どうも、キャプテンタディーです!
今回も前回からも続きになります。
ですが、今回は今まで投稿してきた話より
文字数は少なくしました。
読みやすく頑張ってしたので、最後まで
読んでくだされば幸いです!
それでは、本編をどうぞ!
「はい、着いたよ〜!」
7〜8分ほど船に揺られながら移動して、ダイビングするポイントまで来たところで、果南は船を止めて俺たちに声をかける。
船に揺られながら桜内さんのそばにいた俺は、至福のひとときを終えて満足していた。
「遼くん?なんかに顔がやけてるよ?」
「そうか?別になんでもないんだけど…」
いけないいけない。顔のにやけを抑えないと、今度は桜内さんにも変態と言われてしまいかねない。
それだけはマジで勘弁だった。
「じゃあ、ダイビングする準備して!」
「「は〜い!!」」
果南はダイビングの準備へと取り掛かる。船の錨を海へと下ろし、船が動かないようにする。
千歌と曜の2人もダイビングの準備を始める。ゴーグルを頭につけ、足にフィンを履き始めていた。
「あれ…?あれれっ…?」
すると準備に戸惑っていたのは桜内さん。
足につけるフィンの履き方が全く分からず、フィンを履くのに手間取っていた。
それを見た俺は、すぐに行動に移した。
「足にフィン…付けてあげるよ」
「いいんですか?こんなことしてもらって…?」
「別に大丈夫。ほら、足出して?」
「えっ?あっ、はい…」
履くのに手間取っていた桜内さんの分のフィンを、俺が代わりにつけてあげることにした。
片方ずつしっかり足にフィンをつけてあげて、フィンを両足につけてあげたところで履き心地が悪くないかを彼女に確かめる。
「どう?きつくない?」
「うん。足もちゃんと動かせるから大丈夫」
「それなら良かった」
フィンの履き心地に関しては問題ないようだ。
俺も足にフィンとゴーグル、シュノーケルを手間取ることなく頭につけて準備を整える。
「準備は出来た?」
「出来たよ〜!桜内さんは?」
「私も準備は大丈夫です!」
「じゃあ早速潜ろう!」
桜内さんにも準備が出来たかと尋ねた千歌は、そのあとに海に向けて猛然と飛び込んだ。
バシャン!
大きな音とともに海に飛び込んだあとで、曜も千歌のあとにに続くように海に飛び込んでいった。
「遼くん!先に行くね!」
「おう!」
曜は高飛び込みの選手だから、海に飛び込むときは大抵、高飛び込みのフォームで飛び込む。
2人が順に海に入って行くところを見た桜内さんは、何かと少し心配そうな表情をしていた。
「だ…大丈夫かな?」
「心配しなくても大丈夫だよ。俺も桜内さんに付き添ってあげるから、なんの心配もいらないよ」
彼女にそう告げ、そのあとで俺は彼女の手を手に取り、ゆっくりと海の方へと歩く。
その時、果南から告げ口を告げられる。
「遼、梨子ちゃんと一緒にいるからには、絶対に離れないでね?潮の流れは早くないけど、はぐれたら容赦しないんだから!」
「は〜い、分かりました」
果南からの忠告を十分に胸に刻んだ俺は、まず桜内さんを船に置いて海に入る。
海は果南の言う通り、そこまで潮の流れは早くない。海の温度は予想通り、少し冷たかった。
「さっ、桜内さん。俺の手を取ってゆっくりね」
「う…うん…!」
桜内さんに手を差し伸べ、桜内さんは俺の手を使ってはゆっくりと海に入ってくる。
ホッと胸を撫で下ろした桜内さんに、俺は尋ねる。
「桜内さん大丈夫?桜内さんってここまで海で深いところに来るのは初めてでしょ?」
「うん。海は浜辺の近くでしか遊んだことなかったから、ここまでは初めて…」
「そっか。じゃあ初めての桜内さんにはしっかり俺が付いてあげるから、あまり気負いはせず、目的の海の音を聞きに行こう」
「うん!よろしくね!楠神くん!」
自分から桜内さんに言ったし、果南にも任された以上は責任は果たすつもりだ。
命を掛けても…とはいかないけど、初めて体験するダイビングに不安を持たせてしまわないよう、俺は彼女のサポートをすることを誓った。
「じゃあ潜るよ?」
「う…うん…!」
「3……2……1……!」
俺が指で3からカウントし、それから大きく息を吸って、そのまま一緒に海へと潜る。
海のに潜ると、天気に影響もされているから、曇り空のようにほぼ真っ暗に近く、何も見えなかった。
しばらく深く潜ったところで俺は桜内さんとその場で留まり、桜内さんは海の音を聞こうと目をスッと閉じて海の音を聞く。
「…………………」
10秒ほど目を閉じて海の音を聞いていた桜内さんに対して、俺はジェスチャーで尋ねる。
(どう?海の音は聞こえた?)
