前回、怪人情報を探る為に半蔵学園と焔紅蓮隊は、チームを結成することに。葛城は首領パッチと春花といったメンバーで、焔と怪人が闘った公園を捜索することに。しかし、一同の前には猫又軍団が。
一体どうなるセクハラーメンマン!
一方その頃、それぞれのチームにも共通する動きが見られていた。
街外れを捜索している、飛鳥・日影チーム。
ニャ〰、ニャ〰、カァ〰〰!
「この猫は、この間の…」(飛鳥)
見覚えのある猫又軍団に、飛鳥は警戒心を向ける。
一方の日影は、すぐさま状況を把握したのか、一本のナイフを懐から取り出す。
左右の手から手へと交互に持ち替えるといった余裕も見せていた。
「なんやと思ったら、猫か。…まっ、あっし感情ないから驚かへんけど…やられる前に帰った方が得やで…」(日影)
日影の挑発に、猫又は歯を軋ませながら悔しそうに見る。
「にゃにゃにゃ〰、にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ〰(なめやがって〰、お前達ヤツらにかかれ〰)」(リーダーの猫又)
リーダーの合図と共に、猫又軍団は一斉に2人へと襲いかかった。
そして、2人もそれぞれ武器を構えた。
「飛鳥、正義の為に舞忍びます!」(飛鳥)
「日影…悪の誇りに掛けて舞殉じるで…」(日影)
2人は、猫又軍団へと突っ込んでいった。
渋谷辺りを捜索していた柳生・未来チームでも、似たような動きがみられていた。
「どりゃぁぁぁぁ、蜂の巣になりなさーい!」(未来)
人気の無い路地裏には、1つの忍結果。
そこでは、柳生と未来が猫又軍団と激戦を繰り広げていた。
未来は、傘のマシンガンで弾丸を乱射させて、次々と猫又を撃退していた。
「ふん、思っていたより大したことなさそうね」(未来)
ニャ〰!
「はっ!」(未来)
余裕を見せていた未来の背後から、一匹の猫又が爪を立てて襲いかかる。
「あまい!」(柳生)
ギニャァァァァァァ!
突然横切る1つの影。
猫又は、柳生の和傘による突撃により消失した。
あと数秒遅ければ、未来は不意を突かれていたかもしれない。
「へー、やるじゃないの。さすが、アタシが見込んだライバルってところか…」
「油断するな。次が来る!」(柳生)
「って、相変わらず無視かよ!」(未来)
柳生は、ペアとはいえ未来に相変わらず冷たい対応。
心配に思われるペアだが、このやり取りはもはや当たり前のようになってきている。
なんだかんだで連携している2人は、次々と敵を倒していく。
さらに、斑鳩・詠チームが捜索している裏山にも忍結界が。
ニャ〰、ニャ〰、カァ〰〰!
