試合後リングをぐるりと周り観客を煽りまくったルフィは満足した様子で緑谷たちの元へ戻ってきた。
「いや~楽しかったぞ!」
「常闇!!お前おんもしれー個性持ってんな~」
「騎馬戦でも戦っていたんだがな。その時は洗脳を受けていて覚えていなかったみたいだが」
同じく常闇も戻ってきており、先ほどの試合の健闘をお互い讃えていた。わだかまりを残していない様子が実に清々しい。
そんな中爆豪は手を顎に当てジッとルフィの方を半身で見つめていた。
(実際あのスピードは厄介・・・接近戦なら負けねぇ自信はあるがよ、影野郎でも捉えられねぇか・・。)
(狙うなら伸ばした手の引き際か。カウンターを合わせられれば俺の俄然有利だが難易度はそれなりに高ぇな)
見た感じ爆豪は短気で大雑把そうに見えるが、実のところ冷静に解決策を見出す知力型だ。本人の能力がなまじ高い分、ゴリ押しで勝ててしまうことが多いが雄英に来て自分と同格以上の者が現れたことでその才能は本格的に開花しつつあった。
ブロックの都合上、ルフィとは決勝でしか当たらないが早くも対策を立てていた。しかしこれは驕りではない。実際彼が用心深くなるほどの相手が同じブロックにはいないからだ。
ルフィは楽しげに周りと談笑していると名前を野太い大きな声で呼ばれた。あまりにも大きい声なので一同全員が体をビクつかせた。
何事かと一斉に声の方に振り向けると・・・
「ルフィ!!じいちゃんが来たぞ!!」
「なんだ。じいちゃんか」
「せっかく死ぬほどの量の仕事を終わらせて応援に来てやったというのに、なんじゃいその言い方は!!」
頑張ってる孫の声援を、と思い駆けつけたのにそっけないルフィにガープは拳骨を振るった。ルフィはゴムなのに痛えと頭を抑える。
ガープの隣でボガードが息を荒くしてやれやれと呟いた。
「終わってないのに全部部下に押し付けたんでしょうが・・」
側近の彼の気苦労は凄まじいだろう。後処理は毎度彼の仕事だ。
ルフィとガープが話す傍で緑谷が目をダイヤモンドまで輝かせていた。
「ほ、本物だ!本当に日本に来てたんだ!ルフィくんのお爺さんなのは名前からなんとなくわかってたけど、日本で本物が見られるなんて!」
前々からルフィに尋ねたかったが、なんだか気恥ずかしくて聞けずじまいだったようだ。
その興奮した姿に峰田はそんなかよ、とツッコんだ。
「何言ってるんだ峰田くん!?この人は現代ヒーローの先駆け的存在で、敵の検挙数はギネス記録に載ってるんだよ!?ペトロポリス防衛戦やリオの不滅発言はあまりに有名なのに!!ああ・・後それから・・!!」
緑谷のオタクマシンガンが炸裂し、A組の皆はまたかと若干引き気味だ。
しかし、ガープは自分の武勇伝を語られ、いかにもご満悦な顔をしている。
「ほらみろ!じいちゃんはすごいんじゃぞ!ルフィ、ワシをもっと尊敬せんかい!!」
孫に一番慕われたいガープからするとルフィのガープに対する興味のなさには心にくるものがある。ここぞとばかりにアピールするガープだったが、ルフィの一番は何があってもオールナイトなので何の興味も示さない。
ルフィの素っ気なさにガープは萎びていると、ボガードはルフィに声をかけた。
「ルフィ君。コビーはどこなんだい?姿が見当たらないが」
「おれも知らんねぇんだ。多分会場にはいると思うんだけどさ」
