俺の好きな神プロのキャラが活躍する小説を書きたかっただけ。   作:いでんし

10 / 31
前回投稿するのに何ヶ月もかかってたのに…
何があったよ俺


幻獣

 テスタメントが集団で押し寄せる中、エリゴスは、単独で真っ正面から敵に突撃していった。

 エリゴスの槍が無慈悲に振るわれる度に、一人、また一人と男達がなぎ倒されていく。

 魔導師の男が魔法で迎撃しようとするが、未来予知を持つエリゴスには当たらない。

 そもそも、魔法弾を樹上にいるビリーに狙撃され、攻撃を届かせることすらできないこともある。

 エリゴスとビリーがほとんどの敵を二人で相手しているため、カゲツ達にかかる負担は少ない。

 しかし、ゼロではない。

 テスタメントはカゲツ達にも容赦なく襲いかかってくる。

 だが、相手は所詮人間。

 カゲツやハスターの敵ではなく、後ろからはソルとイタクァのサポートもある。

 戦いを続ける内に、テスタメントはどんどん数を減らしていった。

 

「くそっ、こいつら強ぇ!敵わねぇ!」

「退け!今日は撤退だ!」

 

 所詮数だけの集団だったらしく、テスタメントは負傷者を抱えて逃げようとする。

 

「逃がすか!ハスター、一人捕まえるんだ!」

 

 テスタメントとは何者なのか、何の目的で活動しているのか、何故神姫を集めているのか。

 知りたいことが山ほどある。

 ならば、一人こちらで捕まえて、情報を吐かせた方が手っ取り早いと思ったのだ。

 カゲツの指示を受け、ハスターがテスタメントの一人に向かって突撃する。

 彼は傷ついた仲間を背負いながら逃げているため、動きが遅い。

 男の目にはハスターがものすごい見幕で追いかけているように見えるのか、「ヒイィ」と情けない声を上げて逃げている。

 あと少しで手が届く。

 

「ハスター、止まって!」

 

 突然、エリゴスが叫ぶ。

 普段からエリゴスがあまり大声を上げないこともあって、驚いたハスターが足を止める。

 

 瞬間、ハスターの眼前に魔法弾が降り注いだ。

 

「⁉︎あっぶなっ…」

 

 あと一歩踏み出ていれば、確実に直撃していただろう。

 エリゴスの予知に助けられた。

 

「今のを避けますか…お見事ですね」

 

 突然声をかけられる。

 声の方向には、テスタメントのフードを被った小柄な少年。

 しかし、ほかの男達と違って鎧を着ておらず、身軽そうな印象を受ける。

 

「わたしは…そうですね、この世界で彼らテスタメントを仕切る、いわば上司みたいな者です」

「…何の真似?まさか、私達神姫をたった一人で相手するつもりじゃないでしょうね?」

「そのまさかですよ。わたしの部下を傷つけられて、黙ってなどいられません。とはいえ、流石にこの戦力差では不利ですね。逃げる時間を稼ぐ程度にしておきます」

 

 直後、少年は手に持った魔道書を開き、詠唱を始めた。

 一秒もしないうちに、彼の背面に大量の魔法弾が出現し、エリゴス達に襲いかかる。

 全員がかろうじて攻撃を避けるが、魔法弾は地面をえぐり、小爆発を起こす。

 スピードも速く、威力、精度共に申し分ない。

 回避行動を行ったためにエリゴス達に隙ができ、少年は更に追撃しようとするが、突撃してきたカゲツがそれをさせない。

 少年は身体をのけぞらせて剣を避け、魔法弾でカゲツを引き剥がした。

 ゴロゴロと地面を転がって攻撃を回避するカゲツ。彼のマントは泥だらけになった。

 

 かなりの実力者だ。

 それがカゲツの正直な感想だった。

 

 仕方ないと、カゲツは懐から何かを取り出し、少年に投げつけた。

 当然少年は回避する。

 しかし、着弾と同時に物体から大量の煙が溢れる。

 

(煙玉か)

 

 少年の視界は完全に塞がれてしまう。

 直後、銃弾が彼の頰をかすめた。

 ビリーの銃弾だろう。

 それだけではなく、闇の光線、竜巻、毒の風、光の炸裂弾が次々と煙の中から襲いかかってきた。

 どうやら、煙玉で視界を奪い、遠距離攻撃で仕留める作戦のようだ。

 風魔法のせいで徐々に煙は晴れているが、流石にこれでは持たない。

 瞬間、五方向から飛んでくる攻撃。

 少し遅れて、爆発が響いた。

 

「どうだ…?」

 

 煙が晴れる。

 少年は()()()立っていた。

 

「なっ…⁉︎」

 

 少年が無事な事にも驚きだが、()()()()()()()()()()()

 少年の前に、一人の女がいたからである。

 ひらひらした金色の衣装を身にまとい、長い髪にはいくつも花飾りがついている。

 そして、これまた金色をした機械型の馬のようなものにまたがっている。

 しかし、二本の長い角が生えており、もしかしたら馬ではないのかもしれない。

 

「平気ですか?マスター」

「…少々侮っていました。彼らはここで始末しておいた方がいいですね」

「わかりました。…精一杯、やらせていただきます」

 

 瞬間、機械の馬?から魔力がほとばしり、二本の角の間で雷のエネルギーが発生した。

 女が機械に命令すると、雷は強烈な電磁砲となってエリゴス達に襲いかかってきた。

 余裕を持ってかわすことこそできるが、威力は凄まじく、地面にクレーターができた。

 それほどの攻撃を放っておきながら、相手は即座に魔力をチャージし、あの威力の電磁砲を連発してくる。

 その間、一秒に一発の速さ。

 ビリー、ソル、イタクァが攻撃を放って相殺しようとするが、威力は相手の方が格段に上。

 エリゴスとハスターもほぼなすすべが無い。

 必然的にカゲツサイドは防戦一方になってしまった。

 

 これほどの攻撃力を持った敵が相手だと、実力が劣る人間であるカゲツは足手まといしにかならない。

 そんな中カゲツができるのは、あの突然現れた女が何者なのか、考える事だけだった。

 少年が現れた時、あの女が一緒にやってきた様子は無かった。

 これといった気配も感じなかった。

 つまり、少年を集中砲火したあの瞬間に、彼女は突然現れたことになる。

 生憎、カゲツはそれを可能にするアイテムを所持している。

 デバイスだ。

 おそらくあの女はデバイスで呼び出された英霊だ。

 何度か試してわかったことだが、神姫をデバイスから召喚することはできない。そのことが、推理を後押ししている。

 あの少年もデバイスを持っているに違いない。

 できれば今すぐに調べたいところだが、この状況では厳しい。

 というか、そもそもそんな余裕がない。

 ならば、せめて撤退だけでも。

 

「ビリー、下がれ!エリゴスとハスターは敵を牽制しろ!」

 

 カゲツの命令を受けて、ビリーが戻ってくる。

 

「さぁ…来い!」

 

 カゲツが命じた瞬間、デバイスに光が灯り、画面から大きな銃が出てくる。

 名は魔光銃ソルイグナイト。

 それは、かつてソルが封印されていた、あの銃だった。




エリゴスちゃんの予知ホント便利だわー(棒)

凄いのが能力持つ当人だけじゃなくその仲間までやられにくくなるってとこ
一気に死ににくくなるんですねこれが
ズルいわぁ…

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。