「どうやら私達の作戦は、見通しみたいですね」(斑鳩)
「戦闘は避けるよう言われましたが、そうもいかないようですわね…」(詠)
「にゃにゃにゃ〰(掛かれ〰)」(猫又リーダー)
リーダーの合図とともに、猫又は一気に2人へと襲いかかった。
そして2人も、胸の谷間から1つの巻物を取り出した。
「忍・転身!!」(斑鳩・詠)
2人は、それぞれ忍装束へと転身すると、武器を手に取った。
猫又の鋭く立てた爪を、斑鳩は秘刀『飛燕』で受け止めた。
そのスキに、詠は自身の持つ大剣で相手を突いた。
「斑鳩、正義の為に舞忍びます!」(斑鳩)
「詠、悪の定めに舞殉じます!」
2人は名乗り、猫又軍団へと立ち向かっていった。
それぞれが猫又軍団と接戦を繰り広げており、もはや戦闘を避けるはずの任務ではなくなっていた。
そして、場所は再び葛城と春花・首領パッチのいる公園へと戻る。
猫又は、爪を立てて牙も剥き出しにして、3人へとゆっくり迫ってくる。
「葛城、わかっているわよね。今回の任務は、あくまで情報収集で戦闘は出来るだけ避けるのよ!」(春花)
春花は、葛城が興奮して戦闘態勢に入らないように、あらかじめ釘を刺す。
葛城も変身して戦いたい所だが、とっさに歯を食いしばり我慢する。
「チッ!仕方ないな…。でも、出口が猫又軍団が通せんぼしてやがる」(葛城)
「なんとかしてスキを付ければいいんだけど…」(春花)
「仕方ねーな…俺がやる!!」(首領パッチ)
―!!―
なんと、前へ出たのは首領パッチであった。
「首領パッチさん、一体何を…」(葛城)
「俺がスキをつくる。オマエらは、その間にここから逃げろ」(首領パッチ)
「首領パッチさん…」(葛城)
首領パッチは、いつもの何も考えないバカな一面とは裏腹に、クールな立ち振る舞いでゆっくりと猫又のいる方へと歩いて行く。
スキを作ると言っていたが、首領パッチには何か作戦があるとでも言うのか。
そんな真剣な首領パッチに、葛城と春花は釘付けであった。
猫又軍団と約2メートル付近の所で首領パッチは、歩くのをやめた。
そして、何やらゴソゴソとして何かを取り出すと…。
「さぁ~可愛いネコちゃーん、ご飯の時間でちゅよ~さぁ、オバチャンがせっかく持ってきたんやから、た~んとお食べ…」(首領パッチ)
「………」(一同)
首領パッチは、パーマのカツラをかぶったオバチャンメイクで、ツナ缶と猫じゃらしを片手に猫又をおびき寄せ始めた。
思っていたよりも単純な作戦であった為、一同は唖然とした反応に。
「………よし!」(首領パッチ)
決まったかのように、首領パッチは2人に向けてガッツポーズを送るも…。
「ニャァァァァ〰(やっちまえ!)」(猫又リーダー)
「イヤァァァァァァァァァ」(首領)
「そりゃそうでしょう…」(葛城&春花)
猫又軍団は、一斉に首領パッチへと襲い掛かった。
葛城と春花も、思わず心の声が漏れる。
首領パッチは、猫又軍団に引っ掻かれては噛みつかれ、武器でひたすら殴られるなどやられ放題に。
「今だ2人とも作戦は成功だ!今のうち逃げ……っていない!!」(首領パッチ)
首領パッチが目線を変えると、2人はとっくにその場を離れていた。
「イヤァァァァァァァァァ」(首領パッチ)
再び、首領パッチは叫び出すのであった。
猫又軍団が首領パッチに集中している内に、2人は走りって、その場から離れる。
「ほっといて大丈夫なの?首領パッチさんを…」(春花)
「平気平気。首領パッチさん、丈夫だから問題ないって」(葛城)
「あなたって、まあまあな悪い子よね…」(春花)
ツッコミたいことは多いが、変にツッコまずに控えめに返答を返す春花。
バカ(首領パッチ)の行動がとりあえず功を奏し、とりあえず2人は出口付近へと着いた。
「よし、ここまで来れば大丈夫………なわけないよな」(葛城)
ニャ〰、ニャ〰、カァ〰〰!
