突如、葛城の前に現れた謎の男。男は、謎の白い粉により姿形を化け物へと変えて葛城を襲った。男は強い力を纏っており、その力に葛城も苦戦していた。
しかし、葛城は春花により発明された変身ベルトを使って『セクハラーメンマン』へと変身した。その圧倒的な力により、葛城は男の中の化け物の魂を除去する事に成功し、勝利を掴んだ。
それから翌日、半蔵学園の教室にて霧夜が5人の生徒に話しかけていた。
「男の名前は、渡辺出雲42才。一ヶ月前まで雲隠れ商事に勤めていた会社員だ」
霧夜が話していたのは、葛城が戦った化け物が取り憑いていた男のことである。どうやら霧夜は、男の意識が戻った後にいろいろと聞き込んだ様子であった。
「そして、この間葛城が話していたように、リストラと家族の夜逃げにより彼は孤独身になった」
「霧夜先生、あのオッサンはアタイと会ったときに『アノ男』って言ってたけど、その男の情報は?」
葛城は、霧夜に1番気になっていたことを聞いた。
「残念だが、渡辺さんはそれ以降の記憶が無いと話していた…」
葛城は、悔しいという感情を抑えながら視線をそらす。
「そうなってくると、いつ騒ぎが起こるかわからないですね」
斑鳩は、心配した。
「人間じゃなくなる白い粉かぁ…」
「雲雀、なんだか怖いよぉ…」
「安心しろ、どんな相手だろうと雲雀は俺が守る」
「ありがとう柳生ちゃん」
謎の白い粉に怯えていた雲雀だが、柳生の助言を聞いて安心した。
そんな中、霧夜は再びしゃべり出した。
「お前達、安心しろ。情報は、完全に途絶えた訳ではない」
「どういう事ですか」
霧夜の報告を知ろうと、5人は耳を傾けた。
「実はあの後、こちらで情報を基に調査を進めておいた」
「調査!」
「ああ。その結果、数日前に謎の薬品を売り歩いている男の情報が確認された」
「それってもしかして…」
「おそらく、あの白い粉なのではないかと…」
霧夜の情報に、5人は驚愕した。
「そうなってくると、ここ数日で何人かにアノ粉が手に渡っていると…」
斑鳩は、冷静に分析した。その発言に、霧夜は頷いた。
「おいおい、それって大丈夫なのかよ!?このままだと、またアタイの時みたいに…」
慌て出す葛城。すると、飛鳥はある事に気付いた。
「ちょっとまって、この数日の間に薬が渡されたんだよね…。それにしては、テレビのニュースとかに取り上げられていないよね」
飛鳥の言うとおりだ。アノ白い粉の力を使えば多くの犯罪を発生させる事が可能となる。しかし、使うことで怪人化してしまう為、世間も黙っていないはずだ。
「確かに…」
「飛鳥ちゃんすごい!」
飛鳥の発言に、柳生と雲雀は感心した。霧夜は、再びしゃべり始めた。
「そこで、今回の任務なんだが、お前達にはこの男性を探してもらいたい」
霧夜は、後ろの黒板にある男の情報を貼り付けて5人に見せた。
「雷田誠28才。今から3日前、この男が路地裏で謎の人物と取引きしている事が確認された」
「つまり、騒ぎが起こる前にこの男を捕まえるって事か!」
葛城は、誰よりも先に任務内容を察知した。
「その通りだ!だが今回は、ペアを組んで動いてもらう」
「「「「「ペアを?」」」」」
霧夜の独断と偏見で任務のペアが決められた。飛鳥は葛城と、柳生は雲雀と、斑鳩は学園に残り霧夜と情報収集を行う事となった。
まずは、柳生と雲雀の仲良しペアは街中を捜査していた。
「え~と…霧夜先生の情報だと、雷田さんはよくここのコンビニに立ち寄ってるみたいだね」
「う~ん、他に役に立つ情報があればいいが…んっ、どうした雲雀」
