少年と少女達の輝き目指す物語   作:キャプテンタディー

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どうも、キャプテンタディーです!

今回2話と3話の間の話を書きたくなった所以で
書かせていただきました!

最後まで読んでいってくだされば嬉しいです。
それでは本編をどうぞ!






#9 初めての曲とお願いと

 

 

 

 

 

 

とある日の朝

 

 

「遼くん!おはヨーソロー!」

 

 

快晴の空の下、俺は相変わらず休日は家で過ごすことが多いのだが、今日も今日とて、曜のやつは元気に意気揚々と俺の家にやって来た。

 

しかも…俺が起きてから10分も経たずにだ。

 

 

「おはよう。相変わらず元気だな。お前は…」

「えへへっ♪」

 

 

曜は照れて頬を掻く。

 

今日の曜は打って変わり、曜は眼鏡をかけていた。黒い縁で覆われた、真っ黒の眼鏡をかけていた。

 

そして俺は、曜が何故か大きな紙袋を持っていたので、俺は彼女に尋ねた。

 

俺の考えが当たっているかそれだけのことだ。

 

 

「なぁ曜、その紙袋の中身は?」

「これ?実は…千歌ちゃんに頼まれた衣装なんだ!一応布はあるし、少し作ろうかなって!」

 

 

やっぱり…どうやら大きな紙袋の中身には、千歌にずっと頼まれていたスクールアイドルの衣装が入っているようだ。

 

一体どんな衣装なんだろう?気になる…。

 

 

「へぇ〜!見てもいい?」

「うん!見てもいいよ!」

「サンキュー!」

 

 

曜から見てもいいよと許可が無事に下りたので、俺は大きな紙袋の中身を拝見すると、中にはたくさんの布が入っていた。

 

千歌の分かもしれないオレンジの布と、曜の分かもしれない水色の布があった。

 

千歌と曜の2人分の布があるのを俺は見て理解することが出来たが、オレンジと水色の布の間からは、何故かピンク色をした布が紙袋に入っていた。

 

俺はそれを見て、もうすでにテーブルに裁縫の準備をしていた曜に尋ねた。

 

 

「なぁ曜、このピンクの布って誰の分だ?」

「それ?それは梨子ちゃんの分だよ!」

「えっ?えぇ!?」

 

 

曜の発言に、俺は開いた口が塞がらなかった。

 

あの梨子がスクールアイドルを始めるだって!?な…何かの間違いではないのか?

 

 

「ちょっと待て!梨子もスクールアイドル始めるのか?だってあいつ…やらないって…」

「なんか梨子ちゃん、千歌ちゃんに説得されちゃったみたいで、梨子ちゃんもスクールアイドルを始めるって千歌ちゃんが言ってた」

 

 

よりにもよって千歌に説得されたのか。

 

それにしても、梨子があんなにスクールアイドルをやるのを嫌がっていたのに、どんな風の吹き回しなんだろうか?

 

 

「ということは、梨子が俺の家にやって来る意味も、なんとなく理解出来た気がするよ」

「うん!だから今日はよろしく!」

 

 

それに伴って俺は、自分の家に梨子がやって来る意味をやっと理解できた。

 

千歌から連絡は来ていたものの、なんで梨子もなんだろうと思ったらそういうことなんだな〜と、俺は理解することが出来た。

 

 

「それじゃあ千歌と梨子の2人がやって来る前に、俺は顔でも洗って来るかな。曜、お菓子いる?」

「うん!欲しい欲しい!」

「りょーかい」

 

 

それから俺は曜の要望を聞き入れ、曜を部屋に残し1階の洗面所に向かう。歯を磨き、顔を洗った後で俺は台所にあるお菓子を頂戴し、部屋に戻る。

 

するとドアを開けた時、シーンとした部屋の中で、曜のやつは俺のベットに寝転がっていた。

 

 

「すぅ…むにゃ……すぅ……」

「……おいおい」

 

 

しかも…勝手に寝ていた。

 

 

「曜、曜さ〜ん…」

「すぅ……すぅ……」

 

 

体を揺すってもピクリともしない。曜のやつ…完全に寝てしまっている。

 

と、お思いのあなた。実は違うんだよね。

 

こいつは目をつぶって寝息を立てているけど、実際は寝ていない。寝たふりをしている。

 

