今回は、首領パッチの自由奔放なボケをどう言葉で表現するかに非常に悩まされました。多少わかりにくい部分もありますが、今回も一生懸命書きましま。
それでは、第8話のスタートです(*ゝω・*)ノ
葛城が半蔵学園に戻っている頃、レジスターの怪人と化したノブヒコは、渋谷で大暴れしていた。腕のバーコードスキャナから強力な光線が発射され、建物は次々と破壊されていく。あまりの恐怖に、人々も逃げるばかりでした。
「きゃぁーーーーー!」「殺される!逃げろー」「ママ怖いよーー(涙)」
さらに、ノブヒコは壊した建物にあったレジスターのお金を、手当たり次第奪っていました。
「アッター、金ダ金ダ!」
ノブヒコは、お金を腹部の引き出しに貯え、力を強化していた。
「ハァー、大量!大量!!サーテト、次ノ店ニ向カウデゼニ」
「見つけたぞ!」
するとそこへ、ノブヒコの後をつけてきた警官と突撃部隊が大人数で駆け付けてきた。距離を於き、大きな盾を構えて身を守り、様子をみていた。その中から、一人の警官が、先頭へと立つ。片手に持っていたメガホンで、ノブヒコに言った。
「おい、そこの怪人!お前はこの通り、包囲されている。無駄な抵抗は辞めて、大人しく…」
「フン!誰ガ人間風情の言ウ事ナンテ聞クカゼニ。くらえ!釣銭流星群!!」
ノブヒコが腹部の引き出しを開くと、そこから硬貨型の核爆弾が乱射された。核爆弾は、一度上空に上がると一気に下降し、流星群の様に突撃部隊の元へと降り注がれた。
「ぐわーーーー!」
突撃部隊は、鉄道の盾を使って核爆弾を防ごうとしました。しかし、核爆弾の下降速度は予想をはるかに超え、盾を向ける前に隊員の体を直撃した。この攻撃により、一気に過半数の隊員が戦闘不能となった。
「お前達。くそ〰化け物め〰。うて〰」
突撃部隊の隊長が、放射命令をくだした。隊員は、拳銃を構えるやいなや、ノブヒコへと撃ちこんだ。
「ヘン!痒イ痒イ。体に小動物でも乗っているのか」
撃った銃弾は、風穴どころか傷1つ付きません。ノブヒコは、余裕の表情で全部の銃弾を受けきった。
「弾が…」
「ン、モウ終リカ?デハ、次ハ俺ノ番でゼニ!」
そう言って、ノブヒコは腹部の引き出しから1枚の硬貨を取り出した。
「くらえ!硬貨円斬」
ノブヒコは、1枚の硬貨をフリスビーの様にしぶん投げた。すると、硬貨はどんどん大きくなり巨大な円盤みたいになりました。それもただ、大きくなって飛んできたのではなく、回転する丸ノコギリの様に、突撃部隊が持っていた鉄の盾をいとも簡単にブッタ斬りました。
「ギャ〰〰〰!」
警官も突撃部隊も、ノブヒコの攻撃により全滅。死に至ることはなかったものの、全員戦闘不能状態となりその場で気を失いました。
「ば…化け物め……ガクっ」
とうとう、最後に残っていた警官も気を失った。
「ゼーニゼニゼニゼニ(笑い声)!オ前ラガ束ニナッタトコロデ、俺様ニ敵ウ訳ガナイゼニ!サーテト、コノ調子デ次ノ店へ…」
ノブヒコは、そのまま次の店へと行こうとした。すると、ノブヒコの後方からある音がした。その音は『カチカチッ、カチカチッ』っと、金庫のドライバーを回している様な音でした。つかさず、ノブヒコは振り向いた。
「ナンダ?コノ音ハ……ナァ!?」
ノブヒコが振り向くと、そこには謎の人影があった。その正体は、金平糖の様なトゲトゲとしたオレンジ色の一頭身姿の生物でした。緑色の手ぬぐいを顔に巻き、緑の丸眼鏡風のサングラス掛けていた。生物は、さっきまで無かった謎の金庫を一言も言葉発すること無く、ドライバーを回し調整していた。
ノブヒコは、心の中で『コイツ、ヤバイヤツだな…』
と確信した。しかし、このまま触れずに帰るのは気まずいと思ったのか、ノブヒコはその生物に話し掛けた。
「貴様…イツカラソコニイタ!……アト…何者ゼニ!!」
質問を聞いた生物は、軽くこう答えた。
「あっ!愛泥棒でーす」
「あ…愛泥棒だ…!?」
謎の返答に、ノブヒコも思わず首をかしげた。
そんなやりとりをしていると、金庫から『カチッ』
という音が聞こえた。どうやら、開いた様子。
「さ~て、お宝をいただきますか」
そう言って、金庫を開けました。すると、中から謎の光が差す。そして、光はやんだ。
「……ん?……………キャー何見てるのよ!」
