俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。   作:いでんし

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前回のサブタイ幻獣だったけど前回に幻獣って単語一回も出てきてないやん!(殴


風魔法

「さぁ …来い!」

 

 物体をデバイスの中に入れたり、デバイスを通じて異世界から呼び出したりする機能。

 同じデバイスの継承者であるコガネが教えてくれたデバイスの機能の一つだ。

 今回は、かつてソルが封印されていた銃、魔光銃ソルイグナイトを召喚した。

 

「ビリー、これを持ってろ。俺が合図したら撃て!」

「うん!」

 

 ビリーが銃を構えるが、相手側からしたら何かしら企んでいるのはバレバレである。

 相手は警戒の色を見せた。

 

「エリゴス、ハスター、接近戦で攻めろ!イタクァはサポートに入れ!」

 

 突撃するエリゴスとハスター。

 相手は電磁砲を連発するが、的確にイタクァが風魔法で迎撃していく。

 

「くっ…風魔法は相性が悪いですね」

 

 魔法には属性が存在する。

 火・水・雷・風・光・闇の六種類があり、火は風、風は雷、雷は水、水は火に強い。

 更に光と闇は上位の属性として存在しており、他の四属性にほんの少しだけだが強い。

 今回は、雷魔法を使う相手に、風魔法を使うハスターとイタクァが有利を取っている状態だ。

 数の利も手伝って、次第にカゲツサイドが押していった。

 

「ぐううっ!」

「落ち着きなさい!広範囲の電撃に切り替えるのです!」

 

 命令を受け、相手は即座に攻撃を切り替える。

 彼女を中心にドーム状の電撃を放ち、エリゴスとハスターを引き剥がした。

 エリゴス達は再び距離を取ることになってしまう。

 

 だが、問題はない。

 

 カゲツの背後から光が溢れる。

 ビリーが抱える銃に魔力がチャージされた証拠だ。

 これで発射準備は整った。

 とはいえ、一度発射してしまえば、しばらくチャージに時間がかかる。

 その間に攻撃される可能性は大いにある。

 故に、この一発が勝負を決めると言っても過言ではない。

 

「エリゴス!ソル!イタクァ!一斉に攻撃だ!」

「迎え打ちなさい!押し返すのです!」

 

 女の魔力が劇的に高まる。

 相手も全力のようだ。

 

「食らいなさい!雷霆万鈞(らいていばんきん)!」

 

 高圧の雷が三人分の攻撃をいとも簡単に押しのけ、カゲツに襲いかかる。

 

「撃て、ビリー!」

「うん!デス…バレット!」

 

 魔光銃ソルイグナイトから光球が発射される。

 威力はソルのホワイト・プロミネンスに勝るとも劣らない。

 光と雷がぶつかり合い、激しい衝撃が起こる。

 二つの大技はせめぎ合い…

 

 ビリーの光球が、相手の雷を貫いた。

 

「何っ⁉︎」

 

 全力の攻撃が押し負けるなど予想外の事態だったのだろう。

 攻撃と攻撃がぶつかり合ったことでスピードは大幅に落ちており、なんとか回避には成功する。

 だが、着地した女の足元から突如風が吹き出す。

 

「かわされるのは…予測済みよっ!」

 

 ハスターが起こす小さな風が竜巻となり、女を包み込む。

 その規模はだんだんと大きくなっていき、脱出も叶わなくなる。

 竜巻に煽られた葉っぱは、一瞬で吹き飛び、暗い森のそこだけは太陽の光で明るくなった。

 

「渦巻く旋風よ、食らい尽くせ!グレートオールドヴァン!」

 

 ハスターが手を天に掲げ、開いた手を握ると、竜巻が弾け、女を吹き飛ばした。

 

「きゃぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 女は木に激突する。

 それでも意識を失っていないようだが、確実に弱ってきている。

 ハスターがとどめを刺そうと近づく。

 

「……()としたことが、少々手を抜きすぎたらしいな」

 

「⁉︎」

 

 ハスターが反射的に飛び退く。

 俺?

 今、あの女は自分を俺と言ったのか?

 いや、問題はそこではない。

 

 先程までは感じられなかったとてつもない雷の魔力が、ハスターの身体に響いてきたのである。

 

(まだ本気じゃない…⁉︎)

 

 戦慄するハスターに構わずに、女はケガのことなど忘れたように立ち上がる。

 

「こっから本気出していくからよぉ…覚悟しな!」

 

「いい加減にしなさい、麒麟」

 

 女が襲いかかろうとしたその時、彼女の背後から殺気がした。

 彼女を従える少年の、とても冷たい殺気だった。

 

「あくまでもこちらの本来の目的は足止め。始末するとは言いましたが、ここまで貴女が負傷したらそれも厳しいです」

「なっ…マスター!俺はまだ行ける!」

「そういうのはいいので、早く撤退しますよ、麒麟」

 

 有無を言わさぬ威圧感。

 麒麟と呼ばれた女は、従わざるを得なかった。

 少年は、最後にカゲツの方を振り向いた。

 

