのかしら?そんなことをしても、無効化されるだけよ?」

「本当にそうか?」

「はぁ?」

「やってみろ。お前はもう魔力を無効化できない」

「…望み通り、やってやるわよ!」

 

 カゲツの挑発に乗ったリリスは、イラついた様に叫んだ。

 

 しかし、何もしない。

 

 そして、そのまま、何も起こらなかった。

 

「…どういうこと?」

 

 リリスは自らの身体中をまさぐり、何かを探すそぶりを見せる。

 しかし、彼女の探し物は見つかることはなかった。

 

「何故⁉︎何故()()が無いのよ!」

 

 リリスはは更にイライラを強める。

 瞬間、彼女の目の前で、エリゴスが槍を向けていた。

 

「言ったはず。あなたはもう魔法を無効化できない。……ナイトメアスピア」

 

 槍から闇の光線が撃ち出される。

 その一撃は、弱まることなど一切なく、リリスに直撃した。




かばうってどうやって表現したらいいんだろう
→攻撃集中魔法

だっせぇ…(ネーミングセンス皆無)

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