柳生が悩んでいる隣で、雲雀は緊張していた。
「あ、ごめん柳生ちゃん。いつ事件が起こるかわからないから緊張しちゃって…エヘヘ」
雲雀は、笑って誤魔化そうとする。そんな雲雀に対し、柳生は心の中では…
『あぁ~、大好きな雲雀と一緒に捜査が出来るなんて…俺は幸せ者だ…』と思っいる様子。
「柳生ちゃん?」
「へ…あぁすまん、何でもない。雲雀は俺が守る。命にかえてもな!」
雲雀の前でかっこよく決める柳生。
「ありがとう柳生ちゃん。でも雲雀だって子供じゃないから、柳生ちゃんにあまり頼らずに頑張る」
「そ、そうか…」
雲雀の言葉に、若干落ち込む柳生であった。
その頃、街外れを捜査している飛鳥と葛城は。
「情報によると、ここの路地裏で取引きをしてたみたい」
「いかにも、あまり通らなさそう路地裏だな」
霧夜からの情報をもとに、雷田誠が目撃された路地裏で捜査を行っていた。飛鳥は、葛城に聞いた。
「葛姉、この間戦った渡辺さんに憑いてた怪人って、かなりつよかったんでしょ?」
「えっ!?まあ、確かに強かったけど以外と大したことなかったなぁ」
「本当?」
「本当だって、アタイが言うから間違いないねーよ。それとも飛鳥、お前怖いのか?」
「ち、違うってば葛姉。私はただ、敵が気になっていたからその…別に怖いわけじゃ 」
葛城の発言に、飛鳥は動揺しながら、慌てて否定する。そんな飛鳥を見て、葛城はニヤけていた。
「はは~ん、それにしてはえらく動揺しているじゃねーか。正直に言わない子は、お仕置きタ~イム」
そう言って、葛城は飛鳥の大きな胸を鷲摑みし、揉み始めた。
「きゃあ!葛姉、任務中のセクハラは禁止!」
「いいじゃないか、減るもんじゃないし」
葛城は、相変わらず任務中にも関わらずセクハラをする。
「ちょっと、辞めてよ葛姉」
「ニシシシー…あっ!」
「あれ?本当に辞めた」
急に葛城が手の動きを止めた。何かの雰囲気を察知した様子だ。
「飛鳥、隠れろ!」
「えっ?う、うん」
2人は近くの物影に隠れた。すると、黒のパーカーとサングラス、白いマスクを身につけ1人の男が2人の近くを通りかかった。
2人は、その男を見て何かを感じていた。
「葛姉、あの人なんだか怪しくない?」
「ああ、いかにも怪しい男って感じだな。飛鳥、後を追ってみよう」
とりあえず2人は、男の後をつける事にした。男は、周りをキョロキョロさせながら、コソコソとしていた。
飛鳥と葛城は、隠れながら後を追う。
「葛姉、あの人ってもしかして…」
「いや、そう判断するのはまだ早い。何かコレといった証拠が見つかったら捕まえた方がいい」
男はどんどん奥へと進んでいった。そして、人影の少ない街外れの広場へとやってきた。
男は、近くの物影に隠れて何かをコソコソとしていた。
「へぇ~こんな広場があったとわな」
初めて来る場所に、葛城は興味を示す。一方の飛鳥は、男の行動に興味を示す。
「あ、葛姉!あの人を見て!」
2人が男の方向に視点を合わせた。すると、男は服のポケットから小さい袋を出していた。その袋を見て、葛城は咄嗟に判断した。
「飛鳥、その男を抑えるぞ!」
「了解」
葛城は前方、飛鳥は後方へと回り込んだ。男が気付いた頃には遅かった。男は、2人によって取り抑えられた。
「やったね、葛姉」
「ああ、思っていたより簡単だったな」
見事に男を捕まえることに成功した2人。しかし、なぜだか男は、何の抵抗もみせません。そんな男のマスクとサングラスを飛鳥は外して素顔を見てみた。すると…。