「我々テスタメントと継承者は、よく衝突する。また会うこともあるでしょう」

 

 そう言って、少年は麒麟と共に森の中へ消えた。

 カゲツ達には、追いかける体力は残っていなかった。

 

 

×××

 

 

「麒麟」

「…はい」

 

 森の中を駆ける少年と麒麟。

 

「相手から弱体化魔法をかけられていたことに気づきませんでしたね?」

「その通りです」

 

 相手の攻撃力を下げるソルのカルドルーチェと、相手の防御を崩すハスターのエメラルド・ラマ。

 ビリーが攻撃のための魔力をためている間、エリゴス達の連撃に混ぜてかけた魔法だ。

 少年は察知していたが、麒麟は気づかなかったようだ。

 

「貴女の実力は確かですが、まだまだ甘いですね」

「…チッ、テメェも言える口じゃないだろうが…」

「素、出てますよ」

 

 雑談をしながら、二人は暗い森へ消えた。

 

 

×××

 

 

 夜。

 拠点としている街に戻ってきたカゲツは、エリゴスと二人で酒場にやってきた。

 

「それは英霊じゃないですね。おそらく幻獣です」

「幻獣…?」

 

 酒場には偶然にもコガネがいた。

 今日のテスタメントとの一件のことについて話していたら、男二人で話し込んでしまった。

 取り残されたエリゴスは、居合わせたヘルモーズと酒を飲んでいた。

 

「むぅ……」

「ハハ…そんなに落ち込まないでくれよ。飲もう?」

 

 落ち込むエリゴスに申し訳ないと内心では思いつつ、カゲツはコガネの話を聞く。

 

「幻獣は自然現象に形と人格を与えた存在。神姫と同様に、デバイスで操ることができます」

「なるほど…つまり、テスタメントはデバイスを持っている…?」

「おそらくはそうでしょう。我々の予測しない技術で操っている可能性も無くはないですけどね」

「技術か…」

 

 カゲツは苦い顔をした。

 あの少年は「また会うこともあるでしょう」と言った。

 あのレベルの敵をこれからも何度も相手するかもしれないと思うと頭が痛い。

 コガネは、そんなカゲツを見かねて酒を勧めた。

 

「このお酒はなかなか美味しいですよ。この店では一番かと」

「ありがとう。でも遠慮しとく」

「…?なぜ…」

「やばいんだ。あいつに見つかったら…」

「あーっ!マスターこんなところにいたの?」

 

 突然酒場の扉が開き、ハスターがやってきた。

 

「ハ、ハスター⁉︎お前、宿で休んでるって言ってただろ⁉︎」

「いいじゃないの、暇なのよ。あっ!美味しそうなお酒!」

「バカ!イタクァに怒られるぞ!」

「昨日の誘拐犯の件で邪魔されて我慢してたのよ!イタクァに見つかる前に…」

 

 ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ。

 

「……ぷはぁ…えへへ、このお酒なかなかの銘酒じゃない〜♪なんで教えてくれないのぉ〜?」

「嘘だろ…グラス一杯だぞ…あれだけでここまで酔うのかよ…?」

 

 ハスターは、今までの態度が演技だったかのように、目をとろけさせていた。

 確実に酔っている。

 カゲツはそんな様子を見てガクガクと震えていた。

 

『いいですか、マスター?ハスター様には決してお酒を飲まさないでください。酔っぱらって制御が効かなくなりますから…』

 

 カゲツの脳裏に、イタクァの言葉が浮かぶ。

 ハスターはカゲツに抱きつく。

 

「ねぇカゲツ…私の夫にならない?私と一緒なら、お酒も飲み放題だし、あーんなことやこーんなことだって、いくらでもしてあげるわよ?」

「お、夫⁉︎お前調子に乗りすぎだぞ、いい加減に…」

「……ダメ。マスターは、私と一緒。ずーっと一緒だかりゃ……」

「なんでエリゴスまで来てるんだよ⁉︎…ってうわっ、酒臭っ!お前まで酔ってるのか⁉︎」

「すまんカゲツ…そいつ酒勧めたら一気飲みして…」

「オォイ!何やってるんだヘルモーズ!」

「ハスター様!ようやく見つけましたよ…酔ってる!」

「おおイタクァ!ちょうどいいところに!助けてくれ!」

「…無理です。ハスター様の酔いが覚めるまではどうしようもできません…」

「おい!だからってなんで距離を取るんだよ⁉︎おーい⁉︎」

 

 酒場で大騒ぎするハスター。

 暴走はカゲツやイタクァだけでは止めることが出来ず、気づけば酒場の客全員を巻き込んだ宴会になっていた。

 

「ハハハ…本当に面白い仲間ですね」

 

 コガネはそんな様子を見て、苦笑いをしていた。




酔ったハスターはかわいい(確信)

このシリーズには基本的に作者が仲間にしたキャラしか出さないというルールがある…
(ラミラミで思いっきり無視したけど)

そして今回麒麟が登場した…

つまり…

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