出口に着いたのは良かったものの、出口にも無数の猫又が待ち受けており、出口を通せんぼしていた。
「どうやら、コイツらをどうにかしない限り、ここから出られないみたいだか…」(葛城)
「まっ、この子(猫又)達が怪人の下部だとすると、(怪人と)同じ情報が手に入りそうね…」(春花)
葛城は、春花の言葉に引っかかった。
あれほど戦闘を避けるよう釘を打っていたのに、急に“情報が入りそう”だと言い出したのだから。
相手を攻撃しない限り、手掛かりを作る事は出来ない。
つまり…。
「……ってことは春花……戦っていいって事か…」(葛城)
そう、状況にて戦闘を避けられないと判断した春花は、いっそのこと戦って、より多くの情報を獲得する事に決めたのであった。
「はぁ~。私と一緒だったからよかったけど、どうせ止めてもアナタは言うこと聞かなそうだしね……いいわよ。そのかわり、くれぐれもスキを突かれないようにね!」(春花)
なんと春花は、溜息をつきながらも戦いを許可したのだ。
「へん!そんなの、とっくに承知の上だ!!」(葛城)
セクハラーメンマンの変身ベルトを発明したのは、春花である。
つまり春花は、セクハラーメンマンの正体を知る数少ない人物の1人であるのだ。
今回の任務で、葛城と春花がペアを組んでいたのは、セクハラーメンマンの事をバレないようにする為でもある。
『オーダー通シマース』(ベルト音声)
葛城は、懐に隠していた変身ベルトを装着した。
「忍・変身!!」(葛城)
『オーダー入リマース…セクハラーメンマン一丁!!』(ベルト音声)
ベルトに巻物を装着した葛城は、セクハラーメンマンへと変身した。
「忍・転身!」(春花)
続けて春花も、忍装束である白衣へと早き替え。
2人は、戦う準備は万全と整えた。
葛城は早速、胸元から取り出した緑色のUSBメモリをベルトに挿し込んだ。
『トッピングオーダー…“キザミ”』(ベルト音声)
異空間から出現した二刀の麺切りカッター(双剣)を手に取り、葛城は格好良く構えた。
「さーて、一丁行くか!」(葛城)
「まって葛城、私が相手(猫又)の動きを鈍らせるから、その間にアナタは攻撃して」(春花)
「おっ、すまないな春花」(葛城)
「ニャーニャンニャン、ニャンニャンー(お前達、やれ〰)」(猫又のリーダー)
ニャァァァァァ!!
群れの先頭に立っていたリーダー的猫又は、仲間へ合図する。
その合図とともに、猫又達は一斉に2人へと襲い掛かった。
「あらあら、元気な猫ちゃんね。でも、そんなに怒らずにリラックスでもしてなさい」(春花)
春花は、自身の着てた白衣の裏に仕込んであった試験管を数本取り出す。
そして、中に入ってあった薬をあたり一面にまき散らした。
「秘伝忍法 Scatters Love」(春花)
「ニャァァァ〰!ニャ?ニャァァ~ン(おらぁぁぁ〰!あん?何だか、気持ちいい~)」(猫又)
まき散らしされた薬は、地面触れた途端に謎の煙へと変わる。
それを吸った猫又達は、体の力が抜けるやいなや、表情が和やかになっていった。
「それは、特製のマタタビ剤よ。いくら猫又でも、中身は猫そのまんまね」(春花)
「サンキュー春花!よーし、こっちも負けてられねーぞ」(葛城)
葛城は、変身ベルトのボタンを押した。
『足甲オーダー……“キザミ”』(ベルト音声)
すると右足の足甲は、形を変えた。
葛城は、足甲に2本の双剣を装着させた。
そして、ムエタイの様に片足(右足)を上げて、もう片方の足(左足)は後に重心をかけながらつま先立ちになる。
さらに両拳はこめかみの高さに上げ、脇を軽く締めた構えをみせていた。
「へへへ、麺の硬さはバリ硬だ!!どりゃぁぁぁぁ!!!」(葛城)
葛城は、脚力を活かしジャンプで、まっすぐ勢いよく猫又へと突っ込んでいった。
「麺は縦に真っ直ぐ!」(葛城)
ニャ〰!
葛城の鋭い真空蹴りは、猫又の顎に思いっきり当る。
しかし、その背後斜めから別の猫又が襲いかかろうとする。
だが、葛城は止まらない。
「野菜は斜めに!!」(葛城)
ギニャ〰!