金庫の中では、なんと身長10㎝ほどの超小柄の女性が、下着に着替えていた。そもそも、『なんでこんな所で着替えていたのか?』『こんな小さい人間が存在するのか?』『二次元の世界は何でもあり?』っと、ツッコミたい事は山ほどある。
「う~~~ん…愛だね」
「何が愛よ このスケベ!変態!!薄情者!!!」
小さい女は下着の中から拳銃を取り出し、愛泥棒の額にガンガン撃ち続けた。
「う~~~ん………これも愛だね~」
額から血が流れているにもかかわらず、『愛だね~』っと訳のわからない発言を愛泥棒は繰り返した。
こんな感じで謎のやり取りが10分ほど続いた。気がつけば愛泥棒は、大きな十字架にて手足を縛られ、捕らわれていた。10分間に起こった出来事は、言葉で表すには理解不能で難し過ぎた為、大幅カットされた。
※その辺は、本当に申し訳ありませんでしたm(_ _)m
「う~~~ん、愛は俺を見放したぜ」
『ラブハンターY!次会うときは、お前の愛もいただくぜ THE END』(謎のナレーション)
「チョットマテ〰〰〰オドリャ〰〰〰〰!!!」
10分間のやり取りを見ていたノブヒコは、とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、全力でツッコミを入れた。愛泥棒だとか、小さい女とか、色々ありすぎてツッコまざる終えません。
「サッキカラオマエ、訳がワカラナイゼニ!オレはコノ10分何ヲ見セラレテイタゼニか!」
ノブヒコは、心の中に思っていた事をとにかく吐き出した。そして、1番気になってたことを単刀直入に聞いた。
「テイウカ、オマエ…ファミレスにいたトゲ野郎ジャナイカゼニ 」
そう、先程から『愛泥棒』と名乗っていた男の正体は、首領パッチだったのです。首領パッチは、ノブヒコを見つめながら言った。
「No,No!オレは愛を追い求める救世主………そう、ラブハンターY!!!」
首領パッチは、サングラスと手ぬぐいを整えて、ポーズを決めた。首領パッチは、一体何がしたいのか?変装にしてはバレバレだし、攻撃態勢も見せない。ただ、自分事を『ラブハンターY』として貫き通しているだけである。
「グヌヌヌヌ…ナメヤガッテ…。オマエみたいなヤツはオレが切リ刻ンデヤル 喰らえゼニ!硬貨円斬」
ノブヒコは、大きな硬貨を首領パッチへと投げつけた。一方の首領パッチは、そんなこともお構いなしに、ずっとポーズを決めていた。硬貨はチェーンソーの様に回転を増しながら、みるみる首領パッチへと接近していた。
「死ヌゼニ〰〰〰!!!」
「足りないなぁ…」
すると首領パッチは、余所見した状態で手を伸ばし、硬貨を掴み取った。それだけでなく、そのまま握力を頼りに回転を止めました。
「ナニーー!俺ノ硬貨円斬を止メタヤガッタ。シカモ素手デ!!!」
「お前に愛…………足りないなぁ」
そう言って首領パッチは、硬貨を握力で粉々に砕いてしまいました。手に着いた破片を払い、ノブヒコを見つめた。
「Y………参る!」
そう言って、首領パッチはノブヒコに向かって走りだしました。
「ヒィッ!来タ。クソ〰一度攻撃ヲ止メタからって、調子に乗るなゼニ!釣銭流星群!!」
ノブヒコの引き出しから、硬貨の核爆弾が打ち上げられた。核爆弾は、首領パッチ目がけて下降しました。辺りは、爆発時の煙により包まれた。
「ハッハッハー、何ガ愛泥棒でゼニ!愛どかろかオマエが先二吹キ飛ンデ……………何ッ!!」
ノブヒコは突然驚いた。目線の先には、鎮火した核爆弾を素手いっぱいに握りしめた首領パッチが歩いていました。首領パッチは、手に持ってた核爆弾をジャラジャラ落としながら、ゆっくりとノブヒコの元へと向かった。ノブヒコは、いつの間にか体が震えていました。
「な…ナンダコイツは…。オマエ…本当に何者ナンダゼニ…」
首領パッチは、ノブヒコの約1メートル付近で歩くのをやめた。
「俺は……ラブハンタ~~~~Y!!」
「グワシッ!!!」
首領パッチは、ノブヒコの腹部に強くて正確な右ストレートを喰らわせた。攻撃を受けたノブヒコは、ぶっ飛ばされた勢いで、後方にあった壁へ思いっきり衝突した。
「愛………注入!」
「痛た…………ナンテ威力ノ拳……ぶは……もうアイツが何者カハドウデモイイ。オマエをぶっ殺すでゼニ 」