(ううん…ダメ…)
彼女は首を横に振り、『ダメ』と返事をした。
その後で千歌と曜も俺たちのところに泳いできて、千歌が聞こえた?って尋ねれば、桜内さんは俺の時と同じように首を横に振った。
一度、俺たちは海面に浮上した。
「ぷはぁ!はぁ…はぁ…!」
「大丈夫?きつくない?」
「うん…大丈夫。まだ潜るわ!」
桜内さんはまだ潜る意思はあるようで、どうしても海の音を聞きたいみたいだった。
「じゃあ俺が付き添うよ。もし桜内さんの身に何か起きたら大変だからね。千歌と曜はどうする?」
「私と曜ちゃんも一緒にいるよっ!だって…もとはといえば私が桜内さんを誘ったんだし!」
にもかかわらず、本来の目的を忘れて、曜と一緒に潜っていたのはどうなんだろう?
しっかり者の曜でも忘れていたようだから、本当に大丈夫なのかと俺は少し心配になってくる。
「じゃあまた海の音を聞きに行こう!」
「うん!じゃあ早速潜ろう!」
それからまた千歌と曜は海へと潜って行った。
「ごめんな…俺の幼馴染みがこんなで…」
「いいんです。最初の頃は、変な人だなぁって思ってたんだけど、今は少しだけですけど、高海さんといると楽しいな〜って思うの」
「……そっか。それならそれでいい」
少し心を開いてくれたって証拠かのかな?
話を聞いていて分かったことは、千歌に対して桜内さんは、心を開いてくれたんだと思う。
同い歳…まだ友達としてではないと思うけどね…。
「じゃあ、続きを始めよう!」
「うん!海の音を聞きに!」
そして俺と桜内さんは、また3から指でカウントし、それから深い海へと潜っていった。
海の音は聞けるのだろうか?
〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜
私のために手伝ってくれてる3人のためにも、私は何としても海の音が聞きたかった。
だけど…海の音は聞こえない。
「ぷはぁ!はぁ…はぁ…!」
「桜内さん、大丈夫?」
「うん…大丈夫…」
何度も海に潜っても、何回聞こうとしても、肝心の海の音は聞こえなかった。
「どうする?また潜る?」
「ううん。ちょっと疲れてきちゃった…」
高海さんの問いかけに、私は答えるのに必死だった。理由としては、海に潜り続けていたせいで息が上がっていたからだった。
その私の答え方に何かを悟った楠神くんは、すぐに私に対して対応してくれた。
「じゃあ一旦船に戻ろうか。桜内さんの体力はもしかしたらそろそろ限界に近いと思うからさ」
「うん、分かったよ遼くん」
「さっ、桜内さんも船に戻ろう」
「うん……」
楠神くんに船まで連れてきてもらい、先に船に上がった高海さんと渡辺さんに引き上げてもらった私は、船で疲れた体を休めることにした。
「イメージか…、難しいね……」
「うん。イメージするって簡単だと思ってたけど、とても難しいんだね……」
高海さんや渡辺さんは、楠神くんがアドバイスしてくれた言葉に解決を見いだせず、悩んでいた。
楠神くんがアドバイスしてくれたのは、『海の音』をちゃんとイメージした方がいいんじゃないかっていう、いたってシンプルなアドバイスだった。
ただ目を瞑れば聞こえるなんてことはないからと、的確にアドバイスしてくれた楠神くんに凄く感謝しているけれど、なかなかそれでも聞こえなかった。
「俺がシンプルにアドバイスしても聞こえないってことは、そんなに簡単に聞こえないってことなんだよ。それに、天気で景色は真っ暗だし…」
「景色は真っ暗…かぁ……あっ!」
すると高海さんが何か思いついたように声を上げ、私たちに向かって話をする。
「そうか分かった!分かったよ!桜内さん、もう1回だけ海に行ってみよう!」
「えっ!?い…今から!?」
「お前な、今さっき船に戻って来たばかりなんだぞ。少し桜内さんの気を遣ってやれよ」
楠神くんは私のことを気にしてくれて、高海さんに向かって叱責をするけど、彼女はまるで子供みたいに地団駄を踏んでは言い返す。
「今しかないの〜!今しか〜!」
高海さんの子供のような行動に呆れた楠神くんは、呆れた表情のまま私に顔をを向けて尋ねて来た。
「…ったく。桜内さん、どうする?」
「う〜ん…そこまで高海さんが言うなら…」
「本当!?やった〜!」
悩んだ挙句に答えを出した私は、高海さんにそう話す。私の答えを聞いた高海さんは、大喜びして勢い任せに海に飛び込んでいった。
「ち…千歌ちゃん!飛び込んだら危ないよ!」
「だ〜いじょ〜ぶ〜!!」
渡辺さんの心配にも笑顔でそう話せるあたり、彼女は本当に笑顔が絶えない人だなぁって感じる。
羨ましくないといえば、嘘になる。
「仕方ない。行きますか?」
「えぇ!もう一度、海に行きましょう!」
それから私たちはもう一度、高海さんが何かを思いついて示した行動につられる形で海に潜る。
また楠神くんにリードとして手を繋いでもらいながら、高海さんと渡辺さんを追いかけるように泳ぐ。
次こそは…次こそはと思った私は目をスッと閉じて、海の音を聞こうとする。
「………………………」
だけど…何も聞こえない。景色も真っ暗だった。
心の中でため息をつく。
ピアノが全然弾けなくなって、環境変えるため…何かしらのヒントを得るために高海さんや渡辺さん、それに楠神くんや果南さんにここまでして優しくしてくれたのに、海の音も聞けず、何も掴めないまま終わってしまうのかと…私は申し訳なく思った。
ポンッポンッ
(………っ!)