そう分かったのは、曜の体を揺すったときだ。曜の体を揺すった時、こいつの心臓の音はドクンドクンって物凄い速さで鳴っていた。

 

だから分かる。こいつは寝ていないって…。

 

 

「お前……起きてる?」

「…………………」

「そのわざとらしい寝息。バレバレだぞ?」

「……すぅ……すぅ…///」

 

 

俺の言葉に反応して、曜が頬を少しずつ赤く染めていくのが分かる。しっかり俺の声が、曜に聞こえているという証拠である。

 

どうみても曜はいつまでも俺に対してシラを切っているので、俺は彼女に言う。

 

 

「どうしても曜が起きないっていうなら、俺もそれ相応のことをしないといけないな〜」

「…………………///」

 

 

ほれ見なさい。曜は俺の言葉で顔を真っ赤にする。

 

もうこの状況からして、曜は寝ているという前提で話をしているから、曜にとっては何をされても文句は言えないというわけだ。

 

だから俺は、曜にこうするのだ。

 

 

「さて、曜がこの前持ってきた手錠を、こうして。その手錠の鎖の部分を、俺のベットにつけて…」

 

 

わざと声に出し、俺は曜の両手にまた手錠をかける。あの時と同様だが、それに+αとして、ベットにある木製の格子状のところに手錠をくくりつけ、曜の両手を拘束した。

 

曜の今の状態を説明するなら、今さっき鎖を木製の格子にくくり付けたから、曜の両手は頭の上で拘束されているような感じだ。

 

さて、これでどうするかな?

 

 

「曜、いい加減白状したらどうだ?」

「……やっぱり、遼くんには敵わないなぁ…」

 

 

曜は観念し、目を開けてこちらを見てくる。

 

バレてしまったことの悔しさが顔に滲み出ていた。バレていないと思っただろうが、浅はかだったな。

 

 

「バレてないと思ってた?」

「うん。バレないと思ってた」

 

 

曜はバレてしまったことに、苦笑いを浮かべる。

 

 

「あんな短時間で寝れる曜でもないしな。どうせ俺が曜をそのまま放っておいたら、曜は俺を襲うつもりだったんだろうけど…」

「うっ…そこもバレてたのかぁ…」

 

 

幼馴染みだもの。曜が考えてそうなのは、俺もよく理解している。

 

それから曜は参ったと降参し、俺はそれを見て心の中でニヤッと不敵な笑みを浮かべた。

 

もちろん、曜をやるためだ。

 

 

「じゃあこの手錠外してよ。また衣装の続きでもう少しで出来上がるところがあるからさ」

 

 

そう言って彼女は手錠を解いてとお願いしてくる。

 

でも俺は、その彼女のお願いを聞き入れなかった。あの時と同じようにね…。

 

 

「…………やだ♪」

「えっ!?いや…お願い!取ってよ〜!」

「あの時と同じさ。今度は俺のベットで勝手に寝ていたことへの罰ゲームみたいなもんだけどさ…」

「ちょ…そんなの理不尽!取って〜!」

 

 

ガチャンガチャンと、曜は手錠に繋がれた手をもがくように動かす。でもその両手は俺のベットと繋がれていて、頭から下へ動かすことは出来ない。

 

俺は曜の体に跨り、彼女のTシャツに手をかける。

 

 

「問答無用!そりゃ〜!」

「きゃっ!いや…見ないで〜!///」

 

 

恥ずかしがっている曜にも目もくれず、俺は曜のTシャツを彼女の首までたくし上げる。

 

すると、俺の目には曜の膨よかな胸が現れる。

 

今日は水色に白の横縞が入った下着に胸は包まれているが、その下着の横から胸がはみ出ている。曜が身につけている下着が少し小さく俺は見えた。

 

 

「相変わらずおっきいな…」

「いや…そんな…ジロジロ見ないでよ…///」

 

 

男を落とすにはちょうどいい大きさだと褒めたんだが、彼女からしてみればお世辞でもなんでもない。

 

この状況に陥っている今、彼女は幼馴染みに大きな胸を見られ、それを弄ばれることに、彼女は恥ずかしさの頂点に達していた。

 

そして俺は彼女の胸に手をかけた。

 

 

「さて、感触はどうかな…?」

「んっ…やめ……やぁ…///」

 