そう言ってノブヒコは、左腕のレシートプリンターを首領パッチへと向けた。
「必殺!レシート縛りでゼニ!」
レシートプリンターから、それはそれは長いレシートがプリントされ、首領パッチへ襲いかかった。
「ん、何だコレ?」
レシートは、首領の体をぐるぐる巻きにし、身動きがとれないよう縛り上げた。首領パッチは、抜け出そうとしましたが、レシートは鉄の様に固くなっており、いくら藻掻いても抜け出せません。
「何だよコレ?紙なのに……動けない」
「オット、その紙は特殊でな…ソウ簡単ニハ抜ケ出セナイゼニ!」
首領パッチは、動きを封じられて為す術がありません。いつもふざけてばかりの首領パッチでも、若干焦り始めたのか体から汗が滲んできた。
「こ…これは……マジでヤバイかも」
「さ~て、さっきのお返シゼニ!オマエほどデハナイガ、俺もパンチには自信ガアッテナ」
「ふん、そんな腕じゃまともに打てないだろ」
体が拘束されても、いつもの調子でノブヒコを挑発する首領パッチ。
「フン、生意気なヤツでゼニ まぁ、ドノ道死ヌケドナ
」
レシートプリンターだったノブヒコの左腕は、謎の光に包まれ、人間と同じ形の腕に変化しました。そして、睨みを効かせながら拳を大きく振りかぶりました。
「トゲトゲ野郎……くたばれゼニ!」
ノブヒコの拳が首領パッチの顔に当たりかけた時であった。風のようなスピードで、一人の少女がノブヒコに向かって突っ込んできました。そう、葛城です。葛城は軽く跳びあがり、勢いを効かせた鋭いキックを繰り出した。その足には、竜巻の様なものが纏っていた。
「秘伝忍法 クロスパンツァー!!」
「ン?ギョワ〰〰〰〰〰〰〰!!!」
葛城の蹴りを喰らったノブヒコは、再び後方の壁に激突した。
葛城は、首領パッチを見つけると、すぐさまレシートをほどいた。
「首領パッチさん、大丈夫っすか!?」
「葛城!………おせーよ!」
「へへへ、ここ探すのに苦労して」
葛城により、首領パッチはノブヒコの束縛から解放された。すると突然、首領パッチは葛城に聞いた。
「ここに来たって事は……あの手紙は読んだんだな」
「はい。………ファミレスの時の首領パッチさんの行動の意味も……わかりました」
それは、今から数分前に遡る。ノブヒコに敗れた葛城は、首領パッチにより半蔵学園へと戻っていた。闘っている時に首領パッチの行動が目立ち、葛城はあの時何をやれば正解だったのかを悩んでいた。そんな葛城を見た斑鳩は、葛城に渡すよ頼まれていた首領パッチの手紙を渡したのです。
「葛城さん、何があったかは知りませんが……まずは、こちらを読んでからお決めになっては」(斑鳩)
「なんだよコレ?」(葛城)
「首領パッチさんが、葛城さんに渡す様にと置いていかれた手紙です」(斑鳩)
「手紙…」(葛城)
葛城は、手紙を黙読し始めた。葛城は、軽く頷きながら手紙を読みんでいた。
「これは!」
手紙には、こう書かれていた。
『葛城へ
この手紙を読んでいるということは、お前が目を覚ましたってことだな。お前が“ヒーローになりたい”って言った時は、正直驚いたぜ。初めは冗談かと思ってたけど、変身するわ怪人が本当に出てくるわで、驚いたぜ。戦いを少し見せてもらったが………お前の戦い方には“迷い”が感じられる。人を守る事は良いことだが、オマエはそれに縛られている。俺もいろんなヤベー奴と戦ってきたが、戦う際に必ず心掛けている事がある。
それは、“遊び心”さ。
戦う事は命懸けだが、ヒーローになるって決めたのはオマエだからな。決めた本人が楽しくなかったら意味ないだろ!自分で決めた事は、もっと楽しめ!そしてハジケろ。今度弱音を吐いたら、鼻にピスタチオ詰めて盆踊りだからな! 首領パッチより』
そして、時間は今に至る。そして首領パッチは、葛城に聞いた。
「わかったのか?俺の言いたい事は?」
「はい!あの時の首領パッチさんがとった行動は、アタイにもっと“戦いを楽しめ”と…アタイはもっと、“馬鹿をやれ”って事っすよね」
葛城は、真っ直ぐな気持ちで首領パッチに言った。答えを聞いた首領パッチは、何だかいつもと違って照れくさそうに答えた。
「さぁな……。あと、まだ終わっていないからな。ドリンクバーに戻るまでが課題だよ」