葛城は、すぐさま体勢を直し、斜め上に鋭へ鋭い回転蹴りをくらわせた。
「そして、何より重要なのは…下ごしらえだ〰!!!」
ニャァァァァ〰!
そしてトドメは、まるでマシンガンの様に目にも止まらぬ速さで、無数の連打キックを炸裂させる。
猫又達は、次々と吹き飛ばされては、札の姿へと戻る。
「やるじゃない葛城。その姿も、だいぶ慣れてきているみたいね」
ベルトを製作した側としては、難なく使いこなしている葛城に春花も満足である。
「へへへ、楽勝楽勝」(葛城)
「全く、調子がいいんだから。あんまりいい気になっていると、敵がまた…」(春花)
ニャ〰〰!
「油断も何も…問題ないぜ!」(葛城)
ギニャァァァ!!
後方から不意を突こうとした一匹の猫又は、呆気なく葛城に返り討ちにされてしまう。
勝負は、葛城が一方的にリードしているようだが、相手も一筋縄ではいかなかった。
御札は、すぐ猫又の姿へと戻り、またすぐ2人へと襲いかかる。
いくら変身している葛城でも、パワーやスタミナに限界がある。
「話には聞いていたけど、猫又というよりゾンビってところね…」(春花)
「猫又なのにゾンビ並みの生命力ねぇ…だったら、御札をどうにかするまでだっ!」(葛城)
葛城はそう言うと、胸元から新たなUSBメモリを取り出した。
そのUSBは、全体的に炎のように真っ赤な色をしている。
ベルトに挿していたキザミのUSBを抜き取り、その赤い方をベルトに挿し込んだ。
『オーダー入りマース!……炙り!!』(ベルト音声)
赤いUSBをベルトに挿し込むと、葛城の足甲は燃え盛る炎に包まれた。
炎は、旨い感じに形を変えて炎のスパイクへと変わった。
燃え盛る炎に、さっきまで威勢の良かった猫又達も怯えて後ずさりしていた。
「セクハラーメンマン!炎のごとく舞忍びます!!」(葛城)
葛城は、猫又達の共へと走り出した。
猫又達も、怖がりながらも負けじと突っ込んでいった。
「炎の足甲の味を食らえぇぇぇ!」(葛城)
葛城は、炎を纏った足甲で先頭にいた猫又に飛び蹴りを炸裂させた。
ニャパハァァァァ
やられた猫又は、元の御札の姿へと戻った。
それを見た葛城は、何かを確信したかのように笑みをうっすら浮かべる。
「コレをまってたぜ!…からの~ありがとうございました!」
葛城は跳びあがり、御札を足甲の炎で燃やし灰へと変えた。
「考えたわね。あれじゃあ敵も再生するにも出来ないってことね」(春花)
「まだまだ終わらないぜ!」(葛城)
そう、葛城は猫又が御札の姿に戻ったのを見計り、それを燃やす作戦に出たのです。
いくら何度も立ちはだかる猫又も、灰になるまで燃やされてしまえば再生するにも出来ない。
葛城は、アクロバティックな動きで攻撃をよけては、立ちふさがる猫又達を次々と蹴り上げて倒していく。
遠くに離れた敵も、本底から火炎放射機のように炎を発射させて撃退する。
一段落倒し終わると、葛城はベルトを2回開け閉めした。
『炙り!…マシマシ(増し増し)!!』(ベルト音声)
足甲の炎は、一段と大きくなり右足に集中した。
そして、その右足を葛城は高く上げた。
「英雄忍法 サラマンダー」(葛城)
ギニャハァァァァァァ!!!