 

ムニュ♪ ムニッムニッ♪

 

 

お…おぉ…曜の胸は、もの凄い感触である。

 

お菓子でいうマシュマロって感じのような、柔らかくてとても弾力のある胸だった。高校2年のこいつが、ここまで大きいとは思わなかった。

 

あっ…ちなみに胸は直で触れてます。

 

曜の下着は取っ払いました。

 

 

「んっ…あっ…ふぁ…///」

「どうだ曜。まさか…興奮してる?」

「ま…さか、そんなわけ……んっ///」

 

 

強がる曜は声を抑えようとするけど、彼女の口からは淫らな嬌声が出てくる。顔を真っ赤にしているあたり、明らかに興奮しているようだった。

 

 

「やっ…あっ…んっ……///」

 

 

曜の体は、だんだん熱く火照ってきている。

 

曜の胸の頂点も、綺麗な薄いピンク色になっていて、ぷっくりと大きく膨らんできていた。

 

 

「はぁっ…あっ…あんっ!///」

 

 

なんか…だんだんと罰ゲームどころじゃなくなっていると思っているのは、俺だけではないと思う。

 

まるで、1人の男と1人の女がベットの上で…って、なんか俺も淫らで興奮している曜の表情を見ていると、ちょっと興奮してきた…。

 

 

「り…遼…くんっ…!あっ…!///」

「……っ!」

 

 

幼い子供のように曜は俺の名前を発する。

 

俺の脳がドロドロに溶けてしまいそうなくらい彼女は甘い声を発し、その彼女の声は俺の性欲そのものを駆り立てられる。

 

ふと考えた時、あることが頭をよぎる。

 

俺が曜をやっている間に、千歌と梨子の2人が部屋にやって来てしまわないかということ。

 

でもその頭をよぎった事は、性欲に駆り立てられた俺にとってもうどうでもよくなって、その考えは頭から綺麗さっぱり消去されてしまった。

 

 

「さて、覚悟はいいな?」

 

 

俺は一旦手を曜の胸から離し、両手をポキポキと音を鳴らして曜に声をかける。手を音を鳴らしたのは別に意味はない。ただの見せしめだ。

 

 

「やっ…やだぁ…誰か…誰か助けて〜!///」

 

 

顔を真っ赤にしながら、誰もいない誰かに向かって助けを求める声を上げる。

 

でも誰も助けに来る様子もなく、俺は助けを求めている曜の膨よかで柔らかい胸へと、ジワリジワリと手を伸ばしていく。

 

 

あと5cm、あと2cm

 

 

そうやって心の中でしめしめと思い、曜は覚悟を決めたのか、赤面しつつ、目をギュッと瞑っていた。

 

そして俺は、ようやく曜のおっきな胸を、また弄ぶことが出来ると… そう思っていた時でした。

 

 

「曜ちゃん!?どうしたの!?」

「今…曜ちゃんの声が聞こえ…た…?」

「……あら、あららら……」

 

 

やって来てしまいました。あの2人が…。

 

 

「…っ!千歌ちゃん、梨子ちゃん!助けてっ!」

「えっ!?な…なに!?何が起きてるの!?///」

 

 

梨子は俺と曜のこの状況を見ては戸惑いを隠せずにいる。初めて見る光景だから、若干ながら顔を赤くしていた彼女である。

 

そして、もう1人の彼女はというと…。

 

 

「曜ちゃん!待ってて!今助けるから!」

 

 

千歌は自分が持っていたカバンを、俺の部屋の隅に置いたと思ったら、突然変なポーズを取ってくる。それにそのポーズは、格闘ゲームによく出て来そうなキャラクターのポーズだった。

 

つまり状況を簡単にまとめるなら、千歌が曜を助けにやってきたヒーロー。俺は悪役というわけだ。

 

さっきまで『エッチ』みたいな雰囲気だったのが、千歌たちが来たことで一気に様変わってしまった。まぁ…俺からしてみればいいかなと思ってる。

 

 

「ヘッヘッヘ〜!彼女を助けたければ、まずこの俺を倒してからにしろ〜!」

「千歌ちゃん!私を助けて!」

「うん!絶対に曜ちゃんを助けてあげるから!」

 

 