「首領パッチさん………オッス!」
そんな2人を余所に、ノブヒコはゆっくりと近づいていました。
「痛タタ………オノレ〰ナメヤガッテ。コウナッタラ2人マトメテ消してやるゼニ!」
葛城は、変身ベルトと忍転身の巻物を取り出した。
「それじゃ、行きますか!」
「ハジケまくって行くぜ!」
葛城はベルトを装着し、巻物を(ベルトに)挿し込んだ。
『オーダー 通しマース!』(ベルト音声)
「忍~~~変・身!!」(葛城)
『オーダー入りマース! セクハラーメンマン一丁!!』(ベルト音声)
葛城は、セクハラーメンマンの姿へと変身した。首領パッチは、再び手ぬぐいとサングラスを身につけた。
「セクハラーメンマン 舞忍びます!」
「ラブハンターY 愛を求めて再び降臨!」
変身を終えた2人は、一斉にノブヒコへと突っ込みました。
「ふん!何人デ掛かってこようが、同じでゼニ。吹っ飛ばすゼニ!!吹き飛べ!!!」
そう言ってノブヒコは、腹部の引き出しを開きました。
ノブヒコの腹部から、大量の硬貨核爆弾が発射され、2人に目がけて飛んできました。しかし、2人は止まりません、むしろ走り続けた。2人の周辺では、核爆弾による爆発で荒れていましたが、それでも2人は走り続け、大きく跳び上がりました。
「いっけ〰!」(葛城&首領パッチ)
2人は、落下の勢いを活かしてノブヒコへ渾身のキックを繰り出した。
「ナニ!?ギョワ〰〰!」
「おりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ-!!」(葛城&首領パッチ)
蹴りは、一発だけでは終わりません。2人は、ひたすらノブヒコの顔や体に、有りっ丈の連続キックを食らわせた。首領パッチに関しては、蹴りながら呑気にお茶を啜るという余裕ぶりを見せていた。
「どりゃ〰!」
「ゼニ〰〰ブハッ!」
2人の強烈な蹴りに、ノブヒコもかなりのダメージを負ったみたいです。それでも、ノブヒコは懲りずに立ち上がりました。
「マダマダ……お前ら…絶対ニ許さんゼニ!」
「許さないは、こっちのセリフだぜ!」
葛城は、胸元から緑のUSBメモリを取り出した、ベルトに挿し込んだ。
『オーダー入りマース キ・ザ・ミ!』
葛城は、側方から出現した異空間から、麺切りカッターの様な双剣を取り出し、構えた。
「おおっ、武器か。それなら、俺も負けてられない」
葛城の双剣に嫉妬したのか、首領パッチも負けじと自分の武器を取り出した。ただその武器を見た葛城は、ツッコまざる終えません。
「ドンパッチソード!!」
「ネギ〰!?」
「よし、オマエのハジケた戦いを見せてみろ葛城!」
「お…オッス。さ~かかって来やがれレジ野郎!」
「ふん!そう調子ノッテルノモ今ノウチでゼニ!」
ノブヒコは、バーコードスキャナの左腕を2人に向けた。すると、赤い光の様なものが左腕に集まっていた。
「燃え尽きろ!スキャナレーザー!!」
左腕に集まった光は一本の光線へと変わり、2人めがけて発射された。
「なんの!」
2人はすぐさまジャンプし、光線を避けた。ノブヒコも、負けじと光線を連射しました。それでも2人は次々とかわしていった。
次にノブヒコは、腹部の引き出しから数枚の硬貨を取り出し2人と投げつけた。
「コレでどうだ!硬貨円斬」
ノブヒコが投げた硬貨はみるみる大きくなり、回転ノコギリの様に回転しながら襲いかかった。
「ふん!そんなのは効かないっつーの」
葛城は、ベルトを2回開け閉めした。
『斬れ味 マシマシ(増し増し)』(ベルト音声)
すると、葛城の持っていた双剣が一段と鋭い刃へと変化した。葛城は、その双剣で次々と巨大硬貨に斬りかかりました。まるで、レーザーで金属を斬ってるかのように、硬貨はいとも簡単に斬られていきました。
一方の首領パッチは、巨大硬貨に向かって走っていました。そして、走りながら謎の構えたを決めて跳びあがった。
「ん~~~…Y・Y・Y・Y・ワーーーイ!!」
なんと首領パッチ、手刀で次々と硬貨を斬り始めた。『Y』という一文字を描きながら、無駄のないスピードで軽やかに斬り続けていた。ただ、疑問に思うことが一つあった。なぜ『Y』なのか?それは私にもわからない。
「畜生!コウナッタラ動きヲ止めてやるゼニ!レシート縛り」