昼休みの頃からコビーの様子がおかしかったことをルフィは話し、心配になって来たボガードが探しに行こうかと尋ねたがルフィはそれに頭を横に振った。
「大丈夫さ。あいつはつえぇから心配いらないよ!」
「そうじゃ。あやつの2ヶ月とはいえワシらと鍛えて来たんじゃ」
コビーのこれまでの頑張りにルフィとガープの信頼は厚い。余計なチャチャは不要だと言い切った。
第5試合から第7試合まで着々と進み、いよいよ一回戦最後の試合が始まろうとしていた。
『さぁ~この体育祭もいい感じに盛り上がってきたぜ!!次の試合はある意味このトーナメント1注目すべき試合かもしんねぇぞ!!』
『爆発の攻撃的個性を持つヒーロー科爆豪勝巳バーサス、まさかの無個性普通科コ~ビ~~~!!!』
両雄がリングに立つ。
コビーは試合が始まる時間には余裕を持って準備していたようだ。表情は固いものの程よい緊張感を持ったいい状態を整えている。
爆豪は大して興味なさげな目をしてコビーを見ていた。彼にとって一番つまらなくどうでもいい相手だったからだ。障害物でも普通に下位フィニッシュ、騎馬戦でも洗脳にかかりルフィのおこぼれでここにいるに過ぎないコビーに若干の腹ただしさを感じることはあっても決して好意的な感情は持たないだろう。
『第8試合スタート!!!』
開始の合図がアナウンズされ、先に攻撃を仕掛けたのは爆豪だった。とっとと試合を終わらせにかかる。
「無駄な抵抗する前にすぐ殺してやるよ!このクソ雑魚が!!」
両手を爆破して一気に加速した爆豪は右腕を大きく振り下ろした。完全に舐めきった攻撃だ。
その攻撃にコビーは冷静に対処する。
右足をわずかに引き、爆豪のフックがかった拳をスウェイバックで避ける。この無駄なく避ける動作に驚いた爆豪を余所にコビーは次の動作に入っていた。
大振りのパンチを避けられた爆豪の急所はガラ空きだ。コビーは爆豪の顎を蹴り抜く。
「がっ・・・!!」
『クリーーンヒット!!!これは強烈の蹴りだ!!もろに食らって爆豪も堪らず片膝をついたぞ!』
うおぅ、と観客がどよめく。彼らもこれまで活躍と個性の差で爆豪の圧勝と予想していただけに思わず身を乗り出した。
思わぬ攻撃を受け視界がぶれている爆豪だったが、追撃を仕掛けるコビーの攻撃を爆炎で退け一度距離をとった。
「クソが!!味な真似しやがって雑魚がよ・・!!」
才能至上主義の彼にとって一発もらったのがプライドを傷つけたのか怒り心頭だ。反対にコビーは普段の彼とは思えないほどの落ち着きようだった。両拳を軽く握り構える。
「すごい!あのカッちゃんにいきなり一発当てるなんて!」
「あいつ反射神経すげえからな」
「いや、今のも少しだけ芯は外してる。じゃねぇとコビーの蹴りは耐えられねえよ」
他の観客と同じく爆豪圧倒的有利と思っていた緑谷・切島たちA組たち。逆にコビーの実力を知っているルフィはあの体勢から蹴りをわずかに躱した爆豪を褒めた。
「コビーは散々対人訓練して来たからな。舐めてくるならぜってぇ負けねえ!」
ルフィの隣の拳藤も確かに、と思う節はあった。騎馬戦を組んでいた時握った手は意外とゴツゴツとしていて、腕も格闘家の筋肉のそれだったからだ。
コビーは一つ深呼吸をした。先制攻撃を決まり、相手の慢心も消え次からは本気の攻撃が来るだろうと思い、改めて身構える。
(爆豪くんは僕と違って間違いなく優れた人だ・・・でも単純な接近戦なら負けないぞ!今度は僕の番だ!僕が挑戦する番なんだ!!)
