世界最強の怪物が鎮守府に着任しました   作:宮古ヨッシー

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 お久しぶりです。長く投稿出来ずにすみませんでした。これからもこのようなことがあると思いますが出来るかぎり早く投稿できるようにしたいと思ってます。

 今回は艦娘の出番はほぼありません。でも、あの方が登場します。


白ひげと大本営

 白ひげ着任の騒動から早くも一週間が経過した。

 着任した当日こそ相当な荒れ具合ではあったものの今はだいぶ落ち着きを取り戻している。白ひげに対するみんなの反応は様々、一部の者はある程度信頼しているもののまだまだ疑っている者も多い。

 そして現在、白ひげとマルコの二人は執務室にてとある小さな存在からその事についての報告を受けていた。

 

 

「やっぱりそう簡単に上手くはいかねェか。おめェもご苦労だったな、ゆっくり休んでろ」

 

 

 その小さな存在は白ひげの言葉にぺこりと頭を下げるとそのまま執務室を後にした。

 

「まぁ無理もないよい、むしろ一週間でよくここまでできたんだからすごい事だよい」

 

「ああ、全くだ。まさかここまで出来るとは、流石は妖精と言うべきか」

 

 

 実はこの一週間で鎮守府内の環境は大きく変わっていた。至る所が損傷していた建物はほぼ完全に修復されたり、最低限の量しかなかった食事も充分に出されるようになったりなど様々。これらの変化には二人の他に鎮守府に艦娘と共にいる「妖精」の存在が大きい。

 彼女達が何者なのかは定かではないが鎮守府や艦娘にとってはなくてはならない存在である。

 この妖精の存在に気づいた二人は鎮守府中の妖精に話しかけて事情を説明、その結果大量のお菓子(マルコが買ってきた)と引き換えに色々と頑張ってもらったのだ。そして今二人に報告したのもまた妖精だった。

 

 

「あいつらに信用してもらえたのは不幸中の幸いだったよい。本当に頼もしい奴らだ」

 

「確かにそうだな。だが重要なのはこっからだろう、艦娘との関係はもうしばらくかかりそうだ」

 

 

 だが何とかなるだろ、と白ひげはお菓子のついでに買ってきてもらってた赤ワインを瓶のままラッパ飲みしながら呟く。こればかりは力づくではどうにもならない事は二人とも理解している。だからこそ時間を掛けてゆっくりやっていくつもりらしい。

 二人しかいないこの執務室は静かだったのだがそれは突如として鳴り響いた電話の着信音によって妨げられた。その音は執務室の固定電話から聞こえてくる。恐らくは軍関係の電話だろうが生憎ここの元提督はいない。白ひげは迷う事なく受話器を取る。

 

 

「俺ァ白ひげだ。おめェは誰だ?」

 

「その声、やはり貴様かニューゲート!?」

 

 

 その声の主は白ひげの古くからの戦友であり現在大本営で元帥を務めている男、センゴクだった。

 

 

「何十年ぶりだぁセンゴク。相変わらず元気そうじゃねェか」

 

「そういう貴様は随分とやってくれたようだな。そこの提督は重症を負い憲兵達は一目散に逃げ出す事態。私がどれだけ後始末に追われたのか分かってるのか!?」

 

 

 白ひげが着任(物理)したその日、部下から伝えられた用件はセンゴクにとって寝耳に水だった。それはとある鎮守府の提督が重症で軍の病院に搬送された事、駐屯していた憲兵達も逃げ出した事。しかもその原因があの白ひげと分かった時はさらに驚かされた。

 

 

「グララララ、だがこのままアイツを放置しとくのとどっちがマシだった?」

 

 

 確かに白ひげの言う通り今大本営では一部の鎮守府で艦娘への暴行や賄賂など腐敗が進んでいるところがある。鎮守府の腐敗は軍全体の指揮や民衆からのイメージ低下に繋がるためセンゴクは徹底して改善に当たっていた。

 そして今回は予想だにしない事態で腐敗が発覚してしまったのだが。

 

 

「その身勝手さは本当に昔から変わらないなニューゲート。それで、そこに居座り続けているということはまさかと思うが……」

 

「ああそうだ、当分ここで好きにやってくつもりだ」

 

「やはりそうか。まあそう言うだろうと思ったから手続きは既に済ませといたぞ」

 

 

 というかそうする他になかった。いくら不正を暴いたとはいえあれだけの怪我を負わせて何も無しという訳にはいかなかったのだ。そこでセンゴクはけじめとして白ひげを何とか着任させて艦娘との関係改善を求めるように仕向けたのだ。

 だがわざわざそうしなくても白ひげなら十中八九提督になるだろうと予想できていた。

 

 

「気が利くじゃねェか。流石は知将「仏のセンゴク」だな」

 

「貴様とは何十年の付き合いだからな。ただし、やるべき事はしっかりやってもらうぞ。お前の仕事は提督としての業務を行いつつ艦娘との信頼回復に努めることだ。分かったな!」

 

「ああ、了解した」

 

 

 ガチャと受話器を置くと再びワインを口に運ぶ。白ひげは特に何とも思ってないのか堂々としているが一方でマルコは少々苦笑いを浮かべている。

 

 

「まさかとは思ったがやっぱり面倒な事になったなオヤジ。まさかセンゴクから直々に電話がくるとは」

 

「まああいつにバレるのは想定の範囲内だったけどな、グララララ。マルコ、嫌ならお前は降りてもいいんだぜ」

 

「今更降りる気はないよい。それに俺は最後までオヤジについて行くって決めてるからな」

 

 

 マルコにとって白ひげは本当の親のように慕っている。血は繋がってなくともその絆は何が起きても切れることはない。

 

 これから正式に「提督白ひげ」として鎮守府を運営していく事になる。とはいっても当分は艦娘とのコミュニケーションが大半になっていくだろう、それだけでも充分大変なのだがマルコはこれに加えて書類を押し付けられて四苦八苦することになるのだがそれはまた別の話である。




 今後の予定としては一~二週間を目安に投稿していければと考えています。
 読んでいただきありがとうございました。

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