「んっ!またコレかよ」
首領パッチは、再びノブヒコのレシートにより拘束された。
「首領パッチさん!今助けに…」
「おっと!ソウハサセルカ!!」
葛城は、首領パッチを助けようと近付きますが、ノブヒコが光線でなかなか近づけません。葛城は、避けるのに必死でした。
「ハッハッハー、避ケテバカリでは、何も出来ナイゼニ!」
「くそー。何とかしてヤツに対抗できれば……首領パッチさんは、“遊び心”を忘れるなって手紙に書いてたけど……一体どすれば。ハァ!たしか、春花が前に…」
葛城は、変身ベルトをに春花が言ってた言葉を思い出した。
『このベルトは、アナタの巻物は勿論、他の子の巻物や“巻物以外”も挿入可能になってるのよ…』
「巻物以外…アッ!アレは………よし、一か八かでやってみるか」
葛城は、ノブヒコの攻撃を避けながら、つかさず落ちていた1本のドンパッチソード(ネギ)を拾い上げた。
「首領パッチさん!このネギ…いや、ドンパッチソードをちょっと借りるぜ!」
「おい葛城、オレのドンパッチソードをどうするつもりだ!」
「見ててください首領パッチさん!アタイの“ハジケ”を!!」
葛城は、ベルトに挿入されていた巻物を外した。そして、なんとドンパッチソード(ネギ)をベルトへ挿入し、ボタンを押した。
『足甲オーダー入りマース ドンパッチソーード!!』(ベルト音声)
葛城の足甲は、姿を変えた。その見た目は、緑のつま先と白銀に輝く胴体をしたネギ型の足甲でした。この足甲を見たノブヒコは、笑い始めた。
「ハー、ハッハッハ!なんだそのダサい靴は。そんなのでコノ俺ヲ倒ソウッテ…ハー、ハッハッハ…」
ノブヒコが笑っていますが、けして葛城はブレていません。むしろ、堂々としていた。
「アタイのハジケは…これからだ!」
そう言って葛城は、ノブヒコへと突っ込んだ。葛城は、助走を活かしてノブヒコに蹴りかかった。
「なんのコレシキ!」
ノブヒコはすぐさま気づき、腕を盾に攻撃を防いだ。しかし、葛城の攻撃は終わっていません。
「チェストー-!!」
「何!ぐわ〰〰〰!」
葛城は、蹴りを防いだノブヒコの腕を踏み台のようにして、軽く後ろに跳んだ。そして、着地した瞬時にノブヒコの腹部に鋭い蹴りを喰らわせた。
「ナメヤガッテ……小娘!今度は、コッチガ…」
「おっと!そうはさせないぜ」
葛城は、ちゃかした感じで喋りながら、指を1回パチンと鳴らした。
「くらえ!釣銭流星群………あれ?…つ、釣銭流星群…流星群…流星群!!何だ!?硬貨が出テコナイゼニ!」
すると、腹部の引き出しが勝手に小刻みに動き始めた。
「な、ナンダ!何ガ起こったゼニ!?」
すると、引き出しの中から複数の棒状の物体が伸び、ノブヒコの顔面を襲った。
「のわ〰〰!何だコレは………ね、ネギ!?」
飛び出したものの正体は、大量のネギでした。なんと、引き出しの硬貨がいつの間にかネギに変わっていた。
「何ガドウイウ事だ!硬貨ガいつの間にかネギに……ギャア!ネギ臭っ」
「アタイのハジケはこれからだ!」
そう言って葛城は、ベルトを2回ほど開け閉めした。
『オーダー通シマース ドンパッチソード…秘伝忍法!!』(ベルト音声)
葛城は、ネギ型の足甲に自身のチャクラを集中させた。さらに足を上げて、足甲の外底をノブヒコの方へ向けた。すると、外底から謎の光が輝いていた。
「いくぜ!英雄ハジケ忍法 グリーンジェノサイド!!」
すると、足甲から光と共に長い棒状のモノがノブヒコ目がけて発射された。
「どわ〰!痛、タタタタタタ〰!こ…これは……ネギ!?」
足甲から出てきた物の正体は、大量の長ネギでした。一般的に考えても、ネギはそれほど痛くないと思うかもしれないが、このネギは普通ではない。葛城のチャクラと首領パッチのハジケをエネルギーとしてまとったこのネギは、マシンガンの弾丸の様に硬く、ノブヒコの体に次々と傷を付けていた。
「クソ〰〰…俺がこんな子供騙しに…ギャア!」
最後に放たれたネギによる攻撃をくらい、体勢が崩れお尻から倒れた。ノブヒコは、何か他の手段は無いかを考えていた。
「ナメルナよ〰金髪乳娘!オマエなんか俺が本気ヲ出せば簡単ニ……ん?何だコノ音」
突如、ノブヒコの背後から『ムシャムシャ』と音が聞こえてきた。気になって振り返ってみた。