俺は悪役になりきり、それから今からやられますよフラグ丸出しの捨て台詞を吐き飛ばす。

 

まるで子供がやるごっこ遊び。

 

普通はやること自体おかしいけれど、それでも俺は最後まで千歌の真似事に付き合った。

 

もちろん、やられる前提でね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の家に3人がやって来たのは、彼女たちが俺を目当てにあることをお願いして来たからだった。

 

 

「朝練に付き合え!?」

「うんっ!毎朝、私たちのダンスの練習に、遼くんも付き合って欲しいの!」

 

 

正直、千歌から出た言葉に驚きしかなかった。

 

いきなり朝練に付き合えと千歌に言われても、場所だったり、何よりもお前が起きれるのかと、色々と心配で仕方ない。

 

 

「私は迷惑だって止めたんだけど…あはは…」

 

 

梨子は俺に気を遣って、千歌に付き合わさない方がいいと意見を提示したらしいが、千歌はその意見を無視したみたい。なんてやつだ…。

 

 

「ねぇ遼くんお願い!付き合ってください!」

「そう言われてもなぁ…」

 

 

朝練といえど、こっちはこっちで毎朝ランニングをやってる身だし、千歌たちの朝練に付き合って欲しいとお願いされても、すぐに答えを決断できるはずもなく、答えるのに迷ってしまっていた。

 

すると千歌は最後の手段として、隣で衣装を作っていた曜に頼み込んでいた。

 

 

「曜ちゃん!曜ちゃんからもお願いしてよ!」

「えっ?あっ……うん…」

 

 

だけど曜は衣装の作業に集中していたせいで、全然千歌の声に気づいていなかった。

 

ふと、曜は俺に目線を向け、俺に言ってくる。

 

 

「遼くん。遼くんは…サッカーと…私たち3人、今…どっちが大事だと思ってるの?」

「えっ…えぇ!?」

「それを…聞かせて…?」

 

 

曜の真剣すぎる質問の内容に、俺は耳を疑った。

 

サッカーと千歌たち3人、今どっちが大事だと!?なんだよそんな究極の選択みたいな話…。

 

サッカーは俺にとって人生そのもの。だから簡単に自分のかけがえのないものを手放したりなんか出来やしない。

 

 

「それはもちろん…サッカーだ!サッカーは、俺の人生そのものだ!だから…だから……」

「だから……?」

「だから……その……」

 

 

くそっ…なんでお前はそんな目をしてくる?

 

お前がそんな目をしてくると、余計にサッカーの方が大事だってことを…千歌たちにちゃんと言えなくなっちまうだろうが!

 

はっ…もしやまさか、さっきの仕返し!?

 

わざとそんな顔をして、俺を朝練に付き合わせようと企んでいるんだな?

 

はぁ…しゃないなぁ…。

 

 

「あぁ〜もうっ!分かったよ!」

「えぇ!?それってもしかして…!」

「曜の件もあるし、仕方ない!俺は千歌たちの朝練に付き合うことに決めた!」

「本当!?やった〜!」

 

 

曜があんな上目遣いできるとは思わなかった。

 

あんな上目遣いをされてしまったら、流石に俺でもそれを断ることは出来ない。

 

千歌は俺の話を聞いて、彼女は大喜び。

 

俺の話を聞いた曜は、仕返しとして俺を嵌められたことにしめしめと表情に出ていた。曜のいいように流されてしまったのは、正直否めなかった。

 

 

「ありがとう遼くん!」

「ていうか、俺は何をすりゃいいんだ?」

 

 

俺はそういえばと話を切り替え、千歌に尋ねると、彼女からはこんな意見が飛び出して来た。

 

 

「遼くんはね、私たちのダンスを見て、色々とアドバイスをして欲しいなって思ってるの」

「アドバイス?どんな風に?」

「例えば梨子ちゃんのリズムが遅いとか、曜ちゃんの動きが、みんなと少しずれてるよとか、そういうところかな?まぁ私にも…詳しいところは分かってないんだけどね……」

 

 

大体やって欲しいところは理解出来た。

 

とりあえずは3人の動きを見て、どういうところの動きが悪いのか。そしてどう修正すればいいよとかのアドバイスをすればいいってわけだよね。

 

うん。俺にして欲しいことは理解出来たよ。

 

 