・・・・・・・・・・・・・
時間は第一試合が終わった直後まで遡る。
競技場の階段の踊り場でコビーは試合が終わった後の心操に話しかけていた。心操は手すりにもたれかかり、緑谷に殴られた腹の痛みを感じていた。
「なんだよ古美・・・俺のことでも嘲笑いに来たのかよ」
騎馬戦の罪悪感もあってか、自嘲気味にコビーに心操は尋ねた。コビーは首を振り、そうじゃないと否定した。
「違うよ・・・ただ心操君と話したくて。心操君は・・なんでヒーロー科を目指すの?」
「なんだそれ?そんなのお前と同じようなもんだよ」
「憧れた・・から?」
「ああ」
言葉が詰まりながらコビーは質問する。その彼に何が聞きたいのかと心操は訝しんだ。
「すごいよ・・心操君は。何を切り捨ててでも目標に向かっていく姿が。僕はわかってたよ。君がどんなに憎まれ口を使っていてもそれが全部勝つためにやって来たことだって!」
「・・・だからなんだよ・・・お前にそれが関係あんのか」
心操はその個性から他人と壁をつける癖があったため、本当の意味で友と呼べる相手に恵まれなかった。だから自分の秘めた思いを突っつかれるのは余計に面白くない。
「僕にはその覚悟が・・みんなを引きずり下ろしてでも勝ち上がる覚悟がなかった。君のように、みんなのように傷つくプライドすらなかった!」
これまでコビーは自分自身の力で勝ち上がった実感はなかった。障害物では体力だけは自信があったが最後の通過ラインを超えられたのはルフィが起こした爆発の混乱に乗じてドサクサに紛れられただけ、騎馬戦に至っては何もしていない。ほぼルフィのおかげで残っているだけだと彼は思っている。
拳藤のようにプライドが許さなくて辞退する姿を見て、自分に恥ずかしさと罪悪感を感じていた。だから嘲笑には一番堪えていた。
しかしだからこそ、心操の心の強さには胸を打たれた。同じ普通科の彼には特に。
「・・・・ごめん。すごく僕ごとの話で」
「勇気をもらったんだ!そ、それだけなんだ!・・・試合後すぐなのに・・ごめん」
一方的な話をして気恥ずかしさを感じ、コビーは踵を返して走り去ろうとした。心操は目を合わせずに口を開いた。
「なんだそれ。お前はただヒーローを目指しているだけだろ。俺みたいに悪態つく必要もないし、汚いことする必要もないぞ」
「勇気をもらったっていうけど、俺も同じクラスに同じ考えのやつがいて俺もだいぶ励まされたけどな」
うつむき気味に言葉にした心操の表情は読めなかった。
彼の性格上そこにあまり突っ込むと野暮だと思いコビーはありがとう、と晴れやかに返し止めた足をまた動かした。
・・・・・・・・・・・・・・・・
再び場面は第8試合の様相に移る。
(なんとしてでも僕は勝つ!ルフィ君と同じく拳藤さんと、そして心操君の重みも僕には乗っているんだ!)
もうコビーには雑音は一切聞こえなくなった。目の前にある勝利にただただ集中している。
コビーのスタンスはカウンター型にシフトしている。
基本的な身体能力は断然爆豪が上。それに個性がかなり厄介だ。ただ攻撃力だけではなく、機動性も兼ね備える。コビーから攻撃を仕掛けても変則的な動きで回避されるのは目に見えていた。なので狙いはカウンター。
ボガードとそれこそ死ぬほどやってきた得意技だ。コビーはこの2ヶ月間回避能力と迎撃能力に特化してきた。これを活かせれば爆豪にも勝てる自信はコビーにはあった。
「なめんな!!」
爆豪は再び加速させてコビーを再び強襲する。
彼もコビーがカウンター狙いなのは当然理解している。それでも止まらない。相手の土俵で捩じ伏せることが強さの証明だからだ。
(このカスの自信満々の顔を歪ませてやる!こんな相手捩じ伏せれねぇで「あいつ」に勝てるかよ!)