「ん~…………………メ~メ~」
「ヤーーーギーーー!!」(ノブヒコ)
「メ~メ~…」
「あのトゲ野郎ガ…ヤギにナッテル!?」
なんと、ノブヒコによって後ろで拘束されていた首領パッチが、いつの間にか体中から毛が生えたヤギの姿へと変身し、体を縛っていたレシートをムシャムシャ食べていた。首には『ヤギ吉』とかかれた名札をぶら下げていた。
首領パッチは、レシートを食べ終わると、ノブヒコの目をジロジロと見つめていた。
「な…何ジロジロ見ているぜに!本当オマエは、何者でゼニ!!」
「………………………………………………………メ~」
しばらく黙り込んだと思いきや、何も答えず首領パッチは『ヤギ吉』として、キャラを貫いていた。しかし、ソレを見ていたノブヒコは、馬鹿馬鹿しすぎて激怒していた。
「貴様〰〰モウ許さん!!スキャナレーザー乱れ打ち!!!」
ノブヒコは、怒りながら腕のバーコードスキャナから光線を続けて発射させた。
「メ~(ハジケ流奥義 ヤギ吉ディフェンス っと言ってます)」
しかし首領パッチは、ヤギとは思えない軽やかなディフェンスで、光線を次々と避けていきました。避けている時に一瞬だけ見せるドヤ顔は………なんかウザい。
「メ~、メ~、メ~~~~」
「メーメーウルサいゼニ!ちょこまかシヤガッテ!!」
「メリャ〰!」(首領パッチ)
光線を避けた首領パッチは、高く跳び上がり華麗に宙を舞い始めた。これを見たノブヒコは思わずにやけた。
「バカめ!そんな高く跳ンダところで、着地したところを打ち抜いて…………なにっ!」
ノブヒコは、あることに気づいた。
「バカは…どっちの方だよ!」(葛城)
「メ~」(首領パッチ)
なんと、葛城が首領パッチがノブヒコと絡んでいる間に、自身のチャクラとハジケの力を使って、巨大なネギのような槍を作っていた。宙を舞っていた首領パッチは、ニヤッと笑みを浮かべながらそのネギへと着地し、またがった。そんな首領パッチの頭を、葛城は笑顔で撫でていた。
「サンキューヤギ吉。おかげで助かったぜ」
「まさかオマエラ、この為に時間を稼イデイタゼニ!」
「いや、別に」(葛城)
「ハイ!?」
「アタイは、始めっからこんな事は予定に入れてないぜ。アタイは基本、戦いの時はNoプランだからな。ただ、アタイと首領パッチさんは、オマエには無い物を持っているからな…」
「俺に無い物!?」
「ああ、“ハジケ”さ!!」
「ハ?」
ノブヒコは、葛城がって言っている事がわかりませンでした。
「“ハジケ”っていうのは、アタイにもわからねー。でも…唯一言える事は、もっと“馬鹿やれ”って事なんだよ。首領パッチさんは、何を考えているかはわからねぇ。でも、この人は馬鹿だから今もこうしてアタイとたたかっている。馬鹿は、仲間を救う希望となるのさ!」(葛城)
「おい!もっと他に言葉なかったのかよ」(首領パッチ)
首領パッチは、いつの間にか元のキャラにもどっていた。
「ま、簡単に言うとしたら、お前ももっと馬鹿やろうぜ!悪い事はやっててよくないぜ。頭丸めて気楽にいこうぜ」
数分間の葛城は、『ハジケとは何なのか?』と想像も付いていませんでした。でも、今は違います。葛城は確かに何も考えず、自身の戦い方や美学を貫いていたいました。ヒーローになりたいという純粋な思いも、そんな彼女にとっては『ハジケ』というモノなのである。そう、葛城は今も今までも『バカやってる』のである。葛城にとっての『ハジケ』は、いつも通りの自分の事だったのです。
「貴様ラ〰〰〰何ガ馬鹿やろうだ!ふざけた事言ってるんじゃないでゼニ〰〰〰!!」
ノブヒコは、葛城の話を聞き終わるいなや反省するどころか、かえって怒り出した。そして、最初の時と比べてかなり野太い光線を2人に向けて発射させた。
「どうやら、何を言ってもダメみたいっすね。……首領パッチさん、トドメ行きましょう!」
「アア!見せてやるか…ハジケの力を!!」
葛城は、ベルトを2回開け閉めした。
『オーダー通シマース ドンパッチソード……秘伝忍法』(ベルト音声)
首領パッチは、巨大ネギの上に立ち体勢をつくった。それはまるで、サーフィンで波に乗ってる様な体勢でありました。一方の葛城は、大きく足を振りかぶった。
『いくぜ〰! 英雄協力忍法 ハジケグリーンサーフィン!!』