葛城が地面に強く踵を落とすと、炎は衝撃波のように地面を伝って広がり、猫又達を一気に燃やした。
猫又は、再生する間もなく炎に滅された。
「どんなもんだ!アタイの力、思い知ったか!」(葛城)
葛城は、USBを胸の谷間へしまうと調子良さげに胸を張った。
調子が良いのは何よりだが、ベルト製作者の春花は黙っていられない。
あきれ顔で、春花は葛城の隣へと近づいてゆく。
「そのベルト造ったのアタシよ。使うからには、ちゃんと製造代を払って…」(春花)
春花が話し終わろうとした次の瞬間、2人に目がけて透明色の何かが発射された。
それは、消防車のポンプのように勢いよく放水された大量の粘液であった。
―!!―
それに気づくと、2人は直ぐさまかわした。
しかし、葛城はタイミングがズレたのか、バトルスーツの背中の辺りに少量の粘液がべっとりと付着した。
「にょわっ!チッ…避けきったと思ったら、カッコいい鎧に粘液が…オイ卑怯者!隠れてないで、出て来やがれ!」(葛城)
怒った葛城は、近くの草むら目がけてナルト型の手裏剣を投げた。
投げた先から、“グサッ”と何かに刺さったかのような音がした。
「にゅや〰!痛テテテ…紳士に向かってナルトを投げるとは、なんと無礼な忍でありますか…」(ウナギ怪人)
「また会ったな、ウナギ野郎!」(葛城)
草むらから飛び上がるように出てきたのは、以前焔と激戦を繰り広げたウナギ怪人であった。
彼のお尻を見ると、先ほど葛城が投げたナルト型手裏剣が見事に刺さっていた。
春花は、キリッとした表情でウナギ怪人を見つめ始めた。
仲間である焔を傷つけた分、春花はウナギ怪人を許すわけにはいかないからだ。
「あなたが焔をやったヤツね!ウチのリーダーをやった代償は、大きいから…覚悟しなさいね!」(春花)
春花は、自身の指をポキポキと鳴らしながらウナギ怪人怪人へとゆっくりと近づいてゆく。
そんな春花に対し、ウナギ怪人は何やら余裕の笑みを浮かべている様子だ。
ザバァァァァァァァァァン!!!
―!!―
突如、池から巨大な水飛沫が発生した。
まるで、巨大な爆弾でも爆発したかのように大量の水は一気に上へと噴射される。
しかしこの様子は、巨大な忍結界の効果により、公園の外にいる一般の人々に見られる事はなかった。
「何だ!一体何が!?」(葛城)
噴射された水は、だんだん下の池へと戻る中、水によって姿を隠していたヤツの正体が露わになる。
筋肉質で、体でガッチリとしたトゲ付の甲羅で覆われており、両腕は切れ味の良さそうな野太いハサミとなっている怪人だ。
そして、その怪人は3人の元へとゆっくり着地した。
そんな、怪人の姿を見た葛城は驚いた。
「お…オマエは…まさか」(葛城)
「ん?誰だオメーさんは?」(ザリガニ怪人)
「ザリガニの怪人!?」(春花)
目の前にいたのは、焔によって倒されたはずのザリガニ怪人であった。
しかも、焔と戦った時と比べてほんの少し体が大きくなっており、赤かった甲羅は鉄のような銀色へとかわっていた。
まるで、改造されて体の半分が機械となっているかの様であった。
「どうなっていやがる。焔が倒したんじゃねーのか!?」(葛城)
「焔?誰だか覚えていないが、俺様は何度でも蘇るさ。忍がこの世から消えるまでなぁ!!」(ザリガニ怪人)
ー!!ー
ザリガニ怪人は、物凄いスピードで春花へ向かい始めた。
春花は、驚きのあまり警戒が遅れてしまう。
「もらった〰!」(ザリガニ怪人)
「ちッ…」(葛城)
『速さマシマシ(増し増し)…キザミ!』(ベルト音声)
「何!」(ザリガニ怪人)
勢いよく振り込まれたハサミ攻撃はであったが、葛城はスピードを加速さて、双剣を使って攻撃を防いだ。