「「!!」」
「この人…探していた人と違う!!」
男の素顔は、霧夜に渡された資料とは別の人物であった。しかし、彼の手には謎の白い粉が。これは、一体どういうことなんだろうか。
「飛鳥!避けろ!!」
突然葛城が、ある雰囲気を察知し、飛鳥に向かって叫んだ。すると、飛鳥の顔めがけて一つの銃弾が飛んできた。
「!!」
銃弾は、ほんの少し飛鳥の顔を擦ったが、完全に命中する前に見事に避けきった。
「葛姉、今の銃弾って」
「ああ。どうやらアタイらは、ヤツの罠にはまったみたいだな」
2人は、銃弾が飛んでいた方向を振り向いた。すると、1人の男が2人に向かって歩いてきた。その男は、2人が捕まえた男同様、パーカーを着てマスクとサングラスを身につけており、片手にはピストンを持っていた。
「ふん、相手は手強いって聞いていたが、まさかこんな簡単にハマるとわな…電線に止まる烏の様にな」
男は、パーカーのフードをとって顔を見せた。なんとその正体は、探していた『雷田誠』本人であった。
「雷田誠!」
「なるほど。アタイ達が捕まえたのは、ヤツの影武者って事か。…一本獲られたな」
雷田は、2人をの近くへと来た。一体何を仕掛けてくるのかと、2人は様子を伺った。すると、雷田は手にしていた銃を突然捨てた。謎の行動に、2人は不審に思う。
「姉ちゃん達が探してた物は…コレのことかな?」
男は、パーカーのポケットから小さい袋を取り出し2人に見せた。
「し、白い粉!」
「じゃあ、アレが本物ってこと」
雷田が持っていた袋には、白い粉が入っていた。コレを雷田が飲む事で、渡部の時みたいに化け物になってしまうという心配が、2人の中にあった。
「こんなのがほしいのか?ほしいなら…くれてやるよ!」
そう言って、雷田は粉が入った袋を上に高く投げつけた。
「葛姉!」
「任せろ!とうっ」
葛城は、高くジャンプして袋を見事にキャッチしたのだが。
「馬鹿め!引っかかりあがったな!」
すると、雷田の口が裂け始め、その口から長い舌が飛び出した。舌は、影武者が持っていたもう一つの粉を奪い取り、そのまま袋ごと飲み込んだ。
「あっ!しまった!!」
「ということは…アレが本物!」
葛城がキャッチした袋の中身は、ただの小麦粉であった。しかし、気付いたときには、もう手遅れでした。粉を飲み込んだ雷田は、人間から怪人へと姿を変えた。
「ごめん、葛姉…私のせいで…」
飛鳥は、偽物の粉を本物だと思ってしまった事に責任を感じていた。
「気にするな。取りに行ったアタイもアタイだ。それに今は……コイツを仕留めないとな」
「オ前ラノ力…イタダク」
雷田は、近くの電信柱に手を当てた。すると、雷田の体がどんどん電信柱に吸収されていった。
「来るぞ。飛鳥!」
「うん」
「「忍転身!!」」
2人は、胸の谷間から巻物を取り出し、戦闘コスチュームへと転身した。一方、雷田を吸収した電信柱は、地面から出て足を出し、電線をぶち抜き凶暴な化け物へと姿を変えていた。
「ヴオ〰〰〰!!!」
電信柱の化け物と化した雷田は、威嚇し叫んだ。飛鳥は二刀流を構え、葛城は軽めのストレッチを終わらせ、準備万端。
「飛鳥、舞忍びます!」
「葛城、舞忍びます!」
「忍…コロス…キエ〰!!」
怪人は、忍結界を発動させて、2人を襲いかかった。
一方、別を捜索していた柳生と雲雀も、忍結界に気付き現地へと向かっていた。
「急ぐぞ、雲雀!」
「うん、飛鳥ちゃん…葛姉……どうか無事でお願い」
次回は、戦闘回です。お楽しみに。