葛城は、大きく振りかぶった足で巨大ネギを強く蹴り飛ばした。ネギは、ミサイルの様に勢いよくノブヒコ目がけて飛んでいった。首領パッチは、方向がズレないようにバランスを調整していた。
まず、ネギはノブヒコによって放たれた光線と激突した。ネギは、あっという間に光線をかき消してそのまま直行した。
「馬鹿な!!コンナ子供騙シニ俺が!?」
「いっけ〰〰〰!!」(葛城)
「コレが関西伝統のネギ神輿じゃ〰〰〰!!!」(首領パッチ)
「そんな神輿無(ねぇ)〰〰〰」(ノブヒコ)
巨大ネギは、(ノブヒコを)直撃し大爆発をおこした。一方、爆風により吹っ飛ばされた首領パッチだが、難なく着地してカッコよくヒーロー風のポーズを決めた。
「コレが………主人公の力よ」(首領パッチ)
「アンタ、主人公じゃないでしょ」(葛城)
葛城と首領パッチは、いつも通りのテンションに戻ると、軽くハイタッチした。
一方のノブヒコは、人間の姿と怪人の姿に分裂していた。人間(ノブヒコ)の方には、怪我はありません。ただ、その場で気を失って倒れていた。そして、取り憑いていた化け物は、体に重傷を負っているにもかかわらず、ふらふらになりながらも立ち上がっていた。
「貴様ら……こ…これで終わったと……思うなゼニ」
「もう辞めとけ、レジ野郎。これ以上やっても、アンタがダメになるだけだぞ」
葛城は、怪人を説得しようとした。しかし、ノブヒコは何かを企んでいるのか、うっすらと笑みを浮かべていた。
「なんかアイツ笑っているぞ葛城。パクチーの旨さでもわかったのか?」
「こんな時にふざけないでくださいよ!」
相変わらず首領パッチは、こんな重たい状況でもマイペースを崩さない。
怪人は、2人に言った。
「おい!お前ら、これで終わったと思うなよ。“俺たち”は、お前ら忍がいる限り何度でも復活する。次に会うときは、この程度ではやられないでゼニ!」
葛城は、怪人の発言にあった“俺たち”という言葉が気になった。
「オイ、俺達ってどういう事だ!まさか、他に仲間が…」
「おっと、口がすべってしまったでゼニ。ここは、ひとまず撤退でゼニ……さらば!」
化け物は、手に仕込んでいた硬貨弾を地面に叩きつけた。叩きつけられた硬貨は爆発し、出てきた煙が周りを充満した。
「ケホケホ(咳払い)…しまった、逃げられちまったか」
「安心しろ葛城。こんな事もあろうかと、それなりの手はうってある」
「本当っすか、首領パッチさん」なんと首領パッチは、戦いの時に何か秘策をとっていたと言う。珍しく、気の利く行動をとったことに葛城も驚き、関心した。
「あぁ……アイツ背中に…」
「背中に……」
「背中に………俺の鼻くそを擦り付けてやったぜ」
「………期待して損したぜ…」(葛城の心の声)
堂々としている割りに、やっていたことは小学生並みのくだらない秘策であった。葛城は、関心してた自分が恥ずかしくなり、一時的に沈黙した。
今回の戦いは、こうして終わった。怪人に取り憑かれていた、ノブヒコという男性は、某悪徳集団の一員と言うことが後に判明し、彼を含む団員は逮捕された。しかし、後から駆けつけた霧夜の説得により、ノブヒコのみ情報を聞き出すために、半蔵学院系列の諜報部一課へと預ける形となった。ちなみに、セクハラーメンマンとラブハンターYの活躍は、誰も知らない。
その帰り道、葛城と首領パッチはボヤキながら、歩いていた。
「は~。忍とはいえ、アタイらの活躍を世間に公開出来ないなんて、どうも憂鬱だぜ」
「オマエも大変だな葛城。俺がオマエなら、世間にビシッと訴えているぜ」
すると、突然葛城は足を止めた。
「どうした、葛城?」
「…」
葛城は黙り込んだと思いきや、すぐ話した。
「首領パッチさん………お願いします!アタイとこれからも戦ってくださいよ!」
葛城は、真面目な表情を浮かべていて、誠意のこもった大きなお辞儀をした。それを見た首領パッチも、真剣な表情で黙り込み葛城を見つめた。
「今回勝てたのも、首領パッチさんがアタイに足りなかった所を教えてくれたおかげっす。アタイは、ヒーローに変身して戦えていた事だけに満足していて、大丈夫な“遊び心”を忘れていた……でも、今回の首領パッチさんのおかげで、アタイが忘れていた事を教えていただいた…」
