俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。 作:いでんし
テスタメントの新装備とかワックワクよ()
魔物から街を守れ。
それが、エリゴスとイタクァに課せられた使命であった。
どちらも多数の敵を相手するのは得意分野なので、妥当な判断だろう。
その戦術は至ってシンプル。
イタクァが毒で弱らせ、そこをエリゴスが狩る。
イタクァの毒はだいぶ強力らしく、毒に多少耐性を持つらしいオークですら、歩くことすらままならなくなっている。
そうなれば、予知を使わずともエリゴスで狩れる。
敵の増援が枯れる気配は無いが、まだ大丈夫なはずだ。
それよりもエリゴスが心配しているのは、テスタメント相手にたった一人で立ち向かったカゲツのことだった。
「エリゴス、マスターなら大丈夫ですから。私達は目の前の敵に集中しますよ」
「……うん」
×××
「お前ら全員、俺が片付けてやるよ。かかってこい!」
自信満々に宣言するカゲツ。
テスタメントの人数は剣士7人と魔導師8人の計15人、対してカゲツは一人。
エリゴス達は魔物の相手に手いっぱいで、こちらまでは手が回らない。
必然的に、カゲツは一人でこの人数を相手することになる。
「随分と大口を叩いてんな。俺達を舐めてるんじゃねーか?」
「少なくとも、人間としてはな。俺達を探しにきたのは結構だが、だからと言って民間人まで襲うのはどうかしてるぜ」
カゲツは相手を挑発する。
「もっとも、この人数で俺一人に負けたりしたら、一生舐められるだろうがな!」
「…調子に乗るなァ!」
あっさりと挑発に乗せられたテスタメントは、レイピアを構えて襲いかかる。
男の一人が闇魔法を纏った突きを繰り出してきた。
カゲツは、それをいとも簡単に避け続ける。
突撃してくる相手が三人に増えても、それは変わらない。
体を反らし、時には剣で弾く。
レイピアを弾かれて体制を崩した相手に斬撃を与え、相手を一人、また一人と倒していく。
あっという間に、剣士が三人戦闘不能になった。
接近戦に持ち込まれては勝ち目がないと判断したのか、全員が距離を取った。
魔導師が詠唱を始め、その間に出の早い遠距離魔法を使う剣士が攻撃。
避けた所に魔道士の魔法が飛んでくる。
そして、再び詠唱に入り、その隙を剣士がカバーする。
なるほど、戦術としては理に適っている。
魔法を一切使わないカゲツには有効だろう。
避け続けるしか対応策が無いカゲツは舌打ちした。
「仕方ねぇ…ちょっと『本気』出すか」
カゲツが突然そんなことを言い出し、足を止めた。
魔導師の魔法がカゲツに向かってくる。
炎魔法、雷魔法、闇魔法、種類は様々だ。
カゲツは、それら全てを
テスタメントは皆驚いた。
今まで攻撃を避けてばかりだった相手が、急に攻撃に対抗し出したからだ。
その動揺が、彼等に大きな隙を生んだ。
カゲツは剣を構えて突撃した。
「くっ…撃て撃てぇ!」
テスタメントの対応は早い。
一瞬で攻撃体制に入り、攻撃魔法を連発する。
しかし、先程の瞬発力に剣での対抗が合わさり、攻撃はカゲツに全く届かない。
魔法を連発した影響で魔力を消費し、相手はだんだん疲弊しているようだ。
だが、テスタメントはそれだけでは終わらない。
指示こそ無かったが、攻撃が足元に集中してきたのだ。
ジャンプで避けるのを待ち、制御の効かない空中で狙い撃ちするという魂胆だろう。
そして、実際にジャンプで避けざるを得ない攻撃が飛んできた。
飛んでくる無数の闇魔法。
カゲツは跳躍。
体をひねらせ、剣だけで魔法を全て斬り裂いた。
だが、それすらも予測していたのか、着地点に闇魔法が一つ飛んできていた。
剣での斬撃も間に合わない。
足を持っていくことはできるだろう。
だが、カゲツは避けなかった。
あろうことか、
「…は?」
テスタメントは硬直した。
自分の目に映った光景が理解できないようだった。
踏み潰された?
剣で斬ろうともせずに?
俺たちの攻撃はその程度だったって言うのか?
「…今のが、お前らの全力か?」
「えっ?」
「…ぬるい」
瞬間、テスタメント達に悪寒が走る。
殺気だ。
継承者から殺気が流れている。
自分たちのランクが、人間から獲物に下がった。
そんなことを思わされた。
カゲツは固まっているテスタメントに突撃した。
近くにいた相手から、片っ端から斬っていく。
一人倒すのには一秒もかからなかった。
相手の残りが五人程になると流石に相手も対応し始めたが、時すでに遅し。
剣士の突きより速く、カゲツが相手を鎧ごと斬り裂いた。
血を吐いて剣士が崩れていく。
死んではいないだろうが、もう戦えない。
やがて残りは魔導師の男一人となった。
「ひっ…ヒイィ…」
男は腰が抜けたのか、立ち上がることすら出来ない。
カゲツは彼の持っている杖を斬り飛ばし、魔法を使えないようにした後に、胸ぐらを掴んで威圧しながら質問した。
「わざわざ魔物まで引き連れてこの街にやってきた目的は?」
「ヒッ⁉︎…お、お前のっ、連れている神姫だ…」
「ソルをどこに連れて行った?」
「…昨日お前達と戦った、森の奥にっ、ある、古城だ…」
「そうか」
カゲツは男をゆっくりと下ろした。
「マスター、無事⁉︎」
「ぐほっ⁉︎」
エリゴスが突然抱きついてきた。
イタクァも一緒だ。
どうやら、魔導師を無力化したことで、魔物も大人しくなったらしい。
ショルダータックルを食らったカゲツは激痛に悶えてうずくまった。
「大丈夫だから!そんなに強く抱きついてくるな!テスタメントと戦うよりこっちの方が大怪我するわ!」
「でも……心配だった……」
「エリゴスったら、戦闘中もずっとマスターを心配してたんですよ?」
「だからってそんな全力でダッシュするなよ!」
そんなことを話していたら、ちょうど、憲兵が駆けつけてきたようだ。
「この街の憲兵は騒動が終わらないと来ないのか…?」
「対応が遅いのはどうにかしたほうがいいですね」
「聞こえてるぞ、君たち…」
憲兵はテスタメントを次々と回収していった。
魔物の遺骸や兵士の遺体も数多く残っているが、その掃除も彼等に任せてしまった方がいい。
カゲツ達は、急いでここを出発しなければならないからだ。
カゲツは憲兵と交渉することにした。
「テスタメントに俺の仲間が一人さらわれた。馬車で移動してたから、人の足じゃ追い付けない。馬車を貸してくれないか?」
「民衆を守ってくれた礼だ。好きなだけ貸してやろう」
「……いらない」
「いや、
「マスターは私の背中に乗ればいい。イタクァは頑張って走って」
「「「えっ」」」
ぶっ飛んだ発言をしたエリゴスに、三人は固まった。
カゲツ君はなぁ!
人間だけどなぁ!
強いんだよ!