真っ正面から向かってくる爆豪にコビーは隙を突くようにカウンターを合わせるが、咄嗟に放たれた爆炎に目がくらむ。
完全に視界から爆豪の姿を失うが、ここで考えられるのは死角からの攻撃。前方にはすでに爆豪はいないと瞬時に判断し、前転をして回避する。その時コビーの後頭部のすぐ後ろの空が切られる。
コビーは回避と同時に距離をとる。しかし爆豪は余裕をもたせてくれはしない。
「吹き飛べ!!燃焼する砲弾<バーンバズーカ>!!
突き出した両手から指向性の爆炎がコビーを襲う。
「くっ・・・!!」
「カウンターやれんならやってみろ!!」
なんとか横っ飛びで回避するも、拳を上げる暇なく爆豪の拳と爆炎の攻撃がコンビネーションを含みながら襲ってくる。
コビーは想定していた以上の速さに息を巻いた。ただでさえカウンター攻撃は対人格闘に置いて高等技術に分類される。カウンターを合わせるのは至難の技だ。
最初の攻防ではコビーが制したが、それ以降は爆豪の一方的な展開だ。しかしなんとか爆豪の攻撃を避け、直撃をもらわないコビーに競技場はどんどんとヒートアップしてくる。観客の目は無個性が勝ち上がる、ジャイアントキリングを期待する目に変わっていく。
しかし持久戦になればなるほど爆豪の有利になってくる。彼の爆炎は時間の経過とともに大きくなる。
「そろそろ終わり時だ!!」
爆豪は今までよりもひと回り大きい爆炎を発した。体全体を飲み込める規模の爆炎はコビーの右腕を焼いた。
「ぐうう・・・!!?」
腕を焼かれたコビーを見てオオウ、と悲鳴と驚嘆に似た声を観衆が上げる。
腕を握り悶えるコビーに爆豪は追撃の拳を振るい上げた。バギャッと骨が軋む音を鳴らしコビーの顔は弾ける。
しかし顔を弾かせながらも下半身はしっかり踏ん張って残しているコビーを見て爆豪はさらに左拳を撃ち落とす。
(モーションが大きい!!)
その瞬間、コビーは悲鳴をあげる体を引っ張り起こし拳を振り上げた。もらいながらも誘い込んだのだ。
その拳は爆豪の拳とクロスする。フック気味の爆豪のスイングに対し、ストレート気味のコビーのスイング。どちらが早く相手の顔面を捉えるか。当然・・コビーだ。
<ドゴォオッ!!!>
コビーのカウンターが爆豪の顔面に炸裂した。
(決まった!!改心の一撃だ!!)
(このチャンス・・・逃すかぁ!!)
振り上げた腕を引き戻し、ここで一気にケリをコビーは決めようとした。しかし引き戻そうとした腕が戻ってこない。
「バカが・・・テメェの考えなんざハナからわかってんだ」
「!?」
カウンターを食らった爆豪がギロリと睨みつけ、コビーの腕を掴みとっていた。
「来るとわかってたら耐えるなんざワケねぇよ!てめえのパンチなんてなぁ!!」
(しま・・・爆豪くんの一番の特徴はタフネ・・!!)
「死ね!!!」
爆豪はコビーの右腕を引き寄せて0距離での爆破を食らわせる。大玉の花火が破裂したような音が競技場の壁に反響した。
あまりに凶悪な音にそれを聞いた者は顔を青ざめる。
「テメェみたいな「無個性の奴」は諦めが悪いからな。息の根をとめるぐらいに思わねぇとな」
『コビーダウーーーン!!』
コビーは両膝をつけ前のめりにうなだれる。この姿を見てミッドナイトがまずいと判断したのか、リングに下りコビーに駆けよろうとする。しかし・・・
「だからこんなもんじゃ、終わらねえよなオイ!」
コビーは上半身を起き上がらせ、ミッドナイトに続行の手を挙げる。
「・・・ま、まだ続けられます!」DON!