葛城は、頭を上げることなく自分の思いを首領パッチへと伝えた。一方の首領パッチは、ふざけるどころかただただ真剣に話を聞いていた。
「首領パッチさんには、教えて貰いたいことがまだまだある…アタイが体験したことない事を教えてほしい…そして……一緒に戦いたい!」
葛城は、頭を上げるともう一度大きくお辞儀した。
「だから首領パッチさん……アタイとヒーローやってください…お願いします!!」
葛城は、自分の思いを全て伝えた。首領パッチは、腕を組みただただ沈黙した。葛城は、顔に汗をかきながらも、首領パッチの返答が来るまで頭をさげた。
「はぁ~」
首領パッチは、ため息をつくと一人歩き出した。葛城の顔の汗は、思わず止まる。
「足甲からドンパッチソード………悪くねぇな」
「え?」
葛城は、思わず頭を上げた。そして首領パッチは、振り返って言った。
「ヒーローチームのリーダーは、俺だからな……セクハラーメンマン!」
「…………ど…首領パッチさん…」
首領パッチの答えを聞いた葛城は、あまりの嬉しさに一滴の涙がこぼれた。涙を拭いた葛城は、再び首領パッチにお辞儀をして言った。
「ありがとうございます。あと……これからもよろしくお願いします」
首領パッチは、葛城の言葉にニコッと笑つまていました。
「よし、今からファミレスへ戻ってドリンクバーで乾杯だ!」
「ったく…首領パッチさんも懲りないなぁ」
こうして、葛城は首領パッチとともにヒーローとして戦っていくことを決意した。なんだかクセの強く2人に見えるが、これでいい。ヒーローに大丈夫なことは、とにかく馬鹿やってほんのわずかの遊び心を忘れないことなのだから。そう、2人はこれからも馬鹿やり続け戦っていくのである。
その頃、ある路地裏ではある悲鳴が響いていた。
「ぎゃ〰〰〰〰〰!あのトゲ野郎、俺の背中に鼻くそ付けてやがる。オエェ、汚ないゼニ…」
そこにいたのは、2人に敗れた怪人でありました。人気のない路地裏で体を休めていたところ、背中に擦り付けてあった首領パッチの鼻くそに気付いた様子。怪人は、手を伸ばして鼻くそを取ろうとしましたが、なかなか届きません。
「くそー、届きにくい所に付けやがって。ぐぬぬぬぬぬぬ…と、取れないゼニ」
「何をしているのです……試作品3号」
「見ればわかるだろ…鼻くそをとって…………ぎょわ〰〰!あ……姉様!?」
突然背後から謎の声が。振り返るとそこには、川獺(カワウソ)の仮面で顔を覆い、紫のウェーブのかかった長い髪をした人物が一人立っていた。黒いマントで体に羽織っているが、胸の膨らみからして女性であることは確かであった。
女は怪人を『試作品3号』と呼んび、それに対し怪人は小刻みに体を震えさせていた。
「あ…姉様…なぜこんな所に…」
女は、ゆっくり近づき言った。
「あなたは、“わが軍”の秘密を漏らしました……もう、用済みです」
「ヒィッ!待ってくれ姉様…アレは…その……つ、次こそは…ヤツらを…」
しかし、もう手遅れでした。女は手から謎の紫色の炎を出し、それを使って怪人の体を包み込んだ。
「あ……姉様……お許しを…」
「試作品…………消去」
「ゼニ〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰!!!」
女が拳を握った途端、怪人を包んでいた炎が一気に燃え上がり、大きな火柱となった。怪人は、完全燃焼してしまい、気がつけば体は無くなり、吸収したレジスターだけが残されていた。
「安心してください試作品3号。あなたは、私がもっと強くさせてみせますので…」
女は、何やらゴソゴソしていた。そして、自身の胸の谷間から一つのタブレットを取り出し、操作した。
「……半蔵学院三年……葛城。………キングオブ・ハジケリスト……首領パッチ」
そして女は、不気味な笑みを浮かべてこう言った。
「滅まします………計画の為に」
かなりのギリギリでしたが、なんとか書きおわりました。
今回の話で新たにラブハンターY(首領パッチ)がセクハラーメンマン(葛城)の仲間に加わりました。果たして、今後2人はどんなするのか…。さらに、新たに登場した『謎の女』にも目が離せません!
次回も、この調子で頑張ります。ご愛読ありがとうございますm(_ _)m