「まぁ言いたいことは分かった。それで?練習する場所は決めてあるのか?」

「うん!私の家の前の砂浜!」

「あそこなら、私も遼くんも行けるよね?」

「3人で話し合って決めたの」

 

 

練習場所は千歌の家の前にあるあの砂浜か。確かに場所は広いし、朝練にはうってつけだな。

 

それで、朝練を始める時間がどうなのかだけど…。

 

 

「じゃあ始める時間は?」

「始める時間?それは朝の5時!」

「6時にしたら、私も遼くんも、学校の準備とかで時間なくなっちゃうでしょ?」

「そうか、分かった。朝の5時だね?」

 

 

どうやら朝5時みたい。家の近くだからと千歌が寝坊しないか心配だけど、3人で話し合った結果なら、それに合わせるしかないよね?

 

まぁ俺は…4時起きだけど…。

 

 

「他に聞きたいことはある?」

「ううん。あらかた3人から聞きたいことは聞けたから、もう俺は大丈夫だよ」

「そう。それならよかっ…」

「あ〜っ!忘れてた〜!」

 

 

梨子がそう言って話を終わらせようとした時、突然千歌が大声で叫び、この場にいた俺を含めて3人はその声に驚く。

 

 

「わぁ!?ど…どうしたの千歌ちゃん!?」

「ちょっと…大声出さないでよ」

 

 

千歌が大声で叫んだことで曜は驚き、梨子は逆に怒りを買ってしまったが、そんなことをお構いなしに千歌は俺に向かって言い放つ。

 

 

「遼くん!出来たよ!」

「えっ?な…何が出来たの?」

 

 

千歌の言うことの内容にバッサリ主語が抜けているため、俺は千歌に何が出来たのかを尋ねた。

 

すると千歌は、テーブルに身を乗り出して答えた。

 

 

「曲だよ!私たちの曲、やっと出来たんだよ!」

「えっ?曲が出来たのか?」

 

 

千歌が言いたかったのは、千歌たち3人で作った曲が、やっと出来たということだった。

 

その話を聞いた俺は、やっと千歌たちが歌う初めての曲が出来たことに喜びを感じ、早く聞いてみたいという期待感に溢れていた。

 

 

「それで?どんな曲なんだ?」

「それはもうすっごくて、キラキラしてるんだ!」

「……ごめん。何言ってるか分からないや」

 

 

どんな曲なのかを千歌に聞いてみたが、千歌のやつは表現が下手すぎて何を言っているのかさっぱり分からなかった。

 

なので代わりに、曜に説明してもらった。

 

 

「簡単に言うなら、『大好き』っていう気持ちを、そのまま歌にしたって感じかな?」

「“大好き”を…そのまま?」

「えぇ。ちょうど歌詞持ってきたから、見て?」

 

 

そう言って梨子は俺に一枚の紙を手渡してきた。

 

それに歌詞が書いてあるのかと思い、それを受け取った俺は折り畳まれた紙を開く。

 

するとそこには、ずらりと並べられた言葉の数々。

 

『大好き』という気持ちを違う言葉にして、遠回しに訴えているような、そんな歌詞だった。

 

 

『ダイスキだったらダイジョウブ』

 

 

それが、千歌たちが作った曲の名前だった。

 

 

「うん……いい曲だと思う!」

「本当!?嬉しい!」

 

 

歌詞を一通り見て、千歌に感想を伝える。

 

彼女はそれを聞いては、嬉しそうにはしゃぐ。

 

曜も梨子の2人も俺の言葉を聞いたら、彼女たちも嬉しそうに微笑んでいた。

 

それで俺は、もう2つ尋ねる。

 

 

「歌詞が出来たっていうことは、作曲は?」

「えぇ、順調よ」

「衣装は?」

「全然大丈夫!問題ないであります!」

 

 

梨子は作曲が進んでいて、曜も今のところ衣装作りは順調。ということは、あとはダンスの振り付けだけということだった。

 

 

「じゃあ後はダンスだけだな。ただ突っ立って歌を歌うわけにもいかないだろう」

「うん!μ'sみたいにキラキラしたダンスにした方がいいな〜って、私考えてるんだ!」

 

 

“μ's”みたいにキラキラ…か。

 

ダンスのことは今は決めず、またの機会にしよう。

 

 