受け止めたのは良かったものの、ザリガニ怪人の凄まじい怪力に、葛城の両腕は小刻みに震えていた。
双剣の刃にも、若干ひびが入っている。
相手は、焔と戦ったときよりも数倍以上の力を増して挑んでいた。
今攻撃を防げたのも、むしろ奇跡中の奇跡である。
「ほほ~、ヤルじゃないか姉ちゃん」(ザリガニ怪人)
「ぐ……なんて…怪力だ…」(葛城)
「葛城!!」(春花)
春花の体には、怪我一つもありません。
しかし、仲間のピンチに黙っている訳にもいかない。
春花は白衣から新たな試験管を取り出し、加戦しようとする。
「葛城、今助け…ハッ!?」(春花)
「ニョホホ~、アナタの相手は我ですぞ!我のスピードに着いてこられるかな」(ウナギ怪人)
春花の前に、ウナギ怪人が立ちはだかる。
ウナギ怪人は、自身の粘液で軽やかに地面を滑りながら、立てた爪を春花へと向け、そして襲いかかろうとる。
しかし、先ほどと比べて警戒心が上がった春花は、軽やかなバク転で怪人の攻撃を避けた。
「おっと!ちょっと、不意打ちなんて反則じゃない!」(春花)
「ふん!卑怯も何もないでありますなぁ。対策のない忍は、早めに始末するまでだぁぁぁ!!」(ウナギ怪人)
ウナギ怪人は、再び粘液を使って春花へと向かう。
ウナギ怪人は、春花に“対策のない忍”と言っていたが、春花に限って対策を用意していないことは、まず無いのだ。
春花は、ウナギ怪人に向かってニコリと微笑み、奥深くに眠っていたドSオーラを放ち威嚇する。
「あら、アタシが対策を考えてないとでも思った?」(春花)
そう言うと、春花は指をパチンと鳴らした。
すると、すぐさまウナギ怪人の背後に謎の影が忍び寄る。
「ん?にょわっ!?な…何ですか…」(ウナギ怪人)
突如、ウナギ怪人は何者かに背後から体を抑えつけられた。
ウナギ怪人が振り向くと、そこには丸い顔に2本の腕が生えた一体の傀儡が、背後にて(ウナギ怪人の)両腕を抑えていた。
そう、焔紅蓮隊きって天才頭脳の持ち主である春花は、傀儡使いでもある。
見た目は、傀儡というよりはロボットに近いが、動きはロボットよりも断然優れている。
春花の為であれば忠実に尽くす下部の様な存在である。
傀儡によって拘束されたウナギ怪人に、春花は近づいた。
そして、顔を近づけて言った。
「さてと、ウチのリーダーの件は…体で払っていただこうかしら」(春花)
ウナギ怪人の顎を、指で撫でながら挑発する。
「ふん、なんの!」(ウナギ怪人)
ウナギ怪人は、体中から大量の粘液を流し始めた。
そして、そのヌルヌルを活かし傀儡の拘束から抜け出した。
「何ですって!?」(春花)
「ニョ~ホホホホ、考えがあまかったみたいですな。では…今度こそ覚悟!!」(ウナギ怪人)
ウナギ怪人は、爪を立てて再び春花へと襲いかかった。
「一筋縄ではいかないみたいね。それなら…これでどう!」(春花)
春花がもう一度指を鳴らすと、羽織っていた白衣だけが空中に浮かびあがった。
いいえ、白衣が上がったというよりは、白衣に隠れていたもう一体の傀儡が上がったのだ。
傀儡は勢いよく落下し、ウナギ怪人へと襲いかかる。
「ちッ、傀儡使いでありますか。だが…数を増やしたところで、我に勝てると思うなでありますよ!」(ウナギ怪人)
ウナギ怪人は、粘液を匠のごとく操り、アイススケートの様に滑って動きだす。
「さ~て、たっぷりと可愛がってあげる!」(春花)
春花は、片手の人差し指を唇に近づけ、滑らかな舌でペロッと舐めた。
2体の傀儡を操るドSな忍と、ヌルッとした怪人の戦いがここに始まった。
つづく