するとその時、ずっと隣にいてくれていた楠神くんが、私の肩を優しく叩いてきた。
私は彼を見ると、彼は私を見たまま左手の人差し指を海面へと指差していた。そして高海さんや渡辺さんも同じように私を見ては、右手の人差し指を海面の方へと指差していた。
(上…見てみなよ)
楠神くんの表情からそんな言葉がかけられたような気がした私は、その伝えられた言葉に従うまま、顔を上へと向ける。
(…っ!これって…!)
すると目の前に見えた景色は、さっきまでのとは違った景色が広がっていた。真っ暗な景色ではなく、海に光が差し込み、あたり一面が明るくなっていく景色が広がっていた。
するとその時だった。
〜〜♪
(…っ!?今の…今の音って…!)
景色を見て感動していた私の耳に、ピアノのような旋律が入ってきた。
もう一度その音を聞こうと、その音が今なんだったのかを聞こうと、私は耳をよく澄ませた。
すると……
〜〜♪
間違いなかった。今の音はピアノの旋律。
そしてそれが、海の音の正体だった。
(聞こえた!これが…海の音!)
私は両手を目の前に出して、ピアノを弾くように指を動かすと、またピアノの旋律が鳴り響く。
〜〜♪
やっと聞けたんだ。私が求めていた海の音。
そのあとで海面に一気に浮上して、シュノーケルを取って上がっていた呼吸を整えていると、高海さんと渡辺さんも海面に浮き上がってきて、高海さんは私の方に寄ってきては私に尋ねてきた。
「ねえ!今、音が聞こえなかった!?」
「うん!聞こえた!」
「私も今、聞こえた気がする!」
高海さんの聞き方や話し方だと、高海さんも私と同じ海の音を聞くことが出来たみたいで、彼女は嬉しそうにはしゃぎ始める。
「本当!?私も聞こえた気がした!!」
すると渡辺さんも同じように海の音が聞こえたみたいで、嬉しそうに私と高海さんに寄ってくる。
「曜ちゃんも!?じゃあ私たち…海の音を聞くことが出来たんだね!」
「うん!きっとそう思う!」
本来の目的だった海の音を、彼女たち2人も聞く事が出来たことで、2人はとても嬉しそうだった。
そして、私も何故か嬉しかった。
なんでだろう。もしかしたら、同じ目的を達成したことで、きっとその喜びを分かち合える友達がいるっていう証拠なんかもしれない。
そう思った私は、自然に笑みがこぼれた。
「ふふっ…!」
「あっ、桜内さん笑ってる!」
「なんで笑ってるの?」
「ううん…何でもない…!」
私が笑っている理由をはぐらかしたことで、『変な桜内さん』って高海さんに言われてしまった。
でも、それでもいい…。
だってもう……私の目の前には、私を支えてくれる仲間が出来たんだから…!