よろよろとコビーは腰をあげ、続行の意思を示すファイティングポーズを構える。だが、審判のミッドナイトからしてこれは続行していいものか判断を迷わせた。
(すでに腕と腹を焼かれているのよ・・・これ以上続けても・・・)
どうするのか、という視線をミッドナイトは実況室にチラリと向ける。
(今年の一年はどうしてこう、執念深い奴が多いのか・・・緑谷といい普通あそこまでやられりゃ戦意を失うものだが)
(これは授業の一環だ。後に何が残るかがこの体育祭の意義の一つにある。果たしてここで止めて、この二人に何が残るか。)
相沢の考えは続行。しかし現場の判断に任すと最終的な判決はミッドナイトは委ねた。
子供の対処に慎重になるミッドナイトはコビーの目を覗き込む。
(・・僕はまだやれるぞ!まだ出し切っちゃいない!)
コビーの目の色は戦いの意思をはっきりと主張している。この気迫にミッドナイトは腕を振り上げ・・・
続行の宣言<コール>。
そのコールに観客はざわつく。
「これ以上続けるのか!?彼の肉体は限界だろう!!」
「限界なんかじゃねえ!コビーはまだ負けてねぇ!!」
飯田のように皆の意見はストップだが、ルフィはまだやれると声を荒げる。
さすがに爆豪もここからは手加減するだろうと誰かが言ったが、爆豪の幼馴染の緑谷はそれはないとキッパリと断言した。
「カッちゃんは向かって来る相手は完膚なく倒して来るよ」
「そういう手抜きはしないから」
それを聞いて皆が心配そうな顔をリングに向けた。
実際のところコビーの体は限界に近い。それでも彼の戦意が尽きることはなかった。
「勝ぁつ!!」
コビーは軋む体の痛みを歯を食いしばり耐え、愚直に爆豪に向かって行った。しかしこれまでの間にダメージを回復した爆豪にそんな突貫攻撃は通用されるわけもなく、迎撃の爆破を受ける。
二度、三度、四度・・・無情な爆発音が鳴り響く。
衣服は破られ、痛ましい上半身が露わとなっていた。しかしコビーの意識はかすかに残っている。しかし立っているだけで精一杯な様子が遠目に見ても分かる。
「おい・・・いい加減止めてやれよ。勝敗はもう決まってるじゃねえか」
「大分くそだぞ・・・」
「せめて手加減してやれよ!!実力差はもうわかりきってるだろ!」
この光景に観客はブーイングを飛ばす。
しかしこれを遮ったのはルフィだった。
「ウルセェーーーーーーー!!!手加減したらおれがぶっ飛ばす!!」
「外野は黙ってろ!!」
ルフィは髪を逆立てて怒鳴り声をあげた。
そのルフィは最前列の手すりを掴んで興奮した様子だった。なんなら彼が一番止めに入りそうな様子だが、歯を食いしばり耐えていた。
「コビーが根性見せてんだ!おれたちがとやかく邪魔したらダメだ!」
「そうだ!コビーやってやれーー!」
拳藤も一緒になって声援を送った。
緑谷も相手が同じクラスの手前、コビーに声援を送ることはしなかったもののコビーに「自前」の個性を持っていなかった自分を重ねていた。
個性に恵まれなかった自分が果たして爆豪にあそこまで戦えていただろうか。泣き虫な緑谷はコビーに感情移入をして涙をためていた。
体をふらつかせながらコビーは思う。
「・・・まだ返しきれていない・・ぞ。・・ヒーロー科をまた目指そうと勇気付けて・・くれたルフィ君に・・。快く・・鍛えてくれたガープさん・・とボガードさん。・・・僕に託してくれた・・拳藤さん・・・勇気を・・与えてくれた心操君に感謝を・・・そして覚悟を・・」
「僕はヒーローになる!!」
半分意識が朦朧として思っていることを口に出していた。
その言葉を聞き、爆豪は次の一撃で終わらせようと拳を握る。
「そういうの、とことんあいつに似てやがんな」
「認めてやるよ。テメェは「やる」奴だったぜ。コビー!!」
かすかに見えた爆豪がこちらに向かって来ているところでコビーの記憶は途切れた。