「そうだな。でもダンスはまだ考えなくてもいいだろう。歌詞も出来たんだしね……」

「うん!はぁ〜早くライブがしたいな〜♪」

 

 

今の千歌の言葉には、語尾のあたりに音符が見えたような気がした。

 

曲を早くみんなの前で披露したいという、期待感と高揚感に胸を膨らませていた千歌だった。

 

話の全てが終わってしまい何も話すことがなくなってしまった俺たち。それで俺は3人に、とあることをしようと呼びかける。

 

 

「じゃあ話も終わったことだし、みんなでゲームやらない?ちょうど4人で出来るゲームがあるんだ」

「やる〜!私やりた〜い!」

「はいは〜い!私もやるでありま〜す!」

 

 

千歌と曜は、即反応。

 

だが千歌はまだしも、衣装の作業をしていたはずの曜までもが参加しようとしてきた。

 

驚きのあまり、俺はびっくりしてしまったが、やりたいならやらせるのが1番いいのだ。曜のしている衣装作りは地道で大変な作業だから、気分転換にもいいだろうと思った。

 

でも、それを止めようとする人がいた。

 

そう…梨子である。

 

 

「ちょっと千歌ちゃん!?話が終わったなら、すぐ帰る予定じゃなかったの!?」

 

 

梨子は千歌に詰め寄り、話が終わったら帰るんじゃなかったのと、確認を求めるように尋ねる。

 

でも千歌はそれを聞いては、俺の誘いを断るわけにはいかないと、彼女はそう答えた。

 

 

「そうだけど。せっかく遼くんが誘ってきてくれたなら、それを断るわけにはいかないよ!」

「だから、梨子ちゃんもやろうよ!」

 

 

そう言って曜は梨子の手にゲームコントローラーを持たせ、テレビの画面の前に連れてくる。

 

『もう…』と言って少し呆れた表情を見せた梨子だったけれど、すぐに笑みを浮かべて、仕方ないから参加してあげるわといった表情を見せた。

 

ゲームがすぐ出来る状態にし、テレビを付けて自分のコントローラーを手に取った俺は、3人が並んでいるところの一番端っこに座った。隣は曜である。

 

 

「じゃあ始めるぞ〜!」

「「「お〜う!」」」

 

 

3人の掛け声を聞いた俺は、コントローラーのスタートボタンを押して、ゲームをスタートさせた。

 

ゲームが始まるまでのロードの間、突然不意打ちみたいに曜が耳打ちをしてきた。

 

 

「遼くん、あのね……」

「んっ…?どうした曜?」

 

 

あまりにも曜は小さい声で話しかけてきたから、俺はよく耳をすませて彼女の声を聞いた。

 

そしたら曜が発した言葉に、俺は思わず声が出そうになってしまった。

 

 

「あのね、千歌ちゃんが来る前にやってあれ…あの続き、あとでまたしない?」

「………………えっ?」

 

 

耳を疑った。まさか曜が、あの時の続きをしようと言い出してきたのだから。

 

 

「でもお前…あんなに嫌がって…」

「嫌だったけど、あの時は中途半端で終わっちゃったから…これも遼くんのため…///」

「曜……」

 

 

確かにあの時は、俺が曜にする前に終わってしまったから、俺のためと彼女は言っているけど、実際はどうなんだろうか?彼女の心情は不明である。

 

でも、あの時の続きが出来るのか。

 

今考えると、俄然やる気出るな!

 

おぉ…やる気がみなぎってくるぞ〜!!

 

 

「よ〜しっ!やってやるぞ〜!」

「遼くん、やる気満々だね!千歌も負けないよ!」

「悪いな。今日は勝たせてもらうぜ!」

 

 

俺の言葉が千歌に発破をかけたようだけど、俺はそう言って千歌に勝利宣言をしてみせた。

 

そして隣にいる曜は……

 

 

「これも全部…遼くんのせいだからね…///」

 

 

俺の耳に聞こえないくらい小さい声で、何かをつぶやいていたような気がした。

 

 

 

 

 







最後まで読んでいただきありがとうございます

もう遼と曜はもう付き合っちゃえば?
とか内心思っていた自分です。

次回はしっかり3話目を描いていきたいと思います。
皆さん是非楽しみにしててください!

感想・評価等、お待ちしております!



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