「えへへっ!あはははっ!」
「あはは!あはははっ!」
「うふっ!うふふふっ!」
それから私たちは抱きしめ合ってたくさん笑った。
目的だった海の音を聞くことが出来たことを、私たちみんなで祝うように…たくさん笑った。
〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜
目的だった海の音を聞くことが出来たのか、千歌、曜、桜内さんの3人は嬉しそうに笑っていた。
無事に海の音を聞くことが出来たのかどうなのか分からなかったから、俺は3人のそばに寄って行き、そっと声をかける。
「海の音、聞けたかい?」
「えぇ!海の音…しっかり聞けたわ!」
初めて目の当たりにした桜内さんの笑顔を見て、海の音はかけたようだと心の中で思った俺である。
「ねぇねぇ遼くんは?遼くんは聞けたの?」
「残念ながら…俺には全く聞こえなかったよ。でも海の中から見えた景色はとても最高だったよ」
海の音がどんな音だったのか…俺もすごく知りたかったけど、今回は桜内さんの要望で聞きに来たわけなので、今日は諦めることにした。
また今度、俺1人で来るとしよう。
「じゃあ目的の海の音が聞けたようだから、そろそろ船に戻ろうか?果南をずっと船に待たせるわけにはいかないしね?」
「そうだね!じゃあ戻ろう!」
そうして俺たちは泳いで果南が待つ船に戻る。
船の甲板には、ダイビングスーツのまま腕を組み、仁王立ちで俺たちを待っていた果南の姿がある。
「お疲れ様。海の音は聞けた?」
「うんっ!海の音、すっごく綺麗だった!」
「私は千歌に来ているんじゃなくて、梨子ちゃんに聞いてるのになぁ〜」
果南の不満を述べる言葉に、千歌は『えぇ〜!?』って叫びつつ、その言葉が重く突き刺さったらしく、近くの壁にもたれて項垂れる。
その様子に俺たちは笑みをこぼす。
桜内さんも、それを見て笑っていた。
「じゃあ目的の海の音は聞けたのね?」
「はい!3人のおかげで、海の音は無事に聞くことが出来ました!なので、もう十分です!」
そして果南の問いかけに桜内さんはそう答え、彼女は満面の笑みを浮かべた。
果南もその表情を見て運転席の方へと歩き出し、運転席の入り口に差し掛かるところで俺たちに振り向いて、彼女は言い放つ。
「それじゃあお店に戻るから、船を出すね?」
「「は〜い!」」
果南の声に千歌と曜は大きく返事をして、それから果南が船にエンジンをかける。船からは大きな音が鳴り響き、俺たちの耳に響いてくる。
そろそろ船が動き出そうとしていたとき、俺は桜内さんの近くまで歩み寄り、尋ねる。
「桜内さん、また近くにいてあげようか?」
「うん…お願いします」
彼女がそう答えるあたりは、まだ船に慣れていないようなので、俺は自分の右腕を差し出し、その右腕に彼女は両手を使ってしがみつくように俺に密着してきた。
まだ彼女の胸が俺の腕に当たって来てまたドキドキしていたけど、彼女が俺に話しかけてきたので、俺はその話に耳を傾けた。
「楠神くん、あ…あのね…」
「んっ?なに桜内さん?」
「あの…今日はありがとう。海で私を引っ張ってくれたり、色々と手伝ってくれて…///」
「お礼なんていらないよ。俺は桜内さんの目的のために手伝ってあげただけだからさ…」
彼女から出た言葉に、俺はドキッとしてしまう。
幸い顔には出なかったけど、お礼を言ってきた桜内さんの言葉はしっかりそのお礼を受け止め、心の中にしまっておくことにした。口からは“お礼なんていらないよ”って言ってしまったけど…。
すると桜内さんから、思いがけない言葉は飛び出してくる。それは俺でも想像もしない言葉だった。
「それでね。あの…もしよければ…」
「えっ…?」
「今度から、名前で呼び合いませんか?」
「えっ?いきなりそんなこと言っていいの?」
お互いに名前で呼び合おうというのだ。
その言葉を聞いた時は、今日初対面で初めて会った人に言える言葉かと、俺は心の中で思った。
「いいんです。今日初めて会ったのに、私に優しく接してくれた楠神くんには感謝しています。だからこそ、私はもっとあなたを知りたいんです!」
でも、彼女の表情は本物だった。
眼差しは真っ直ぐで、俺を見てずっと離さない。
そんな眼差しで見られては、断れるわけがない。
「そんな眼差しで言われると断れないよ…梨子」
「…っ!遼くん!これからよろしくね!///」
自分で提案したにも関わらず、顔を赤面させるのは彼女っぽいようで、彼女は恥ずかしがりながらも、俺の名前を呼んだ。
ということで俺は桜内さんのことを…今度から名前で呼び合うことになった。
初対面の女の子を…名前で呼ぶことになった。
そしてそれと同時に……
「遼くん、桜内さんとイチャイチャしてる」
「変態だなぁ…遼くんは…」
千歌と曜から罵声を浴びせられるのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ということで、前回から話を少なくしました。
その文字数はなんと『5,000文字』
読みやすくするために文字数を少なくしました。
次回もそれなりに文字数は少なくして更新
していきたいと思います。
次回も楽しみにしてきてください!
感想・評価等よろしくお願いします!